英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

藤井王将(五冠)、先勝  ~2023王将戦 第1局~

2023-01-10 10:20:08 | 将棋
藤井王将(五冠)は強いなあ……
羽生九段が弱いわけでも、力を発揮できなかったわけでもない。藤井五冠が強すぎる……



 部分図1は互角と考えられていた局面。
 駒割は先手・藤井王将の金桂 対 後手・羽生九段の飛車。図では省略されているが、両者の銀……先手は2一の成銀、後手は2五の銀の働きが悪い。両銀とも働きが悪いが、先手の成銀は1一の香を取れ、後手の銀は2筋にいるが五段目はいい位置なので、今後働いてくる可能性あり、優劣の差はあまりない。
 となると、二枚替えの藤井王将の方に利がありそうだが、羽生九段も飛車を打ち込めば、先手玉の脅威となる。手番は羽生九段なので、手番を生かして攻めたいところだが、▲7四桂と打たれると痺れてしまう。
 そこで、羽生九段は△7六歩▲同銀△7四歩と先手陣を乱しつつ、桂打ちを消した(部分図2)

 藤井王将は▲6五歩(部分図3)と突き△7三銀と後退させたが、後手としても7三銀と自陣に引くのは悪くないと思えた。
 しかし、そこで▲6四歩(部分図4)が玄妙な一着

 △6四同歩では6三に空間が空き、後手の居玉の大きな傷となるので、△6四同銀(部分図5)。
 部分図2と部分図5の違いは、先手の6六の歩が後手の駒台に乗ったこと。つまり、1歩損しただけ。しかも、先手の玉頭の6六に空間が空いたことはマイナスのように思える。普通は考えない手順だ。
 しかし、次の1手……▲6六桂!(部分図6)


 この桂を打ちたいが故、わざわざ6筋の歩を突き捨てたのだ。部分図1で羽生九段は7四への桂打ちを消したが、この桂打ちで▲7四桂を実現させようというのだ。しかも、受けにくい……

 おそらく、このやり取りで、藤井王将が優位に立った。
 部分図1の時点では互角だったはずで、部分図6に至る手順は順当に思えた(部分図1で単に△7三銀とする手は有力だったようだ)。羽生九段も不思議だったかもしれない。

 感想戦では、「▲6四歩(部分図4)に対して、△5五銀と中央に出る手があるのでは」と藤井王将。
 羽生九段は全く考えていなかったようで、《そうかぁ》と呟いていた。
 《5五にいる方が働きが良い(▲6六桂も防いでいる)》ということなのか……

 この変化をしばらく検討していたが、結局、後手が良くないという結論だったようだが、もしかすると、検討での先手側の藤井王将の指し手が正確で、後手の羽生九段が正確ではなくて、《後手が思わしくない》という結論に至った…ような気がする。

 感想戦を観ていると、藤井王将が読みや大局観で上回っているように感じた。……これは対戦相手にはたまったモノではない。感想戦で藤井五冠の強さをたっぷり感じさせられるのだ。勝つ気がしなくなくなる……

 藤井五冠の将棋を見ていると、読みの深さ正確さは言うまでもないが、駒の居るべき位置を非常に敏感な(重要視している)ような気がする。
 本局で言えば、《感想戦で指摘した5五に銀を出る手》。それと、2枚替えに持ち込むとき、一旦飛車を逃げて、《後手が飛車を取った銀の位置が、2五と2六ではどちらが良いか》など。



 藤井五冠が強すぎて困ってしまうのだが、第二局を何とか勝利してほしい。
コメント (2)
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