英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2023年度 A級順位戦 4回戦終了

2023-10-20 16:41:09 | 将棋
【4回戦終了時の成績】(右の棋士名は、今後の対戦相手)
豊島九段  4勝0敗(ランク3位) 佐藤 中村 広瀬 斎藤 菅井
菅井八段  3勝1敗(ランク6位) 佐々木 斎藤 渡辺 佐藤 豊島
永瀬九段  2勝2敗(ランク4位) 広瀬 渡辺 稲葉 佐々木 中村
渡辺九段  2勝2敗(ランク1位) 斎藤 永瀬 菅井 中村 広瀬
斎藤八段  2勝2敗(ランク5位) 渡辺 菅井 中村 豊島 佐々木
佐々木勇八段2勝2敗(ランク9位) 菅井 稲葉 佐藤 永瀬 斎藤
中村太八段 2勝2敗(ランク10位) 稲葉 豊島 斎藤 渡辺 永瀬
広瀬八段  1勝3敗(ランク2位) 永瀬 佐藤 豊島 稲葉 渡辺
稲葉八段  1勝3敗(ランク7位) 中村 佐々木 永瀬 広瀬 佐藤
佐藤天九段 1勝3敗(ランク8位) 豊島 広瀬 佐々木 菅井 稲葉


 前記事から、○豊島-永瀬●、○中村-佐々木●と進行。
 予想が外れて、中村(太)八段が佐々木(勇)八段を破って2勝2敗の五分の星とした。
 この一局は、中村八段の研究の網の中で進められた気がする。過去に羽生王座からタイトルを奪取した時も、細部に至る研究を感じたが、この将棋も同様な印象を持った。
 でも、研究を離れてから、勝利に結びつけるのは難しく、どこかで誤るのではないかと観ていた。実際、評価値はかなり良かったが、正着を指すのは難しい局面が続いた。
 それでも、いくつかの勝負所で、残しておいた考慮時間を投入し、滾々と考え、勝利に結びつけた。見事な勝利だった。

 その結果、挑戦権争いに加わるかと見ていた佐々木八段は2勝2敗の五分の星ながら、ランクが9位と下位なので、現順位は6位となり、降級の心配も出てきた。
 その残留争いだが、2勝2敗が5名、1勝3敗が3名と、かなりの混戦。数字的には2勝2敗どころか3勝1敗でも、降級の目があるが、ランクを考慮すると斎藤八段までは大丈夫であろう。
 佐々木八段を始め皆が、当然、挑戦権を目指す戦いであろうが、一応、残留争いを少しだけ考えてみる。

【過去5年間の8位(残留)9位(降級)】
 2022年度 8位佐藤天九段(3)3勝6敗  9位糸谷八段(2)1勝8敗
 2021年度 8位菅井八段(5) 3勝6敗  9位羽生九段(8)2勝7敗
 2020年度 8位羽生九段(5) 4勝5敗  9位稲葉八段(8)2勝7敗
 2019年度 8位稲葉八段(8) 4勝5敗  9位木村王位(10)4勝5敗
 2018年度 8位稲葉八段(2) 3勝6敗  9位深浦九段(7)2勝7敗

 理論的には1勝8敗の“三すくみ”でランク最上位は残留でき、2勝でも運が良ければ残留できる。だが、ここ5年間は2勝止まりだと降級している。それどころか、2勝で残留できた例は、2011年度の高橋九段(ランク3位・2勝7敗)まで遡らねばならない。
 ちなみに、この期は最終局を前に、ランク3位の高橋九段が1勝7敗(1勝は対久保戦)、ランク6位の丸山九段が1勝7敗(1勝は対高橋戦)、ランク8位の久保九段が2勝6敗(2勝は対郷田、対佐藤康戦)で、3者とも残留の目があった。1勝で残留の目があるのは相当稀有である。最終局は丸山ー久保戦の決戦、高橋九段は対谷川戦であった。地力は2勝の久保九段のみで、高橋九段は自分が勝って、丸山ー久保戦で久保九段が負けないと残留できない。丸山九段は自分が勝って、高橋九段が負けないと残留できない。
 結果は○高橋-谷川●、○丸山-久保●で、丸山九段、久保九段が降級となっている。
 
 2019年度の木村王位のように、4勝しても残留できないことが稀にあるが、通常はランク上位は3勝で残留、下位は4勝が必要と言われている。
 ただし、今年は先述したように、2勝2敗が5名、1勝3敗が3名と激戦模様。勝数が2~4勝の棋士が多数予想される。最終局を前に3勝5敗の棋士がずらりと並ぶような気がする。ともあれ、ンク下位は4勝、上位は3位がボーダーラインと考えると、やはり、冒頭の現時点での6位以下が、一応の降級候補となりそうだ。
 佐々木勇八段(2勝2敗・ランク9位)と中村太八段は(2勝2敗・ランク10位)は、残り2勝3敗で4勝(5敗)に届く。
 1勝3敗の3棋士の内、広瀬八段はランク2位なので3勝がボーダーラインで、2勝3敗でよい。稲葉八段(ランク7位)と佐藤天九段(ランク8位)は4勝がボーダーラインで、残り5局を3勝2敗が必要。
 まあ、現在の成績順が下位ほど星勘定は厳しいのは当然なのだが、それでも、3勝2敗と一つ勝ち越せばいいので、残り5局もある現状で、降級云々を言うのはナンセンスだろう。

 と言っておきがら、さらに考察する……
 残り5局の対戦相手を見ると、中村太八段と広瀬八段が豊島九段、永瀬九段、渡辺九段を残っており、厳しそうだ。
 
 星勘定では稲葉八段と佐藤天九段がやや苦しく、残り相手では中村太八段と広瀬八段が厳しい。重複者がおらず、やはり、激戦か?

 挑戦権争いは2敗までは可能性がありそう。ということで、多数の棋士に可能性が残されている。
 しかし、4戦全勝は豊島九段のみ。3勝1敗も菅井八段のみで、2棋士に絞られてくる可能性もある(最終局はふたりの直接対決)。さらに、豊島九段は永瀬、渡辺戦を終えており、星勘定、残り相手に加え、現在の充実ぶりを考慮すると、豊島九段が挑戦権を獲得する公算が大きい。
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相棒 season22 第1話「無敵の人〜特命係VS公安…失踪に潜む罠」(初回拡大スペシャル)

2023-10-19 17:08:45 | ドラマ・映画
 ……輿水氏ではなかった。
 輿水氏独特の勿体ぶる展開で、終わってみると内容の薄い内容……ではなかった。
 しかし、山中でのゆるゆるの逃走は、輿水氏を思わせるモノだったので、氏の可能性も捨てきれなかった。
(実際は神森万里江氏)


 大まかな流れとしては、
 右京たちが美和子の知り合いの弁護士・阿佐子から「消息不明の婚約者を探し出してほしい」と依頼され、彼が取材していた過去のテロを起こした疑惑がある宗教団体を、右京たち(阿佐子も同行)がその宗教団体を調査することになった。
 その中で、宗教団体の信者・平井翔が1年前、教団批判の評論家を狙って爆破テロを実行し、警察に追い詰められ、ビルから落下して死亡(自殺)。その犯人・平井翔の兄・平井蓮が、今回、住居二階から転落死(他殺)。兄も弟死亡の後、信者になったらしく、爆弾テロの準備をしていた。
 捜査一課も、転落死は他殺であることを突き止め、殺人事件として捜査しようとしたが、公安が捜査を引継ぎすることとなった(横取り)。
 教団に潜入調査した特命一行は、婚約者が偽名を使って入団、調査していたことを突き止める(その後、山中など逃走)
 帰京後、平井蓮の部屋を捜索中、内閣調査室の青木と鉢合わせ、情報を共有(←ほぼ奪取)。
 阿佐子の婚約者は、3つの名を使って調査(捜査)していたらしいことを知り、右京は彼の正体が公安の捜査員であると推理。
 そんな中、教団を探らせていた美彌子が教団信者に撃たれる……


★今後の展開へのポイント
①副総監:衣笠、公安部・部長:御法川、内閣情報調査室・内閣情報官;社美彌子の関係、思惑
・美彌子は爆破事件当時から教団をマークしており、今回の平井蓮転落死の捜査を公安部が担当(横取り)したことを機に、再調査をする
 美彌子の調査目的は《衣笠と公安部(御法川)との癒着》なのか《公安部の怪しい動き》なのか?
・衣笠は、御法川に内調の都が動いていることを教える。邪魔な存在であるという所見も述べる。その後、美彌子が教団信者に撃たれる。
 実行犯は教団だが、指示したのは?
②平井蓮を殺害した犯人は?
・今のところ、阿佐子の婚約者の牧村(←仮名)の容疑が強いが、後処理をしただけとも考えられる
他の容疑者
 1年前の爆破事件のレストラン店主……妻が爆破で死亡
 同じく被害者の客……恋人を待っていた。その恋人の可能性もある
 同じく被害者の風間教授……教団を激しく批判。爆破のターゲット
 公安の誰か……教団と公安と持ちつ持たれつの関係があったかも。その関連で、平井蓮を殺害する必要があった
 
③公安捜査員(←推定)・牧村(←仮名)の真意は?
・阿佐子の写真を所持し、じっと見つめていた。(阿佐子への愛)
・教団に潜入していたようだが、右京たちの動きで潜入がバレている可能性が強い。
 その状況下で、何やら重大任務を与えられたよう。その任務の内容は、牧村の真意は?

★細かい疑問
 わざわざ転落死させたこと……転落させたのは《人目について、事件を早く発覚させたかった》から(通常は、部屋の中で刺したり、首を絞めたりする。発覚はなるべく遅らせたい)
 《薬品などのすべての指紋を拭き取ったのは、テロ計画を知っていたから》という推理も併せて、上記の推測を導き出した

 おそらく、右京の推理は正しい。しかし、《転落死は事故や自殺に見せかける場合》もある。ただし、今回は引きずった跡を残しているので、偽装工作の可能性は低い

★どうでもよい疑問、ツッコミ
・大事な信者のデータを保管している部屋に、鍵を掛けないのは不用心すぎる。不自然。
・保管部屋からどうやって脱出したのだろう?
・そもそも、あの扉の存在意義は?用途は?
・PC、ネット関連の作業は大得意だが、現場での捜査はポンコツな青木をなぜ向かわせたのか?
・阿佐子が全く弁護士に見えない。所作や行動も

・脱出後、あの民家に一泊する必要があったのか?


《美和子スペシャル》……シリーズ初っ端から、ストレートジャブ!(ジャブは相手の動きを牽制する素早いが軽いパンチだが、ジャブでありながら、威力充分なジャブを“ストレートジャブ”と呼んだと思う)


【ストーリー】番組サイトより
婚約者の男が行方不明に
事件の背後には危険な宗教団体が!?


 ある夜、杉下右京(水谷豊)は小手鞠(森口瑤子)と共に、亀山薫(寺脇康文)と美和子(鈴木砂羽)のマンションを訪れる。料理教室に通い始めた美和子が、腕前を披露したいと招待したのだ。もう一人、招かれていたのは、料理教室で知り合った上原阿佐子(栗山千明)という女性。阿佐子は、その食事会のさなか、“和製ホームズ”と紹介された右京に、行方不明になっている婚約者・牧村克実(市川知宏)の捜索を頼む。
 いっぽう、伊丹憲一(川原和久)たち捜査一課は、男性が自宅マンションから転落死した事件を捜査。男性は、『微笑みの楽園』という宗教団体の信奉者で、何者かに突き落とされた可能性が浮上していた。

 翌日、右京と薫は、阿佐子をともなって牧村の捜索を開始。しかし、フリーの記者だという彼の仕事先では、口裏を合わせたかのように「そんな人は知らない」と突っぱねられてしまう。不審を抱いた右京たち一行は、手掛かりを求めて、彼が出入りしていたと思われるレストランを訪問。その店は1年前、『微笑みの楽園』の信奉者が起こした爆弾テロの被害を受けていた。
 同じ頃、転落死事件を調べていた伊丹たちは、被害者の男性が、10年前に警察や政治家を狙った大規模なテロ事件を起こした男の兄であることを突き止めていた。

女性の婚約者は、なぜ姿を消したのか?
繋がっていく10年前のテロ事件と1年前の爆弾テロ
背後に見え隠れする怪しい宗教団体との関係は!?
右京と薫が命懸けの危険な捜査に乗り出す


ゲスト:栗山千明 市川知宏 田中美央 俊藤光利 伊東孝明

脚本:神森万里江
監督:橋本一
コメント (2)
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まず、お詫びの言葉が欲しい【追記あり】

2023-10-17 20:16:42 | 将棋
名人戦棋譜速報(月額500円)で不具合が生じている。
午前中は忙しくて、ネットを覗くことができなかったが、一段落して、午後、ログインしようとしたが、うまくできない。
A級順位戦の“天王山の一局”とも言える豊島九段-永瀬九段戦があるというのに……

Ⅹのツイート欄を見ると
『Chromeのアップデート後、端末によってはエラーが発生することを確認しております。
 恐れ入りますが、firefoxなど別ブラウザでのアクセスをお試しください』

 別ブラウザにしなくても、そのうち復旧するだろうと思っていたが、ずっと、同じ状態。
 だいたい、「お試しください」って何だよ! 別ブラウザでもちゃんと機能するのか不明だ。


 夜、将棋連盟のサイトに
『公益社団法人日本将棋連盟が運営する「将棋連盟ライブ中継アプリ」で、「名人戦棋譜速報」の棋譜が再生可能になりました。

 ※10月16日(月)より、Android版で段階的にリリース予定です。
 ※iOS版のリリースはしばらくお待ちください』

と言う情報を発見。
 そう「発見」である……トップページには何も不具合に関する情報は示されず、「棋戦情報」または「最新情報」の欄の「ニュースをもっと見る」をクリックして、ニュース見出しの中に『将棋連盟ライブ中継アプリで、「名人戦棋譜速報」の棋譜が再生可能に(2023年10月16日更新)』という見出しがあり、それをクリックして、ようやく、上記の文章が読めたのである。

 これと同様な記事が『名人戦棋譜速報』でも表示されていた。
 『将棋連盟ライブ中継アプリ』と『名人戦棋譜速報』は別料金だと思うが、これ、『将棋連盟ライブ中継アプリ』への勧誘行為?
 と思ったら、
・名人戦棋譜速報の有料会員のみ当サービスを利用可能です
(ライブ中継アプリの有料会員である必要はございません)
とあった。

 それに、両文章とも、お詫びの言葉がない。
 やっぱり、将棋連盟だな
……


【追記】
『棋戦情報』~「豊島将之九段VS永瀬拓矢九段 第82期順位戦A級」(10月17日)~
第82期順位戦A級 豊島将之九段VS永瀬拓矢九段戦が、10月17日(火)に東京・将棋会館で行われます。
《中略》
この対局の模様は、名人戦棋譜速報及び日本将棋連盟ライブ中継でご覧いただくことができます。


 今日、不具合が発生したのかと思ったら、先程の発見記事『将棋連盟ライブ中継アプリで、「名人戦棋譜速報」の棋譜が再生可能に』は、昨日(10月16日)のモノだった。これでは、不具合放置状態に等しい。
 それで、今日の豊島将之九段VS永瀬拓矢九段戦の告知(宣伝)記事で、「名人戦棋譜速報でご覧いただくことができます」と表記……

 呆れてしまう!
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2023年度 A級順位戦 4回戦3局経過時点 本日 豊島九段-永瀬九段戦

2023-10-17 17:14:05 | 将棋
A級順位戦は4回戦の5局中3局が終了。中途半端なところで、記事を書くのは味が悪いが、本日は"天王山”とも言える豊島-永瀬戦が行われている。

 メンバーを見ると、私が言うのは非常に気が引けるが、今年も層が分かれていると感じた。
 実は、昨年もそれを感じていて、昨年の記事「2022年度 A級順位戦 3回戦を終えて」では
【ここから引用】藤井五冠(竜王、王位、叡王、王将、棋聖)、永瀬王座、豊島九段、斎藤八段、広瀬八段
佐藤天九段、菅井八段、糸谷八段、稲葉八段、佐藤康九段 
 の二層(2層の区別、順番は私の主観)。
 下段の順番は前から三人の上下は微妙。申し訳ないが、佐藤康光九段は降級に近そう。
【引用終】
と書いている。昨期の結果は……
2022年度 A級順位戦最終成績】
広瀬八段 7勝2敗(ランク5位) 
藤井竜王 7勝2敗(ランク9位)
豊島九段 6勝3敗(ランク4位) 
永瀬王座 6勝3敗(ランク6位)
斎藤八段 5勝4敗(ランク1位)
菅井八段 5勝4敗(ランク8位)
稲葉八段 4勝5敗(ランク10位)
佐藤天九段3勝6敗(ランク3位)
糸谷八段 1勝8敗(ランク2位)
佐藤康九段1勝8敗(ランク8位)
 となり、藤井竜王が広瀬八段とのプレーオフを勝利、渡辺名人との七番勝負も制して名人位に就いた。
 降級は糸谷八段と佐藤康九段。


 今期は上記の8位まで(藤井名人に代わり渡辺前名人が入る)と、昇級した佐々木勇八段と中村太八段が加わった。
 個人的見解を書かせて頂くと、
2トップで豊島九段と永瀬九段
続くのが、渡辺九段、菅井八段、広瀬八段、斎藤八段
佐々木勇八段、佐藤天九段、稲葉八段、
中村太八段
という4層構造。

・同列でも左側が上位
・菅井八段の現在の充実ぶりを考慮すると渡辺九段より上位にしたいが、これまでの実績や事前研究の周到さを考え、渡辺九段を上位とした
・斎藤八段は一つ下の段に入れた方が良い気もしたが、これまでの順位戦での強さを重視した
・佐々木八段は挑戦争いは難しいが、《強い日は強い》ので、4勝は上げられそう(←順位戦開始前の予想)。現在、2勝1敗でしかもその2勝は渡辺、広瀬を破ってのモノ、さらに、1敗も豊島九段相手なので、残り6局を3勝3敗以上の星を残せそうだ。
・中村太八段は、昨年度は20勝14敗、順位戦は9勝3敗。つまり、順位戦以外は11勝11敗。順位戦の対戦相手の将棋を調べて、想定戦型・局面を徹底的に研究したのではないだろうか(勝手な私の思い込み)。さすがに、A級では厳しいか?


【10月16日現在の状況】(一番右の成績は、今期全棋戦の成績)
豊島九段  3勝0敗(ランク3位) 14勝5敗(0.7368)
菅井八段  3勝1敗(ランク6位) 13勝8敗(0.6190)
永瀬九段  2勝1敗(ランク4位) 15勝10敗(0.6000)
佐々木勇八段2勝1敗(ランク9位) 14勝7敗(0.6666)
渡辺九段  2勝2敗(ランク1位) 13勝14敗(0.4814)
斎藤八段  2勝2敗(ランク5位) 6勝9敗(0.4000)
中村太八段 1勝2敗(ランク10位) 4勝8敗(0.3333)
広瀬八段  1勝3敗(ランク2位) 9勝8敗(0.5294)
稲葉八段  1勝3敗(ランク7位) 7勝8敗(0.4666)
佐藤天九段 1勝3敗(ランク8位) 5勝7敗(0.4166)


 本日の豊島-永瀬戦は、挑戦者争いを左右する一局と言って差し支えないだろう。
 5回戦の菅井-佐々木戦は《挑戦権争いの先頭グループにいられるか?》の一局。渡辺-斎藤戦は《挑戦権争いに踏みとどまれるかどうか?》の一局だ。
 それにしても、上位4名以外は今期は苦戦しているなあ。

 あ、そうそう、今日は竜王戦の藤井竜王-伊藤匠七段の第2局が行われている。
 以前は、《1日目なので、戦いはまだまだこれから》だったが、昨今は進行が速い。
 5時現在で58手目まで進み、戦いは"佳境”に入っている。勝利確率は藤井54%対伊藤46%。単純に数字を比較すると藤井竜王が8%高いので、有利と見ることができるが、互角の50%から4%触れただけなので、互角の範疇だろう。消費時間も両者とも約3時間20分とほぼ同じ。

 ちなみに、「佳境」の意味は《①最も興趣を感じる所。味わいの深い部分。②景色の良い場所》(旺文社『国語辞典』)なので、《戦いが本格化する》 《戦いの厳しさが増す》という意味で使うのは、本来の意味からするとズレているような気がする。
 観戦側から見ると、《面白い局面(最も興趣を感じる所)になってきた》ではあるが。
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「埼玉県虐待禁止条例改正案」……条例が実情に合わないことも問題だが、その条例案を提出したことについての自民党県議団の認識がおかしい

2023-10-14 11:46:02 | 時事
「私たちの言葉が足りない」というが、言葉よりも頭が足りないとしか思えない。
この記事を書き始めたのは10月11日だったが、"八冠独占”(ここここ)で、後回しになってしまった。

 「子ども放置禁止」条例を取り下げる云々(11日時点)……取り下げるのは"改正案”らしい。原案がどういうモノだったかは掴めていないが、NHK『NEWS WEB』によると…

【自民党県議団が説明する「放置」の例】
▼子どもを車の中に置き去りにすること
▼子どもたちだけの自宅での留守番など
▼未成年の高校生に小学生などのきょうだいを預けて買い物に出かける行為
▼子どもだけ家に残してゴミ捨てに行く行為
▼子どもたちだけで公園などで遊ぶこと
▼子どもたちだけでの登下校
▼子どもにおつかいさせる行為

 ホームヘルパーとか"ヒデじい”(ちびまる子:花輪家執事)とかいるようなリッチな家庭でないと、無理である。

 改正して、これなのか?(年齢などを区別して、"禁止”→"努力義務”とか改正したらしい)
 しかも、埼玉県議会の委員会で、可決したという(10月6日)。可決した委員会も委員会である。


10月13日、“子どもの放置禁止” 条例改正案の撤回を承認(埼玉県議会)したというが、
その際の自民党県議団の中屋敷慎一幹事長の言葉が何とも的外れ、自分本位だ
「県民などから数多くのご意見をいただいた。条例が運用されるにあたっては、その趣旨が十分に理解され、社会に広く受け入れられることが必要だ」
 趣旨(主旨)と思われる《子どもが放置されることにより危険な状況に置かれることを防ごう》は、県民は十分に理解しているはずだ。その条例の規定自体が実情に合わないおかしなものだから、反対しているのである。

 《条例がおかしなものである》という認識はないのか?
 《おかしな条例案を提出した》という事実を認めたくないのか?


 こういうおかしな認識をし、自分本位な論理を展開する県議団に県政を任せて良いのだろうか?
コメント (2)
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藤井聡太、八冠独占!

2023-10-13 21:18:44 | 将棋
 かなり出遅れてしまったが、藤井聡太竜王・名人(七冠)が、王座戦第4局を制し、八冠制覇、独占した。
 正直、羽生九段の七冠を超えられて、悔しい気持ちもあるが、ここは「おめでとう!」と言うしかない。
 強い!  達成した偉業を讃えよう。


 藤井八冠は、これまでタイトル戦を18回(挑戦8回、防衛10回)戦い、すべて勝利してきたが、“抵抗”という言葉は適切でないかもしれないが、永瀬王座が最も抵抗したのではないだろうか?永瀬王座も讃えたい。
 ………《きみも、ついに“九段”の仲間入りか》。羽生九段(藤井八冠にタイトルを奪われたわけではないが)、豊島九段、渡辺九段、そして永瀬九段………


それにしても……
 報道やSNSを観ていると、「評価値」や「勝利確率」の弊害が出ているなあ


 「勝率99%からの大逆転」という表現が氾濫した。
 確かに、藤井玉に即詰が生じており、詰ませば勝ちなので「100%」と表現しても間違いではないのだが、実際は1分将棋、しかも、フレッシュな状態で1分読めるわけではなく、《5時間の持ち時間を考え抜く》《対局開始の午前9時から、休憩時間はあると言え、11時間以上藤井七冠と相対して対局する》という状況は、消耗が並大抵ではない。
 その中で、藤井玉の詰みを読み切るのは相当な困難である。
 安易に《《99%勝ち》を逃がした》と思って欲しくない。


 そういう「大逆転」という言葉が飛び交う中で、Facebookのプライベートグループで、”決めつけ”のコメントがあった。
「あまりにも見っともない勝負でした
 キツイ言い方すれば、ファンに特に応援してくれてた人に謝れと言われても仕方ない
 それ程酷いと思いました」
(このコメントは《言い過ぎではないか》の反論に対して)
「プロの試合にはあまりにもお粗末だと言ってるのですよ
 ここ3試合全部らしさがない
 私はプロの試合としてみてるのです」
「級位者だからアマチュアだからプロを見たいんじゃないですか?」
「野球でもサッカー、ゴルフ、オリンピックアマチュア目線で見て応援もすればパッシングもして、歓喜憤怒するじゃないですか。
 それを見せるのがプロだと思ってます。
 なので、見っともないんですよ
 級位者でも分かる詰み筋を今日だけじゃなく、ここ3局【おいおい】と言う場面で負けてます。
 頑張れよ しっかりしろよ
 っと言われるのは、プロなら当たり前だと思ってます。
 それを見たいから、アマチュアな私はお金払うんですよ」


 氏の言っていることが、すべて間違いだとは思わない。部分的には正しいとも言える。(言い過ぎではある)
彼の主張は
1.級位者でも分かる詰み筋を逃したのは、プロの試合としては、あまりにもお粗末である
2.同様な失敗を3局続けて犯した


《1.級位者でも分かる詰み筋を逃したのは、プロの試合としては、あまりにもお粗末である》について
その大逆転(笑)の一着を視てみよう

 ABEMA テレビの解説者は「ここで▲4二金で詰むので、永瀬王座の勝利」とほぼ断定。
 また、棋譜中継の解説も「控室は☖5五銀に☗4二金で「永瀬勝ち」と結論付けられている」と。

 この局面は、藤井七冠が△5五銀と先手玉に詰めろを掛けたところ。
 先手は、この詰めろを受けることはできるが、一旦、詰めろを解除しても、後手からの寄せを防ぐことはできず、一手一手の寄せになる。
 つまり、後手玉を詰ますのが勝利の道。(詰まさなくても、後手玉に迫りながら5五の銀を排除する手段もある)
 で、この局面で、級位者(アマチュア)でも後手玉を詰ますことができるのか?
 ……無理。
 アマチュア有段者なら、運よく、詰ますことができるかもしれない。
 アマチュアの高段者なら、▲4二金と着手した後、後手の指し手に対して、詰みまで指すことは可能であろう。しかし、フレッシュな頭でも1分で詰みを読み切ることは、難しいはず。
 プロ棋士ならどうなのか?
 控室や解説場では、すでにAI解析により、《▲4二金以下の詰みがある》と結論が出ていて、おそらく、それを知っているので、「▲4二金で先手勝ち」と解説したのかもしれない。
 実は、私もABEMA 画面で示された▲4二金の一手だと思っていて、永瀬王座の▲5三馬を見て、《えっ?》と思った。そして、評価値(勝率確率)が暴落。《ああ、どうして▲4二金と指さないんだぁ?》となった。

 この時は、《▲4二金以下簡単に詰む》と思っていたのだが、しばらくして読んでみると、意外に難しい。
 まず、最初に読む順が、▲4二金△同金▲同成銀△同玉▲5二飛(変化図1)の順。

以下①△同玉なら▲5三銀と打って後は頭金の詰み。②△3三玉と逃げた時が難しい。△3三玉以下▲5五馬△同角成▲2二銀△2四玉▲2五歩△同玉▲2六歩△同玉▲1七銀(変化図2)で

△3六玉と逃げるなら▲4七金と打ち、△4五玉なら▲4六歩△同馬(△3五玉なら▲5五飛成)▲同金以下詰み。
△3五玉なら▲2七桂△2四玉▲2五歩△同玉▲2六歩△2四玉▲3六桂で詰み。
△2五玉なら▲2六歩△2四玉▲3六桂△3五玉▲2七桂△4五玉▲4六歩(変化図3)以下詰み。(他にも詰め方があるようだ)

 上記の詰め手順で、②△3三玉の時、▲5五馬△同角成としてから▲2二銀と打たないと詰まない(ただし、先に▲2二銀と打っても、以下△2四玉▲5五馬△同角成▲同飛成で先手の勝ちは動かない。
 永瀬王座は変化図の▲5二飛ではなく▲6二飛を読んだとのこと。▲6二飛だと5筋に飛車が利かないので詰みはない(ただし、▲6二飛でも勝勢)。

 さらに、最初の▲4二金を取らずに、△2二玉▲3二金△1三玉と逃げる手も難しい(△1三玉で△1二玉なら▲2二金△1三玉▲2三金△同玉▲2二飛以下詰み)。△1三玉以下、▲2二銀△2四玉▲2五歩△同玉▲2七飛△2六金(飛)▲1七桂△3六玉(1六玉)▲2八桂(変化図4)

△同角成▲2六飛以下詰み。
 ▲1七桂~▲2八桂はかなり難解。さらに、その前の△2四玉の時に▲2五歩△同玉としてから▲2七飛と打たないと詰まない(すぐ▲2七飛と打っても先手が勝つだろうが)。その上、変化図4の詰まし方も難解過ぎる!

 と言う訳で、60秒でこれらの変化を読んで詰みを読み切るというのは、至難の業
 永瀬王座が不運だったのは、第1図で▲5三馬も有力に見えたこと。5三に馬を置いておけば、△1三玉と逃げられた時、▲2五桂△2四玉▲3五金の筋で詰む。しかし、実際は▲5三馬△2二玉と進んだ時(実戦もそう進んだ)、▲3一銀と打っても詰まない。
 この手が見えなければ、▲4二金と指し、指し手を進めながら詰みに至ることも出来たはず。詰ませなくても、5五の銀を抜くなどできた。
 さらに、運の悪いことに、▲5三馬が疑問手を通り越して、敗勢に陥る悪手だった。


《2.同様な失敗を3局続けて犯した》について
 この件については、《相手が藤井七冠であったこと》……相手が悪かったのだ
 王座戦挑戦者トーナメントの準々決勝の村田顕弘六段も、本当にあと一歩で勝ちまで藤井七冠を追い詰めた……しかし、勝てなかった。
 これまでも、《勝ちかも?》という局面から、数回、藤井八冠(もう"八冠”と表記してもいいかな?)の繰り出す勝負手をかいくぐって、ようやく《勝った!》と思った局面に辿り着いても、勝てなかった棋士が何人いたことか……
 藤井八冠相手に優勢になるのも大変だし、勝勢に持っていくのも大変なのである。《勝った》と思った局面に至るまでの消耗は計り知れない。消耗の上、時間切迫……本当に藤井八冠に勝つのは大変なのである。


 この第4局の敗因を挙げるとしたら、中盤での2時間を超える大長考であろう。
 大事な局面で、読み切ろうとする姿勢、そして、それに挑み頭脳をフル回転させるのは、棋士の性(さが)であるし、尊敬に値する。
 しかし、ここで、もう少し時間の消費、脳の消耗を抑えておくべきだった。そもそも、羽生九段ではないが、70分を超える長考で良い手だったことは少ない(良い手であっても、その少し後、疑問手が出る)

 今の藤井八冠相手に勝ち切るのは、寄せの段階で80分ぐらい残しておかないといけないように思う。
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【歳時メモ】 彼岸花、コスモス、花水木、イチョウ、セイタカアワダチソウ

2023-10-13 15:15:47 | 将棋
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。
 『歳時メモ』の前記事が4月8日……半年ぶりの歳時メモです。(心の余裕がなかったのかもしれない……トラブルとか体調不良ではないです。単に、スポーツ中継やドラマなどを観るのに追われていたからです)

 10月に入って、一気に季節が進んだ。
彼岸花……例年は9月中旬に赤い塊を見かけたような気がするが、今年は9月末から10月初旬がピーク。まだ咲いているのを見かける
コスモス……例年よりかなり開花が遅れた感じ。数も少ないような気がする
花水木(葉)……例年、早いモノは9月に入ると紅葉を始めていたように思うが、今年はやや遅れ気味。今年は10月に入ってから、急速に色づき始め、現在、紅葉盛りのものが、あちこちで
イチョウ……局所的な差が大きい樹木。現在、黄葉が盛んな街路樹も散見。まだまだ緑の街路樹も多い
セイタカアワダチソウ……ここ1週間で黄色が濃くなった。最盛期の群落も見かけられる。

 9月は残暑と言うより、猛暑に近かった。
 10月に入ると、一気に気温が下がり、草木も秋の様相を強めてきて、例年の進度に追いつきつつあるようだ。
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現在、52%対48% (20時8分)

2023-10-11 20:37:12 | 将棋
 藤井七冠2勝、永瀬王座1勝で迎えた王座戦第4局。藤井七冠が勝てば、八冠達成である。
 本局は、永瀬王座の研究通りに進み、40手の段階で、消費時間は永瀬5分に藤井2時間48分、形勢も永瀬有利。だが、43手目に永瀬王座が2時間4分の大長考で、消費時間の差がつまり、その後の展開も長考の割には芳しくなく、ほぼ互角に。
 ただ、その後は、藤井七冠も疑問手を指し、藤井38%前後で推移し、しかも、数値以上に藤井七冠が勝つのが大変な将棋に見えた。
 ただし、その後も藤井七冠も踏ん張り、60%対40%とふりを拡大させず、残り時間も藤井24分、永瀬47分接近してきた。形勢時間ともに、永瀬有利であるものの、藤井七冠の強さを考えると、《結局は藤井勝利》というパターンに帰着するように思えた。

 で、この記事を書き始めた時に、記事タイトルの状況…永瀬52%対藤井48%。
 さらに、ここまで書いて、中継画面を見ると、永瀬30%対藤井70%(101手目)、残り時間は永瀬3分、藤井七冠はかなり前から1分将棋のようだ。
 105手目、永瀬50%対藤井50%。108手目、永瀬57%対藤井43%。永瀬王座は残り3分を保持している。永瀬玉への寄せが見えなくなり、数値以上に永瀬王座が勝ちやすい局面だ。

 しかし、相手は藤井七冠。一手でも誤れば、逆転される(並の相手なら、間違えても見逃したり、逆転しても勝ち切れない)。
 111手目に永瀬王座も1分将棋に。さて、どうなることか……(20時35分記)


 
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落としちゃったご飯……ある幼児園(こども園)での話

2023-10-08 14:29:20 | 時事
【『天台ブックレット』(小冊子)の記事】(私は特段、信仰心が強いわけではありません。と言うより、信仰心は相当低い。今回お彼岸法要の帳場のお手伝いの際、頂いた冊子です)
《以下、青字の部分引用です。引用に当たっては、天台宗務庁出版室と筆者・桑谷氏の許可・了承を頂いています》
 
 3歳児のお昼ご飯の時、園児が誤って、持参した白いご飯を全部床に落としてしまったという。保育士の先生は、床に触れた個所ではない部分を丁寧にすくい取り、幼児園提供のおかずと一緒にその園児に食べさせたという。
 その日これを報告したところ、保護者の怒りは心頭に発し、烈火のごとく怒号は止まるところを知らず、その先生を始め園長や幼児園関係者、教育委員会は、二日間に及んで猛抗議を受けた。
 当然のことながら、その時の状況やその後の対応を話した。またその園児が先生の話を聞いて、嫌がらずに食べてくれたことなどを丁寧にその経緯を報告した。この度の行為に配慮が欠けたことを反省し、今後の園としての方針徹底を申し述べたという。
 しかしながら、その園児の保護者は、
「落ちたものを食べさせるという行為自体がそもそも許せない」という。

 この話を聞いて、早速、我が家の夕食時に話してみた。
「そもそも床に着いた箇所ではないところをすくい取ったのだから、問題はないんじゃないか」と私。
「昔は、落ちても、パッパッと払って食べたもんだよ。もったいないしね」と私の母。戦前戦中を生きのびた母なら当然の主張だろう。お百姓さんが育てた大事なお米。御仏飯(仏様にお備えられたご飯)を頂く身、一粒も無駄にしてはいけないと私はその母に育てられた。
「でもね。家の教育・子育て方針で、子どもを育てた親なら、絶対抗議するだろうね」と納得する妻。子育て体験者なら、それが正論かも。
「えーっ。絶対、あり得ない!」と、現役保育士である次女。お昼時は確かに猫の手も借りたいぐらいだけど、園の方針として、床に落ちたものを食べさせるのは有り得ないという。さすが、現役の保育士。模範解答だ。

 しかし、私にはどうしても、喉に小骨が引っ掛かったような違和感が残って仕方がない。
 《落ちたという結果を、園と先生だけで問題なしと判定して、次の行為に進むこと》が問題だという。
 《落ちたものを、口にさせた行為》がそもそも問題だという。
 しかし、部外者の私にすれば、それで病気にでもなれば大問題だが、事の経緯からすれば、衛生上の問題はなさそうに思うのだが……。

 つまり、衛生上の問題云々ではなく、子育て・教育を含めた生き方、ポリシーの問題であると主張し、どうあっても他人の意見を受け入れる余地はないという。
 確かにそれは各人の生き方の問題だから、他人がとやかく言うべきではないが、しかし、私はそれは危うい生き方だと思う。
 この頃は衛生上の問題に関わらず、他人が直接手で握ったおにぎりを食べないと聞く。今後南海トラフ巨大地震や大規模災害が想定されたりするが、その時でもその主張を貫き続けるのだろうか。地震多発国の日本は、過去にも多くの災害を経験した。そして、「命をつなぐ」、それを最も尊い行動と日本人は認識したはずだ。喉元過ぎれば熱さ忘れるということなのか。

 もっとも、この度はそんな鬼気迫る状況の話でもない。他者が、なぜこういう行動をとったのか、ちょっと考えてみる心の余裕が欲しい。寛容の精神も時には必要だろう。
 みんながご飯を食べている時に、この子だけ食べるご飯がない。この園児を不憫に思った咄嗟の行動だったとは思い至らないのだろうか。
 結果的には保護者の思いとは逆になったが、その先生なりの愛情の発露であったはずだが、弁解の余地なく糾弾会のようになったようだ。他者を思いやるどころか一切認めないという危うい世情が広がりつつあるようだ。
 顛末は、園の方針として、《落としたものは食べさせない》と改めて表明することになったが、それは致し方ない。

 この話を聞いた時から、この保育士の先生と私は、似たような感性を感じたように思えてならなかった。そして、この原稿を書き上げる直前、その答えがようやく判明した。私はすっかり忘れていた。50年前の記憶を。
 当時私は10歳。弟は5歳。夏休みの須磨水族館での出来事だ。お小遣いで買ったソフトクリームを、一口食べて弟は、真っ逆さまに落としてしまった。
 半べその弟を連れてゴミ箱のところに行き、土のついた箇所を私は手で拭い去って弟に食べさせたことがあった。後でそれを話したら、母は「お小遣いまだ持っていたんでしょ?新しいのを買ったらいいのに」といい、笑いながら私を撫でてくれた。この原稿の最後の最後に、半世紀前の遠い記憶が蘇った。
 もし、私が自分の孫をどこかの幼児園に預けて良いといわれたなら、躊躇なく、私はこの保育士の先生に預かってもらいたいというだろう。
(文・桑谷 祐顕氏)
【引用 終】

桑谷 祐顕氏紹介『法藏館』ホームページより引用)
1963年、兵庫県生まれ。早稲田大卒、大正大大学院博士課程満期退学。専門は日本天台史、特に伝教大師教学や初期日本天台成立史。叡山学院講師、助教授を経て、2006年より叡山学院教授、学監を務める。種智院大講師、天台宗典編纂所研究員、天台宗総合研究センター研究員。元龍谷大講師。天台宗兵庫教区“沙羅の寺”應聖寺住職。


 私は桑谷氏のお考えとほぼ同じ。
 《時代は変わったなぁ》……つくづくそう思わせる出来事の経緯だ。
 私の子ども時代は、床に落ちた物でもパッパッと払って食べたもので、まあ、床が汚いと感じた場合は、床に着いたところを除いて食べた。
 食べずに捨てたなら「もったいない」とか「バチが当たる」と叱られたものだった。

 もちろん、現代の衛生理念や、(教育)施設としては、《床に落ちたものは食べさせない》という方針は正しいと思う。
 上述した《時代は変わったなぁ》という感想は、そういう衛生面の措置についてもそう感じたが、さらに、考えれば心……延いては(ひいては)、“いじめ”の問題に関連して考えないといけないのかもしれない。
 私の時代もあったとは思うが、“床に落ちたものを食べる”という行為が、《ばっちい》《汚い》《卑しい》に繋がり、揶揄される。私の時代は、そういう輩(やから)は少数で、一時的なモノですぐ忘れ去られた。しかし、現代においては、それがいじめに繋がる……という危惧を持たねばならない。そういう意味でも悲しい時代になったと思う。

 しかし、《時代は変わった》と思ったのはそれだけではない(というより、これから述べる方が、“主”である)
 この園児の保護者の態度(行為)や考え方が、私にしてみれば《あり得ない》のである。
【保護者の主張】
①衛生上の問題ではなく、「落ちたものを食べさせるという行為自体がそもそも許せない」
②《落ちたという結果を、園と先生だけで問題なしと判定して、次の行為に進むこと》が問題だ
③《子育て・教育を含めた生き方、ポリシーの問題である》
④その先生を始め園長や幼児園関係者、教育委員会は、二日間に及んで猛抗議


 ①と②は主眼点が異なる。
 私の憶測になってしまうが、保護者は①について激怒していると考える。
 ②は、幼児園での事故や事件についての対処の判断においては、問題にすべきであろう。例えば、頭部を強打したなどの健康面に関することや、園児を迎えに来た人がいつもと違う場合とかの場合がそうであろう。

 今回の場合は、園児の健康面に関することであるが、深刻な状況に陥るとは考えにくい(「保護者も衛生上云々の問題ではない」と言っているようだ)
 生活指導や教育に関する事象の中で、それほど重大なことではないと思える件に関しては、園や保育士の裁量に任せないと、現場はものすごく不自由である。

 今回の件に関して言うと、「お子さんが持ってきたご飯を(本人が)落としてしまいました。床に着いていない部分だけ食べさせますか?ご飯は抜きにしますか?それとも、ご飯を買いに行きますか?他の園児に分けてもらいますか?」と保護者の意向を尋ねるべきだったのだろうか?
 ②は建前で、①が本音で、許せないのだろう。園の説明によると、《園児は保育士の話に納得して食べた》と言っているが、もしかしたら、その園児は心の中では、“落ちたものを食べる”という行為で自尊心が傷ついたかもしれないし、お腹を壊すかもという心配が強かったかもしれず、そのことに関して保護者が激怒したのかもしれないが、文中で感じられるのは、《落ちたものを食べさせた》という行為を許せないと言っていたようだ。

 『子育て・教育を含めた生き方、ポリシーの問題であると主張し、どうあっても他人の意見を受け入れる余地はないという』(←記事中の文章)……《他人の意見を受け入れる余地はない》というのがその保護者の言葉なのか、取り付く島もないという保護者の様子だったのかは分からないが、後者だったとしても、そういう他人の意見を受け入れる余地がなく、『糾弾会のようになった』(←記事中の言葉)というのは、どうかと思う。
 “子育て・教育を含めた生き方、ポリシーの問題”と主張するのなら、人の意見や思いを理解し考えて判断するのが大事なのではないだろうか?


 ここで、【このブログ記事を書くにあたっての、不確定要素】があることに気がついた。それは…
 桑谷氏自身も間接的に事の経緯を知ったようだが、私には、氏がどこまで詳細に把握しているのかが不明なこと。
 実際は、記事の内容より詳細なことを把握しているのかもしれないが、あの記事で私が事の経緯のすべてを知ることができないし、桑谷氏がどこまで把握しているのかも分からない。
 保護者が激怒一辺倒だけだったように受け取れるが、そうでない可能性もある。《子どもがご飯を落としてしまった時、どういう対処を園にして欲しかったのか?》を保護者が主張したのか?それがあるのかどうかで、かなり事情が変わってくる。

 なので、この記事を読むに当たっては、事の経緯に幅を持っていただきたいです。私もこの保護者について、上記のように、かなり批判的なことを書いたが、書き過ぎている可能性もあります。


 筆者は、『喉に小骨が引っ掛かったような違和感』『危うい生き方』『他者を思いやるどころか一切認めないという危うい世情が広がりつつあるようだ』と、やわらかい表現で述べているが、もし、私がその糾弾会(笑)に同じ保護者の立場で出席していたら、喧嘩になっていただろう。もちろん、私が園側の立場だったら、ひたすら説明し理解してもらおうとするだろう(その態度でいられるかどうかは、自信はないが)
 こういう《他人に厳しい人(他人を許さない人)》が増えている(←「“放電”ばかりしているお前が言うか!」という指摘は甘受します)
 アニメの話を持ち出すのは恐縮だが……
『AIの遺電子』 第9話「正しい社会」のエピソードで、破天荒なアニメの主人公を描いて非難を受けた作者が、「行儀のいい人間に合わせていると、悪いことはどんどん増えちまう」
「この国の犯罪率はどんどん下降していて、正し…」(非難者)
「そういうことじゃあねえ……“悪いとされること”が増えていくのさ
 "悪いとされること”の例として、「(自動運転が常識となっているそのアニメの時代背景で)ドライバー本人が運転することは、"無謀な行為”と認定される」と述べていた。
 かつては普通の行為とされていたことが、時代が変われば、"悪いとされる行為”、"違法行為”とされてしまう……

 少し事情が違うが、道端で女の子が泣いていても、迂闊に声をかけられない(変質者に間違えられる)。それに、子どもも「知らない人に声を掛けられたら、警戒しなさい」と教えられている世情だ。
 逆に、《法に触れなければしてもいい》という政治家やお金持ちが多い……

 今回の保育士の行為が、《その先生を始め園長や幼児園関係者、教育委員会は、二日間に及んで猛抗議を受ける》行為だったのか、はなはだ疑問である。
 その保育士が気の毒だ。この一件で。心に傷を負い、やめてしまわないか心配である。園に居づらくなって園を辞めるというのは仕方がないかも。でも、保育士はやめないでほしいな。



 今回の件、全く部外者の私が、しゃしゃり出てきて書いてしまったので、教育現場を良く知る友人に見解を聞きました。
【教育現場を良く知る友人の見解】
 私は、件の保護者にとって①と②と③は一体で、①の考え方(家庭のポリシー)に抵触するかもしれない(重大な)行為を選択する際に、②の保護者への確認作業を怠ったことは明らかなミスであり、とりわけ、園(保育士)が③の各家庭のポリシーを軽視して保育していることが許せない。と思考がつながっているように思うからです。英さんや桑谷さんが書くとおり、自分のポリシーを絶対視して他者を強く非難するのは滑稽で異常ですが、本人は自分の正義を疑っていないのだと思います。(その結果、④のような振る舞いとなる。)
 《時代は変わった》はおそらく正しく、このような主張をする保護者はどこでも珍しくありません。しかし、こうした保護者は少数であって、常識がある保護者が大多数です。教育委員会や園は今回の被害に遭った保育士の方をしっかりとサポートしてほしいと思います。


上記の見解で①②③④が出てきますが、このブログ記事の中盤辺りで書いた《保護者の主張》での番号です。

①衛生上の問題ではなく、「落ちたものを食べさせるという行為自体がそもそも許せない」
②《落ちたという結果を、園と先生だけで問題なしと判定して、次の行為に進むこと》が問題だ
③《子育て・教育を含めた生き方、ポリシーの問題である》
④その先生を始め園長や幼児園関係者、教育委員会は、二日間に及んで猛抗議
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『AIの遺電子』 第12話「旅立ち」

2023-10-01 11:33:20 | アニメ
第12話 (最終話)ストーリー(番組サイトより)
明るく元気なリサには、忘れられない過去がある。その過去は、リサと須堂が出会ったきっかけとなり、今は彼女の元に思いもよらぬ来訪者を呼び寄せていた。消えない過去を背負うことは、リサと須堂にとって暗黙の「絆」のはずだったが……。



須堂のストーリーとしてのテーマ……「旅立ち」(最終話のサブタイトルにもなっている)
メインは【リサとの繋がり】
《一緒に行きたい(生きたい)、力になりたい》というリサの気持ち
他人(リサ)の力は必要ない。俺、個人の問題だ」
と、須堂は拒否(リサを巻き込みたくないという気持ちからだろう)

~リサと須堂の日々~
事故の治療、その後のリハビリ終了後もフォローする須堂に、リサが問う
「なぜ、親身になってくれるのか?先生は他人でしょう?」
「似たもの同士だから(母子家庭でその母とも別離している)」
と須堂。

 その会話以後、《先生と私は他人じゃないんだ》と信じていた
 なのに、“他人”と言われて
 ………看護師として須堂をフォーローするこれまでの繋がりを否定されたと悲し身に沈む


“須堂新医院”の看板を外す須堂
「簡単に取れる…ねじで固定されているだけだ。というわけだから、看板だけ用意してくれ」
(「これって、余計な改造(患者のことを含めて)はするな」と言っているのでは?)

そのあと、瀬戸に
「須堂のことなど忘れてしまえ。手の届かない遠くに行く…そんな人間について悩むことなど無駄なことだ」
と言われ、
「先生はもう病院のことなど、どうでもいいんですか?
 なんであんな人に…」
「口は悪くても、腕は確かだし、患者には真摯だ。俺とは方針の違う所もあるが…」
「そこが問題なんです」
ジェイ「私もついていますから、ご心配なく。この病院が築いてきた地域との関係を発展させるため、瀬戸医師に精一杯、助言していきます」
「ジェイ、あなたも瀬戸さんのモノになるの?」
「違います。マスターである須堂の依頼により、一時的にサービスを提供します」
ジェイはリサを慰めたつもりだったが、却って、リサの反対の根拠を打ち消してしまった
リサの様子を見る須堂…無表情ではあったが…

(電脳のバックアップ障害に対する治療を須堂に受けた患者の娘の)
《お母さんは、やっぱりお母さんだった》という言葉で、幼いころを思い出す須堂
「ヒカルは賢い子どもだから、神様が帳尻を合わせたんでしょう(賢い分だけ、病弱にした)」
ヒカル、あんたがどんな子どもでも、お母さんの子どもだから
 おかあさん、あんたのためなら、どんなことでもやってやるから。……どんなことでもね」

深夜、リサに電話する須堂
「たくさんの患者を診てきて感じるんだ……《自分という存在は、自分の中じゃなく、自分と誰かとの繋がりの中にあるんじゃないかって。
 おれはやっぱり、コピーされた母さんを探しに行くべきなんだと思う。
 たとえ、どんな母さんであろうと、俺にとって母さんは母さんだから。
 ……でも、りさ…本当は君と一緒にいたい。
 あの病院で君と一緒に過ごした時間の中に俺はいる。そこが俺の居場所だ。

 俺は…」
「先生…その言葉を聴けただけで、私、充分です。……だから、『行ってらっしゃい』、先生」


空港で
★リサとの約束三箇条
・できれば、早く帰ってくること……努力する
・危ないことはしないこと……努力する
・どんなお母さんと会っても、先生は先生でいてください!
………約束する


「私、待ってます。ずっと…」
リサを抱き寄せ
「“他人”なんて言って悪かった。元気で、体に気をつけてな」



【須堂のロビジア行きを理解しながらも、止めようとする、心配する周囲】
……何も語らない須堂だが、須堂の変化を察知し
「何かあったんでしょう?母さんで良ければ、聴くよ。気の利いたことを言えるかわからないけど」
「世の中には、正解のない問題がある。考えても答えが出ない時には、大切な誰かに相談した方がいい。あんたは母さんみたいに間違えちゃ、だめよ」
「ひかる!……あんたは、あんたの人生を生きて!」
頷く須堂


瀬戸……患者たちを含めて須堂新医院を託される。リサのことも委ねられる
「ロビジアってのは、生きたまま人間の電脳をはぎ取ったり、年端も行かない子どもの頭をいじって自爆兵に仕立て上げる国だ。
 おふくろさんのコピーがそういうことをやる側になっていたら、どうする?……お前はそいつを許せるのか? そいつを母親として受け入れられるのか?」
「病院の話は聞かなかったことにしておいてやる。
 過去に縛られるな。今を生きろ


……さらに
瀬戸はリサに
須堂のことなど忘れてしまえ。手の届かない遠くに行く…そんな人間について悩むことなど無駄なことだ。
 須堂がヒューマノイドだったら、俺が記憶を改造してやるのに。
 《過去に縛られ続けるかわいそうな男》だ
 まあ、おかげで俺は、立派な設備が丸っと手に入るんだけどね」

(腹を立て、立ち去るリサ)
「実に面倒くさいねえ。我々人間てやつは」
わざと憎まれ口を言い、リサを焚きつける(須堂とリサが、今の状態で別れるのは良くないと考える)


ジェイ……医院で瀬戸やリサを補助するよう依頼された
(車中での会話)
「本当に私は、ロビジアにご一緒しなくてよろしいですか?」
「(ジェイを巻き込みたくないという須堂に対して)、その気遣いは不要です。私は人間をサポートするために生まれたAIですから。
 須堂、その気遣いは、今、リサにこそ必要なのではありませんか?
 《ロビジアにはいかない》
 《“お母さんを探す”というあなたのミッションをは、これを機に手放し、これまで通りに病院を続ける、リサと一緒に》
 そんな選択もあり得るのではありませんか?」


MICHIとカオル……須堂の母の電脳のコピーの居場所情報の提供を条件に、須堂に評議員への参加を依頼
「須堂がロビジアで命を落とす可能性が高く、(MICHIの希望に反して)大規模自己改修審査メンバーになれなくなる。
 なのに、須堂のロビジア行きを積極的にサポート(射撃・護身術鍛錬など)している。まるで、ロビジア行きの方が本筋であるかのように。
 MICHI…あなたはロビジアで彼に何をさせようとしているの?
」(カオル)
「彼を待ち受ける苦難は分かっています。ただ、私は……そこで彼が見つける答えを見たいのかもしれません
(MICHI)



『AIの遺電子』としてのテーマ……「人間がその人間である根拠」
電脳バックアップで支障が生じた患者の娘
《どうして人格のコピーは違法なのか?》…どうしてなのか、少し分かるようになった」
「《バックアップされたママは、私の知っているママと同じなの?》
 《上書きされたママはどこに行ってしまったの?》
 ………そんな疑問がずっと拭えなくて、どうにかなりそうだった
 人格をコピーするっていうのは、そういうことなんだね」
「《その人間がその人間である根拠はどこにあるのか?》
 《心は…私はどこにあるのか?》
 ……偉い学者が議論を続けているが、結論はまだ出ていない。…多分、永遠に(答えは)でないんだろうなあ」
「でもね……お母さんは、やっぱりお母さんだったよ」

 さっきの疑問(不安)はあるが、今の母さんがお母さんであることは間違いない(大好きなお母さんだ)


リサの母がリサの髪を改造したことについて
「人間は似ていないとダメですね。ママは私に自分と似ててほしかった。似ていないと、私のことをを好きになれなかった。
 私たちヒューマノイドが、人そっくりに作られて、人そっくりに暮らすのは、そうじゃないと人は私たちを仲間にできないからなんでしょうね
「白い髪のことでじろじろ見られたり、いじめられたり……親と違うのも最初は嫌だった。君のお母さんは、そういう思いをきみにさせたくなかったのかも」
「私はママを許す気になれない。ありのままを受け入れてくれるのが本当の愛でしょう」
「君のお母さんがしたことを、正当化したいわけじゃないんだ。でも、ママがきみを思う気持ちは否定しないであげてほしい」



【須堂の独白(ナレーション風)】
ある学者が言った。
《人間は、終わりなき進歩の奴隷であり、AIこそが、人間を進歩から解放する》と。

AIに支えられたこの世界で、人間たちが生きている。
誰かを愛し、愛され……過ちを犯し、償い
平和を望みながら、暴力をなくせない……昔ながらの人間が生きている
AIが世界を進めたのか?止めたのか?
人間の望みとは、何なのか?


「全ての答えは、須堂さん…あなたの手の中に。旅のご無事を」(MICHI)

~彼の地~
薄汚れた熊の人形を拾い上げた須藤に、少年が
「探し物?」
「ああ…必ず、探し出す」

ぬいぐるみを手にした少年を後に、歩いていく……


………結局
《ロビジアで須堂が出会うであろう母のコピーは、どのような人物なのか?》
《超高度AI “MICHI”の思惑は? 何を目指しているのか? 「自己改修計画」とは何なのか?》
《ヒューマノイドは、なぜつくられたのか?》
《ジェイはどういう存在なのか?》
など、疑問は全く明かされないまま、『ロビジア編』へ続く! で終了(笑・涙)
 続編に期待!


【備考】
 リサは自分をヒューマノイドとして、コンプレックスに近いものを抱えており、
 瀬戸は自分を“人間”という存在だと認識している


参照:「第1話・第2話」「第3話」「訂正1・第3話について」「第4話」「訂正2・タイトルについて」「第5話」「第6話」「第7話」「第8話」「第9話」「第10話」「第10話・追記」「第11話」「第12話(最終話)」
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