英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

また獲ればいい… (2018竜王戦第7局)

2018-12-21 20:28:45 | 将棋
 表題(また獲ればいい)は他人だから言えることなのですが、私の正直な気持ちです。
 羽生さんにとっては非常に辛い状況で、喪失感、虚無感、脱力感、敗北感、無念さ、疲労などが渦巻いているのでは……時折、“心境を察するに余りある”という表現を耳にしますが、やはり、第三者には思い及ばないでしょう。
 、簡単に「また獲ればいい」とは声を掛けられないと思いますが、それでも、また、タイトルを奪取する日が来ると信じています。現に、タイトルを獲得する力を充分に有していると思います。

 とにかく、お疲れ様でした。広瀬新竜王、おめでとうございます。


 昼食休憩(第2図)後の指し手は△2二玉だった。羽生竜王らしい堂々とした一手で最善手かもしれないが、後の展開を見ると、“裏目”の第一歩だったような気がする。

 “玉が2二に移動すると▲4一角が生じる”のは羽生竜王も百の承知で、その対応も用意しての指し手であろう。羽生竜王は手順を尽くして金を入手し、その金を7五に打ち、先手の狙いである▲6三歩成を牽制した。▲6三歩成には△6七歩▲同飛△6五歩を用意)

 しかし、裏目図2では、6八の飛車が後手の成銀取りになっていて、△2七成香と後手を引かされるのが痛かった。この成香は先手の飛車を苛めるはずだったのに…しかも、2七に引いてもそれほど威力を発揮しない。

 その後、歩の叩きを駆使し、銀、歩を打って先手の飛車と馬を抑え込もうとしたが、裏目図3の▲3五銀が後手玉の死命を制した一着となった。

 後手は先の△2二玉の意を継いで△1二玉と垂らされた歩を払ったが、先手の馬と銀に急所を突かれる位置関係となる裏目。指し掛け図で威力を発揮しそうな馬が1四に居るだけとなっているのも皮肉(先手の馬とは対照的)。


 後手の玉頭をこじ開けておいての▲6六銀が決め手。
 只なのだが、金で取っても銀で取っても▲6六同飛と取られ、△同銀(同金)に取った金(銀)を2三に打ち込んで後手玉は詰み。裏目図1の▲4一角に対して△3一金と引いた為、2三が手薄になっているのも裏目…
 後手は△4四歩と先手の馬を攻めて抵抗するが、▲7五銀△4五歩▲6三飛成が決定的な一手。押さえ込みを図った金銀がぽろぽろ取られてしまった。先手の龍と後手の飛車の働きは雲泥の差。
 その後も、後手の駒はぽろぽろ取られていった……


 図の直前の▲7二金は歩頭の金打ち。しかし、これを△同歩は後手玉が詰む。△同飛なら▲同歩で受けなしなのだが、それにしても△1二銀は凄い。▲1二同成桂△同玉▲8二金と進み、桂1枚と飛車+銀の交換で大損。▲8二金と飛車を取られる手がなくても△1二銀は相当辛い手である。

……投了図。


 27年ぶりの無冠となってしまったが、名人位挑戦権争いのA級順位戦は5勝1敗で充分狙える位置。豊島二冠5勝0敗、広瀬竜王が4勝1敗と困難さを伴うが、名人位挑戦権を獲得し、佐藤天名人を破り、タイトル100期獲得すれば、これ以上ない復活のアピールとなる。
 この際、NHK杯と朝日杯で優勝し、名人復位に華を添えてほしいものである。
 

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2 コメント

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残念です (zoran)
2018-12-21 21:15:54
こんばんは。
コメントは久しぶりですが,いつも読んでいます。

2連勝でスタートし,先に王手をかけての失冠。
「残念です」としか書きようがありません。
私も名人戦での挑戦,復位を期待します。

しかし,振り駒が…。
下関市長をちょっと恨んでしまいそう。
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残念です その2 ()
2018-12-22 17:24:08
zoranさん、こんにちは。
コメント、ありがとうございます。

>2連勝でスタートし,先に王手をかけての失冠。
>「残念です」としか書きようがありません。

 第3局、第4局の逆転負けが痛かったです。
 竜王戦で3連勝4連敗した時の第4局、名人戦では佐藤天八段(当時)との第2局で終盤で頓死の逆転負け、王座戦第1局では中村太六段(当時)に大逆転負けを喫し、いずれも失冠(あるいは挑戦失敗)しています。
 そのどれもが、かなり、ダメージを負いそうな負け方で、羽生さんでも敗戦を引きずることがあるようです。
 それでも、今回は第5局を勝ち切り、踏みとどまるかと思ったので、ファンのダメージは2倍かもしれません。2度の逆転負けなのでもっとダメージは大きいかも。
 それでも、大きな敗局の後でも、立ち直ってきましたし、やや衰えを見せている最近ではありますが、勝局を見るとまだまだ棋力は健在のように感じます。

>しかし,振り駒が…。
>下関市長をちょっと恨んでしまいそう

 そうでしたか…下関市長のせいでしたか…。
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