至極残念な最終回だった……
桜木泉(上戸彩)の失踪、その因となった“ミハン”テストケース0号事件など、一応のつじつま合わせはなされていた。さらに、“ミハン”チームが0号事件を調査しその経緯や背景を辿っていく過程は面白かったが……
ほぼ立っているだけの桜木泉(上戸彩)
0号事件から死亡偽装までの1年間
・同僚の赤川刑事(須田邦裕)の爪から宇佐美(奥野瑛太)の肉片を採取しただけ
・「桜木さんはなぜか、国際的誘拐組織を追っていた」という小田切の言葉はあるが、国際的誘拐組織は関係ないように思う。(関係ないとすると小田切の“なぜか”という言葉は本質を突いている)
死亡偽装から姿を現すまで
ほとんど何もしていなかったような気が……
途中から9話で監視映像で確認されるまで登場シーンはないし、「すべての証拠を私はあの男に突きつける」と井沢(沢村一樹)に意気込んでいたが、すべての証拠って爪から採取した肉片以外に何か提示したのか?
偽の遺体にミハンデータ(0号事件)のマイクロSDを忍ばせていたようだが、井沢たちが調べた情報以上のモノはなかった。と言うより、井沢が東堂に語っただけで、いつそれを見つけたのだろうか?(私が見落としただけ?)
唯一の活躍と言えば、山内(横山裕)を救出したことだけ。他に見せ場として、意味深なセリフと長嶋(北大路欣也)とのやり取り。しかし、これも疑問や異議を感じた(後述)
資料課分室で井沢と東堂(伊藤淳史)のやりとりを傍観
「話させてくれっ! 東堂定春と」と井沢に頼まれ、資料課分室で見届ける(それでいいのか?)
なにか重要な情報や井沢の心を溶かすような言葉を発するのかと思って観ていたら……
………「殺せばいい」って(笑)
東堂が襲撃され、井沢が怒り心頭で警察庁次長の町田(中村育二)の元に行き、暴行、射殺しようとする。この時に、泉が井沢を制止する、あるいは、井沢の心を溶かし、説得するのかと思いきや、やはり見ているだけで、何も言わず立ち去る……
意味深な泉の台詞だが…
「あなたは…“ミハン”に組み込まれた人間」
「もう刑事ではいられない。罪を犯してでも、やらなければならないことがある」(元刑事のグエンno
証言)
「多くの犠牲が生まれました。最後にあの男を捕まえたら、私は真実を明らかにします」
「真実を明らかにすれば、救えたはずの命がこぼれていく」
何か深い事情や、断固たる決意を思わせる台詞だが、意味深なだけ。
罪を犯したと言っても、結果的には死体偽装と密入国と拳銃所持ぐらい。
“多くの犠牲が生まれた”っても、捜査ミスがそもそもの原因だよね。
上記の最後の台詞の“救えたはずの命がこぼれていく”は“救えるはず”ではないのだろうか?
この台詞の意味は、≪真実、つまり、“ミハン”テストケース0事件は冤罪だったということを公にすると、“ミハン”システムは凍結または廃止になり、ミハン捜査で救えるはずの命が失われてしまう≫と解釈したのだが、それだと“救えたはずの命”という過去形はおかしい。
過去形にしたのは、“過去の重大の秘密”を匂わしたかったという小細工に思えてしまう。
都合の良い正義論
「正義に正しいも間違いもない。
立場が違えば、その正義も変わる。
おまえの信じる正義を貫けばいい」
「突き進んだ先に何があるのか…そこに行った者でしか分かららない。
俺はお前を信じるよ。たとえどのような結果になろうともな」
『正義』というのは曖昧で便利な言葉で、『正義』という名のもとに非道な行為がなされてしまったことが多い。
「立場が違えば、その正義も変わる」という言葉は間違いではないと思うが、“正義”という言葉は言葉としてのパワーが大き過ぎる。私は“正義”ではなく“優先順位”に言い換えたい。
「おまえの信じる正義を貫けばいい」……これって危険な考え方だ。極端なことを言えば、「テロリスト」に通じる。≪正義はいろいろあるから、お前の好きなようにやれば良い≫と言っているんだよ。
しかも、「突き進んだ先に何があるのか…そこに行った者でしか分かららない。俺はお前を信じるよ。たとえどのような結果になろうともな」って、≪どんな結果になるか分からないが、突っ走れ!≫と言っているんだよ。もっと、慎重に深く考えるよう諭してほしいものである。
中途半端な東堂のあつかい
良い人だったのは間違いないが、最後まで良い人にしてしまったのはどうか?
テストケース0で、爆破による大量殺害未遂犯として証券社員・谷口(斉藤佑介)を射殺してしまったのは重大過失で、さらに、隠蔽の為、赤川刑事と井沢の家族が殺害され、守る対象の支店長・相馬和久(羽田真)も結局、交通事故に見せかけて殺害されてしまう。
谷口の弟、婚約者(相馬の娘でもある)も不幸にしている。
現在も“役立たず”に近いミハンシステムだったが、テストケース0では“ポンコツ”だった
赤川刑事や井沢の家族の殺害については直接かかわっていなくとも、一連の事件を隠蔽し、さらに、妻と娘を殺害の原因を作り、その死の真相を隠して素知らぬ顔で、井沢を部下としてこき使う……“人間失格”もいいところである!
東堂を許した井沢も心が広過ぎ!
大魔神+貞子の井沢
大魔神の如く、警察庁次長・町田の部下たちをなぎ倒し、捻り潰す井沢。
次長を撃ち殺す衝動と葛藤する井沢の目は貞子のようだった。
役者としての沢村一樹の凄さを見た。
【その他の突っ込み処】
・有耶無耶になった誘拐ビジネス組織
・けっこう時間的に切迫していたのに、ベトナムまで行くのか?
・南(柄本時生)に思いを寄せる板倉麻衣(田中道子)、このふたりの顛末は?
・松永義正を「危険人物検知」、この時だけは滅茶苦茶、有能
・後ろを歩いていたはずの松永義正。前方から襲撃するとは!?
第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話、第7話、第8話、第9話、最終話
【ストーリー】番組サイトより
井沢(沢村一樹)は、誘拐ビジネスを手がける犯行グループに拉致された山内(横山裕)の救出に向かう。するとそこに、ベトナムで死んだはずの桜木泉(上戸彩)の姿があった。桜木はすでに犯人たちを倒して拘束していたが、何故か井沢に銃を向ける。「あなたは、ミハンに組み込まれた人間?」。桜木は憎しみの眼差しで井沢にそう告げると、現場から立ち去る。
井沢は、桜木がミハンを知っていたこと、彼女の上司だった長嶋(北大路欣也)が資料課を探っていたことに触れ、何か知っているのか、と東堂(伊藤淳史)に尋ねる。すると東堂は、新たな危険人物を表示する――それは、「桜木泉」。
死んだと偽装し、日本に潜伏する彼女は、いったい誰を殺そうとしているのか!?
桜木泉を捜査することになったミハンチーム。すべての発端はベトナムにある。ベトナムへと向かった井沢と山内は、桜木の事件を担当した元刑事のグエン(フォンチー)に接触する。
捜査していく中で、桜木は、証券会社社員の谷口正博(斉藤佑介)を追っていたことがわかる。谷口は、日本からベトナムに赴任した同社の支店長とその娘・由紀子(桜井ユキ)を爆発物を使って殺そうとしていた。谷口を射殺してそれを食い止めたのが、井沢の妻の元同僚だった刑事・赤川武志(須田邦裕)だった。
だが事件後、赤川はホテルの屋上から転落死し、その翌日、桜木も失踪していた。――謎が深まる中、ミハンと桜木の意外な繋がりが浮かび上がってきて……。
脚本:浜田秀哉
演出:城宝秀則
桜木泉(上戸彩)の失踪、その因となった“ミハン”テストケース0号事件など、一応のつじつま合わせはなされていた。さらに、“ミハン”チームが0号事件を調査しその経緯や背景を辿っていく過程は面白かったが……
ほぼ立っているだけの桜木泉(上戸彩)
0号事件から死亡偽装までの1年間
・同僚の赤川刑事(須田邦裕)の爪から宇佐美(奥野瑛太)の肉片を採取しただけ
・「桜木さんはなぜか、国際的誘拐組織を追っていた」という小田切の言葉はあるが、国際的誘拐組織は関係ないように思う。(関係ないとすると小田切の“なぜか”という言葉は本質を突いている)
死亡偽装から姿を現すまで
ほとんど何もしていなかったような気が……
途中から9話で監視映像で確認されるまで登場シーンはないし、「すべての証拠を私はあの男に突きつける」と井沢(沢村一樹)に意気込んでいたが、すべての証拠って爪から採取した肉片以外に何か提示したのか?
偽の遺体にミハンデータ(0号事件)のマイクロSDを忍ばせていたようだが、井沢たちが調べた情報以上のモノはなかった。と言うより、井沢が東堂に語っただけで、いつそれを見つけたのだろうか?(私が見落としただけ?)
唯一の活躍と言えば、山内(横山裕)を救出したことだけ。他に見せ場として、意味深なセリフと長嶋(北大路欣也)とのやり取り。しかし、これも疑問や異議を感じた(後述)
資料課分室で井沢と東堂(伊藤淳史)のやりとりを傍観
「話させてくれっ! 東堂定春と」と井沢に頼まれ、資料課分室で見届ける(それでいいのか?)
なにか重要な情報や井沢の心を溶かすような言葉を発するのかと思って観ていたら……
………「殺せばいい」って(笑)
東堂が襲撃され、井沢が怒り心頭で警察庁次長の町田(中村育二)の元に行き、暴行、射殺しようとする。この時に、泉が井沢を制止する、あるいは、井沢の心を溶かし、説得するのかと思いきや、やはり見ているだけで、何も言わず立ち去る……
意味深な泉の台詞だが…
「あなたは…“ミハン”に組み込まれた人間」
「もう刑事ではいられない。罪を犯してでも、やらなければならないことがある」(元刑事のグエンno
証言)
「多くの犠牲が生まれました。最後にあの男を捕まえたら、私は真実を明らかにします」
「真実を明らかにすれば、救えたはずの命がこぼれていく」
何か深い事情や、断固たる決意を思わせる台詞だが、意味深なだけ。
罪を犯したと言っても、結果的には死体偽装と密入国と拳銃所持ぐらい。
“多くの犠牲が生まれた”っても、捜査ミスがそもそもの原因だよね。
上記の最後の台詞の“救えたはずの命がこぼれていく”は“救えるはず”ではないのだろうか?
この台詞の意味は、≪真実、つまり、“ミハン”テストケース0事件は冤罪だったということを公にすると、“ミハン”システムは凍結または廃止になり、ミハン捜査で救えるはずの命が失われてしまう≫と解釈したのだが、それだと“救えたはずの命”という過去形はおかしい。
過去形にしたのは、“過去の重大の秘密”を匂わしたかったという小細工に思えてしまう。
都合の良い正義論
「正義に正しいも間違いもない。
立場が違えば、その正義も変わる。
おまえの信じる正義を貫けばいい」
「突き進んだ先に何があるのか…そこに行った者でしか分かららない。
俺はお前を信じるよ。たとえどのような結果になろうともな」
『正義』というのは曖昧で便利な言葉で、『正義』という名のもとに非道な行為がなされてしまったことが多い。
「立場が違えば、その正義も変わる」という言葉は間違いではないと思うが、“正義”という言葉は言葉としてのパワーが大き過ぎる。私は“正義”ではなく“優先順位”に言い換えたい。
「おまえの信じる正義を貫けばいい」……これって危険な考え方だ。極端なことを言えば、「テロリスト」に通じる。≪正義はいろいろあるから、お前の好きなようにやれば良い≫と言っているんだよ。
しかも、「突き進んだ先に何があるのか…そこに行った者でしか分かららない。俺はお前を信じるよ。たとえどのような結果になろうともな」って、≪どんな結果になるか分からないが、突っ走れ!≫と言っているんだよ。もっと、慎重に深く考えるよう諭してほしいものである。
中途半端な東堂のあつかい
良い人だったのは間違いないが、最後まで良い人にしてしまったのはどうか?
テストケース0で、爆破による大量殺害未遂犯として証券社員・谷口(斉藤佑介)を射殺してしまったのは重大過失で、さらに、隠蔽の為、赤川刑事と井沢の家族が殺害され、守る対象の支店長・相馬和久(羽田真)も結局、交通事故に見せかけて殺害されてしまう。
谷口の弟、婚約者(相馬の娘でもある)も不幸にしている。
現在も“役立たず”に近いミハンシステムだったが、テストケース0では“ポンコツ”だった
赤川刑事や井沢の家族の殺害については直接かかわっていなくとも、一連の事件を隠蔽し、さらに、妻と娘を殺害の原因を作り、その死の真相を隠して素知らぬ顔で、井沢を部下としてこき使う……“人間失格”もいいところである!
東堂を許した井沢も心が広過ぎ!
大魔神+貞子の井沢
大魔神の如く、警察庁次長・町田の部下たちをなぎ倒し、捻り潰す井沢。
次長を撃ち殺す衝動と葛藤する井沢の目は貞子のようだった。
役者としての沢村一樹の凄さを見た。
【その他の突っ込み処】
・有耶無耶になった誘拐ビジネス組織
・けっこう時間的に切迫していたのに、ベトナムまで行くのか?
・南(柄本時生)に思いを寄せる板倉麻衣(田中道子)、このふたりの顛末は?
・松永義正を「危険人物検知」、この時だけは滅茶苦茶、有能
・後ろを歩いていたはずの松永義正。前方から襲撃するとは!?
第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話、第7話、第8話、第9話、最終話
【ストーリー】番組サイトより
井沢(沢村一樹)は、誘拐ビジネスを手がける犯行グループに拉致された山内(横山裕)の救出に向かう。するとそこに、ベトナムで死んだはずの桜木泉(上戸彩)の姿があった。桜木はすでに犯人たちを倒して拘束していたが、何故か井沢に銃を向ける。「あなたは、ミハンに組み込まれた人間?」。桜木は憎しみの眼差しで井沢にそう告げると、現場から立ち去る。
井沢は、桜木がミハンを知っていたこと、彼女の上司だった長嶋(北大路欣也)が資料課を探っていたことに触れ、何か知っているのか、と東堂(伊藤淳史)に尋ねる。すると東堂は、新たな危険人物を表示する――それは、「桜木泉」。
死んだと偽装し、日本に潜伏する彼女は、いったい誰を殺そうとしているのか!?
桜木泉を捜査することになったミハンチーム。すべての発端はベトナムにある。ベトナムへと向かった井沢と山内は、桜木の事件を担当した元刑事のグエン(フォンチー)に接触する。
捜査していく中で、桜木は、証券会社社員の谷口正博(斉藤佑介)を追っていたことがわかる。谷口は、日本からベトナムに赴任した同社の支店長とその娘・由紀子(桜井ユキ)を爆発物を使って殺そうとしていた。谷口を射殺してそれを食い止めたのが、井沢の妻の元同僚だった刑事・赤川武志(須田邦裕)だった。
だが事件後、赤川はホテルの屋上から転落死し、その翌日、桜木も失踪していた。――謎が深まる中、ミハンと桜木の意外な繋がりが浮かび上がってきて……。
脚本:浜田秀哉
演出:城宝秀則
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