英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『特捜9』 第1話「一万年の殺人」(初回拡大SP)

2018-04-18 17:01:10 | ドラマ・映画
充満するモヤモヤ感
 確か、前シリーズ『警視庁捜査一課9係』では“9係”存続で終わったはずだが、メンバーは散り散りになっており、警視総監(里見浩太朗)が宗方朔太郎(寺尾聰)に特別捜査班の結成を命じ、9係メンバーが再集結するという展開。
 浅輪直樹(井ノ原快彦)に声が掛かったが、浅輪も乗り気ではなさそう。それでも、メンバーに呼びかけるが、皆、冷めた反応………

 1年前、9係が解散に追い込まれ、その件がメンバーに暗い影を落としているらしい。しかし、その事件とはどういうモノだったのかが全く語られないので、メンバーのウジウジ感が際立ってしまった。よほど、痛い思いをしたと想像できるが、他の部署に移ったとしても縦社会の不条理やや諸々のしがらみの影響を受けるのは変わらないはず。
 それなら、しがらみに囚われない捜査を目指す“特別捜査班”でメンバーたちと共に捜査をしたいと思うのではないだろうか?


加納倫太郎(渡瀬恒彦)の抜けた穴
 内閣テロ対策室長の任についているという設定。
 加納倫太郎の扱いが非常に難しかったのは、想像に難くない。殉職、あるいは事故死とするのが無理がないと思うが、どうしても渡瀬さんの死去を連想してしまう。他の俳優さんが演じるのも、長年“加納倫太郎=渡瀬恒彦”が定着しているので難しそう。で、中途半端かもしれないが、テロ対策室に出向という形を継続させたのだろう。渡瀬さんに敬意を表する意味もありそうだ。

 とは言え、1年前の事件で9係が解散に追い込まれた際、加納倫太郎が何も動かなかったのは不自然過ぎる。9係存続を懸けての行動をとったのなら、テロ対策室に留まっているとは考えにくい。
 まあ、その辺りは目を瞑るべきなのだろう。
 しかし、実際問題……ドラマとして加納倫太郎が不在なのは大きい。
 被害者の対人関係や凶器やアリバイなどの捜査は他のメンバーに任せ、さして重要とは思えない遺留品や現場の置物の位置など変わった観点から真相に迫るという刑事ドラマの裏定跡を実践する役割を加納倫太郎が担っていた。
 前シーズンは実質、倫太郎不在なので、その役割を浅輪が務めていた。確かに、浅輪は倫太郎と捜査を共にしていたので不自然ではないが、浅輪の比重が大きくなってバランスが悪くなっていた。今回は主任も任せられたので、その危惧は更に大きい。それで、倫太郎不在の分を宗方にも補わせようとしたのだが、うまくいくか今後を観ないと分からない。風変りという点では倫太郎と共通しているが、倫太郎との違いを出そうという意図を感じるが、あまりそれを意識しすぎると空中分解の怖れもある。

 また、倫子(中越典子)はようやく結婚して、“浅輪”姓になっていた。
 ドラマ初期の頃は、父娘の断絶(一方的に娘が敵視していた)がテーマの一つであったが、シリーズを重ねるにつれ、倫子の倫太郎への理解が深まり有耶無耶になっていった。
 その代わり、各シーズンの特徴を出すために、職場や人生観などの設定に変化を付けた。それに振り回される浅輪君が気の毒だなと思ったが、演じさせられた中越さんも気の毒だった。
 結局、渡瀬さんの死去により、加納父娘の円満収束も観ることはできなかった。


 という訳で、モヤモヤ感が充満する新シリーズ開始だった。
 まあ、それは仕方がないと思うが、
肝心のストーリーが満足には程遠いモノだった。

1.「外傷なし」って?
 監察医・早瀬川(原沙知絵)によると「外傷なし」だが、犯人・井出教授(宮川一朗太)ともみ合い頭部を強打し気を失った。
 しかも、研究助手?のふたりを呼び出し、殺害させるまで長時間気絶していたのだから、何らかの痕跡は残りそうだ。

2.杜撰な現場検証
 被害者の靴を履いて被害者を現場に運んだとは言え、もう一人の足跡、台車か一輪車の跡など、偽装工作の痕跡は残りそう。

3.手下(研究助手)の選択
 過去の犯罪(発掘物の捏造だったかな?)を脅されたとはいえ、死体遺棄ならともかく(“ともかく”という表現も変)、殺害まで引き受けるものだろうか?
 倫理的な罪の重さ、刑法的罪の重さなどを考えて、しかも、共犯立場がもう一人おり、普通は相談して踏みとどまるだろう。

4.間抜けな捜査
 被害者は妊娠していた⇒では、相手は誰?
 青柳(吹越満)に指摘されるまで考えないとは!


 捜査に参加しなかった退職した青柳(実際は退職願は保留になっていた)に、活躍させるための苦肉の策かもしれないが……

脚本は深沢正樹氏
私の中では“要注意脚本家”(警戒脚本家に格上げ間近)。
過去に、以下の記事で酷評している。
………『木を隠すなら森の中』というありふれたトリックを披露したかっただけとしか思えない。 

『再捜査刑事・片岡悠介9』
土曜ワイド劇場「西村京太郎サスペンス 鉄道捜査官 (16)」 富士河口湖・同窓会ツアー連続殺人!
『警視庁捜査一課9係 season12』シーズンを通じての感想記事だが、2話が酷かった
狩矢警部シリーズ 第13作「京都人形浄瑠璃殺人事件」(2014年作品の再放送・記事は2018年2月)


【ストーリー】番組サイトより
 拳銃を手に宝石店を襲撃、逃走した2人組の強盗犯を追う浅輪直樹(井ノ原快彦)。現在の肩書は渋谷中央警察署刑事課主任だ。走る直樹は目の前に突然現れた若い男と接触し倒れてしまうが、男は直樹を羨望の眼差しで見返すと新宿中央署の新藤亮(山田裕貴)と自己紹介、直樹とともに追跡を開始する。
 とあるショッピングモールに逃げ込んだ犯人を見つけた直樹は、ゆっくりとその距離を狭め…一般客に害が及ばないよう気遣いながら、見事に強盗犯の身柄を確保する。

 翌日、直樹が今では妻となった倫子(中越典子)と話していると人事から呼び出しの電話が入る。警視総監室に向かった直樹は、神田川警視総監(里見浩太朗)から、しがらみに左右されず初動捜査から送検まで一手に行うチームとして「特別捜査班」を立ち上げると聞かされる。そこには、班長に任命された男・宗方朔太郎(寺尾聰)の姿があった。
 さっそく「特捜班」の部屋をあてがわれるが、メンバーは宗方と直樹の2人きり…。宗方から「特捜班」のメンバーを集めるように言われた直樹は、さっそく志保(羽田美智子)に声をかけるが、「うまくいかないんじゃないかな?」と断られてしまう。村瀬(津田寛治)は電話にも出てくれず、話を聞いてくれたのは矢沢(田口浩正)だけ。更に、矢沢によると青柳(吹越満)は警察を辞めてしまったという。そこで、直樹は矢沢とともに青柳に直談判をしに行くが、「戻っても同じ事の繰り返しだろ?」と言われてしまう。

 そんな中、東中野署の村瀬から「特捜班」への“出動要請”が入る。事件は縄文土器の発掘現場で美穂(実咲凜音)という大学講師の遺体が発見された、というもの。そばには青酸性の毒物が入っていたと思われるビンが落ちており、警視庁捜査一課は服毒自殺と判断。後処理を村瀬らに押し付けたというが、村瀬はその判断に納得していないらしい。

ゲスト:井出博光(いで・ひろみつ)………宮川一朗太
    木場伸一(きば・しんいち)………堀池直毅
    野村美穂(のむら・みほ)………実咲凜音

脚本:深沢正樹
監督:杉村六郎

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