英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season21 第7話「砂の記憶」

2022-12-01 11:21:30 | ドラマ・映画
気になったのは“時効”について
ドラマでは、“20年前の連続通り魔事件と謳い、時効(公訴時効)の20年が迫る……という設定だった。
 時効に関しては、平成22年4月27日に「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」が成立し(同日公布)、殺人罪など人を死亡させた犯罪であって死刑に当たるものについて公訴時効が廃止されるなどの改正がされている。
【参考】コラム「公訴時効制度の改正について」(警察庁)
 上記紹介のページには、時効成立の年限は
1「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が死刑である犯罪(例:殺人罪)
…………………………………………………………………25年 → 公訴時効なし
2「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が無期の懲役・禁錮である犯罪(例:強姦致死罪)
…………………………………………………………………15年 → 30年
3「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が20年の懲役・禁錮である犯罪(例:傷害致死罪、危険運転致死罪)
…………………………………………………………………10年 → 20年
4「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が懲役・禁錮で、上の2・3以外の犯罪(例:自動車運転過失致死罪)
…………………………………………………………………5年又は3年 → 10年
平成22年4月27日から施行されているが、上記の表に掲げた犯罪が改正法の施行前に犯されたものであっても、その施行の際公訴時効が完成していないのであれば、改正後の公訴時効に関する規定が適用される。

 ということは、「上記の期日前に時効が成立していれば、起訴されることはない」ということになるのかな?(事件発生後、海外に在住している期間は差し引き、時効が成立していない場合が、ドラマではよくある)

【ここから先は、素人の“付け焼刃”の見解です】
 で、ややこしいのは、強盗(窃盗ではなく、暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取する犯罪)の場合。(ナイフを突き出して脅す、手足を縄で縛って動けなくするなどの行為も強盗の暴行・脅迫に該当)
 殺害に故意がある(殺意がある)場合が“強盗殺人”であり,殺意がないけれども暴行の結果、人を死なせた場合が“強盗致死”になる。強盗殺人も強盗致死も、上記の1に該当し、公訴時効はないと考えられる。



 今回の場合、番組サイトの《あらすじ》では「それから20年たった今、“傷害致死”の時効が迫っていた」とあり、ドラマに於いても「時効の20年が迫っている」という設定だった。
 しかし、“ひったくり”の目的で、その手段として暴行を加えているので、故意の暴行と認識でき、“窃盗”ではなく”強盗”である。(何度も同じ手口を繰り返していることからも、故意の暴行で”強盗”に該当)
 つまり、少なくとも"傷害致死”とは一線を画する“強盗致死”ではないのだろうか(“強盗殺人”かも)

と言う訳で、この“時効”云々について、ずっと気になっていて、ドラマに集中できなかった。


 それはともかく、今回、警視庁健康管理本部の保健師・吉崎弘美(桜木梨奈)が強烈に特命係に絡んできており、さらに、偶然(実は弘美の作為)に唐突に警視庁総務部広報課広聴係の小沼裕一(鳥谷宏之)が登場……
 ……このふたりが、20年前のひったくりの被害者(犠牲者)友人と犯人であることが、容易に想像できる。

 それに、偶然があまりにも重なり過ぎている。
・小沼が異動により、弘美の前に出現
・タイミングよく、ひったくり犯が逮捕(犯人は20年前とは無関係でどこかの署長の息子)
・小沼が所持していた砂時計に、当時、人工芝に使用した砂の一粒が付着していて、被害者所有の砂時計であることが立証


 まあ、今話の主題は、娘を失った母親の悲しみ、親友を助けられなかった責任と悲しみを背負い、20年間、時が止まっていたふたりが、事件解決で呪縛が解け、砂時計の砂が落ち始めた(時が動き始めた)というもので、私が疑問や不満に感じることなどは、些細なことなのだろう。

 あと、何件も繰り返して、しかも、死亡者まで出ているのに……伊丹、捜査一課、だらしないぞ。


第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」(初回SP)
第2話「ペルソナ・ノン・グラータ~二重の陰謀」
第3話「逃亡者 亀山薫」
第4話「最後の晩餐」
第5話「眠る爆弾」
第6話「笑う死体」

【ストーリー】(番組サイトより)
20年前の通り魔が再び動き出す!!
特命係をあおる告発者の正体は?


 ある日、特命係に警視庁職員の健康を管理している保健師・吉崎弘美(桜木梨奈)が乗り込んでくる。面談を先延ばしにしている右京(水谷豊)と、そもそも診断を受けていない薫(寺脇康文)に釘を刺しに来たのだ。
 そんな折、特命係に、『20年前の連続通り魔事件の犯人が動き出す』と書かれた告発文が届く。20年前といえば、若い女性を狙った強盗事件が7件連続で発生した時期。7人目の被害者である15歳の少女が亡くなり、メディアでも大きく取り上げられた事件だった。当時、伊丹(川原和久)も捜査本部にいたが、犯人を特定できず、迷宮入りしてしまったという。
 それから20年たった今、傷害致死の時効が迫っていた。右京と薫は、手掛かりを求めて、亡くなった少女の母を訪れるが、「そっとしておいて」と追い返されてしまう。そんな中、夜道で女性が襲われる通り魔事件が発生。伊丹たちも捜査に乗り出すが…!?

迷宮入り寸前の事件に新たな動き!?
現在と過去、絡み合う事件の記憶
特命係が卑劣な通り魔を追い詰める!


ゲスト:桜木梨奈 根岸季衣なぜか、サイトではゲストとしての表記がありません!

脚本:山本むつみ
監督:橋本一

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2 コメント

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時効が出てくるエピソード (marumori)
2022-12-04 13:12:28
英さん、こんにちは。

 保健師・吉崎が20年前の事件の際、被害者と一緒にいた少女だということは、多くの視聴者が気づいたことでしょう。

 砂時計もヒントとしては、親切すぎる感じがしました。

 時効の話題が出てくるエピソードは、『ありふれた殺人』(Season3第11話)、『冤罪』(Season4第9話)、『過渡期』(Season9第4話)などが思い浮かびます。

 この3つのエピソードを続けてみると、時効制度の変遷がよくわかります。3つとも私の好きな作品です。 
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時効をテーマとしたストーリー ()
2022-12-04 15:38:26
marumoriさん、こんにちは。

「ありふれた殺人」は
 ある男が20年前の殺人を自首してきたが、刑事事件でも民事事件でも、【放送時の設定→】既に時効が成立してしまっているので、逮捕することができない。警察は犯人の名前も公表することができず、ただ自首した事実のみを公表するのみ。被害者遺族からは、犯人の名前を教えて欲しいと懇願される……
 被害者夫婦の悲しみと、その悲しみを癒すために犯人について教えたい、犯人の姿(素性)を明かしてやりたいという亀山の葛藤がテーマでした。

「冤罪」は
“冤(えん)罪”を主張し、上告中に拘置所で病死した兄の事件の真犯人を殺害した妹(←分かりにくい文ですね)。
 その殺人は、兄の冤罪を作った担当刑事と検事への復讐の目的もあった……その真相を明らかにしようとする右京と亀山、冤罪を作っていたという事実を、明らかにしたくない警察上層部云々の話でした。
「過渡期」は
 ホテルから男性が転落死したが、その男性は15年前の殺人事件の被害者の孫だった(事件は未解決)。転落は事故死と処理されたが、それに疑問を盛った右京が、過去の未解決事件との関連を考え、当時の担当刑事が浮かび上がり、転落の真相を明らかにする…といった話だった。

 どのエピソードも、考えさせられましたし、面白かったです。特に「過渡期」は面白かったですし、あ「ありふれた殺人」の被害者の両親の悲しみには、胸を絞めつけられました。
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