ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

グッド・ドクター 禁断のカルテ

2012-01-22 22:46:15 | か行

見どころは
もっさいオーランド・ブルーム!(笑)

「グッド・ドクター 禁断のカルテ」51点★★★


研修医のマーティン(オーランド・ブルーム)は、
良い医者を目指すマジメな青年だが
なかなか病院に溶け込めない。

ベテラン看護婦から
理不尽なイジメを受けたり、

それが元で上司の評価を下げたりと、いいことナシ。

そんなとき、彼は
入院してきた美少女(ライリー・キーオ)の担当医になる。

彼女のおかげで医師として
自信を取り戻し始めたマーティンは、
次第に彼女に特別な想いを抱くようになり――?!


冴えない若いドクターが
思わぬ行動に出る病院舞台のサスペンス。

と言ってもサスペンス部分は動機もスリルも弱く
仕掛けも
「このくらいなら医者でなくても思いつきそう……」というくらい脆弱。

なので医療サスペンスと言うのは厳しいですが
見どころはあります。

それは、自分で人生を冴えなくしていて、
しかもそれに気づいてない
男の描写のリアルさ。

ゆえに、とるにたらないことで追いつめられるのさ、という。

イケメン俳優オーランド・ブルームが
その冴えなくどうにもウザい感じのドクター役に
意外なほどにハマってる。

演技力もあるんだろうけど、
ダサい前髪によるところがかなりデカイ。

結局、人間は髪型9割だよなあ、と再認識(苦笑)。

「周りが自分を評価してくれない!」とか
「なんで同じ企画を出しても、あいつのほうが通るんだ?」とか

そんな不満や疑問を抱えている人、
観れば何か感じるものあるかも。

反面教師としていかがでしょ。

★1/21(土)から全国順次公開。

「グッド・ドクター 禁断のカルテ」公式サイト
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ダーク・フェアリー

2012-01-21 17:46:40 | た行

ギレルモ・デル・トロ製作の
ダーク・ファンタジーです。

「ダーク・フェアリー」56点★★★

ロードアイランド州。
1世紀以上も放置されていた美しい屋敷に

建築家の父(ガイ・ピアース)と
別れた妻との間の娘サリー(ベイリー・マディソン)、そして
父の恋人キム(ケイティ・ホームズ)が引っ越してくる。

サリーは自らの境遇を
「母親から父に譲られた」と理解しており、
父にもキムにもなつかない。

そんなある日。
サリーは閉ざされた地下室を見つける。

そしてそこに
封印されていた「秘密」を解き放ってしまい――?!


怖い度は
ホラーとショッキング・スリラーの中間くらい。

「ギャー!」は少なく、
夜眠れなくなるほどじゃないんで、
ゴチゴチのホラーが苦手でも大丈夫。


なかなか姿を表さない敵は、
イタズラ好きで子どもの歯が好物という邪悪な妖精で、

中盤までくると
「ああ、あの風習に着想したのか」と納得。


元ネタがあり、
米のテレビ映画「地下室の魔物」(1973年)という作品。
デル・トロは子ども時代にハマって
いつか映画化したいと切望していたそうです。

ストーリーも要素も定番といえばド定番なのは
そんな背景があるのかも。


父と恋人と娘、という三人の微妙な関係を背景に、
ジリジリと脅かしていく技も構成も
まとまってはいますけど

物語の背景に哀しみや因果など、
深みがあればもっとよかった。

そう考えると
当時は正直、好きじゃなかったけど、
やっぱり「パンズ・ラビリンス」は凄かった。

この映画でも
ラストまでどうなるかわからない、と気を揉ませるのは、
やはりまだ「パンズ~」が尾をひいてるんだな、と思いますねえ。


にしても。
本作や「永遠の子どもたち」など
若手監督をサポートし、
すっかりプロデューサーなデル・トロ。

こういう映画はもう自分で作らんの?
観たいんだけどなー。

★1/21(土)からシネマサンシャイン池袋ほか全国で公開。

「ダーク・フェアリー」公式サイト
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ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬

2012-01-19 23:06:36 | さ行

Mr.ビーンも
渋みを増したなア(ほめ言葉っす。笑)

「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」69点★★★☆

Mr.ビーンで知られる
ローワン・アトキンソンのスパイコメディです。


英諜報機関MI7の敏腕(?)スパイ、
ジョニー・イングリッシュ(ローワン・アトキンソン)は

8年前、あるヘマをしてから
チベットの僧院に引きこもり、スパイ活動から遠ざかっていた。

そんなとき、MI7から新たなミッションが。

それは英中首相会談にくる予定の
中国首相の暗殺計画を阻止せよ、というもの。

イングリッシュは
新人捜査員タッカー(ダニエル・カルーヤ)を相棒に
久々の任務に張り切って挑むのだが――?!


前作「ジョニー・イングリッシュ」(03年)から
8年ぶりのスパイ映画。

アトキンソン独特の変わらないベタ芸が
妙に懐かしかったりします(笑)。

で、もちろんコメディなんだけど、これが
結構真剣に「スパイ映画」してる。

キャストも演出もけっこうマジだし、

なによりアトキンソン自身が
だいぶ渋味を増したというか、
笑いが少し落ち着き、スマートさが出てる。

Mr.ビーンのころはと違い、
製作や脚本もタッチしてないようだし、
監督にだいぶ任せているんでしょうかね。
そこが良いあんばいになっております。


ジョニー・イングリッシュが
「もう若くはないから、知恵を使うんだ」と
アクションを微妙に回避しながら
犯人を追いつめたりする、
その余裕綽々ぶりが逆に笑えたり(笑)

ただ、ちょっとネタがしつこいところは
相変わらずかなア(失笑)。


あ、でもですね、
これ、最大級の賛辞だと思うんですが、
マジな顔したアトキンソンが時々
ジョージ・クルーニーに見えました。
すこーしだけ、ね(笑)

★2/21(土)から有楽町スバル座ほか全国で公開。

「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」公式サイト
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きみはペット

2012-01-18 23:48:53 | か行

なんか韓国
活気あって、元気でいいな(笑)

「きみはペット」55点★★★

日本の少女コミック原作で
2003年に小雪&松潤でドラマ化もされた
ラブコメの韓国版です。


出版社で働く31歳のウニ(キム・ハヌル)は、
高学歴&高収入で容姿端麗なキャリアウーマン。

しかし仕事で左遷され、
慣れないファッション誌の編集をすることに。

職場でも浮きまくり、
ストレスの溜まる毎日。

そんなある日、ウニのマンションに
宿無し&金なしの若いダンサー、イノ(チャン・グンソク)が転がり込んでくる。

ウニは昔飼っていた犬に似ている彼を
ペットとして家に置いてやることにするのだが――?!


グンちゃんという超人気者を
一度スクリーンでちゃんと見たかったんですわ。

なので、うん、満足しました。

なるほど彼って顔はカワイイ系だけど、
声が意外に低くてカッコイイのね。

最初は広末に似てると思ってたけど
横顔はAKBのともちん似だなあとか、
でも、キャラ的にはキムタクなのかな…とか。

相手役のキム・ハヌルは
堀北真希を長くしたような感じだなーとか、

ま、そんなことを思いながら
軽いラブストーリーなんで
リラックスして、楽しみました(笑)

オシャレな高層オフィスで働くバリキャリ、なんて設定も
活気あっていいしね。

しかし
主人公のウニ、
常にスカート短すぎやねん!とか

グンちゃん、ダンサーという設定なんだから、
ちゃんと踊るシーンないんかい!とか

まあツッコミどころは満載ですが
別に批判すべきものじゃないです。


まあ、俳優だけで見るには
正直途中で飽きちゃったけど(笑)

いまどきアラサー女子と20代男子の年の差カップルなんて
そう珍しくもないし。

ここ数年で変わったよなあ、とか
そこに時代を感じたりして。


にしても。
試写にグンちゃんファンらしき女性が大勢いて
なんで?と思ったら、
エンドロールに大量の日本人女性の名前がクレジットされ、みんな喜んでた。

日本からツアーでロケに参加した
ファンたちの名前らしい。

すごいなあ、と改めて。

★1/21(土)から全国で公開。

「きみはペット」公式サイト
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ピアノマニア

2012-01-17 23:44:00 | は行

うひゃーおもしろい。目が釘付けでしたよ。

「ピアノマニア」78点★★★★

超一流のピアニストたちに絶大な信頼のある
ウィーンのピアノ調律師、シュテファン氏。

勤勉かつ謙虚な彼の
プロフェッショナルな仕事ぶりを追うドキュメンタリーです。

音楽オンチの番長、
そもそもハッとしたのが、

ピアニストというのは
自分の楽器を持って歩けないんですよね。
気がつけば「そりゃそうだ」なんですが(苦笑)

なので演奏会場で、
ピアノと初対面しなきゃいけない。

そのときピアニストたちが
「頭に思い描く音」に近づけるために、

またCDを録音するときにも
「出したい音」に近づけるために、

調律師とは
正しい音を出すだけじゃなく
あらゆることを調整する人なんだ、と知り
ただただ、感服いたしました。


シュテファン氏は
有名演奏家たちのムチャぶりにもひたすら応え、
ダメ出しされても
「落ち込んでなんかないよ、研究だ」と研鑽と、謙虚な姿勢を崩さない。

それに驚いたのが
「音」という感覚的なモノを表現する言葉が
実に多彩なんですよ!

「広がる」「軽く」「丸くない」「スマート」……etc。

それでお互い、通じるんだもんなあ!


そして演奏家とは
「ん、今の音に名前をつけておこう!」と言うほど
こだわりがあるわけで。

そんな演奏家とのCD録音作業のくだりは
かなり、手に汗かくスリルです。

“仕事”を極めることの素晴らしさを目の当たりにし、
その職人技と姿勢に、
最大級の賛辞を送りたくなる。

裏方万歳!


発売中の『週刊朝日』(1/27号)に掲載中の
おなじみ「ツウの一見」で
ジャズピアニストの岸ミツアキさんにお話を伺いまして
とっても興味深かったんですが、

一番おもしろかったのが

「ホント言うと、僕らにとっては
『この映画、何がおもしろいんだろ?』って。
だって、自分たちが普段やってることが
そのまんま映ってるだけだから」って!(笑)

ブラボー!(笑)

★1/21(土)からシネマート新宿で公開。ほか全国順次公開。

「ピアノマニア」公式サイト
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