英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅱ』 第2話

2018-01-23 16:54:46 | ドラマ・映画
【VS裁判官の指向】
・「元裁判官だから、感覚麻痺してるんじゃないの?」(裁判官は引かれたレールの上で裁判を進めるだけ)
・「裁判官は法廷だけでしか、被告と向き合わない」

と、裁判官に批判的セリフが多い深山(松本潤)

 第2話にして、“SEASON Ⅰ”より引っ張っていた深山の父の事件に決着をつけてしまうという意表の展開。冤罪を引き起こした大友検事正(奥田瑛二)が責任を感じて辞職してしまった(辞職させてしまった)ことにより、制作サイドの「VS裁判官」の意図がはっきりしてきた

 それはともかく、深山(制作サイド)の主張には引っ掛かりを感じる
 ≪裁判官は法廷だけでしか、被告と向き合わない≫と裁判官を批判しているが、≪裁判官は公正・中立な審判者として判決を下す≫のが責務なのではないだろうか?
 “情状酌量”は必要だが、被告に向き合い過ぎて感情移入をしては、公正・中立を保てない。

 さらに、≪提出された証拠・証言だけでしか判断しない≫と批判しているが、裁判官自ら捜査的なことをする、あるいは、捜査で得られたすべての証拠資料をより分けること自体、予断(先入観)を持って法廷に臨むことになってしまう。

 深山がこのような批判をするのは、冤罪など誤判決の危険性をはらんでいる現在の裁判の実情を憂いてのことであるが……
 佐田(香川照之)も、現状を次のように語りかけた。
「検察は最後に裁くのは裁判官だと言う、裁判官は検察のあげてきた証拠だと言って判決を下す、そして我々弁護士も時に依頼人の利益を優先して打算的になることがある。
 裁かれる人の人生に誰も責任を負おうとはしない!
 …………裁判とは一体誰のためにあるんでしょうね?」


警察……杜撰(ずさん)な捜査
検察……レールを敷いた起訴、検察に都合のよい証拠だけを提出
裁判官…表面しか観ずに判決を下す

 この負の連鎖を断ち切るには
丸川検事(青木崇高)が宣言した「我々検察官の理念は、その重責を深く自覚し、常に公平誠実に熱意を以て職務に取り組まなければならない」
こういった理念(裁判官、弁護士もそれぞれの理念)を貫くことに尽きる

 常々思うが、≪警察と検察が近すぎる≫のが問題。(以下は素人考えです)
 起訴・不起訴を検事(検察)が決めるのはおかしい。
 そのため、≪起訴したら、有罪判決≫が絶対的命題になってしまい、そのレールに沿った検察に有利な証拠しか提出しない。
 もちろん、弁護側が証拠提出を求めることはできるが、証拠の存在自体を知らないこともありうる。また、独自に調査しても限界がある。
 なので、起訴不起訴や法廷に提出する証拠の判別をする判事的存在が必要なのではないだろうか(この判定役は裁判に関与しない)?
 

 今回、理念を貫いて深山に協力し、検察の過ちを謝罪した丸川、むちゃくちゃ格好良かったぞ!



【今回の事件】―――深山の父が犯したとされる殺人事件―――
「深山の父が被害者をコンビニで降ろした」という証言の真偽が、法廷で検証されなかったのが大きなポイント
 検察側は被害者がコンビニに立ち寄ったかどうかを検証すると、裁判に齟齬が生じる恐れがあり、「その時刻にお客はいなかった」という店長の証言を採用しなかったという理由があったが、弁護側はコンビニ前で被害者を下したことさえ証明できれば、無実を立証できる。しかし、ドラマ中では弁護士がそれを立証しようとした表現はなかった。弁護士の怠慢としか思えない(「客はいなかった」という証言を知り、その件に触れるのはマイナスと判断した可能性はある)。
 検察側が、コンビニ店長の証言(客はいなかった)を裁判でのマイナスと考え、証拠として提出しなかったということは、かなり早い段階で、警察官が真犯人という可能性を考えていたことになる。だとしたら、酷いなあ。


 真犯人が警察関係者で、指紋などが発見されても証拠扱いされず、また、警察官がいてもコンビニの客とは認識されないなど、“透明人間”と比喩。この事件のカラクリは良かった。


 深山の横柄さ(荷物をパラリーガルに運ばせるなど)、パラリーガル明石のウザさ、小料理屋でのやり取りの鬱陶しさは、何とかならないかな……


第1話



【ストーリー】番組サイトより
 深山(松本潤)は、美由紀(野々すみ花)から連絡を受けて、故郷の金沢を訪れていた。美由紀は、26年前に、深山の父親・大介(首藤康之)が逮捕された殺人事件の被害者・美里の妹だった。美由紀が深山に渡したのは見覚えのない水晶の遺留品。
 当時、事件現場に落ちていて、美里の遺留品として警察から母親に返されていた。しかし、それは美里のものでもなく、大介のものでもなかった。そうだとすると、現場に第三者がいたという新たな証拠なのか…。

 その遺留品をもとに、深山はもう一度26年前の事件に隠された0.1%の事実を追い求める。そして、それは大介の事件の担当検事だった宿敵・大友検事正(奥田瑛二)との対決も意味していた。
 そんな中、金沢地方検察庁には、以前、深山が担当した事件の検察官だった丸川貴久(青木崇高)が人事異動で赴任していた。深山は丸川に調査の協力を仰ぐのだが…。
 一方、舞子(木村文乃)は、斑目法律事務所の所長・斑目春彦(岸部一徳)から打診を受け、事件の調査に加わることになり金沢へ向かう。そして、家族で休暇中だった佐田(香川照之)も、斑目の策略で金沢に向かうことになる。

 果たして、26年前の父親の無実は証明できるのか!26年目に解き明かされる驚愕の事実とは!?

脚本:宇田学
演出:木村☺︎ひさし
トリック監修:蒔田光治
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