英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

良いところがない連敗が続く……2021A級順位戦 豊島竜王-羽生九段

2021-09-18 10:53:04 | 将棋
豊島竜王が対藤井戦で消耗しているかもという他力本願にすがったが……中盤の早い段階で不利になり、じりじり悪くなり、押し切られる。
そんな内容の敗局が続き、公式戦6連敗。先日放映された銀河戦(4月30日対局)も敗れているので、見た目上7連敗。対豊島戦もこれで7連敗。
順位戦も1勝2敗と黒星先行……


 将棋は相掛かり戦で、先手の豊島竜王が3五歩と押さえる展開となった(羽生九段が誘導?)。
 このままでは後手の角が使えないので、どこかで△3四歩と角交換を挑むことになるが、▲3四歩と応じられると、1歩損+3筋の拠点を与えることになるので、そのタイミングが難しい。


 第1図は▲6八銀と中央に左銀を利かせたところ。ただし、8八の利きがなくなり、△8八角成とされた時に▲同金となり、金が逸れると同時に離れ駒になるので、後手としては△3四歩と動くチャンスだ。
 しかし、羽生九段は46分の考慮で△7二玉と自重。
 名人戦棋譜速報の解説によると
「(1)△3四歩▲同歩△8八角成▲同金に△4四角は飛車金両取りだが、▲3五角(変化図)が玉をにらんでピッタリだ。ならばと(2)△7二玉とかわせば、▲2九飛と目標にしたい飛車に逃げられる。(3)△4二銀もどこかで指さないと陣形が発展しにくいが、▲2五銀以下の変化に見通しをつける必要がありそうだ」

 (1)の△3四歩からの変化図の展開にはやや否定的な見解だが、これはこれで難しいように思われる。
 変化図より後手としては△4二銀(次に△5三銀など、とにかく4、5筋に厚みを加えたい)や△2二銀(2筋の強化と▲6六角と打たれた時に香取りとならないよう備える)や△5五歩(次に△3五角▲同銀△3六歩▲同飛△2七角▲2六飛△5四角成の狙い)などが有力。どの手もはっきりポイントを挙げる進展にはならないが、先手も8八も金の離れ駒があり、▲7八金と形を整えるのは9九の香を取られる変化が残り(すぐには玉の素抜きがある)、後手も戦えるのではないだろうか?

 実戦は△7二玉▲7七角△6二金▲2五銀(第2図)と進んだが、この手の交換は先手が得したように思われる。

 以後の展開を見ると、やはり1図の局面で△3四歩を決行すべきだったように思う。
 △3四歩以下▲同銀△7七角成▲同桂△2二銀▲9五歩△同歩▲9三歩(第3図)と進む。
 まず、△7七角成▲同桂と手順に桂を跳ねられるのが大きい(桂頭は2六の飛車がカバーしている)。さらに、後手は2筋をカバーするため△2二銀と手を入れなければならなかった。しかも、2筋に銀が行くのは嬉しくない。
 さらに▲9五歩が▲7七同桂と連動した好便の継続手。

 その上、第3図となってみると、自陣を整備したはずの△7二玉は端攻めに近づいたことになっている。

 その後、羽生九段は端攻めを逆用し9四に香を呼び込み飛車で取ったが、豊島竜王は▲9五歩と叩き△同飛に▲4一角(第4図)と金銀両取りを掛ける。7~9筋の折衝中に▲7四歩△同銀を利かしたのが活きている。

 激痛の金銀両取りだ。羽生九段は飛車を成り込み△6三香以下左翼の金銀を犠牲に6筋~9筋の絡め手に活路を見出したが、1手遅れている感が付きまとう。


 第5図は▲金銀対△角の2枚替えで先手の駒得だが、手番を持っており、望みをつなげている局面だ。ただし、後手陣の6四と8四の空間が気になる。
 図以下、△9七香成~△8九角と攻め込んだが、△9七香成に▲6四香と打たれた手が厳しく、後手の非勢がはっきりしてしまった。
 △9七香成では△8三玉と後手が優位の7~9筋に身をゆだねて勝負すべきだった。△8三玉で弱点の一つの8四をカバーし、▲6四香と打たれた時に△7二金とかわすことができる。

 △9七香成は淡白だった。
 以後は、一見、寄せ合いに持ち込んだように見えるが、一手負けのレールに乗せられてしまった感じで、幾ばくもなく投了に追い込まれた。
 

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