さんぽ道から

散歩中の雑感・モノローグを書いてみました

遅読でーす

2018-04-22 12:27:34 | 抜き書き


<初めのころ、この警察署の警官たちは禁酒法をあまりよく思っていなかったので、しばらくのあいだそれを執行することにまったく本腰を入れていなかった。反酒場連盟がアルコールを出す店を次々と廃業させていくにあたって、パトロール警官たちはぶつぶつこぼしながら、最小限の手伝いしかしなかった。携帯用酒瓶や密造ジンをたまたま見つけた警官は、警告を与え、とりあえず証拠品を没収するくらいで、持ち主を見逃すことがしばしばだった。キリスト教婦人禁酒同盟が国中に広めようと最善を尽くしたにもかかわらず、酒には悪魔が宿っていると誰もが信じたわけではなかったのだ。その法律をはなから馬鹿にして守らない酒の密造者に対して、本気で罰するほどの憤りをふるい起こせないと思われる裁判官すらいた。「骨の折れる一日の仕事が終わったら、なんらかの酒の一杯ぐらい飲みたくなって当然だろうに』と警部補はかつてみんなに聞こえるようにかなり大声で言いながら、肩をすくめた。しばらくはこんな調子ですぎていった。ときたま近隣からやってくるさまざまな男たち――多くは夫や父親――が密造酒を売っていたかどでしょっぴかれ、軽いお叱りを受けただけで放免された。それ以上のことをしようとする者など、だれもいなかった。
けれど、うるさい車輪には油が与えられると俗に言うとおりで、この場合、うるさい車輪はメイベル・ヴィレブラント司法副長官であり、油はあたしたちだった。あたしは彼女の司法界における功績について詳しいわけではないけど、ありとあらゆる新聞を読んだところからすると、ミセス・ヴィレブランントは不精で腰の重い男性の相棒たちが触れようとしない、形ばかりのお粗末な法律の問題点を洗い出すという厄介な栄誉を手にし、驚くほど嬉々としてそうした問題点への取り組みに乗り出しており、その過程でしばしば重大ニュースになっていた。ミセス・ヴィレブラントが困りものの法律問題の責任者になったのは、ごく自然なことだと思う。なんといっても、彼女は女性だし、評判の悪い問題を担当させることに大した危険はない。女性がその職業で失敗しても、男性が同じ失敗をしたのとは異なるとみなされるからだ。とはいえ、ミセス・ヴィレブラントに失敗するつもりなどないのは明らかで、彼女は不撓不屈にして臨機応変であることをみずから示した。ハイライン市長の協力はさほど得られない状況だったものの、市長の妻ミリアムと話した結果“良識”を理解してもらうことに成功したのだ。この二人が手を携え得て報道界を大いに駆り立て、ニューヨーク市は国中のよい手本となり、模範的な“禁酒”州にかわるため断固とした行動を起こすべきだという機運を盛り上げた。こんな話をこと細かにするのは、こうした政治情勢のせいで、うちの警察署が“高貴な試み”の特別組織として選ばれたからだ。あたしたちがミセス・ヴィレブラントのうるさい車輪を静かにさせるための油だったというのも、これで納得してもらえるだろう。
正式な条例により、あたしたちの署はニューヨーク市初の“厳重取締班”として稼働することになった。あとに続くほかの警察署の前例となるのだ。何人かの新たな警察官が給与者名簿に加えられたうちの署には、地元の大きなもぐり酒場をさぐりだしたり一斉検挙を行ったりする仕事が与えられた。言うまでもなく、警察署というのは奇妙な存在で、その動き方には料理のような要素がある。構成人員が変われば、ふたたび人間関係が調和するまでしばらく時間がかかるのだ。うちの署の警官たちは新入りの警官の導入に乗り気ではなかったし、大混乱を巻き起こす一斉検挙に加わることなど、なおさら好まなかった。いまですら地域の人々からうとんじられているというのに、一斉検挙などしたら輪をかけて嫌われることは間違いない。けれど、命令に従うしか選択の余地はなかった。>スーザン・リンデル吉澤康子訳「もうひとりのタイピスト」P15~17より


長い文章ですが、
この中から 法律とは テレ朝日事件とは 最近のTVドラマの見方 などが浮かんで 全文を引出しました。

具体的には、

・禁酒法といえば アルカポネの時代で 密造酒でギャングたちは大儲けをしたこと、密造酒に絡む犯罪が多発したこと、エリオットネスのFBIとアルカポネの壮絶な銃撃戦などが浮かび、13年で廃法となりました。ということは 問題のある法律は 市民への浸透は言わずもがな 警察・司法内でも認知・徹底が遅いのかもしれません。最近 サイバー攻撃、振り込み詐欺、ストーカー、DV、テロ、外国人犯罪などが多発し いろいろな新たな法律が検討されていますが、過剰は法規制には要注意 というこを思い起こさせてくれました。

・上記の引用文の中ほどにある <ミセス・ヴィレブラントが困りものの法律問題の責任者になったのは、ごく自然なことだと思う。なんといっても、彼女は女性だし、評判の悪い問題を担当させることに大した危険はない。女性がその職業で失敗しても、男性が同じ失敗をしたのとは異なるとみなされるからだ。とはいえ、ミセス・ヴィレブラントに失敗するつもりなどないのは明らかで、彼女は不撓不屈にして臨機応変であることをみずから示した。> このところは 福田財務事務次官のセクハラ問題で 気になりました。ミセス・ヴィレブラントを テレビ朝日の女性記者に置き換え、法律問題を 森友・加計の財務省取材に置き換えても読めるのでは ないかと思いました。 ただテレ朝の女性記者は 福田氏の許可を得て録音したのだろうか? 許可なしに録音し、これを他のマスメディアに渡したのなら、マスコミは倫理規定違反でテレ朝記者を処分しなければならないでしょうね。

・警察署というのは 構成員が変わると 全体の調和・機能を取り戻すのに時間がかかるもので その動きは 料理の要素がある とリンデルさんは(主人公を借りて)書いています。今また新たなTVドラマシリーズがスタートしていますが、とのドラマも このあたりのストーリー(警察署内を法律事務所・病院・大企業等々に置き換え)でシリーズの2~3話は行くのでは? ドラマって大概にパターン 正義や弱いものが勝つ・組織 vs. 個人の戦いで個人が勝つ がありますよね。そして それぞれのストーリーの進展は料理のよう: 調理器具がいくつかあって/材料の調達/材料を洗ったり切ったり/煮たり焼いたり/味付けがあって/盛り付けです ではないでしょう(か)

まあ 文中に関係のないことが次々に浮かぶのは 集中力がないという証でしょう。読書が遅いわけです。

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