英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

フリー女流棋士

2009-06-19 22:05:45 | 将棋
 周知の通りと思いますが、北尾女流棋士がLPSAを脱退して、「フリー女流棋士宣言」をしました。正式に脱退となったのは彼女が参加していたLPSA主催の棋戦が終了した6月15日とのこと。

 彼女のブログの6月1日の記事では(16日のブログで退会の詳細が書かれていますが、これについては後述)
「今後は日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会のどちらの団体にも所属しない、フリーの女流棋士として、対局はこれまで通り続けていくことを希望しております。また、将棋界のさらなる発展のため、幅広い普及活動を行っていく所存です」

 とあります。

 この時点の疑問点
①フリー女流棋士になって何がしたいのか?
②そもそも、フリー女流棋士ってどういうものなのか?


①フリー女流棋士になって何がしたいのか?

 彼女の夫、片上六段のブログによると
「彼女とたくさん話し合った結果、より自由な形でいままでの枠組みではできなかった活動をしていきたいという、彼女の意思を尊重することにしました」
とあります。
 なのでLPSAでの彼女の思いと組織の方針が一致しない何かがあったと推察されました。でも、「自由な形でいままでの枠組みではできなかった活動」とは、どういうものなのでしょう?

 あとは、これは邪推ですが、「どうぶつしょうぎ」のリケンに関することでもめたのかもしれないとも思いました。


②そもそも、フリー女流棋士ってどういうものなのか?

 「フリーの女流棋士として、対局はこれまで通り続けていくことを希望しております」が、「フリー女流棋士」って何?
 まあ、大体のどういうものかは想像ができますが、そういう制度や資格はなかったはず。いきなりフリー女流棋士宣言をしても、そのものが定義されていないのですから、筋が通りません。もし、宣言するのなら、せめて、自ら定義をする必要があったでしょう。

 それはさておき、「対局はこれまで通り続けていくことを希望」というのは、虫が良すぎるというのが第一感です。
 現在、公式戦とされている棋戦は、将棋連盟とスポンサーとの契約の上に成り立っていると思います。これは、将棋連盟が長年培ってきた財産です。だから、将棋連盟に属さない元女流棋士が公式棋戦に参加するのはおかしいです。
 本人もこれを理解して、お願いしているのだと思いますが、やはり虫がいいとしか思えません。
 羽生名人や谷川九段のように連盟に大きく貢献してきたのなら、そういう立場を認めると言うのは納得できるかもしれません。

もちろん、本人の事情も理解はできます。公式戦で成績を上げるのを第一としてきたはずですし、普及の面から考えても、現役棋士というほうが何かと都合がいいです。
 ただ、それを望むなら、やはり組織に残るべきでしょう。組織を飛び出して、従来の待遇を望むのは甘いです。組織にいる制約と組織からの保護、相反する要素を考慮して決断をするべきで、北尾女流棋士の「フリー女流棋士宣言」はわがままであるとしか思えません。


 こういう批判ももちろん予想しての彼女の行動で、私戸の部外者が批判しても仕方がないかなと思っていたら、新たな動きがありました。

 まず、北尾女流のブログの『退会』(6月15日記事)です。

 それによると、LPSAの運営方針と彼女の思いがずれてきてしまったことが理由とのことです。
 LPSAを立ち上げた際、分裂したがまた女流全員が一つになることを目標としてきたはずだが、最近の連盟とLPSAのやり取りを見ていると、そうは思えず、北尾女流棋士は理事として棋士としてその方向修正に努めたが、どうにもならず、今後はフリーの女流棋士として活動していくと述べています。

 でも、フリーとして活動していくことが、女流が一つになることにつながるとは思えませんし、具体的な方針、活動も語られていません。
 これでは、単に、組織に嫌気がさして飛び出してしまったとしか思えません。


 さて、もうひとつ、動きが。
 マイナビ女子オープンサイト(6月18日)にて、
マイナビ女子オープン フリー女流棋士の出場について

第3期マイナビ女子オープンが7月25日の公開一斉予選対局をもって開始されるにあたり、所属団体から独立したフリー女流棋士の出場について、主催三者で協議の上、以下のように決定いたしましたことを発表いたします。

当棋戦への対局を希望するフリー女流棋士に対して、円滑な棋戦運営を継続するため、以下の条件のもとに出場を認めることといたします。

当該棋士本人と日本将棋連盟又は日本女子プロ将棋協会が公認フリー棋士として1期ごとに契約をすること。

北尾まどか女流初段については、日本将棋連盟が公認したフリー棋士となるため、マイナビ女子オープンへの出場を承認いたします。

北尾まどか女流初段より
「フリーの女流棋士にも出場権を認めて下さいましたマイナビ女子オープン主催者の格別のご高配に心より感謝いたします。せっかく与えていただいた機会をいかせるよう、全力を尽くして対局に臨みます」

株式会社 毎日コミュニケーションズ
社団法人日本将棋連盟
一般社団法人日本女子プロ将棋協会>



 棋戦開催が迫っていたとはいえ、こんなに簡単に認めてしまっていいのでしょうか?
 今後、「それなら私も」と「フリー女流棋士宣言」をする女流が現れたらどう対処するのでしょうか?
 もし、二人目が現れた場合、これを却下した場合、「北尾女流がよくて、どうしてわたしはいけないの?」と反論されたらどうするのでしょうか?
 対局料半額、今後一年間で何勝以上とかの資格維持条件などを設けたのでしょうか。それなら納得、牽制できるかもしれません。また、宣言資格取得条件としてタイトル3期保持など決めたのでしょうか?

 今回の連盟の対応は、ずさんとしか言えません。


 LPSAのフリー女流棋士に対する見解が出されていました。
『フリー女流棋士の対局権利に対するご説明』(6月16日)

 LPSAは「フリー女流棋士」という立場(資格)については、かなり疑問視しているように感じられます。
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2 コメント

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どちらにしても・・・ (勝手新四朗)
2009-06-19 23:29:44
LPSA所属の棋士はどちらにしても弱すぎます。
いくらなんでも、アマ相手に負けすぎでしょう。中井、石橋しか期待できないようでは先が見えています。一本化すべきでしょうね。
日レスインビテーションカップ (英)
2009-06-20 17:14:29
 勝手さん、こんにちは。

>いくらなんでも、アマ相手に負けすぎでしょう

 日レスインビテーションカップのことですね。
 LPSAツアー女子プロ(LPSA棋戦だけに参加できるらしい)をセミプロ、つまり、アマチュア側とすると、LPSA対アマの対戦結果がプロ側の0勝8敗という“ていたらく”でした。
 LPSAだけでなく、女流棋士のなかには、プロと呼ぶには非常に抵抗のある方がかなりいると思っていましたが、今回の結果はひどすぎますね。

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