英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『双曲線』中田章道七段作 解答

2012-07-12 21:02:52 | 詰将棋
7月6日記事『双曲線』中田章道七段作の解答です。


 初手、▲2八金や▲4八金は△4六玉で詰みません。また、▲3四飛もやはり△4六玉で詰みません(△3五銀打でも詰みません)。どうも、4六に玉を逃がすと駄目なようです。
 そこで、初手▲3七金(変化1図)が有力になります。


 この手に対して△2五玉は、▲2四飛でも▲2六金打でも詰むので△3五玉(変化2図)と逃げます。


 変化2図で▲3六飛は△同飛で詰みません。また、▲2六金の開き王手も、またもや△4六玉で詰みません。
 そこで、開き王手の前に▲4六金打と捨てれば、玉が4六に逃げられなさそうです。変化2図より▲4六金打△同飛▲2六金です。

 しかし、これはぬか喜びで、玉方は▲4六金打に対し、△4六同飛ではなく当然△4六同歩と取ります。▲2六金(失敗図)としても、4五に逃げられてしまいます。

 ならばと、変化2図に戻って、

2五に金か飛車を捨てて玉を2五に呼び込めば、何とかなるような気がしますが、▲2五飛は△3四玉と逃げられてしまいますし、3四に逃がさないようにと▲2五金は△同玉で、この時、持駒に金が残っていれば▲2六金打で詰みますが、あいにく飛車しか残っていません。▲2六飛だと△1五玉とされてしまいます。……[惜しい筋]


 初手▲3七金は失敗に終わりました。とは言え、方向性は正しく、実行するには一工夫が必要だったのです。 


 3六に金を出る前に▲2六飛と捨てるのが、工夫の第一弾。

 上記の青字の部分の[惜しい筋]を踏まえて、この段階で2六に飛車を打っておけば△同飛と応じるよりありません。


 2五に飛車を呼ぶのは上記以外の目的もあるのですが、それは後に明らかになります。
 それはさておき、ここで念願の?▲3七金を実行します。


 これに△2四玉は▲2六金で詰むので、△3五玉と逃げます。


 ここで、喜んで▲2六金と飛車を取ると、△4六玉と逃げられてしまいます。また、▲3六飛も△同飛▲同金△3四玉で詰みません。さらに▲4七金も△3六歩で詰みません。
と、ここまで考えると、玉方の2七の飛車がよく利いて邪魔なのに気がつきます。
 そこで、▲2五金と捨てます。


 ここで△2五同玉は攻め方の思惑通り▲2六金で詰むので、△2五同飛と取ります。取れる飛車を取らずに、金まで与えてまで逃がしてしまうのですが、これぞ詰将棋の醍醐味ですね。


 いよいよフィニッシュです。▲4七金!


 先の金捨てで、飛車を2五に呼び込んだため、合駒が利きません。また、2五に飛車がいるため玉を2五にかわすこともできませんね。

 初図から詰め上がり図まで、先手の金と玉方の飛車の動きを追っていくと、面白い動きをしているのに気づきます。そう、双曲線のような動きをしています。
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郷ひろみコンサート HIROMI GO CONCERT TOUR 2012 "LINK"

2012-07-11 22:44:47 | 日記
HIROMI GO CONCERT TOUR 2012 "LINK"
 昨日、行ってきました、金沢へ。
 一昨年も先行予約に出遅れ反省し、昨年は福井で見ることができましたが、今年はまた出遅れ、福井は郷ひろみ人気が高く、コンサートの盛り上がりも最高だったと公式サイトのBBSでも評判だったようです。福井は日曜日開催だったせいもあるのかもしれません。

 コンサートの感想は昨年とほぼ同じです。
昨年7月12日記事「郷ひろみコンサート」より引用(冒頭の「3年前」は「4年前」、「昨年」は「一昨年」ということになります)
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 3年前、郷ひろみのコンサートを初めて観た時、感動しました。
 52歳とは思えない、スタイルとエネルギッシュさ。アップテンポの曲は会場総立ち、手拍子、手を頭上高く上げ左右に振る、振り回す!『お嫁サンバ』『2億4000万の瞳』『Goldfinger'99』などはもう会場は熱狂の坩堝(るつぼ)と化します。
 私は女性の後ろ姿(逆光)なので、そのエネルギッシュさに圧倒され、違和感は感じないのですが、開演前の様子を見ていると、多分平均年齢はかなり高い。かなり気合の入った出で立ちをしている方もいました。
 ま、それはともかく、会場の雰囲気に圧倒され、郷ひろみのエンターテイメント性に見惚れました。
 彼のステップやアクションの激しさ、また、それがどのように決めれば格好よく見えるか、喜ばれるかを探求し極めたポーズ、それにスタミナ・体力。そして、歌唱力。音程、リズム、声量、申し分ないです。若いころはそうでもなかったのですが、完璧主義で日々修練したのでしょう。歌唱力は想像以上でした。エンターテイメント総合力はトップクラスでした。
 もう、凄く感激したのを覚えています。

 さて、最も私が感心したのは、彼のサービス精神。
 まず、「拍手、ありがとう」「会場の雰囲気や盛り立ててくださる皆様が素晴らしい!」
など、観客を讃え、感謝する。もう、さらに、観客の心を鷲づかみ!さらに、会場が盛り上がる。

 それから、MCもうまく、サービス精神旺盛で面白い!最初は仕方なしに、妻につき合ったのですが、これは機会があったら観るべきです。ちなみに、男性は20人~30人に1人ぐらいです。過去3回とも同じぐらいの比率でした。

 さて、今回の感想です。(「ようやく」かよ)
 昨年も感じましたが、ほんの少しだけ、ほんの少しだけ、アクションが(下半身の動き)が緩やかになったかもしれませんが、やはりすごいです。トークの切れが多少落ちた気がしました。
 もちろん、それは本当にわずかで、私の気のせいかもしれません。
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 と、これで終わってしまうと、完全なる手抜きなので、今年の感想を少し。
 多分、毎回だと思いますが、ハードナンバーの時に、スピーカーの音量を上げ過ぎ。確かに大音量の方が盛り上がりますが、声が割れてしまうのはいかがなものだろうか?
 今回、場内カメラからの映像がバックに大映しされることが多く、遠い観客席の私にとってはありがたいが、スクリーンの方に目が行ってしまい、臨場感をやや欠いてしまう感もあった(わがままですね)。
 どの楽曲もケチをつけるところは全くないほど素晴らしいが、私のようなエセファン(俄かファン)には、往年のヒットナンバーが多い方が嬉しい。
 若干、本当に、ごくわずかですが、音がフラット気味になることがあった。

 う~ん、マイナス的なことを上げてしまいましたが、これは、郷ひろみのレベルが高いから、そう感じるのだとご理解ください。
 本当に素晴らしいコンサートでした。


 最初はハードナンバーで始まり、会場は最初からヒートアップして総立ちに近い状態になります。
 大ファンの妻ももちろん立ち上がります。私も立ち上がりましたが、妻はすぐ座ってしまいました。
「どうしたの」
と尋ねると、
「後ろの人が、「座ってくれ」って」

 え~!信じられない。
 確かに、座って観たいという方もいるだろう(今回、いつもより座っている人が多かった)。しかし、コンサート会場ノリノリの中、何で、妻だけ座らないとダメなの?
 せっかくのコンサートの楽しい雰囲気なので、妻も私も堪えて、座りましたが、ラストの方は、「いいかな」と思い、立ち上がって手を振ったり拍手したり盛り上がりました。
 後ろの席の女性が気になったので、こっそり振り返ると、その女性も立ちあがっていました。

 思わず
「あんたは立っちゃあいけないだろう!」
と、突っ込みたくなりました。

 若干、欲求不満になりましたが、斜め前の席の女性と、ふたつ前の席の女性の、ノリの良い踊りや手の振りが、若干下がった私たちのテンションを引き上げてくれました。感謝!

 6時会場、6時30分開演だったので、帰宅したのは11時ごろになりました。
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遅れすぎてしまった風景 その2 ~シャガ(射干、著莪)~

2012-07-10 23:41:31 | 歳時
シャガ(射干、著莪)5月8日撮影


 昨年も登場しています。
「シャガ(射干、著莪)とキンポウゲ(ウマノアシガタ)」(昨年5月25日記事)
「シャガ再び、ノアザミ 【6月4日撮影】」(昨年6月19日記事)

 昨年の記事によると(手抜きです)、
 かなり暗い場所でも生育できるので、谷沿いの陰地や竹林や杉林の下にも生育するそうです。3倍体なので種子は作らず、根茎で増えます。原産は中国で、かなり古い時代に持ち込まれたとされています(種子を作らないので、鉢植えされた状態で持ち込まれたと考えられる)。
 漢字では「射干」あるいは「著莪」と書きますが、本来は「射干」はヒオウギアヤメ(檜扇)のことを漢名で「射干」と書いて「ヤカン」と読むそうです。


 今年撮った場所は、昨年とはまったく別の場所せすが、やはり山間部です。若干、日当たりはよさそうです。
 近くにトンネルがあって、トンネルを抜けた地点でも咲いていました。

 こちらのほうが、シャガの(生息場所の)イメージに合いますね。

 あまり日が当たらないところで、白い花。白さが際立ち、ぽぅっと自ら光を出しているように見えます。
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『平清盛』 第27話「宿命の対決」

2012-07-09 14:57:28 | ドラマ・映画
宿命の対決だったが、源平戦は平氏の完勝。
 強きのみ事を求めた義朝(玉木宏)に対し、強さだけでは世の中を変えることができないと悟り、財力・政治力を伸ばし、先を見据えた戦略を考えていた清盛(松山ケンイチ)とでは、結果は明白だった。

深謀遠慮な清盛
・公卿方を味方につけ、帝や上皇を救い、「信頼、義朝討伐」の勅命を受け、義をも手に入れた
・源氏をおびき出し、圧倒的な兵力で迎え撃った


 先週、信西(阿部サダヲ)の死で怒り心頭な清盛だったが、そんなことをまったくおくびに出さない見事な策略だった。
 「そんな深謀遠慮が出来るのなら、信西が孤立している空気ぐらい読めよ(息子や過信は悟っていた)!」と言いたい。
 ドラマ的にはその清盛の深い思慮を一族にも明かさないのは面白いが、一族にも途中まで策を明かさない理由がわからない。「敵を欺くには、まず味方から」なのだろうか?
 清盛をよく知る義朝は、恭順の意を示す証書・名簿(みょうぶ)を疑う。しかし、疑うだけにとどまってしまうのが、義朝の悲しさ。その名簿の証を立てろと、人質を差し出せぐらい言ってはどうなんだ!と思っていたが、忠心者であるが、木登りと怖い顔をしてして泣くことしか出来ない(一族を斬ることもしたが)鎌田正清(趙和)しか側近(ブレイン)がいないのも悲しい。
 敵の兵力も知らないのも……


一騎打ち
 あれだけ優勢なのに、「そんな危ないことしたらあかんやろ!」。今までの深謀遠慮を台無しにしてしまう暴挙!
 見ごたえがあったし、ドラマ的には必須なのだから、仕方がないでしょう。



 全体的には面白かった。
 ただ、常盤御前(武井咲)のシーンは、盛り上がりの腰を思い切り折られた。


 

【ストーリー】(番組サイトより)
 源義朝(玉木宏)の挙兵を知って、京に戻った平清盛(松山ケンイチ)は、信西(阿部サダヲ)の死を知り、怒りに震えた。1159(平治元)年12月18日、清盛邸では一門が戦いの予感に身構えた。しかし、清盛は性急に動こうとしないばかりか、義朝に信西を討たせた張本人である藤原信頼(塚地武雅)に対し、恭順の意を示すよう一門に命じる。
 内裏を占拠する義朝のもとには、東国から長男・義平(波岡一喜)のほか、次男・朝長(川村亮介)もかけつけ、三男・頼朝(中川大志)とともに守りを固めていた。東国武士の野蛮なふるまいや、遊んでばかりいて政治に全く興味がない信頼に失望した親政(二条天皇)派の公卿・藤原惟方(これかた・野間口徹)と経宗(つねむね・有薗芳記)は、自分たちの判断を後悔し始めていた。一方、内裏にいる藤原成親(吉沢悠)は清盛の長男・重盛(窪田正孝)の義兄であることから、どう転んでもわが身は安泰だと悠々としていた。

 そのころ、内裏の一本御書所に幽閉されていた後白河上皇(松田翔太)は、今様を歌いながら舞っていた。上皇の姉・上西門院統子(むねこ:愛原実花)はそんな上皇をたしなめるが、上皇は悲しみにかられて舞っていることに気づく。

 何日待っても攻めてこない清盛にいらだつ源氏勢。そんな折、彼らのもとへ清盛の使いとして家貞(中村梅雀)が訪れた。警戒して信頼のそばに集まる義朝や成親たち。しかし家貞が信頼に差し出したのは恭順の意を示す証書・名簿(みょうぶ)だった。裏があるはずと疑う義朝だが、信頼は平氏をすっかり信じきっていた。
 清盛邸では宴が始まる。そんな宴の最中に客人が清盛を訪れた。藤原惟方と経宗だった。二人は今回の謀反を清盛に詫び、自分たちは巻き込まれただけで謀反は信頼がすべて企てたことという。そして東国武士に占拠された内裏を平氏の力で変えてほしいと願った。清盛は二人の言い逃れに怒って脅した後、望みをかなえる代わりに協力を求めた。
 清盛が策を練る中、時子(深田恭子)が、一方、義朝にも常盤(武井咲)が、このまま仲の良かった二人が戦ってもいいのかと問うが、清盛も義朝も、平氏と源氏の棟梁であるふたりが戦うのは宿命だと答えた。

 内裏では、藤原惟方と経宗が、源氏勢に酒をふるまい休ませるように信頼にすすめていた。信頼はすっかり気を許し、大半の兵たちが酔いつぶれる中、経宗は後白河上皇を内裏から救出し、仁和寺に届ける。一方、惟方は二条天皇(冨浦智嗣)を女人に変装させて脱出をはかり、六波羅に届ける。それを知った清盛は、都中に天皇が六波羅にいることを触れ回させた。翌朝、ことの次第を知った義朝は信頼のもとへ駆けつけ、信頼を「日本一の不覚人」と怒りをぶつける。これで源氏勢は、天皇に刃を向ける朝敵となってしまったのだ。

 12月26日、二条天皇がいる六波羅の清盛邸には公卿方のほとんどが集まった。二条天皇はじきじきに清盛に声をかけ、信頼と義朝の追討を命じた。勅命をうけた平氏は官軍となり出陣の準備を始める。そんな中、三男・清三郎が連れてこられ、清盛から名を「宗盛」と改めることを命じられた。
 平氏の動きに呼応して、義朝率いる源氏勢も意気が上がる。準備をすすめる義朝の前に常盤があらわれ、必ず勝っておなかの子を抱いてほしいと願う。義朝は常盤のおなかをなでて「牛若」と名付け、強き源氏の武者になると予言した。
 義朝の子らが内裏の守りを固めるところに、平氏勢が押し寄せる。平重盛は待賢門を破り、鎌倉悪源太と呼ばれる義朝の長男・源義平と一騎打ちになる。内裏の各所でも戦いが繰り広げられた。清盛の弟・平頼盛(西島隆弘)は父・忠盛から授かった名刀で奮戦。源頼朝が宗盛に矢を放つと伊藤忠清(藤本隆宏)がその矢を払いのけたものの、宗盛は腰をぬかす。内裏の一室では、無事を祈る常盤の前に大男があらわれた。短刀を男に向ける常盤だったが、男は常盤を救おうとする鬼若(青木崇高)だった。

 戦いがこう着状態に入ると、重盛も頼盛も忠清も軍勢に退却を命じた。報告を聞いた義朝は後を追って一気に攻めるよう命令する。追いかける源氏勢は賀茂川を渡り、平氏の本拠地・六波羅を攻め込もうとすると、対岸には大勢の平氏軍が待ち伏せていた。源頼政(宇梶剛士)は罠にはまった愚かさを嘆き、その場を去っていく。
 やがて平氏軍の放った何千本もの矢に源氏勢は次々と倒れていく。見かねた義朝は、清盛との一騎打ちを望み、清盛を河原へと誘う。二人は馬上での斬り合いからはじめ、馬を降りて斬り合う。死闘の末、清盛が義朝の動きを制し、首もとに剣を突きつける。
 だが、清盛は「お前は負けたのじゃ、義朝!」と言い放っただけで、とどめを刺すことはなかった。義朝は力なく立ち上がり馬で去って行った。二人は、これがお互い会う最後だと知っていた。
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将棋雑感 『将棋世界』6月号 その2 【補足あり】

2012-07-08 19:26:17 | 将棋
第16回全国高等学校将棋女子選抜大会
 一昔前、女流棋士(プロを含めて)の将棋は、足を止めてノーガードで流血しながら殴り合い、より致命的なダメージを受けた方が倒れる(負ける)といったものが多かった。受けるのが苦手で、受けない。「攻撃は防御なり」を実践していた。
 しかし、この将棋は、そんなイメージは遠い昔の幻であったと思わせるものであった。細かい攻守のやり取りを続け、攻めも守りも自ら暴発することはない。特に、後手の北村さんは受けが辛抱強い。

 後手の北村さんの角交換四間飛車に先手の小山田さんが玉頭に位を取った。

 右銀を巧みに引きつけた小山田さんが作戦勝ちとのこと。そこで北村さんが5筋に動いたのが第0図。
 この動きを捉え、▲2五歩△同歩▲2三歩△同飛▲3二角△2四飛▲4三角成(第1図)と馬を作る。

 先手の馬が威張っていて、後手の飛車も窮屈。うまくいくと飛車を取れそうだ。飛車を召し取れなくても、馬で飛車をいじめていけば、桂香を拾うことができしうだ。
 ちなみに、北村さんの名前は桂香さん。最初、図面にフルネームを表示したが、それだと、持ち駒に常に桂馬と香車があるように錯覚してしまう。手強い名前だ。
 しかし、ここで北村さんが実力を示す。
以下『将棋世界』記事
「△5四角が北村さんの実力を示した一手。以下後手を引くようだが、△2三飛に▲2四歩なら△2二飛▲3一馬△2四飛で切らすことができる」


 実戦は△5四角以下▲4二馬△2三飛に▲5六歩△4四銀▲4五歩△3三銀▲4一馬△2四飛▲4八飛△4二歩(第2図)と進む。

 この△4二歩は今後の局面を想定しての辛抱強い手である。
以下『将棋世界』記事
「△4二歩が素晴らしい。ここは普通の発想なら△2六歩だが▲5五歩△7六角▲同銀△2七歩成▲4四歩△3八と▲4六飛△2九飛成▲4三歩成(参考図)とされ、次の▲5二とが厳しいので勝てない。そこで△4二歩とじっと辛抱してチャンスを待つのだ。
 筆者は加藤女流王座とこの将棋の大盤解説をしたのだが、▲4八飛までの局面で「まあ△4二歩と打てれば強いけど、女子高生が短時間の将棋で指せるとは思えませんね」と大変失礼なことを言ってしまった。決勝の2人、いや大会に参加されたすべての選手に謝罪します。皆さんは私の想像よりはるかに強かったです」

 確かに先手からの4筋の攻めに備えた辛抱強い手だ。4筋で受けるだけなら△4三歩だが、これだと後手の角が窮屈で▲5五歩とされると角を切るしかなくなってしまう。
 △4二歩以下、実戦は▲5五歩△4三角▲4四歩△5二角▲同馬△同金▲4一角△6一角▲5二角成△同角▲5一金△6二金▲5二金△同金▲4一角△5一金打▲3二角成△3五角▲5四歩△4四角▲5三歩成△同角▲2二歩△同飛▲同馬△同銀▲5四歩△3五角▲4五飛△3三銀▲3五飛△同歩▲3一飛△4一飛▲3二飛成△4五角▲4一飛成△同金と、とにかく辛抱強い。

 ここで気になったのは、上記の第2図で△2六歩と突く変化。
 △2六歩は「普通の発想」らしいが、先に飛車を4筋に転回されているので気が利かない気もするが、後手も飛車を活用しないと勝てないので当然と言われればそうかもしれない。
 で、参考図までは一本道。

 こう進めば、「次の▲5二とが厳しいので勝てない」と書いているが、次に▲5二としても、素直に△7一金とされると意外に難しい。なので、参考図で△4五歩と打ち、▲同飛なら△6六桂(参考2図)でどうか?後手も指せるように思う。どうなのだろう?


マイナビ女子オープン五番勝負第1局

 第3図より実戦は△4六歩▲同銀△5六歩▲同歩△3九角▲2七飛△6六角成▲6七金直△4八馬と進んだ。
 小技を駆使し馬を作り、先手の飛車にプレッシャーを掛ける実戦的な指し方だ。ただ、△4六歩▲同銀と歩を渡して4五の桂に紐をつけさせ、銀桂交換の権利を与えるというのはかなりの損だと思う。
 第3図では△4四銀と銀取りにかわすのが自然で、▲4六歩と受けるのなら△5六歩と本譜と同じように指せばハッキリ得。また、△4四銀に▲4六銀でも△5六歩と同様に指せば、やはり本譜より得だと思う。

 長谷川女流の将棋を何局か拝見したが、銀桂交換に甘んじても勝負形に持ち込む指し方や、馬を作らせても容易に崩れないなど、実践的強さを感じる。裏を返せば、大雑把な指し方が目立つ。
 こういう指し方を否定はしないが、こういう指し方をするプロに成り立ての女流棋士を、女性将棋界の最高峰を争うタイトル戦に登場させてしまうのは、如何なものかと思う。


【補足】
 勝手さんがよい質問をしてくださったので、その回答を補足としてアップします。

>△45歩には▲56飛で無理をせず、次に▲52とや▲54歩の突出しがあって手に困らないと思うのですが・・・?

 まず、この記事の主旨ですが、
「▲4三歩成(参考図)とされ、次の▲5二とが厳しいので勝てない」
 これに対する疑問です。勝手さんも△4五歩に▲同飛では△6六桂が▲5二とより厳しいと判断して▲5六飛ならと考えたのでしょう。

 と言っても、▲5六飛に対して無策でよいと言うわけではありません。
 一応、考えてはあったのです。▲5六飛の局面は、先手のと金の存在が大きく見えます。しかし、後手も桂得で飛車を成り込んでいて釣り合いは取れています。(仮に、と金で3三の銀を取れば、銀桂交換の先手の駒得ですが、手数をかけて遊び銀との交換はあまり得とは言えません)
 そして、▲5六飛の局面で大きいのは手番が後手だという点。なので、後手に利のある局面だと私は考えたいです。
 具体的には、△6九銀▲6八金右△7八銀成▲同金△8四桂▲6七銀△6五金▲8六飛△7五金▲1六飛と飛車を追いやって、△1四歩(飛車の捕獲)や△2六歩(次に△7六桂)や△1九竜(次に△7六香)など有力な手が多いです。
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遅れすぎてしまった風景 その1 ~椿、チューリップ、パンジーなど~

2012-07-07 23:40:39 | 歳時
 遅れすぎてしまった花たちです。しかも、やはり「その1」です。

4月25日撮影 椿


 昨年も登場した椿です(4月27日記事(25日撮影)。2009年にも登場しています。

4月25日撮影 パンジー


 パンジーです。やはり昨年登場しています。5月13日記事(5月8日撮影)、4月14日記事(4月12日撮影)で、)。2009年にも先の椿と一緒に出ています。
 この時(昨年5月13日)にも書いていますが、パンジーやビオラはすごく長持ちします。

 上の写真から26日後の5月21日のものです。


 別の角度からです。


 衰えるどころか繁殖しています。
 最近、パンジーを見ていて思うのですが、ひげを生やしサングラスをかけたおじさんに見えるのですが、私だけ?



 そして、これがさらにひと月以上経った6月24日のものです。


 衰えを知りません。隣の赤い花も撮りました(6月24日)。(後日、花の名を調べます)→ゼラニウム


 じつはこの花も長命で

 こちら写真は4月25日のものです。

 ちなみにゼラニウムは①フウロソウ科テンジクアオイ属の多年草の総称で、①’園芸用のものを広くゼラニウムと呼んでいるようです。さらに、ややこしいことに②フウロソウ科フウロソウ属の属名として使われることがあるようです。

 そしてさらに、今日(7月7日)です。

 昨夜の嵐(暴風雨)で、かなり乱れていますが、まだ健在です。(ピントが甘いのは、今日も風が強かったからです。けっして腕のせいでは…)


5月2日撮影 チューリップ



5月2日撮影 つつじ



 友情出演(5月2日)シダ

 
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『双曲線』 中田章道七段作

2012-07-06 21:53:55 | 詰将棋

2012年2月24日 中日新聞系新聞出題、中田章道七段作。(5分で1級、10分で3級)

 例によって、勝手にタイトルを付けています。
 新聞紙上でのヒントは、コメント欄にてご紹介します。
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棋聖防衛、タイトル通算81期(通算タイトル獲得数歴代単独1位)

2012-07-05 23:21:04 | 将棋
 もともと激しい横歩取りの将棋が、挑戦者の中村六段の△8七歩から一気に激しく、そして複雑な将棋になった。
 お互いに踏み込みが良く、控室よりも読みの射程距離が長いように感じた。その中でも、羽生二冠は「やって来い」という指し手が見られ、特に▲8八歩~▲2四桂なんて怖くて指せない。
 また、終盤の▲3六飛はNBAのスパーズのジノビリのペネトレイトを彷彿させるチェンジ・オブ・ペースだった。
 やたら伸び伸び指しているなあと感じたが、気のせい?(名人戦でもこの強さを発揮して欲しかった)

 五番勝負はこれで羽生棋聖の3連勝で防衛、81期目のタイトル獲得となり、(故)大山康晴十五世名人が持つタイトル獲得数80期の記録を抜いた。
 大山名人の頃はタイトル自体も少なく、羽生二冠が大山名人を抜いたとは言い切れない。それでも、数字だけでも抜くということは凄いと思う。何しろずっとタイトル戦に出ずっぱりで、タイトルを奪われたら翌年奪い返した大山名人。全盛期がいつなのかも分からないほど第一人者をであり続け、第一人者の地位を中原名人に譲った後も長く第一線で活躍し続けた。そんな印象だったので、この記録が抜かれる日が来るなんては思いもよらなかった。

 と、書いているものの、羽生二冠が防衛を決めて思ったことは、記録更新よりこれで当面無冠の心配がなくなった!である。
 あくまでも小心者の羽生ファンである。

 これで棋聖位5連覇、11連勝。
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ロンドン五輪 バスケットボール女子最終予選 対カナダ戦 その2

2012-07-04 22:25:05 | スポーツ
 選手たちはもちろん、監督(ヘッドコーチ)、コーチ、マネージャー、トレーナーなどスタッフもよく頑張ったと思う。なので、部外者で素人の私からケチを付けられるいわれはないことは重々承知しています。関係者の方々、ファンの方々が、もしも、拙ページに目が止まってしまったら、「日本女子バスケットを愛する故の、八つ当たり的自己満足」だと思って、見逃して下さい。

 皆が全力を尽くし、最大限のパフォーマンスを発揮し、非常に惜しくて、そして残念な結果となってしまった。あと一歩だったため、疑問なベンチワークが強く感じられてしまった。

1.偏り過ぎた選手起用
 最終戦に感じたのは、これまで4戦より選手の動きが重く、リバウンドやルーズボールやパスキャッチなどの集中力がやや欠けていたように思う。
 その原因は、4戦の疲労の蓄積。特に低身長の日本チームのディフェンスは低さを動きでカバーする必要があり、他のチームより消耗度が激しい。4戦とも素晴らしいディフェンスだったのが、皮肉にも最終戦のスタミナ切れに繋がってしまった。
 今回の代表決定のシステムは、3戦目で代表権を得るチャンスが大きく、3戦目に強敵と当たるのを避けるため、できれば予選リーグを2連勝で通過したい。なので、2戦とも全力。特に1戦目(トルコ戦)を落としてしまった2戦目(プエルトリコ戦)は、これに負けると即五輪の道が断たれるという崖っぷち。これに勝ったので、第3戦目のチェコ戦には負けても、敗者復活戦を連勝すれば代表権を得られるという状況。
 チェコは世界ランク4位の強豪。なので、ここでは力をセーブして……などと、マンガ的大局的戦略が取れるわけもなく、当然全力でプレー。そして、素晴らしい頑張りで0-13の出だしから、3点差まで追い上げる大健闘。しかし、敗戦。結果的に一番疲れる負け方だったかもしれない。
 もちろん、マイナス面だけではなく、強豪を封じ込めたディフェンスや長身を潜り抜けるオフェンスなど、得るものも大きく、自信も付いたのではないだろうか。
 第4戦の敗者復活準決勝の韓国戦は、出来すぎの快勝し、第5戦の敗者復活決勝(カナダ戦)を迎えることとなった。
 振り返ると、改めて、がんばったと思う。そして、皮肉なことに、その頑張りが疲労の蓄積につながってしまった。

 ここで、問題を感じたのが、選手の起用法。日本は調子の良い選手や活躍している(相手に通用している)を使い続ける傾向が強い。特に、吉田選手と間宮選手。大神選手と高田選手もその使われ方が多い。大神は1戦目、高田は3戦目にベンチに下がっている時間が長かったが、これは休ませるためではなく、調子が悪かったためである。
 五輪の懸かる大事なゲームだから、ゲームをモノにしたいという気持ちもわかるし、その無理な要求に応えられる練習も積んできているはずだったが、あまりにもタフな5戦だった。多少プレータイムが短かった試合があった大神や高田や、他の選手も、目一杯な状態で頑張り続けた。そのツケが最終戦に来たのではないだろうか。
 控えメンバーも主力に劣らないレベルのプレーヤーが多く、彼女らをうまく使って1ゲームを通しての戦略を駆使しなければならなかった。バスケは選手のパフォーマンスを生かした戦術を組み立てることができる素晴らしい競技なのだから。

2.吉田と大神のポジション
 大神が素晴らしいポイントガード(以下PG)であることは間違いない。ただ、惜しむらくは故障上がりだった。疲労骨折から常人の倍以上のピッチで回復し、今大会に入っても故障の回復が進んだとは思えないが、プレー自体は上り調子だった。ペネトレイトもジャンプシュートも得意でシューティングガード(以下SG)もOK。
 吉田も一流のガードで、やはりどちらでもこなせる。大神のチームメイトで後輩なので、大神がPGなのでSGを務めることが多い。ボールキープ力もあり、大神がベンチに下がった時や故障の時は、十二分にPGをこなせる。パス捌きは大神以上で、ボールに対する集中力も抜群なのでリバウンドも多い。
 つまり、どちらもPGもSGもこなせ、局面によって臨機応変に対応できる。
 しかし、今回は大神が故障上がり、相手チームは長身が多いという特殊な状況なので、大神はパス回しに苦労し、吉田はシュートに苦労していたようだ。
 なので、今回は吉田がPGで大神がSGのポジションの方がチームが良く機能していた。

 最終戦は、韓国戦で大神の調子が良かったため、大神中心(大神がPG)のオフェンスになってしまった。もちろん、大神の個人技(シュート)で局面を打開したことも多かったが、今回の特殊な状況(長身相手、故障明け、疲労)では、1対1を仕掛けながら他のプレーヤーの動きを把握し、パスを回す余裕はなくなっていた。また、チームメイトも大神に頼ってしまう気持ちが強く、チームオフェンスが停滞する場面が多くなってしまった。
 吉田はPGの場合は、アシストパスが第一オプションで、チャンスがあれば自らシュートを討つタイプ。なので、チームメイトとしては吉田がPGの方が合わせやすく、チームオフェンスとしては機能していた。
 また、吉田は今回シュートに自信を失っていたようなので、彼女をSG(シューター)のポジションにするのはマイナスであった。
 この辺りをベンチが見極めて、指示を徹底して欲しかった。

3.タイムアウトが遅過ぎ
 チェコ戦0-13、カナダ戦0-11と出だしで、いきなり大劣勢に立ってしまった。チェコ戦でもタイムアウトが遅れ、出だしのビハインドが響いて、内容では上回っていたが負い切れなかった。
 カナダも長身チームなので、チェコ戦の二の舞にならないか心配したが、不安が的中してしまった。カナダのパワーに慣れずに押されることは想定できたので、あまり機能していなかった藤原をベテランで経験豊富な矢野に替えるか、スタメンを矢野にしてペースをつかむまで使うとかの策が欲しかった。それに、タイムアウトを取るのが遅過ぎた。

 本当に素晴らしい戦いぶりだった。なので、余計に惜しい……
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竜王戦決勝トーナメント システム考察と展望

2012-07-04 13:16:37 | 将棋
 竜王戦決勝トーナメントが始まった。
 6月29日の▲大石四段(5組優勝)×△永瀬五段(5組優勝)の開幕戦で大石四段が勝ち、今日、2回戦の▲稲葉六段(4組優勝)×△大石四段(6組優勝)戦が行われている。
 この決勝トーナメントは通常のトーナメントではなく、予選のクラスや各クラスの勝ち抜け方(順位)によって優遇度が違う。代表決定3番勝負に進出するには、1組優勝者は1勝でよく、5組と6組の優勝者は6勝が必要だ。(中継サイトはこちら
      
 トーナメント表が決定するたびに、「下位クラスから決定戦進出がない」と言われるが、この変則トーナメントでは至極当然な結果である。
 はっきり言って、決勝トーナメントと言っても、2回戦まで(4~6組代表者戦)は予選の延長のようなもの(対局料はアップするが)。
 そこを突破した4~6組の代表者1名が、1組の3名(5位、4位、1位)を連破してやっと挑戦者決定3番勝負進出である。5組、6組在籍者にとっては、竜王挑戦の可能性があるというだけで、その道は険し過ぎる。ここ6年間は、決定戦進出どころか、1組5位者にことごとく跳ね返されている。
 ただ、現行の予選の延長のようなシステムでは面白くない。クラスや順位の優遇性を残しながら、下位クラス対上位クラスの対抗となるような改善はできないものだろうか?

 さて、今回の顔ぶれを見ると、一言で言うと「地味」
 タイトル保持者(森内名人、羽生王位・棋聖、郷田棋王、佐藤王将)が予選で姿を消し、台風の目となりうる橋本八段は1組3位決定戦で敗れ、5組決勝では棋聖に挑戦している中村(太)六段が、6組決勝では菅井五段が敗れている。とは言っても実力者ぞろいのメンバーである。
 トーナメントの予想であるが、1組の深浦九段、丸山九段、三浦八段は実力的に甲乙つけがたいが、深浦九段が有力。個人的な好みや対渡辺戦を考えた場合の興味深さもあるが、単純に大シードの有利さが最も大きな根拠だ。
 右の山はクセ者ぞろい。応援したいのは藤井九段。トーナメントを勝ち抜くのも渡辺竜王を倒すのも難しいと思うが、王位戦挑戦の事もある。それに、藤井九段が竜王戦の大舞台で渡辺竜王にどういう将棋を指すのか観てみたい。谷川竜王からストレートで奪取し羽生五冠(当時)をフルセットで退けたあの当時の強さが、もしかしたら、もしかしたら復活するかもしれない。
 渡辺竜王×山崎七段も観てみたいが、私の予想は豊島七段。根拠は特になし。敢えて言うとしたら「予感」!(笑)。それと、通算勝率の高さ。192勝71敗、勝率.730、全棋士中1位!
 最後に本音を。やはり、トーナメントに羽生二冠がいないのは寂しい……
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