イーストウッド×ディカプリオ。
初のタッグに
期待も高まったんですが――。
「J・エドガー」(1/28公開)63点★★★
FBIの初代長官として
50年間アメリカ中のあらゆる秘密を掌握していた
J・エドガー・フーバーの生涯を描いた作品です。
70代になったフーバー(レオナルド・ディカプリオ)は、
部下に回顧録を書き取らせることにする。
若き日の彼は
まだ“捜査”が未発達だった時代から
物事を“システム化”する術に長けていた。
その手腕を生かして
科学捜査の基礎を作った彼は、
同時に歴代大統領たちの秘密を握り、
巨大な権力を手にしていくのだが――。
初っぱなから老けメイクのディカプリオが
ドーンと登場。
老フーバー長官が語るFBIの歴史に、
当時の大事件を織り交ぜていくスタイルで
完全に「フーバーが語る」伝記。
構成も時系列の回想の羅列、という
かなーりシンプルというか単純な作り。
にしては寝ずに見ましたが、
うーーん
ディカプリオは「巨匠監督との期待作!」というムードと
どうも相性が合わないというか、
なかなか恵まれないようで、気の毒。
彼が悪いわけじゃなく、
伝記ものにありがちな過ちに
引っ張られてしまった、と言うことなんですがね。
伝記ものって
実在の人物をどう「映画の主人公」として
デザインし直し、組み立てられるかというところに
全てがかかってると思うんですよね。
遺族や関係者に配慮して、人物設計がボヤけてないか、
さらに語る側の一方的な言い分を
どう公正に、観客に感情移入させられるか。
本作は残念なことに、
そうした伝記モノの陥りやすい
すべての罠に当てはまってしまったのではないか、と。
特に個人的感情や、プライベートに関して
かなりぼかした感じになってるのもあり
人物に入りこみにくい。
イーストウッド監督をしても、
そうなってしまうのか!という。
ただ、名前だけはよく聞く
フーバー長官という人が
「こんなことをした人なんだ!」という驚きは確かにあるし、
おなじみの
「地元警察とFBIの確執」構図の
原点を知ってふむふむ、とは思いました。
しかし、やっぱりこれでは
情感が足りないよなぁ~~。
特に生涯独身であったフーバーの私生活など
もっと「切ない!」描写ができそうなものなのに
描き込みが足りない~~!
描いちゃえ!描いちゃえ!とか
思いますよね、やっぱり。
だって、これは記録でなく映画。
真実は「機密のまま」、謎のままでいいんだから。
なにより困ったのは
老けメイクのディカプリオが
フィリップ・シーモア・ホフマンに見えてしまうことだったり…(苦笑)
★1/28(土)から全国で公開。
「J・エドガー」公式サイト