今回の見所は、身内(叔父や父)を斬首する清盛と義朝
ですが、真のテーマがあります。
信西の真意と保元の乱の意義
黒くなった信西(安部サダヲ)が保元の乱を誘導したと考えてよいと思うが、保元の乱の意義は?
一言で言えば、藤原頼長(山本耕史)、崇徳院(井浦新)ら抵抗勢力の排除。
戦を起こすことで、不穏分子の態度をはっきりさせたかった。そして、戦に勝利して、後白河天皇(松田翔太)の権威を確固たるものにしたかったのだろう。
では、信西の真意は?
これは前回の記事でも「自らの政治理想の実現を目指すため、心を鬼にして非情に徹した。今回の保元の乱も、政敵の排除が目的で、戦後も反乱因子の排除を徹底したかった」と考察したが、はっきりしない部分が多かった。前回記事では、
「政治理念を実現するために武士は必要と考えていたはずだが、政権を手中に収めつつある今となっては、手駒として利用するだけの存在で、あまり力を持っては困ると考え、一族分裂の因を作っておこうと考えたのだろうか。
しかし、平氏や源氏を敵に回す可能性もある。どのように考えて、処分を決めたのだろうか?」
これに対するひとつの答が、藤原師光(加藤虎之介)
「忠正にせよ、為義にせよ、死罪にまでせねばならぬほどの咎があるとは、あなた様とて思うておらぬはず。
もとより、あなた様にとって、忠正一党はどうあってもよい。だが為義一党に生きておられては困る。ここで藤原摂関家の力をすっかり削いでおくためにございまする。
思えば、あの戦の最中より…いや、その前より……あなた様はこうなるように仕組んでおられた。
殿の苛烈さ、あの悪左府様の比ではございませぬ。この師光はどこまでもついて参りまする」(ちょっと、語尾が聞き取りにくい)
藤原摂関家の力を削ぐため、摂関家と結びつきが強い為義一党を排除したかった。そのために忠正の処刑が必要だった。
しかし、この師光の言葉を聞く信西の目から涙が……
そして、後白河帝の宴に招かれ、武士の力を見せつけたところで、何も変わらなかったことを悟る清盛(松山ケンイチ)に対し、
叔父を斬ったという新たな重き荷を背負い、禍々しい運命を背負いながらも、道を切り開き、生きていく力がある。
だからこそ、「何が遊ぶために生まれてきただ?」という言葉を吐かせ、清盛の甘い心を捨てさせるために試練を与えた。
「気楽なことを言うなっ!、太刀を手にしたことのない者が、気楽なことを言うな!」
と清盛に殴り飛ばされるが、
「太刀なら…太刀なら私も振るておる。
この腐った世を、根底より叩き直すため、目には見えぬ太刀を。
その返り血と、己の血反吐にまみれて生きておる。
もう慣れ合いは終わりじゃ。
この信西、知力を以てそなたの野心を支えて進ぜる。
そなたは武力を以て、私の政を補え。
清盛!共に世を変えようぞ」
やっと…語ってくれた。……でも、これも芝居じゃないんだろうなあと疑念も残る。
しつこいようだけど、信西がこの非常な決意を固めたシーンがなかったので、唐突に黒くなり、今回いきなり語られても(頼長の日記を読む辺りは多少内なる感情が見えたが)、疑惑を持ってしまう。
信西の決意のシーンがなくても、決意に至る出来事がこれだと分かれば、納得できる。出家した辺りがそうだと思えるが、出家に至った直接の出来事が描かれていないのが、残念。
清盛の修羅、義朝の慟哭
清盛、義朝(玉木宏)、ともに身内(叔父、父)を斬首せよと言い渡される。
覚悟を決め刑場に向かうが、刀を振り下ろせない。
忠正(豊原功補)、為義(小日向文世)ともに叱咤するが、それでも……
……………………清盛は斬り、義朝は斬れなかった。
ここまでの二人の生き方なら、逆が予想された。
斜からの見方になるが、予告で清盛が「斬れない」と叫んでいたので、却って「斬るのだろう」と予想してしまった。
それはさておき、現代劇ならともかく、大河の主人公ならやはり「斬る」だろう。
対する義朝は微妙。主人公と対比させるライバルなら「斬れない」も大いにありだ。しかし、友切を奪うため弟をためらいなく討った義朝なので、このヘタレ、人間味には違和感を感じた。
まあ、この人間味が義朝を嫌っていた鬼武者(頼朝)の心を動かし、元服に至ったのだが。
私としては、清盛のライバルとして同格扱いして欲しかった。
これが玉木宏だったので、まだ観られるが、逆に松山ケンイチ(清盛)だったら、「ヘタレ」だとまた非難されるような気がする。
それにしても、斬らねば斬られる戦場で剣を合わせるのとは別物なんだろう。無抵抗に首を差し出されては、肉親であるが故、いろいろな情が浮かび上がってしまう。
従者も対照的だった。黙って見守る盛国(上川隆也)に対し、「もうよい、泣くでない」と慰める為義を、鎌田正清(趙和)がいきなり斬りおとす。
思わず「え!」だった。せめて、為義が自ら腹を切り「楽にさせろ」と首を落とすことを義朝に強いるのかと思ったら、『天地人』の兼続ばりの出しゃばり度だ。
そのせいで、他の斬首される者たちの態度も、対照的なもの(感謝と罵倒)になってしまった。
忠正と為義の覚悟
ともに一族のため覚悟を決める二人。印象に残るシーンがそれぞれに。
清盛の三男・清三郎が、忠正が作ると約束していた竹馬が完成したかをたずねてきて、忠正は帰ったらつくると告げる。
えっ、まだ作っていなかったの?作りかけていたのだから、斬首を告げられたら、尚のこそ仕上げるのでは?と思ったが、この世に未練を感じさせる悲しいシーンとしては良いのかもしれない。
斬首の言い渡しに、友切(髭切)を投げ捨てる義朝に、「源氏十代の刀ぞ」と為義は丁寧に拾い上げ義朝に授ける。義朝に源氏を託すいいシーンだった。(よいシーンだけに、義朝もいざという時に、躊躇ってしまった)
時子と由良の決意
この人、誰?……と思えるほどの厳しい顔、妹の滋子(成海璃子)につとめにでるよう命じた時の時子(深田恭子)。棟りょうの妻としての自覚の現れだが、あまり変わって欲しくないなあ。
由良(田中麗奈)も凛とした態度を貫く。すごくよい。
この二人、登場当時はコメディだったのになあ。
悪役を演じ、得意満面の後白河帝
後白河帝は宴で、清盛の為に白拍子を呼んで舞歌わせた。二人のテーマソングをわざとイラつかせるようなアレンジを施す念の入りよう?
「我らは遊ぶために生まれてきた」「飲めや唄え」「ふはははははは」
清盛を挑発するがごとく、悪の権化を演じ楽しんでいる様子。
白川院のもののけの血を引きずるふたり。
「人生は遊びだ。面白く生きようぞ」と嘯く後白河帝、
「何が遊びだ」と面白く生きることを否定した清盛。
今後の二人の生き方にも注目。
綱渡りのように感じる斬首の言い渡し
保元の乱で武士の力を見せつけたものの、朝廷の「犬」という立場は変わらなかった。当時、斬首は考えられないほどの極刑。
「朝廷貴族の争いごとに巻き込まれ、命を懸けて戦っただけなのに」という清盛の言葉はもっともだと思った。
極刑に抵抗して、あるいは、斬首に従ったのに武士の地位が変わらなかったことに腹を立て、平氏と源氏が結託して、クーデターを起こすという発想はなかったのだろうか?
平氏や源氏を押さえ込めるには、忠正や為義に恩赦をした方が、足枷をできるような気がする。
【その他の感想・突っ込みなど】
・ようやく叔父を斬首したが、振り向くとあと4人。『世にも奇妙な物語』を髣髴させる残酷さ。
・「平氏は一蓮托生」と宣言するが、今回の内容とずれていないか?
一蓮托生なら、叔父を逃がすか助けるか、それがだめなら叔父を斬るなら全員自害
【ストーリー】(番組サイトより)
信西(安部サダヲ)は清盛(松山ケンイチ)に叔父・忠正(豊原功補)の処分は死罪だと告げた。動揺して必死にあらがう清盛だが信西には通じない。清盛は平氏の後ろ盾となってくれていた藤原家成の息子・成親(吉沢悠)にとりなしを頼むが、成親は泣きながら自分の力では無理だと断る。しかし清盛が出ていくと、その目には涙ひとつなかった。
信西の仕打ちは源氏に対しても同じだった。信西は義朝(玉木宏)に、父・為義(小日向文世)や弟たちが死罪だと告げた。必死に許しをこう義朝に信西は、清盛は今後のことを考えて叔父を斬ると伝えた。怒りに我を失った義朝は、館にもどると由良(田中麗奈)をたたき、なぜ父を連れ戻したりしたと責めた。その様子を為義はぼう然と見つめていた。
清盛の館では平氏一門が今後の策を議論するがまとまらない。清盛は意を決して、忠正に斬首の沙汰を告げると、忠正は運命をすぐに受け入れ、清盛の手で自分を斬れと言う。
一方、義朝の館では悩み苦しむ義朝に為義が静かに語りかける。自分の悲願だった殿上人に義朝がなったことを親孝行だとほめ、義朝に源氏重代の家宝である刀で自分を斬ってくれと頼んだ。由良は鬼武者(のちの頼朝)に義朝が為義を斬ることを告げ、その場を見届けろと命じる。
忠正が上皇方につく原因となった清盛の弟・頼盛(西島隆弘)は、忠正に涙ながらに謝罪するが、忠正は平氏のためになら喜んで自分は斬られると静かに語った。
運命の日、忠正は一緒に斬られる運命になった息子たちにわびて館を出ようとする。そこへ何も知らない清盛の三男・清三郎が、忠正が作ると約束していた竹馬が完成したかをたずねてきた。忠正は帰ったらつくると告げ、一門が見送る中、処刑場の河原に向かった。
河原で西行(藤木直人)も見守る中、清盛は宋剣を抜くが忠正の首へ振り下ろすことができない。忠正が何度も斬れと叫んだ末、清盛は叔父や、その子らを斬った。
一方、義朝も為義を斬るのをためらっていた。為義の斬れという叫びにも義朝はこたえず泣き崩れた。やがて義朝の家臣・鎌田正清(趙和)が刀をとり、為義やその子らを斬っていった。
藤原師光(もろみつ:加藤虎ノ介)から処刑の結果を聞いた信西は、冷静に首をさらすよう命じた。師光は信西の真意を見抜き、藤原摂関家を弱めるため為義を殺さねばならず、そのために平氏も源氏も両方血を流すことを求めたのだと感服した口調で話す。信西はそっと涙を流していた。
使命を終えた清盛を待っていたのは後白河天皇(松田翔太)からの勝利の宴への誘いだった。かつては武士を軽んじていた関白・藤原忠通(堀部圭亮)だが、今は武士の力を認めざるを得ないとして清盛に杯をあたえた。後白河天皇は白拍子を呼んで舞歌わせた。祝いが華やかになるほど心が暗く沈んでいく清盛は、やがて怒りをおしとどめ、後白河天皇に招待のお礼を言上した。
宴の後、その場に残り怒りを吐き出す清盛に、信西は「すべての重き荷を背負ってこの国の宝となれ」とさとし、信西の知力と清盛の武力で世を変えようと語りかけた。
そのころ、悲劇を通して棟りょうの妻としての自覚ができた時子(深田恭子)は妹の滋子(成海璃子)につとめにでるよう命じた。
また、義朝が為義を斬れずにいた一部始終を見ていた鬼武者は義朝に、元服して父を支えたいと申し出た。その言葉に義朝は思わず鬼武者を抱きしめ涙を流した。そして鬼武者は「源頼朝」と名乗ることになった。
清盛は平氏一門を集め、平氏は一蓮托生であり、一門の繁栄を築きあげるのが一人一人の使命だと改めて宣言した。
ですが、真のテーマがあります。
信西の真意と保元の乱の意義
黒くなった信西(安部サダヲ)が保元の乱を誘導したと考えてよいと思うが、保元の乱の意義は?
一言で言えば、藤原頼長(山本耕史)、崇徳院(井浦新)ら抵抗勢力の排除。
戦を起こすことで、不穏分子の態度をはっきりさせたかった。そして、戦に勝利して、後白河天皇(松田翔太)の権威を確固たるものにしたかったのだろう。
では、信西の真意は?
これは前回の記事でも「自らの政治理想の実現を目指すため、心を鬼にして非情に徹した。今回の保元の乱も、政敵の排除が目的で、戦後も反乱因子の排除を徹底したかった」と考察したが、はっきりしない部分が多かった。前回記事では、
「政治理念を実現するために武士は必要と考えていたはずだが、政権を手中に収めつつある今となっては、手駒として利用するだけの存在で、あまり力を持っては困ると考え、一族分裂の因を作っておこうと考えたのだろうか。
しかし、平氏や源氏を敵に回す可能性もある。どのように考えて、処分を決めたのだろうか?」
これに対するひとつの答が、藤原師光(加藤虎之介)
「忠正にせよ、為義にせよ、死罪にまでせねばならぬほどの咎があるとは、あなた様とて思うておらぬはず。
もとより、あなた様にとって、忠正一党はどうあってもよい。だが為義一党に生きておられては困る。ここで藤原摂関家の力をすっかり削いでおくためにございまする。
思えば、あの戦の最中より…いや、その前より……あなた様はこうなるように仕組んでおられた。
殿の苛烈さ、あの悪左府様の比ではございませぬ。この師光はどこまでもついて参りまする」(ちょっと、語尾が聞き取りにくい)
藤原摂関家の力を削ぐため、摂関家と結びつきが強い為義一党を排除したかった。そのために忠正の処刑が必要だった。
しかし、この師光の言葉を聞く信西の目から涙が……
そして、後白河帝の宴に招かれ、武士の力を見せつけたところで、何も変わらなかったことを悟る清盛(松山ケンイチ)に対し、
叔父を斬ったという新たな重き荷を背負い、禍々しい運命を背負いながらも、道を切り開き、生きていく力がある。
だからこそ、「何が遊ぶために生まれてきただ?」という言葉を吐かせ、清盛の甘い心を捨てさせるために試練を与えた。
「気楽なことを言うなっ!、太刀を手にしたことのない者が、気楽なことを言うな!」
と清盛に殴り飛ばされるが、
「太刀なら…太刀なら私も振るておる。
この腐った世を、根底より叩き直すため、目には見えぬ太刀を。
その返り血と、己の血反吐にまみれて生きておる。
もう慣れ合いは終わりじゃ。
この信西、知力を以てそなたの野心を支えて進ぜる。
そなたは武力を以て、私の政を補え。
清盛!共に世を変えようぞ」
やっと…語ってくれた。……でも、これも芝居じゃないんだろうなあと疑念も残る。
しつこいようだけど、信西がこの非常な決意を固めたシーンがなかったので、唐突に黒くなり、今回いきなり語られても(頼長の日記を読む辺りは多少内なる感情が見えたが)、疑惑を持ってしまう。
信西の決意のシーンがなくても、決意に至る出来事がこれだと分かれば、納得できる。出家した辺りがそうだと思えるが、出家に至った直接の出来事が描かれていないのが、残念。
清盛の修羅、義朝の慟哭
清盛、義朝(玉木宏)、ともに身内(叔父、父)を斬首せよと言い渡される。
覚悟を決め刑場に向かうが、刀を振り下ろせない。
忠正(豊原功補)、為義(小日向文世)ともに叱咤するが、それでも……
……………………清盛は斬り、義朝は斬れなかった。
ここまでの二人の生き方なら、逆が予想された。
斜からの見方になるが、予告で清盛が「斬れない」と叫んでいたので、却って「斬るのだろう」と予想してしまった。
それはさておき、現代劇ならともかく、大河の主人公ならやはり「斬る」だろう。
対する義朝は微妙。主人公と対比させるライバルなら「斬れない」も大いにありだ。しかし、友切を奪うため弟をためらいなく討った義朝なので、この
まあ、この人間味が義朝を嫌っていた鬼武者(頼朝)の心を動かし、元服に至ったのだが。
私としては、清盛のライバルとして同格扱いして欲しかった。
これが玉木宏だったので、まだ観られるが、逆に松山ケンイチ(清盛)だったら、「ヘタレ」だとまた非難されるような気がする。
それにしても、斬らねば斬られる戦場で剣を合わせるのとは別物なんだろう。無抵抗に首を差し出されては、肉親であるが故、いろいろな情が浮かび上がってしまう。
従者も対照的だった。黙って見守る盛国(上川隆也)に対し、「もうよい、泣くでない」と慰める為義を、鎌田正清(趙和)がいきなり斬りおとす。
思わず「え!」だった。せめて、為義が自ら腹を切り「楽にさせろ」と首を落とすことを義朝に強いるのかと思ったら、『天地人』の兼続ばりの出しゃばり度だ。
そのせいで、他の斬首される者たちの態度も、対照的なもの(感謝と罵倒)になってしまった。
忠正と為義の覚悟
ともに一族のため覚悟を決める二人。印象に残るシーンがそれぞれに。
清盛の三男・清三郎が、忠正が作ると約束していた竹馬が完成したかをたずねてきて、忠正は帰ったらつくると告げる。
えっ、まだ作っていなかったの?作りかけていたのだから、斬首を告げられたら、尚のこそ仕上げるのでは?と思ったが、この世に未練を感じさせる悲しいシーンとしては良いのかもしれない。
斬首の言い渡しに、友切(髭切)を投げ捨てる義朝に、「源氏十代の刀ぞ」と為義は丁寧に拾い上げ義朝に授ける。義朝に源氏を託すいいシーンだった。(よいシーンだけに、義朝もいざという時に、躊躇ってしまった)
時子と由良の決意
この人、誰?……と思えるほどの厳しい顔、妹の滋子(成海璃子)につとめにでるよう命じた時の時子(深田恭子)。棟りょうの妻としての自覚の現れだが、あまり変わって欲しくないなあ。
由良(田中麗奈)も凛とした態度を貫く。すごくよい。
この二人、登場当時はコメディだったのになあ。
悪役を演じ、得意満面の後白河帝
後白河帝は宴で、清盛の為に白拍子を呼んで舞歌わせた。二人のテーマソングをわざとイラつかせるようなアレンジを施す念の入りよう?
「我らは遊ぶために生まれてきた」「飲めや唄え」「ふはははははは」
清盛を挑発するがごとく、悪の権化を演じ楽しんでいる様子。
白川院のもののけの血を引きずるふたり。
「人生は遊びだ。面白く生きようぞ」と嘯く後白河帝、
「何が遊びだ」と面白く生きることを否定した清盛。
今後の二人の生き方にも注目。
綱渡りのように感じる斬首の言い渡し
保元の乱で武士の力を見せつけたものの、朝廷の「犬」という立場は変わらなかった。当時、斬首は考えられないほどの極刑。
「朝廷貴族の争いごとに巻き込まれ、命を懸けて戦っただけなのに」という清盛の言葉はもっともだと思った。
極刑に抵抗して、あるいは、斬首に従ったのに武士の地位が変わらなかったことに腹を立て、平氏と源氏が結託して、クーデターを起こすという発想はなかったのだろうか?
平氏や源氏を押さえ込めるには、忠正や為義に恩赦をした方が、足枷をできるような気がする。
【その他の感想・突っ込みなど】
・ようやく叔父を斬首したが、振り向くとあと4人。『世にも奇妙な物語』を髣髴させる残酷さ。
・「平氏は一蓮托生」と宣言するが、今回の内容とずれていないか?
一蓮托生なら、叔父を逃がすか助けるか、それがだめなら叔父を斬るなら全員自害
【ストーリー】(番組サイトより)
信西(安部サダヲ)は清盛(松山ケンイチ)に叔父・忠正(豊原功補)の処分は死罪だと告げた。動揺して必死にあらがう清盛だが信西には通じない。清盛は平氏の後ろ盾となってくれていた藤原家成の息子・成親(吉沢悠)にとりなしを頼むが、成親は泣きながら自分の力では無理だと断る。しかし清盛が出ていくと、その目には涙ひとつなかった。
信西の仕打ちは源氏に対しても同じだった。信西は義朝(玉木宏)に、父・為義(小日向文世)や弟たちが死罪だと告げた。必死に許しをこう義朝に信西は、清盛は今後のことを考えて叔父を斬ると伝えた。怒りに我を失った義朝は、館にもどると由良(田中麗奈)をたたき、なぜ父を連れ戻したりしたと責めた。その様子を為義はぼう然と見つめていた。
清盛の館では平氏一門が今後の策を議論するがまとまらない。清盛は意を決して、忠正に斬首の沙汰を告げると、忠正は運命をすぐに受け入れ、清盛の手で自分を斬れと言う。
一方、義朝の館では悩み苦しむ義朝に為義が静かに語りかける。自分の悲願だった殿上人に義朝がなったことを親孝行だとほめ、義朝に源氏重代の家宝である刀で自分を斬ってくれと頼んだ。由良は鬼武者(のちの頼朝)に義朝が為義を斬ることを告げ、その場を見届けろと命じる。
忠正が上皇方につく原因となった清盛の弟・頼盛(西島隆弘)は、忠正に涙ながらに謝罪するが、忠正は平氏のためになら喜んで自分は斬られると静かに語った。
運命の日、忠正は一緒に斬られる運命になった息子たちにわびて館を出ようとする。そこへ何も知らない清盛の三男・清三郎が、忠正が作ると約束していた竹馬が完成したかをたずねてきた。忠正は帰ったらつくると告げ、一門が見送る中、処刑場の河原に向かった。
河原で西行(藤木直人)も見守る中、清盛は宋剣を抜くが忠正の首へ振り下ろすことができない。忠正が何度も斬れと叫んだ末、清盛は叔父や、その子らを斬った。
一方、義朝も為義を斬るのをためらっていた。為義の斬れという叫びにも義朝はこたえず泣き崩れた。やがて義朝の家臣・鎌田正清(趙和)が刀をとり、為義やその子らを斬っていった。
藤原師光(もろみつ:加藤虎ノ介)から処刑の結果を聞いた信西は、冷静に首をさらすよう命じた。師光は信西の真意を見抜き、藤原摂関家を弱めるため為義を殺さねばならず、そのために平氏も源氏も両方血を流すことを求めたのだと感服した口調で話す。信西はそっと涙を流していた。
使命を終えた清盛を待っていたのは後白河天皇(松田翔太)からの勝利の宴への誘いだった。かつては武士を軽んじていた関白・藤原忠通(堀部圭亮)だが、今は武士の力を認めざるを得ないとして清盛に杯をあたえた。後白河天皇は白拍子を呼んで舞歌わせた。祝いが華やかになるほど心が暗く沈んでいく清盛は、やがて怒りをおしとどめ、後白河天皇に招待のお礼を言上した。
宴の後、その場に残り怒りを吐き出す清盛に、信西は「すべての重き荷を背負ってこの国の宝となれ」とさとし、信西の知力と清盛の武力で世を変えようと語りかけた。
そのころ、悲劇を通して棟りょうの妻としての自覚ができた時子(深田恭子)は妹の滋子(成海璃子)につとめにでるよう命じた。
また、義朝が為義を斬れずにいた一部始終を見ていた鬼武者は義朝に、元服して父を支えたいと申し出た。その言葉に義朝は思わず鬼武者を抱きしめ涙を流した。そして鬼武者は「源頼朝」と名乗ることになった。
清盛は平氏一門を集め、平氏は一蓮托生であり、一門の繁栄を築きあげるのが一人一人の使命だと改めて宣言した。