一年少し前に GE の CEO兼会長に就任したJ.フラナリーが GEの取締役会で解任されたという。代わりはラリー・カルプ氏という。
フラナリー氏は確か長年 GE で働き、その実績を買われて GEの再建を託された方でした。数か月間 GE の各現場を見て歩き、自分の目で各事業の将来性を判断し、思い切った事業の再建と売却を進めてきた方でした。中期的な視野と現場を重視するといった経営で、日本的な経営センスをも持つ方と思って 注目でしたが、GE の大口株主から、生ぬるい?( GE の株価は 2017年に 45%下げ、2018年は現在まで 35%下げています)と不評のようでした。投資家の圧力で経営トップが交代させられたようです。
カルプ氏は、ダナハー社( 1969年に投資会社として設立後、景気変動に影響受けにくい企業を数多く買収し、独自の経営改善策で企業を再生させ、これら数多くの企業を傘下に置く会社)で医療機器メーカーなどの大型買収を成功させ、その実績から GE に入り、また NYウォール街(多くの投資家/ファンド)から支持を受けている経営者という。米国は実績 = 実力なのです。
GE はフラナリー氏の下 医療部門(世界 140 か国に製品やサービスを提供)、発電部門(世界の発電量の三分の一に技術提供)、航空機エンジン部門(世界の民間航空機の三分の二に採用)に事業を絞り込んできましたが、今回のカルプ氏の会長就任の際 発電部門が抱えていたのれん資産 2.6兆円を一気に損失計上しましたので、これは発電部門の売却をも意味する会長の交代では との憶測を呼んでいます。まあ 最新の GE 発電機 50 基が タービンの羽根に錆が出るとのクレームを抱えており、この巨額な補修賠償費も 発電部門の売却のうわさを強めているようです。
小さな案件ですが、中国に工場ごと進出した技術力ある会社が、今までに経験したことのない(人為的?)クレームの続発で、生産設備・技術をすべて残して、中国から撤退した話が昔ありました。クレームは損失額が算出しにくいので恐怖です(ね)
医療部門も カルプ氏は売却し GE は先ずは航空機エンジンの専業会社になるのでは?との情報もあります。
投資家は先が見えるものに投資しますので、カルプ氏は投資家の切り込み隊長として GE の損益の見える化を図る ということでしょうか?
会社経営の主導権は投資家が持っていること、事業の再建よりは事業の売却の方が手っ取り早い=収益が・株価が素早く向上するので好ましいこと 等の米国流経営がうかがい知れる GE の人事報道でした。 フラナリー氏に 日本的経営に 頑張って欲しかったので 残念な報道でした。