ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

今日と明日の間で

2012-01-07 18:55:39 | か行

こちらもダンスについての映画。

美しいひとを見るのは
楽しいですねえ。

「今日と明日の間で」53点★★★

バレエダンサー首藤康之のドキュメンタリーです。

9歳でバレエに出会い、
15歳で東京バレエ団に入団。

モーリス・ベジャールとの出会い、
そして
古典から現代作品へ――という彼の軌跡を
彼のダンスをはさみながら綴った作品です。

バレエのドキュメンタリーでおもしろいのは
やっぱりダンサーの素顔が見えるとき。

ストイックな身体と精神を育む
その日常生活はどんなんなのだ?というのが
興味のあるところですが

本作でも
踊る前の入念なウォームアップの様子や
骨格標本の置かれたスタジオなどから
彼の「踊り」に対する考えが見えてくるのがおもしろい。


踊るきっかけになった大分のバレエスクールを再訪したり、
公演後にビールを飲みながら
仲間と語るリラックスした表情まで垣間見えるし、


ダンサーとして年齢を重ねるとはどういうことなのか、
それにともなう作品の選び方など
「なるほど」と思うことも多かった。

取材対象として、
彼はかなり“開いて”くれてはいると思います。

ただ「個人のインタビュー」として見ると
あまり深くまでは潜ってはいない。

もう少しテーマを絞って
悩みや苦しみなどに突っ込むなど、
表層的でない彼自身の素顔が見たかったな、と感じました。

まあ「彼を知るには時間がかかるわよ」と、
20年来のダンサーが言ってるから

そうやすやすとは、見せないんでしょうし
それが目的の作品ではないんだけどね。

映画のタイトルにもなっている
新作ソロダンス「Between Today and Tomorrow」の
椎名林檎による音楽が非常によかったです。

★1/7から東京写真美術館ホールほかで公開。

「今日と明日の間で」公式サイト
コメント
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