ガーシー問題……“国会議員の身分は重い”とする思想・主義が引き起こす歪み

まず、ＮＨＫ党の立花党首について
　ＮＨＫ党の立花党首は８日、国会内で記者会見し、党首を同日付で辞任する意向を表明した。後任には元子役の大津綾香氏が就任し、党名を「政治家女子４８党」に変更するとも発表した。（また党名を変えるのか！）
　立花氏は、国会欠席を続ける同党のガーシー（本名・東谷義和）参院議員が同日の参院本会議を欠席し、参院から科された「議場での陳謝」の懲罰に応じなかったことを受け、「党の代表として責任を取らなければならない」と語った。
　立花氏「（ガーシー議員は）3月の上旬には帰国をし、登院をするとずっと申し上げておりましたが、この約束が反故（ほご）になりましたので、党の代表としては責任を取らなければならないということでの辞任ということでございます」
その一方で
「国会に出てきて暴言を吐いたり、暴れたり、議事進行を妨害するようなことであれば『除名』処分致し方なしでしょうけども、何か迷惑を掛けたのかは、いまだ分からないです」
　また、帰国しなかったことに関し「それはそれでいいと思っている」と述べている。

　責任を取って党首を辞任。……《さすがの立花氏もガーシー議員の行動に責任を感じているのか》と思ったが、次の言葉……反省していないようだ。迷惑を掛けていないと思うのなら、党首を辞任する必要はないであろう。でも、氏の言う事に一理あるとも感じている。

【以下は『産経ニュース』より引用】
　昨年７月の参院選で当選した後、国会に一度も登院していないＮＨＫ党のガーシー（本名・東谷義和）参院議員は外国から帰国せず、８日の本会議を欠席した。
　参院が求めていた、この日の議場での陳謝に応じなかったことで、尾辻秀久参院議長は「院内の秩序を乱すもの」として参院懲罰委員会に処分の審査を再び付託した。各党は最も重い「除名」を視野に検討に入った。【引用終】

　処分審査の対象が「院内の秩序を乱すもの」であることが、大きな問題。
国会議員を除名する要件としては
　「院内の秩序をみだした議員」（日本国憲法第58条第2項）、「議院を騒がし又は議院の体面を汚し、その情状が特に重い者」（参議院規則第245条）ぐらい。
　「一度も登院しないこと」が「院内の秩序を乱すこと」になるのか？……微妙である。

　《秩序…その社会・集団などが、望ましい状態を保つための順序やきまり》なので、「一度も登院しないこと」は「秩序を乱すこと」に該当するとも考えられる。（“該当しない”と主張することも可能？）
　その上、「院内」という表現が、これまた“あやふや”。
　「国会」ではなく「院内」と記されている。「院」とは何を指すのか？
　政治においては普通、「衆議院」「参議院」であろう。しかし、「参議院議員が本会議や予算委員会などの議論・審議を行う会議の場」、いわゆる「国会」を指すのか？それとも、「議員で構成される組織」なのか？
　「国会」ではなく「院内」と記されているので、前者とするのが妥当と考えられるが、言い切ることはできない。

　そもそも、登院しないなど国会議員としての職務・任務・責任を果たさないことに対しての除名規則がないのはどういうことなのか？
　この規定さえあれば、ガーシー議員の開き直りや立花氏の屁理屈など成り立たないのである。

　これに関連した事として、河井案里氏への歳費も憤りしか感じない。
　河井案里氏は、2021年２月に選挙違反事件で有罪判決が確定し、国会議員に当選したこと自体が無効となったが、 当選から有罪確定辞職までの約１年半に、4942万6514円が氏に歳費（給与）や期末手当（ボーナス）などが国から支払われている。
　案里氏は当選自体が無効になったというのに、議員活動の記録は残り、歳費を返納する義務はないという。
　しかも、4942万円の内2100万円は、逮捕された2020年6月以降、一度も国会に出席していない辞職するまでの８か月間に対するモノ。（勾留中の歳費を凍結したりすることができる法律の規定はない）
　詳しくは、NHK『NWES WEB』。

　まず、職務怠慢・職務放棄に対する厳罰化と、歳費の差し止め、返還などを整備すべきだ。

　でも、そんなことは、まず、実現しないだろうなあ。
　不祥事など、都合の悪い案件が生じたとき、真偽不明な病名で入院しても歳費が支払われる例がこれまでにも多数。そんなおいしい状態を、議員がなくすわけない。

　そう言えば、元維新の会・上西小百合議員も、前日に自民党の赤枝恒雄衆議院議員とともに居酒屋やショーパブをはしごして、本会議を欠席。それに関して週刊誌などに報じられ、当時の党首・橋下氏に議員辞職を勧告されたが、離党して辞職はしなかった。
　現在の議員に甘い制度だと、ガーシーなどの馬鹿な議員が続出し、税金の無駄遣いが為されるであろう。