『IAAF世界陸上2015北京』の「世界陸上2015北京大会の展望」(松原孝臣氏)の記事によると、
マラソンおよび競歩では、世界選手権で入賞した日本人最上位の選手は、自動的にリオデジャネイロ五輪代表に内定する。
また、トラック&フィールド種目(スタジアムで行なわれる短中距離、走り幅跳び、棒高跳びなどの種目の総称)でも、日本陸上競技連盟は、2013年の段階で「15年世界選手権(北京)で8位以内に入賞した日本人最上位を最優先で選ぶ」方針を打ち出し、選手に今大会の重要性を喚起した。さらに今年3月、入賞者のうち日本人最上位選手を条件付きで内定すると発表した。
要するに、
マラソンと競歩では「世界選手権で8位以内なら即内定」
それ以外の種目では「世界選手権で8位以内ならほぼ内定」
ということらしい。
甘くないですか?
特に、マラソンは、「暑さの中でのレースで体調を崩すより、高額賞金レースに出場した方が良い」と派遣や参加に消極的な国や選手が多く、レースのレベルは必ずしも高くない。
顔ぶれ的には、エチオピアやケニアが粒ぞろいだったみたいだが、モチベーションの高さ(コンディション調整)に疑問が残る。
実際、過去に世界陸上で入賞した日本選手が、五輪やその他の国際レースで通用しなかった例が多い(世界陸上以降、故障したという場合もある)。
なので、8位以内という条件は、そのハードルがかなり低くなっているように考えられる。
このような高くないレベルのレースで、8位以内という甘い条件で、五輪代表を決定するのは、はなはだ疑問である。
そもそも、
この世界マラソンの代表選考では、横浜国際で優勝した田中智美選手が選ばれなかったことが議論を呼んでいた。
前田彩里……名古屋ウィメンズ3位(日本人1位)、2時間22分48秒
伊藤舞………名古屋ウィメンズ4位(日本人2位)、2時間24分42秒
重友梨佐……大阪国際3位(日本人1位)、 2時間26分39秒
田中智美……横浜国際優勝 2時間26分57秒
選考前の下馬評は
「前田確実、田中濃厚 ラスト1枠は伊藤有利」
で、重友は終盤失速がマイナス材料という評価だった。武冨・女子マラソン部長は「各大会を精査するが(伊藤の)自己ベストは高い評価」と話していたらしいが、自己新を出したことが“伸び盛り”ということなのだろうが、私は≪短距離と違い、レース展開やレース条件に左右されるマラソンで、1度の記録を地力と評価するのは危険≫だと思う。
実際の選考では、前田選手、伊藤選手の順に代表が決まり、第3の枠を、重友選手と田中選手で争い重友選手が選ばれた。
その理由として
「(田中の)優勝は重いが26分台。出場していた選手の力も劣る。21、22分台を出したなら評価するが、世界と戦うには少し物足りない。
選出した3人は、陸連が目標に据えた2時間22分30秒の設定記録を目指す走りと評価した」
レースによって条件(気象条件、参加選手、レース展開、ペースメーカーの巧拙)が違い、タイムだけで決定するのはナンセンス。
2時間22分30秒の設定タイムを目指して走ったと言っても、クリアできなかったので実力不足と判定できる。
重友選手に至っては、設定タイムより4分も遅れたので、「目指して走ったこと」を評価するのは、まったく理解不能。
それに、優勝したことは何を置いても評価しないといけない。そうでないと選考レースの意味がない。
伊藤選手は「前田選手より2分遅い選手」「設定タイムもクリアしていない」という事実は、落選理由に十分値すると考えられる。
競泳の選考基準ならば、設定タイムをクリアしていないので「代表なし」となる。しかし、条件がほぼ一定の競泳と違い、マラソンは条件の違いが大きいので、前田選手の代表選出は妥当であろう。田中選手の優勝も代表に値すると考え、代表はこの2名が妥当ではないだろうか。
皮肉にも、代表入りに疑問を感じた伊藤選手が、8位入賞という甘い基準をクリアして、五輪代表に内定してしまった。
これで、残る代表枠は2となり、ただでさえ黒に限りなく近い灰色のマラソン代表選考が混迷度が深まったと言わざるを得ない。
マラソンほどではないが、トラック、フィールド種目も「ほぼ内定」の基準は甘すぎる。正直、内定者が出なくて、ほっとしている。(競歩では谷井孝行が銅メダルで、内定を得ている)
マラソンおよび競歩では、世界選手権で入賞した日本人最上位の選手は、自動的にリオデジャネイロ五輪代表に内定する。
また、トラック&フィールド種目(スタジアムで行なわれる短中距離、走り幅跳び、棒高跳びなどの種目の総称)でも、日本陸上競技連盟は、2013年の段階で「15年世界選手権(北京)で8位以内に入賞した日本人最上位を最優先で選ぶ」方針を打ち出し、選手に今大会の重要性を喚起した。さらに今年3月、入賞者のうち日本人最上位選手を条件付きで内定すると発表した。
要するに、
マラソンと競歩では「世界選手権で8位以内なら即内定」
それ以外の種目では「世界選手権で8位以内ならほぼ内定」
ということらしい。
甘くないですか?
特に、マラソンは、「暑さの中でのレースで体調を崩すより、高額賞金レースに出場した方が良い」と派遣や参加に消極的な国や選手が多く、レースのレベルは必ずしも高くない。
顔ぶれ的には、エチオピアやケニアが粒ぞろいだったみたいだが、モチベーションの高さ(コンディション調整)に疑問が残る。
実際、過去に世界陸上で入賞した日本選手が、五輪やその他の国際レースで通用しなかった例が多い(世界陸上以降、故障したという場合もある)。
なので、8位以内という条件は、そのハードルがかなり低くなっているように考えられる。
このような高くないレベルのレースで、8位以内という甘い条件で、五輪代表を決定するのは、はなはだ疑問である。
そもそも、
この世界マラソンの代表選考では、横浜国際で優勝した田中智美選手が選ばれなかったことが議論を呼んでいた。
前田彩里……名古屋ウィメンズ3位(日本人1位)、2時間22分48秒
伊藤舞………名古屋ウィメンズ4位(日本人2位)、2時間24分42秒
重友梨佐……大阪国際3位(日本人1位)、 2時間26分39秒
田中智美……横浜国際優勝 2時間26分57秒
選考前の下馬評は
「前田確実、田中濃厚 ラスト1枠は伊藤有利」
で、重友は終盤失速がマイナス材料という評価だった。武冨・女子マラソン部長は「各大会を精査するが(伊藤の)自己ベストは高い評価」と話していたらしいが、自己新を出したことが“伸び盛り”ということなのだろうが、私は≪短距離と違い、レース展開やレース条件に左右されるマラソンで、1度の記録を地力と評価するのは危険≫だと思う。
実際の選考では、前田選手、伊藤選手の順に代表が決まり、第3の枠を、重友選手と田中選手で争い重友選手が選ばれた。
その理由として
「(田中の)優勝は重いが26分台。出場していた選手の力も劣る。21、22分台を出したなら評価するが、世界と戦うには少し物足りない。
選出した3人は、陸連が目標に据えた2時間22分30秒の設定記録を目指す走りと評価した」
レースによって条件(気象条件、参加選手、レース展開、ペースメーカーの巧拙)が違い、タイムだけで決定するのはナンセンス。
2時間22分30秒の設定タイムを目指して走ったと言っても、クリアできなかったので実力不足と判定できる。
重友選手に至っては、設定タイムより4分も遅れたので、「目指して走ったこと」を評価するのは、まったく理解不能。
それに、優勝したことは何を置いても評価しないといけない。そうでないと選考レースの意味がない。
伊藤選手は「前田選手より2分遅い選手」「設定タイムもクリアしていない」という事実は、落選理由に十分値すると考えられる。
競泳の選考基準ならば、設定タイムをクリアしていないので「代表なし」となる。しかし、条件がほぼ一定の競泳と違い、マラソンは条件の違いが大きいので、前田選手の代表選出は妥当であろう。田中選手の優勝も代表に値すると考え、代表はこの2名が妥当ではないだろうか。
皮肉にも、代表入りに疑問を感じた伊藤選手が、8位入賞という甘い基準をクリアして、五輪代表に内定してしまった。
これで、残る代表枠は2となり、ただでさえ黒に限りなく近い灰色のマラソン代表選考が混迷度が深まったと言わざるを得ない。
マラソンほどではないが、トラック、フィールド種目も「ほぼ内定」の基準は甘すぎる。正直、内定者が出なくて、ほっとしている。(競歩では谷井孝行が銅メダルで、内定を得ている)