エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

信州伊那高原「赤そばの里」

2011年09月30日 | ドライブ
赤そばの花が見ごろを迎えている。
信州伊那高原箕輪町の山塊にひっそりと咲いている。



数年前から行きたい!と思っていた場所である。
その朝、空はシスティーナ礼拝堂の壁画のような色彩に満ちた。



遊休地の活用と名物作りのため「高嶺ルビー」という赤い花の咲くそばを標高900m、東京ドームほどの広さ約4.2haの広大な畑で栽培しているのである。



空、山、そばの花。
その三色のコントラストが感動を呼ぶのである。



日本のそばの花は白色だけれど、そばの原産地の雲南省からヒマラヤにかけては、ピンクや赤色のそばがある。
ぼくも、今までに赤そばの花を見てきたけれど、ここ信州伊那高原箕輪町のそば畑は素晴らしい。

正に、ヒマラヤにある天空のそば畑に似た風景となっている。



1987年にヒマラヤの標高3800メートルの場所から、赤い花の咲くそばを日本に持ち帰り、信州大学の氏原教授(現 名誉教授)が民間会社と共同で品種改良を行い、真紅の花を作って高嶺ルビーと名付けたのである。



高嶺ルビー。
ぴったりの名前である。




   赤そばの花に埋もれるいのちかな       荒野人


このそばは、花も綺麗だけれど食べても美味しい。
二度楽しめるそばである。





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 荒野人

秋三題

2011年09月29日 | ポエム
秋が深化している。
朝晩の冷え込みは、油分の少なくなった肉体に響くのである。

秋の色。
彼岸花の緋色である。



天をつく紅さこそが魅力である。
この写真は少しくすんでしまっているけれどね。



秋の鬼灯。
繊維が目立つ袋から、真っ赤に熟れた実が「おいで!おいで!」をしている。



中の実だけを吸い取り、袋だけにすると可愛い唇で中の空気を追い出す。
キュッキュッと鳴くのである。



秋と言えば、虫の声である。
近頃は、ここぞとばかりに喧(かまびす)しい。



中でも、邯鄲の甘やかな鳴き声には心踊るのだ。



デジブック 『秋三題』





この草むらこそが邯鄲の棲家である。



彼岸花は彼岸の岸辺に咲く。



彼岸花は、現世と彼岸の懸け橋である。
鬼灯の音に目覚めるのか、それとも邯鄲の夢に現(うつつ)を見るのか。

どちらでも良い。
故人はこの世に未練など残さず、成仏して森羅万象を司り、輪廻して欲しいものである。

彼岸花はそんなことを想起させるのである。



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 荒野人

美味いものを食いたい

2011年09月28日 | グルメ
人は、ストレスが溜まったりフラストレーションが沈殿すると旨いものを食いたくなるのである。
従って、人は欲望の塊へと転化する可愛い動物であるのだ。
メトロノームがリズムを刻むように人は、左右に振れつつ生きるのである。



埼玉県の山懐に分け入って、この蕎麦屋を見つけたのである。
街道に看板があったので、そこを曲がってみた。
細い道が繋がっていて、根性がないと諦めてしまいそうになる小道である。

小道の先に、この駐車場が現れる。
9台は駐車できそうであった。



幟(のぼり)の奥にこの玄関があるのだけれど、既に満席で4組の案内待ちが溜まっているのであった。
店名は「樹庵」である。

「じゅあん」と読むのか「いつきあん」と読むのか定かではない。
どうとでも読め!ということであろうか?



玄関の前にはヒガンバナが咲いている。
自然が残っているのであるから、藪蚊が人の血を虎視眈々と狙っている。
そんな環境である。



天ぷら蕎麦にした。



美味い蕎麦である。
7:3の蕎麦であろうか。
腰のある蕎麦であった。



タレも適当である。
あまり塩辛くなく、適度の甘味があって、出汁も効いている。
蕎麦の後、蕎麦湯を頂いて呑んだけれど、これも美味かった。



薬味はシンプルである。
難を言えば、量が少ない。
山葵はこの2倍、大根下ろしはこの3倍は欲しいところである。



天ぷらはカリッと揚がっていて美味かった。
海老は良い按配の揚がり具合であった。

総合的には、70点はポイント出来ると思うのである。
美味かったからである。
マイナス点は、席に着いてからが長いこと、入口に順番待ちの客がいるのに平気で待たせている事である。

待っていた客の話によると「ちい散歩」というテレビ番組で取り上げた結果、行列の店になったそうな。
メディアの力は大きい。

さて、一人前1800円也のお会計をしてスイーツの店を探した。



大豆スイーツのお店である。
あれもこれも・・・と目移りするメニューが揃っている。



従って少しずつのプレートを注文した。
豆乳・ケーキ、豆乳アイス、大豆チップ、豆乳プリンのワン・プレートである。

これは旨かった。

食べ終わったころ、車軸を流す雨が来た。
忽ち道路は水浸しとなり、店に暫く押し込められてしまった。



店の前は「日高中央直売所」であった。
3時過ぎであったからであろうか、野菜類は殆ど棚になく寂しい感じであった。

売り切れである。
小雨になった帰路であった。



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 荒野人

五十嵐喜芳逝去に触れて

2011年09月27日 | 日記
五十嵐喜芳さんが亡くなった。
日本のテナーである。
急性心筋梗塞(こうそく)のため東京都内の自宅で死去したのである。
83歳だった。



ちょうどぼくが声楽を勉強し始めた頃にイタリア留学から帰国され花々しくデビューされた。
ぼくがソルフェージュ、コールユーブンゲンを卒業し、コンコーネを二冊歌い終わりイタリア・リートなどを得意げに歌っていた頃であった。

彼は、声の質が少しばかりくぐもった感じで、ぼくたちは「いやらしきよし」などと揶揄したものだった。

けれど、いまどきのテナーよりはましだったかもしれない。
基本リリック・テナーだったのだけれど、日本にドラマティツク・テナーが居らず、どちらとも取れるような無理な歌い方をしたのかもしれない。

いやらしいと思いつつ、彼の歌ったカバラドッシなどは感動ものだった。
彼はヴェルディを得意とした。
というより、旋律の綺麗なアリアが合っていたのだったろう。

とまれ五十嵐喜芳さんが、逝かれた。
彼岸の世界でも彼は歌うのだろう。
そうあってほしい。



また今日のネットでは、ノーベル平和賞受賞者で、「モッタイナイ」という日本語を世界に広めた、ケニアの環境活動家ワンガリ・マータイさんが25日夜(日本時間26日未明)、がんのため首都ナイロビの病院で死去したという。
71歳だった。
彼女が世界に残した偉大な足跡に哀悼の誠を捧げたい。

77年に環境保護と貧困女性の社会進出を目的に、非政府組織(NGO)「グリーンベルト運動」を始めた。
7本の植樹で始まった運動は、アフリカ20カ国以上で計3千万本に及ぶ植樹に広がったのである。

俳優の杉浦直樹(すぎうら・なおき)さんが21日、肺腺がんのため自宅で死去していたという。
79歳だった。
マスコミでは「岸辺のアルバム」での好演などという。
ぼくは彼の「アラスカ物語」が好きだった。

体格が良くて見栄えのする俳優だった。
笑顔がシャイで、遠慮深げだった記憶がある。

山内賢も逝かれたとあった。
「二人の銀座」和泉雅子とのヂュエットだったと記憶する。

人が逝く。
時代が終わろうとしているのかもしれない。
だがしかし、もう少しその流れに竿さして行きたい。

青春の思い出が一つひとつ、皮膚を剥がすように消えていくのである。
「そんな時代もあったねと・・・」一人口ずさんでみる。
涙がポロッと零(こぼ)れた。




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 荒野人

おひさま、最終週

2011年09月27日 | 日記
NHKの朝の連続ドラマがいよいよ最終週に入ったのである。
井上真央という女優の個性が際立っており、ドラマを普遍化させている。
そうでなければ筋書き自体は陳腐な内容である。



「百白花」という蕎麦屋であり、若尾文子がナレーションを発する場所である。
このセットは、安曇野の蓼川(たでがわ)の畔に建てられているのである。
百白花なる花は存在しないのであるけれど、だがしかしシナリオの筆力と演者の力で現実味を帯びている。

処々のデテールによって、完全な陳腐化から免れているのである。



蓼川は湧水の川であり、川底には水藻がユラユラとたゆたっている。
涼感溢れる川である。



こちらは側面である。
小さなセットであるけれど、画面に映ると大きく見える。
映像とは不思議なものである。



黒沢が映画を撮る時、どれほどのロケハンをするのか存じ上げないけれど、良くぞ見つけたものだと唸ってしまう。
黒澤明監督の作品「夢」(1989年)に登場するかの場所である。
第八話「水車のある村」がここで撮られている。

既に、映画とは独立し固有の風景になっている。
原風景と言っても過言ではないのである。
見事なものである。



建屋の右側は蓼川が流れているのである。
おひさまというドラマが、どのような終わりを描くのか知らないけれど、安曇野の風景を際立たせてほしいものである。
大きな目、ふくよかな輪郭、井上真央という女優の活躍を期待したいのである。

なんだかな~。
イングリット・バーグマン、八千草 薫・・・久しぶりに好きな女優が現れたのである。





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 荒野人