少し遅くなりましたが、私の頭を整理する目的で考えたいと思います。
★事件の認識、対応
まず、外務省や政府は「今般の事案は中国漁船による公務執行妨害として、日本の法令に基づき厳正かつ粛々と対応」と述べている。
この問題は2つの観点が絡み合っている。ひとつは中国漁船が逃げる際、2度も舟を衝突させたこと。しかも、斜め後方から衝突している点は、逃亡というより挑発行為のようにも考えられ、悪質と判断した。
もう一つは、その事件が日本の領海とされている尖閣諸島で起こったこと。この海域は、近年(地下資源が豊富であるとわかった後)、この海域は中国の領海であると主張し始め、両国の摩擦点になっている。
中国側とすれば、自国の領海を操業していた漁船が拿捕され船長が不法に拘留されたと考えている。この際、衝突したのは単なる事故と考え、その件については無視している。
日本側は、先述したように故意に海上保安庁の巡視船に衝突させたことに重きを置いて、領海侵犯については流している(あえて言及しない)。前原外相も「東シナ海においては領土問題は存在しない」も何度もこう発言している。
尖閣諸島については、長年沖縄県民が漁場として活用していた事実、国際的からも日本の領海と認知されているようだ。中国でさえ資源の確認以前の教科書の地図には中国の領海に尖閣諸島は含まれていなかった。
尖閣諸島の領海の線引きはともかく、両国の主張観点が食い違っているのが、一つの要因である。船長釈放後、中国の謝罪と賠償の要求に対して、公務執行妨害について処置で、「中国の要求は何ら根拠なく受け入れられない」という述べている。 日本政府としては、尖閣諸島領海問題を真っ向から受け止めて、「日本の領海」だと主張するよりも、既成の事実として取り合わない姿勢の方が得策だと考え、公務執行妨害として扱い、中国への返答も領海侵犯については深く触れなかったのだろう。
ただ、あまり領海侵犯について問わず、「公務執行妨害」を主張すると、「じゃあ尖閣諸島に侵入することは、不問にするんだね」と突っ込まれそうで、それがさらに、あいまいな表現になったと推測される。だいたい「粛々と」って、日本人にもよくわからない(中国にはもっとわからない)。結果的には「しくしくと(泣いている)」した結果になってしまった。
中国側にとっては、中国の領海で日本が勝手に拿捕拘留した行為について批難しているのだから、それについて言及しないと、話が噛み合わないであろう。
噛み合わせるには、ビデオを公開するのが一番有効だと思うが、なぜしないのだろうか?裁判の証拠となるものなので、非公開というが、裁判にするのが困難だったのなら、開示して説明すればいい。
★検察が独自に判断
まず、逮捕するまでに時間を要した。この間、政府と対応を協議したと思われる。国際問題に発展する事案を、地検が独断できるはずがない。
釈放についても、政治判断や介入がないとしているが、これも同様で考えられない。
「司法の独自性」を重視したとも言えるが、日本国内にとどまらない問題なので、それを貫くのは無理が生じる。実際、法律でもそういう事態を想定して、法律より実際問題が優先されるとしている。
そういうものがなくても、今回の場合、政治的判断があったとしても、国民はある程度理解できるだろう。
しかし、判断の責任を検察に押し付けているように思わせるような、今回の政府の言動だった。
それはともかく、今回、地検が独自で判断したとは到底考えられない。今回の政府の大きな失点は、政府(首相・大臣)の言葉が信用できないと認識されたこと。
★圧力に屈した日本
主な今回の中国の圧力
①日本大使の緊急呼び出し(4回)
②東シナ海ガス田開発の交渉延期
③日本への団体旅行自粛(交流事業の停止)
④閣僚級の交流停止
⑤温家宝首相「さらなる対抗処置」を明言
⑥レアアースの輸出停止(その他の輸出も検査が厳しくなった)
⑦フジタ社員拘束
そして、釈放。
この直前に前原外相がアメリカのクリントン国務長官から「尖閣諸島は日米安保の対象内」という言葉を引き出している。これは、一応の中国への牽制とも取れるが、アメリカをどこまで信用していいのか、中国にどれだけ有効なのか、疑問である。
今回の件で、国際的に「日本はすぐ圧力に屈する国」というイメージを持たれてしまった。「すぐに」というのは、当事者にとっては適当な言葉ではないかも知れないが、第三者にとってみれば「すぐに」という印象だろう。
さらに、中国(政府、中国国民)にこういう感触を持たれてしまったのは、非常によくない。今後も、日本にはこういう方法(特に経済措置)が有効だと思われ、行動がとられることが考えられる。
特に尖閣諸島に関しては、どんどん中国漁船がやってくる。拿捕されても無罪放免されたのだから。
首相には「領海に侵入して漁場を荒らしたうえ、巡視船に体当たりをくらわした船長を懲らしめたが、中国が釈放を嘆願したため、それを考慮して釈放した」と公言してほしかった。
★中国の評価
中国政府としては、今回の件にあたり、対話を求めた。
①がそれに当たり、4回も行っている。しかも、外務次官→外相→副首相(級)と位を挙げてきている。
それでも「粛々」としか対応しないものだから、対抗措置をとったと考えられる。
今回、中国の強行態度が功を奏したようだが、中国の国民性を国際的に顕著にしてしまった。
中国は儒教の国だから人格的にも尊敬できると思っていたのは、とうの昔のことだが、国際的にも嫌悪感を抱かせる行為だった。
中国の国民性については、いろいろ書きたいことが多いが、長々と良くないことを書いてしまいそうなので自粛。
ただ、ひとつだけ。
割箸の原木を切り出すのに、世界各国に出かけ、森林を丸裸にしていく中国商人。「森林破壊についてどう思うか」の問いに、堂々と「そんなことは知ったことじゃない」と言ったその表情、言葉は忘れられない。
【追伸】
(アメリカに泣きついて収拾を図ろうとした)前原大臣は、「同じような問題が起きた時には、日本はしっかりと毅然と対応していく」と、述べている。
「毅然」という言葉を、辞書で引いてください。
この方、今日(3日)の報道番組で、今日の事態に陥った責任を追及されて、「これからの日中関係をよいものにしていくことこそが、我々(政府)の責任だ」という趣旨(具体的な言葉はあやふやです)の発言をしました。
結局、過去については責任逃れ(知らんふり)か。
★事件の認識、対応
まず、外務省や政府は「今般の事案は中国漁船による公務執行妨害として、日本の法令に基づき厳正かつ粛々と対応」と述べている。
この問題は2つの観点が絡み合っている。ひとつは中国漁船が逃げる際、2度も舟を衝突させたこと。しかも、斜め後方から衝突している点は、逃亡というより挑発行為のようにも考えられ、悪質と判断した。
もう一つは、その事件が日本の領海とされている尖閣諸島で起こったこと。この海域は、近年(地下資源が豊富であるとわかった後)、この海域は中国の領海であると主張し始め、両国の摩擦点になっている。
中国側とすれば、自国の領海を操業していた漁船が拿捕され船長が不法に拘留されたと考えている。この際、衝突したのは単なる事故と考え、その件については無視している。
日本側は、先述したように故意に海上保安庁の巡視船に衝突させたことに重きを置いて、領海侵犯については流している(あえて言及しない)。前原外相も「東シナ海においては領土問題は存在しない」も何度もこう発言している。
尖閣諸島については、長年沖縄県民が漁場として活用していた事実、国際的からも日本の領海と認知されているようだ。中国でさえ資源の確認以前の教科書の地図には中国の領海に尖閣諸島は含まれていなかった。
尖閣諸島の領海の線引きはともかく、両国の主張観点が食い違っているのが、一つの要因である。船長釈放後、中国の謝罪と賠償の要求に対して、公務執行妨害について処置で、「中国の要求は何ら根拠なく受け入れられない」という述べている。 日本政府としては、尖閣諸島領海問題を真っ向から受け止めて、「日本の領海」だと主張するよりも、既成の事実として取り合わない姿勢の方が得策だと考え、公務執行妨害として扱い、中国への返答も領海侵犯については深く触れなかったのだろう。
ただ、あまり領海侵犯について問わず、「公務執行妨害」を主張すると、「じゃあ尖閣諸島に侵入することは、不問にするんだね」と突っ込まれそうで、それがさらに、あいまいな表現になったと推測される。だいたい「粛々と」って、日本人にもよくわからない(中国にはもっとわからない)。結果的には「しくしくと(泣いている)」した結果になってしまった。
中国側にとっては、中国の領海で日本が勝手に拿捕拘留した行為について批難しているのだから、それについて言及しないと、話が噛み合わないであろう。
噛み合わせるには、ビデオを公開するのが一番有効だと思うが、なぜしないのだろうか?裁判の証拠となるものなので、非公開というが、裁判にするのが困難だったのなら、開示して説明すればいい。
★検察が独自に判断
まず、逮捕するまでに時間を要した。この間、政府と対応を協議したと思われる。国際問題に発展する事案を、地検が独断できるはずがない。
釈放についても、政治判断や介入がないとしているが、これも同様で考えられない。
「司法の独自性」を重視したとも言えるが、日本国内にとどまらない問題なので、それを貫くのは無理が生じる。実際、法律でもそういう事態を想定して、法律より実際問題が優先されるとしている。
そういうものがなくても、今回の場合、政治的判断があったとしても、国民はある程度理解できるだろう。
しかし、判断の責任を検察に押し付けているように思わせるような、今回の政府の言動だった。
それはともかく、今回、地検が独自で判断したとは到底考えられない。今回の政府の大きな失点は、政府(首相・大臣)の言葉が信用できないと認識されたこと。
★圧力に屈した日本
主な今回の中国の圧力
①日本大使の緊急呼び出し(4回)
②東シナ海ガス田開発の交渉延期
③日本への団体旅行自粛(交流事業の停止)
④閣僚級の交流停止
⑤温家宝首相「さらなる対抗処置」を明言
⑥レアアースの輸出停止(その他の輸出も検査が厳しくなった)
⑦フジタ社員拘束
そして、釈放。
この直前に前原外相がアメリカのクリントン国務長官から「尖閣諸島は日米安保の対象内」という言葉を引き出している。これは、一応の中国への牽制とも取れるが、アメリカをどこまで信用していいのか、中国にどれだけ有効なのか、疑問である。
今回の件で、国際的に「日本はすぐ圧力に屈する国」というイメージを持たれてしまった。「すぐに」というのは、当事者にとっては適当な言葉ではないかも知れないが、第三者にとってみれば「すぐに」という印象だろう。
さらに、中国(政府、中国国民)にこういう感触を持たれてしまったのは、非常によくない。今後も、日本にはこういう方法(特に経済措置)が有効だと思われ、行動がとられることが考えられる。
特に尖閣諸島に関しては、どんどん中国漁船がやってくる。拿捕されても無罪放免されたのだから。
首相には「領海に侵入して漁場を荒らしたうえ、巡視船に体当たりをくらわした船長を懲らしめたが、中国が釈放を嘆願したため、それを考慮して釈放した」と公言してほしかった。
★中国の評価
中国政府としては、今回の件にあたり、対話を求めた。
①がそれに当たり、4回も行っている。しかも、外務次官→外相→副首相(級)と位を挙げてきている。
それでも「粛々」としか対応しないものだから、対抗措置をとったと考えられる。
今回、中国の強行態度が功を奏したようだが、中国の国民性を国際的に顕著にしてしまった。
中国は儒教の国だから人格的にも尊敬できると思っていたのは、とうの昔のことだが、国際的にも嫌悪感を抱かせる行為だった。
中国の国民性については、いろいろ書きたいことが多いが、長々と良くないことを書いてしまいそうなので自粛。
ただ、ひとつだけ。
割箸の原木を切り出すのに、世界各国に出かけ、森林を丸裸にしていく中国商人。「森林破壊についてどう思うか」の問いに、堂々と「そんなことは知ったことじゃない」と言ったその表情、言葉は忘れられない。
【追伸】
(アメリカに泣きついて収拾を図ろうとした)前原大臣は、「同じような問題が起きた時には、日本はしっかりと毅然と対応していく」と、述べている。
「毅然」という言葉を、辞書で引いてください。
この方、今日(3日)の報道番組で、今日の事態に陥った責任を追及されて、「これからの日中関係をよいものにしていくことこそが、我々(政府)の責任だ」という趣旨(具体的な言葉はあやふやです)の発言をしました。
結局、過去については責任逃れ(知らんふり)か。
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