≪たのしいなあ~≫
と、そんな気分を打ち破る携帯の着信が……
【nanaponの予想】
さっき別れたばかりのkoumamaさんからで、名残惜しいからこれから飯田橋に飛んでくる、なんて展開?
それとも、英さんが東京にいると聞きつけた小暮さんが名人戦のさなか電話くれた?
いや、単なる仕事のトラブルですぐに戻らなければいけない緊急事態?
誰だよ、こんな時に…あっ!………
タクシーの料金清算中に掛けてきたお得意様かなあ。小暮さんからかとも少しだけ期待したが………
私の狼狽ぶりを見て、nanaponさんもssayさんも、
≪koumamaさん?≫
「妻からです」
ちょっとガッカリした様子のふたりを余所にして
「あ、うん、大丈夫。今、焼き鳥屋さんで友人と飲んでいるんだ。連絡しないで、ごめん」
携帯が鳴った時、≪誰かな?≫の選択肢に、1%も浮かばなかった。
完全に『竜宮城状態』であった。乙姫にはあったし、ここには鯛もヒラメもいる。
連絡するのを完全に忘却していたので、変に焦ってしまった。そのせいで勘ぐられないかと、更に焦った。
幸い、店のがやがやとした雰囲気や、ふたりのおっさんの気配がフォローしてくれて、事なきを得た。
変な雰囲気になりかけたので、まじめな話題を投入。
「JT杯で参加人数のギネス記録を作ったよね。あれ、運営するの大変そう。その苦労を考えると、頭が下がるけど、今回、私が言いたいことは、それではないです。
将棋連盟はギネスに認定されて、喜んでいるけど、実際は手放しで喜べばいい状態ではないんです。福井県は、将棋の盛んな方だと思うけれど、ここ2、3年、小中学校の大会参加数は3割減っている。3割減ですんでいるのは、福井市が頑張っているだけで、その他の地域は激減と言っていいんです。越前市を含む地域はまだましだけど、もっと郡部では、地区大会が成り立たない。小学生全学年で4~6人で、参加1人の学年や一人の参加のない学年もできます。
大人の方は、20年以上前から漸減してきています。たとえば、職域団体対抗戦(3人1組)の参加チームが120チームを超えていたのが、今年は15チームくらいなんです。
昔は職場の昼休みによく将棋を指していたらしいんだけど、今は全くそんな雰囲気ではないそうです。
縁台将棋や公園で子どもたちが将棋に群がるなんてシーンは、昭和の遺物です」
nanaponさんは絶句していたが、都会と田舎ではこんなに将棋の状況が違う。
確かに、情報として、将棋と言えば「羽生名人」(一般の人は「羽生名人」なのである)とか、「コンピュータにプロが負けたんだって」とか、「棋士」=「素敵な文化人」など、認識としては昔より遥かに浸透している。
しかし、将棋は特殊な分野として遠くから認識されているだけで、文化、娯楽としては薄くなってきているのである。
「将棋世界でアマチュアの大会を詳細にリポートするべき。特に、小中学生の大会なんて、1ページでトーナメント表と顔写真を載せるだけのおざなりの記事はやめてほしい。一人でも多く紹介すれば、その子どもや親御さんは嬉しいし、それをまた知人に見せる。そうすれば、どんどん将棋が身近になり、将棋の輪が広がるじゃん」
と、熱く語ったような記憶がある。
思いをぶつけられたnanaponさん、ssayさん、持て余しただろうなあ。
熱く語った2時間、楽しくて濃密な2時間だった。
会ってみて、nanaponさんもssayさんも想像通りの人だった。
ssayさん(「その7」のコメント)によると、私ではないですよ。
「繊細で優しくてロマンチスト、それとちょっぴりシャイ」
らしいですが、うん、そうだよな(反論は認めません)。
3人とも理論家……と言い切る自信はないが、理論を展開するのは好き。
しかし、その展開の仕方がちょっと異なる。
私とnanaponさんは、もちろん結論の見通しを立てて、話を始めるが、取り敢えず、書き始める節があり、前置きが長かったり、話が横道に逸れることが多い。ssayさんは、確信や確証がないと語らない。そんな違いを感じた。(違っていたら、ごめん)
さて、本来は、ここでこの『飯田橋編』も終了するはずだが、実は終了間際に、ある事件が発生していたのだが、お二人は気がついていたのだろうか…………【あと少しだけ続く】
と、そんな気分を打ち破る携帯の着信が……
【nanaponの予想】
さっき別れたばかりのkoumamaさんからで、名残惜しいからこれから飯田橋に飛んでくる、なんて展開?
それとも、英さんが東京にいると聞きつけた小暮さんが名人戦のさなか電話くれた?
いや、単なる仕事のトラブルですぐに戻らなければいけない緊急事態?
誰だよ、こんな時に…あっ!………
タクシーの料金清算中に掛けてきたお得意様かなあ。小暮さんからかとも少しだけ期待したが………
私の狼狽ぶりを見て、nanaponさんもssayさんも、
≪koumamaさん?≫
「妻からです」
ちょっとガッカリした様子のふたりを余所にして
「あ、うん、大丈夫。今、焼き鳥屋さんで友人と飲んでいるんだ。連絡しないで、ごめん」
携帯が鳴った時、≪誰かな?≫の選択肢に、1%も浮かばなかった。
完全に『竜宮城状態』であった。乙姫にはあったし、ここには鯛もヒラメもいる。
連絡するのを完全に忘却していたので、変に焦ってしまった。そのせいで勘ぐられないかと、更に焦った。
幸い、店のがやがやとした雰囲気や、ふたりのおっさんの気配がフォローしてくれて、事なきを得た。
変な雰囲気になりかけたので、まじめな話題を投入。
「JT杯で参加人数のギネス記録を作ったよね。あれ、運営するの大変そう。その苦労を考えると、頭が下がるけど、今回、私が言いたいことは、それではないです。
将棋連盟はギネスに認定されて、喜んでいるけど、実際は手放しで喜べばいい状態ではないんです。福井県は、将棋の盛んな方だと思うけれど、ここ2、3年、小中学校の大会参加数は3割減っている。3割減ですんでいるのは、福井市が頑張っているだけで、その他の地域は激減と言っていいんです。越前市を含む地域はまだましだけど、もっと郡部では、地区大会が成り立たない。小学生全学年で4~6人で、参加1人の学年や一人の参加のない学年もできます。
大人の方は、20年以上前から漸減してきています。たとえば、職域団体対抗戦(3人1組)の参加チームが120チームを超えていたのが、今年は15チームくらいなんです。
昔は職場の昼休みによく将棋を指していたらしいんだけど、今は全くそんな雰囲気ではないそうです。
縁台将棋や公園で子どもたちが将棋に群がるなんてシーンは、昭和の遺物です」
nanaponさんは絶句していたが、都会と田舎ではこんなに将棋の状況が違う。
確かに、情報として、将棋と言えば「羽生名人」(一般の人は「羽生名人」なのである)とか、「コンピュータにプロが負けたんだって」とか、「棋士」=「素敵な文化人」など、認識としては昔より遥かに浸透している。
しかし、将棋は特殊な分野として遠くから認識されているだけで、文化、娯楽としては薄くなってきているのである。
「将棋世界でアマチュアの大会を詳細にリポートするべき。特に、小中学生の大会なんて、1ページでトーナメント表と顔写真を載せるだけのおざなりの記事はやめてほしい。一人でも多く紹介すれば、その子どもや親御さんは嬉しいし、それをまた知人に見せる。そうすれば、どんどん将棋が身近になり、将棋の輪が広がるじゃん」
と、熱く語ったような記憶がある。
思いをぶつけられたnanaponさん、ssayさん、持て余しただろうなあ。
熱く語った2時間、楽しくて濃密な2時間だった。
会ってみて、nanaponさんもssayさんも想像通りの人だった。
ssayさん(「その7」のコメント)によると、私ではないですよ。
「繊細で優しくてロマンチスト、それとちょっぴりシャイ」
らしいですが、うん、そうだよな(反論は認めません)。
3人とも理論家……と言い切る自信はないが、理論を展開するのは好き。
しかし、その展開の仕方がちょっと異なる。
私とnanaponさんは、もちろん結論の見通しを立てて、話を始めるが、取り敢えず、書き始める節があり、前置きが長かったり、話が横道に逸れることが多い。ssayさんは、確信や確証がないと語らない。そんな違いを感じた。(違っていたら、ごめん)
さて、本来は、ここでこの『飯田橋編』も終了するはずだが、実は終了間際に、ある事件が発生していたのだが、お二人は気がついていたのだろうか…………【あと少しだけ続く】