関連する3つの真相
①牧村遼太郎の遺作となった『椿二輪』の真相
妻・智子(中山忍)や大宮アカネ(花澄)を描いたものではなく、単なる写生だった
遼太郎が描いた椿は侘助という早咲きの種で、アカネが出会ったという桜の時期には散ってしまっている。→アカネが遼太郎と付き合っていた事実は怪しい
②心中の真相
実は、自分の才能に絶望した遼太郎の自殺(遺書が残されていた)で、大宮アカネを心中相手に仕立て上げた狂言だった
心中事件により、遼太郎とアカネは“情熱の画家”として評価が高まった
③“『椿二輪』切り裂き事件”の真相
遼太郎の自殺後、梅田剛(佐久間祥朗)が空き巣に入った際、『椿二輪』を盗んでいった
翌日、盗まれていたことに気づき、アカネに贋作を描かせた
ギャラリー(美術館)のオーナーの薬師寺(由地慶伍)が、小島(北本哲也)を雇って贋作を切り裂かせた
切り裂き騒動で話題性を高める狙い
自分が盗んだ『椿二輪』が手元にあるのに、『椿二輪』が展示されるのを不思議に思った梅田が遼太郎の追悼展に行く。
そこで、切り裂き騒動に巻き込まれ、負傷。その際、右京が梅田の上着が避けていたのに気づく。→後に、『椿二輪』が入れられていた額に衣服の繊維が引っ掛かっていたことから、『椿二輪』と切り裂き騒動に巻き込まれた梅田との繋がりに気づく。(梅田が騒動に巻き込まれたのが不自然に思えたが、許容範囲)
上記の3件の絡みを解いていく謎解きが面白かった。
ここでレビューを終えるべきなのでしょうが、疑問点などを記しておきます。
――絵画の評価――
牧村遼太郎の画壇における評価は芳しくはなかった。しかし、心中事件で“情熱の画家”として評価が高まる。更に、切り裂き騒動で更に注目される。
……と、これだけなら、絵画の評価なんて《世間にどれだけ注目されるか?》で作品の評価が決まってしまう……という話で終わる。
しかし……
・空き巣に入った梅田は《ただ欲しくなった》という衝動にかられた。『椿二輪』は《人生をやり直そう》と決意させた。……人の心を動かす力があった
・亀山も贋作を観て「特に情熱は感じない」と言い、本物を観て「何かが違う」と唸る
・牧村の絵には、惹かれるものを感じていたらしい
・牧村の妻・智子は夫の才能を信じ、ギャラリーオーナーの薬師寺も牧村が若いころから評価し買い上げていた
しかし、右京に言わせれば…「芸術から最も離れた場所にいた二人」と評された。牧村の絵や才能を信じず、心中事件をでっちあげた。薬師寺は何を評価して牧村の絵を購入したのだろうか?
そもそも、牧村を評価しなかった画壇は絵を観る目がないのだろうか?
ドラマとしては、《牧村の絵の才能は本物で、梅田の心を動かした》というエッセンスがあった方がおもしろい。
また、《画壇は絵を見極める目を持っていなくて、世間もショッキングな曰くで絵に食いつく》という筋も面白い。
しかし、この両方が並立するのは、個人的にはモヤモヤする。
妻の智子は、夫の画かとしての成功を信じたが、才能は信じていなかった。
そもそも(←2度目)、夫を見ていなかった。愛していなかったのだろう。その点を右京が追及(糾弾)する話も観てみたい気もする。
……でも、右京も亀山が夫婦の心の通い合いを論じても、説得力はなさそうだ。
第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」
第5話「眠る爆弾」
第6話「笑う死体」
第7話「砂の記憶」
第8話「コイノイタミ」
第9話「丑三つのキョウコ」
第10話「黒いコートの女」
元日SP第11話「大金塊」
【ストーリー】(番組サイトより)
天才画家の追悼展で事件発生
不可解な心中騒動の真相とは!?
右京(水谷豊)は、薫(寺脇康文)とともに“情熱の画家”牧村遼太郎の展覧会を訪問。ナイフを手にした男が、『椿二輪』という油絵を切り裂き、来場者に怪我を負わせる事件に遭遇する。
『椿二輪』は、遼太郎が自身と愛人を二輪の花に例えたといわれる遺作で、完成直後に心中を企てた曰く付きの作品だった。心中相手は、大宮アカネ(花澄)という女流画家だったが、彼女だけが一命を取り留めていた。
しかし、遼太郎の妻・智子(中山忍)は、自分こそが『椿二輪』のモデルだと主張。心中騒動は、アカネによる殺人だと訴えていた。確かに、心中の様相は不可解で、遼太郎が自分の胸にナイフを突き立てていたのに対し、アカネは神経毒を摂取するというチグハグなものだった。
元々、遼太郎の作品に心惹かれていた右京は、真相を探るべく、捜査に乗り出す。
愛憎渦巻く心中騒動は自殺か、殺人か?
解き明かす鍵は切り裂かれた遺作に!?
二輪の椿に託した作者の痛切な思いとは
ゲスト:中山忍 花澄
脚本:岩下悠子
監督:内片輝
①牧村遼太郎の遺作となった『椿二輪』の真相
妻・智子(中山忍)や大宮アカネ(花澄)を描いたものではなく、単なる写生だった
遼太郎が描いた椿は侘助という早咲きの種で、アカネが出会ったという桜の時期には散ってしまっている。→アカネが遼太郎と付き合っていた事実は怪しい
②心中の真相
実は、自分の才能に絶望した遼太郎の自殺(遺書が残されていた)で、大宮アカネを心中相手に仕立て上げた狂言だった
心中事件により、遼太郎とアカネは“情熱の画家”として評価が高まった
③“『椿二輪』切り裂き事件”の真相
遼太郎の自殺後、梅田剛(佐久間祥朗)が空き巣に入った際、『椿二輪』を盗んでいった
翌日、盗まれていたことに気づき、アカネに贋作を描かせた
ギャラリー(美術館)のオーナーの薬師寺(由地慶伍)が、小島(北本哲也)を雇って贋作を切り裂かせた
切り裂き騒動で話題性を高める狙い
自分が盗んだ『椿二輪』が手元にあるのに、『椿二輪』が展示されるのを不思議に思った梅田が遼太郎の追悼展に行く。
そこで、切り裂き騒動に巻き込まれ、負傷。その際、右京が梅田の上着が避けていたのに気づく。→後に、『椿二輪』が入れられていた額に衣服の繊維が引っ掛かっていたことから、『椿二輪』と切り裂き騒動に巻き込まれた梅田との繋がりに気づく。(梅田が騒動に巻き込まれたのが不自然に思えたが、許容範囲)
上記の3件の絡みを解いていく謎解きが面白かった。
ここでレビューを終えるべきなのでしょうが、疑問点などを記しておきます。
――絵画の評価――
牧村遼太郎の画壇における評価は芳しくはなかった。しかし、心中事件で“情熱の画家”として評価が高まる。更に、切り裂き騒動で更に注目される。
……と、これだけなら、絵画の評価なんて《世間にどれだけ注目されるか?》で作品の評価が決まってしまう……という話で終わる。
しかし……
・空き巣に入った梅田は《ただ欲しくなった》という衝動にかられた。『椿二輪』は《人生をやり直そう》と決意させた。……人の心を動かす力があった
・亀山も贋作を観て「特に情熱は感じない」と言い、本物を観て「何かが違う」と唸る
・牧村の絵には、惹かれるものを感じていたらしい
・牧村の妻・智子は夫の才能を信じ、ギャラリーオーナーの薬師寺も牧村が若いころから評価し買い上げていた
しかし、右京に言わせれば…「芸術から最も離れた場所にいた二人」と評された。牧村の絵や才能を信じず、心中事件をでっちあげた。薬師寺は何を評価して牧村の絵を購入したのだろうか?
そもそも、牧村を評価しなかった画壇は絵を観る目がないのだろうか?
ドラマとしては、《牧村の絵の才能は本物で、梅田の心を動かした》というエッセンスがあった方がおもしろい。
また、《画壇は絵を見極める目を持っていなくて、世間もショッキングな曰くで絵に食いつく》という筋も面白い。
しかし、この両方が並立するのは、個人的にはモヤモヤする。
妻の智子は、夫の画かとしての成功を信じたが、才能は信じていなかった。
そもそも(←2度目)、夫を見ていなかった。愛していなかったのだろう。その点を右京が追及(糾弾)する話も観てみたい気もする。
……でも、右京も亀山が夫婦の心の通い合いを論じても、説得力はなさそうだ。
第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」
第5話「眠る爆弾」
第6話「笑う死体」
第7話「砂の記憶」
第8話「コイノイタミ」
第9話「丑三つのキョウコ」
第10話「黒いコートの女」
元日SP第11話「大金塊」
【ストーリー】(番組サイトより)
天才画家の追悼展で事件発生
不可解な心中騒動の真相とは!?
右京(水谷豊)は、薫(寺脇康文)とともに“情熱の画家”牧村遼太郎の展覧会を訪問。ナイフを手にした男が、『椿二輪』という油絵を切り裂き、来場者に怪我を負わせる事件に遭遇する。
『椿二輪』は、遼太郎が自身と愛人を二輪の花に例えたといわれる遺作で、完成直後に心中を企てた曰く付きの作品だった。心中相手は、大宮アカネ(花澄)という女流画家だったが、彼女だけが一命を取り留めていた。
しかし、遼太郎の妻・智子(中山忍)は、自分こそが『椿二輪』のモデルだと主張。心中騒動は、アカネによる殺人だと訴えていた。確かに、心中の様相は不可解で、遼太郎が自分の胸にナイフを突き立てていたのに対し、アカネは神経毒を摂取するというチグハグなものだった。
元々、遼太郎の作品に心惹かれていた右京は、真相を探るべく、捜査に乗り出す。
愛憎渦巻く心中騒動は自殺か、殺人か?
解き明かす鍵は切り裂かれた遺作に!?
二輪の椿に託した作者の痛切な思いとは
ゲスト:中山忍 花澄
脚本:岩下悠子
監督:内片輝