英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

最強の王将戦・挑戦者決定リーグ

2019-09-08 19:29:22 | 将棋
 毎回、弩級のメンバーが揃う王将位挑戦者決定リーグだが、今期はA級5人(佐藤天or三浦が不確定だが両者ともA級棋士)+藤井聡太七段。まさに最強メンバー!
 今期のことはさておき、「王将リーグ=まさに最強メンバー」という印象が強いので、2010年度以降を振り返ってみる。



第60期(2010年) 青字は残留以上、太字は挑戦(同率上位2名がプレーオフ)、残留は同率の場合は前期順位が上位者が優先、予選通過者同士は決定戦
 豊島五段5勝1敗、佐藤康九段4勝2敗、羽生名人3勝3敗、渡辺竜王3勝3敗、三浦八段3勝3敗、深浦九段2勝4敗、森内九段1勝5敗
  久保王将4-2豊島五段(久保防衛)、陥落は三浦、深浦、森内(残留決定戦○渡辺-三浦)

第61期(2011年)
 佐藤康九段5勝1敗、豊島六段5勝1敗、渡辺竜王4勝2敗、羽生二冠3勝3敗、広瀬七段3勝3敗、三浦九段1勝5敗、森内九段0勝6敗
  佐藤康九段4-1久保王将(佐藤奪取)、陥落は広瀬、三浦、森内

第62期(2012年)
 渡辺竜王6勝0敗、深浦九段4勝2敗、豊島七段4勝2敗、羽生三冠3勝3敗、郷田棋王3勝3敗、久保九段2勝4敗、飯島七段0勝6敗
  渡辺竜王4-1佐藤王将(渡辺奪取)、陥落は郷田、久保、飯島

第63期(2013年)
 羽生三冠6勝0敗、佐藤康九段4勝2敗、郷田九段4勝2敗、深浦九段3勝3敗、豊島七段3勝3敗、久保九段1勝5敗、谷川九段0勝6敗
  渡辺王将4-3羽生三冠(渡辺防衛、陥落は豊島、久保、谷川

第64期(2014年)
 郷田九段4勝2敗、羽生名人4勝2敗、佐藤康九段3勝3敗、深浦九段3勝3敗、三浦九段3勝3敗、屋敷九段2勝4敗、豊島七段2勝4敗
  郷田九段4-3渡辺王将(郷田奪取)、陥落は三浦、屋敷、豊島 (挑戦者決定プレーオフ ○郷田-羽生)

第65期(2015年)
 羽生名人5勝1敗、久保九段5勝1敗、糸谷竜王4勝2敗、深浦九段3勝3敗、森内九段2勝4敗、渡辺棋王1勝5敗、佐藤康九段1勝5敗
  郷田王将4-2羽生名人(郷田防衛)、陥落は森内、渡辺、佐藤 (挑戦者決定プレーオフ ○羽生-久保)

第66期(2016年
 久保九段5勝1敗、糸谷八段4勝2敗、豊島七段4勝2敗、渡辺竜王3勝3敗、羽生三冠2勝4敗、近藤誠四段2勝4敗、深浦九段1勝5敗
  久保九段4-2郷田王将(久保奪取)、陥落は羽生、近藤、深浦

第67期(2017年)
 豊島八段5勝1敗、郷田九段3勝3敗、糸谷八段3勝3敗、渡辺竜王3勝3敗、深浦九段3勝3敗、斎藤七段3勝3敗、佐藤天九段1勝5敗
  久保王将4-2豊島八段(久保防衛)、陥落は深浦、斎藤、佐藤天

第68期(2018年)
 渡辺棋王4勝2敗、糸谷八段4勝2敗、広瀬八段4勝2敗、豊島二冠3勝3敗、佐藤天名人3勝3敗、郷田九段2勝4敗、中村太七段1勝5敗
  渡辺棋王4-0久保王将(渡辺奪取)、陥落は佐藤天、郷田、中村太 (挑戦者決定プレーオフ ○渡辺-糸谷)


 やはり、ため息が出そうな?メンバーが揃っている。
 でも、成績や段位などが記載されていると、メンバーへの視線が拡散されてしまうので、メンバーだけを書き出す。

2010年 豊島、佐藤康、羽生、渡辺、三浦、深浦、森内 (王将位・久保)
2011年 佐藤康、豊島、渡辺、羽生、広瀬、三浦、森内 (王将位・久保)
2012年 渡辺、深浦、豊島、羽生、郷田、久保、飯島  (王将位・佐藤)
2013年 羽生、佐藤康、郷田、深浦、豊島、久保、谷川 (王将位・渡辺)
2014年 郷田、羽生、佐藤康、深浦、三浦、屋敷、豊島 (王将位・渡辺)
2015年 羽生、久保、糸谷、深浦、森内、渡辺、佐藤康 (王将位・郷田)
2016年 久保、糸谷、豊島、渡辺、羽生、近藤誠、深浦 (王将位・郷田)
2017年 豊島、郷田、糸谷、渡辺、深浦、斎藤、佐藤天 (王将位・久保)
2018年 渡辺、糸谷、広瀬、豊島、佐藤天、郷田、中村太(王将位・久保)
2019年 久保、糸谷、広瀬、豊島、羽生、藤井聡、佐藤天or三浦(王将位・渡辺)

 やはり、弩級の棋士の名前が並ぶ並ぶ!
 しかも、同じ名前が多い。今年を含めた10年のうち、豊島9回、羽生8回、渡辺7回(この間王将在位3年なので、実質10年連続)、深浦6回、佐藤康5回、郷田5回(王将在位2年、実質7回)、糸谷5回、久保4回(王将在位4年、実質8回)、三浦3回(4回になる可能性も)、森内3回とメンバーの固定度が高い。
 これは「7人中4人残留」、「上位棋士は予選で優遇(2回勝てばリーグ入り)」という要因が反映されていると考えられる。

 渡辺三冠豊島二冠の安定した強さが光る。
 渡辺は2010年度より4位、3位、1位、王将、王将、5位、4位、4位、1位。(渡辺は現王将なので、今期は迎え撃つ立場)
 豊島は2010年度より1位、2位、3位、5位、7位、--、3位、1位、4位。2014年度は2勝4敗での最下位7位。王将リーグでの実績(相性の良さ)に加え、名人、王位の二冠保持者、他の棋戦でも挑戦権を争ったので、挑戦の本命と言える(ただし、豊島名人の将棋については注文をつけたい要素もある)
 羽生九段も3位、4位、4位、1位、2位、1位と安定した強さを発揮していたが、2017、2018は予選落ちしている。ここ数年の状態を考えると、3勝3敗の指し分けを目指してほしい。でも、3勝3敗だと順位が下位なので残留は難しいので、4勝2敗が望まれる。
 近年では糸谷八段が3位、2位、3位、2位(プレーオフで敗退)と好成績。王将位にはそろそろ挑戦しても良い頃だ。
 久保九段も王将位4期、リーグ優勝は3回(2007年度、2009年度、2017年度)と実績十分。あとで紹介する台風の目となる棋士には相性が良さそうなのも強味。
 広瀬竜王は王将戦では実績を残せていないが、棋界最上位の竜王、自力も相当なので、挑戦の有力候補だ。
 あと確定していない佐藤天九段九段or三浦九段も挑戦権を取っても不思議ではない実力者。

 そして、台風の目になるのが藤井聡太七段。通算勝率は0.8303(137勝28敗)。今年度は21勝8敗(0.7241)、直近10局は7勝3敗(未放映のテレビ対局を除く)。
 低段の頃は1次予選からの出場で、強くない棋士との対局が多いので高率は珍しくなく、昇級・昇段するほど勝率は下がる。藤井七段もその傾向があるが、0.7241はかなりの高勝率だ。それに、藤井七段の場合、対戦相手が強くなっても藤井七段のポテンシャルが高いので、充分に力を発揮できる将棋になれば、A級棋士たち相手でも7割~8割、勝ってしまうような気がする。よって、6局×0.75=4.5勝で4勝2敗は堅いという計算が成り立つ。
 しかし、この王将リーグはA級棋士も気合十分、準備(対策)万端で臨んでくると思われ、藤井7段といえどもリーグ陥落も十分あり得る。

 いずれにしても藤井七段にとっては(羽生九段にとっても)“試練の六番勝負”であるし、王将リーグそのものが最強者決定リーグであり、相当密度の高い勝負が繰り広げられるであろう。非常に楽しみである。
コメント (2)
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