プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

ネットカフェ難民  相対的過剰人口の日本における現代的形態

2007-03-16 19:18:42 | 政治経済
懸命に働いてもアパート代さえ払えず、インターネットカフェで寝泊まりする「日雇い派遣」労働者。“ネットカフェ難民”とも呼ばれる青年労働者の実態が日本共産党の小池晃参院議員によって、15日の参院厚生労働委員会で取り上げられた。この問題が国会で本格的に取り上げられたのは初めてである(「しんぶん赤旗」2007年3月16日)。 相対的過剰人口は、マルクスが明らかにしたように、資本主義的生産様式に特有の人口法則である。生産力の発展による資本の有機的構成の高まりは、労働力に対する資本の需要に比べて相対的に過剰な労働者を累進的に生産する。さらに現代においては、資本は国家権力と結託することによって、必要最低限の労働者のみを正社員として雇用し、その他を強制的に相対的過剰人口として、派遣労働や請負、パート・アルバイトという身分をつくり、いつでも必要なときに必要な量の低賃金労働力を調達できる仕組みをつくりあげることに成功した。“ネットカフェ難民”もこの相対的過剰人口の現代的形態の一つである。 . . . 本文を読む

証券優遇税制 大富豪の減税額の大きさにびっくり仰天

2007-03-15 18:41:20 | 政治経済
証券優遇税制が多額の金融資産を持つ者に有利な不公平税制であることは分かっていたが、わずか7人に年約2百億円(一人当たり同約28億6千万円)もの減税と聞いてびっくり仰天である。年金収入に頼る高齢者が公的年金控除の縮小や社会保障負担増で苦しんでいるときに、そして圧倒的国民が配偶者特別控除の縮小・廃止や定率減税の廃止で増税となっているときに、これは余りにもひどいのではないだろうか。  . . . 本文を読む

WE見送りと時間外賃金の割増率引き上げ  世界に例をみない日本の長時間労働

2007-03-14 20:53:12 | 政治経済
政府は13日、残業代の割増率引き上げを盛り込んだ労働基準法改正案など労働関連の3法案を閣議決定した。年収などで一定の条件を満たす会社員を労働時間規制から除外する日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)は労働組合などの導入反対の世論と運動の高まりのなかで、今回は見送った。労基法改正案は、長時間労働に歯止めをかけるとして、月80時間を超える残業について賃金の割増率を50%以上とすることなどが柱。“過労死ライン”といわれる月80時間を超えて初めて、割増率を50%に引き上げるというのは、世界に例をみない長時間労働が常態化している日本の異常そのものを示すものだ。仕事が人間発達に寄与しないとはいわないが、人生のほとんどが仕事だけというのは悲しい。労働のあり方、雇用のルールは、豊かな人生と不可分な関係にあるのだ。 . . . 本文を読む

高レベル放射性廃棄物処分場誘致で揺れる高知県・東洋町  原子力発電の落とし穴

2007-03-13 19:00:04 | 政治経済
政府は、原発の使用済み燃料の再処理でできた高レベル放射性廃棄物の最終処分場を決めるため、高知県東洋町での文献調査(立地調査の第一段階)を三月にも開始しようとしている。この町の田嶋裕起町長が1月に独断で原子力発電環境整備機構の高レベル放射性廃棄物最終処分施設候補地の公募に応募したのだ。町長が調査に応じたのは、応募すれば年間約二億円という国の交付金が得られるからである。政府は、この交付金を来年度から年間十億円に引き上げて、第二、第三の応募を誘い出そうとしている(「しんぶん赤旗」2007年3月5日)。文献調査までは、市町村長が独断ですすめられるが、そこから先にすすむには、知事の意見を尊重することが義務付けられている。周辺市町村の議会と市町村長、高知県と徳島県の議会と知事も立地調査に反対しており、混乱は避けられない。原子力発電を続けるかぎり、なんらかの廃棄物処理は不可避である。安易に原発を始めたツケ、大きな落とし穴である。 . . . 本文を読む

石原都政と「オール与党」の何が問題か 「一期目はよかった」という浅野氏は何を考えている?

2007-03-12 18:57:47 | 政治経済
東京都知事選をめぐり、民主党などが推す前宮城県知事の浅野史郎氏を持ち上げ、現職の石原慎太郎知事との“対決”をもてはやす異常な報道が目に余る。石原都政の問題点は、①福祉切り捨て、巨大開発推進、②憲法と民主主義否定、③都政私物化という3点にまとめることができる。肝心なことは、これらの石原暴政を自民、民主、公明、生活者ネットなどの「オール与党」が支え、賛美・激励してきたことである。石原暴政と真正面から対決し、「石原タブー」を打ち破るところまで追い詰めてきたのは、政党としては日本共産党だけである。石原都政を本気で変える立場と政策、実績をもっているのはどの候補か――答えは自ずから明らかではないか。石原都政のどこを継承するのかと問われ、「基本的にはだいたい継承すべきだ」「ほとんどは続けていくべきもの」という浅野氏が、石原都政を大本から変える立場をもちええないことも、もはや明らかである。 . . . 本文を読む

米国軍事一辺倒路線に変化  中東大戦争は回避されるか

2007-03-11 19:17:32 | 政治経済
2月21日、イランにウラン濃縮活動をやめるよう求める昨年末の国連安保理の決議に対するイランからの回答期限過ぎたが、イラン政府はウラン濃縮活動続行の姿勢を崩していない。外交の時期は終わり、いよいよブッシュ政権はイランとの戦争を始めるのではないかという観測が強まった。 しかし、ここにきてブッシュ政権の外交の変化が注目されている。外交蔑視の単独行動主義と軍事力一辺倒路線で特徴づけられるブッシュ政権の外交に一定の修正がみられるのだ(「しんぶん赤旗」2007年3月8日)。 . . . 本文を読む

改憲手続き法案公聴会日程先送り  抗議の声が与党の思惑を挫く

2007-03-10 18:26:10 | 政治経済
自民、公明両党が改憲手続き法案の今月内の衆院通過を狙い、中山太郎委員長の職権で開催を決めた衆院憲法調査特別委員会は8日、与党への抗議と批判の強まりの中、開会にいたらず公聴会日程の議決を強行できないまま流会した(「しんぶん赤旗」2007年3月9日)。マスコミは公明党が慎重姿勢を示したかのようにことさら強調しているが、実際は改憲に反対する人々が抗議の声をファックスなどを使い特別委員会の与党委員の事務所へ殺到させたためである。与党は改めて理事懇談会の開催を野党側に呼びかけ、来週再び公聴会の日程を決めるための委員会開催を目指す方針で、月内衆院通過の執念は変わらない。改憲反対でも、手続き法の整備には賛成し、実際の国民投票で反対すればよい、「国民投票を避けるのはアンフェア」ではないかという議論がある。しかし、これは明らかにおかしな議論である。改憲に反対の人たちは、改憲のための国民投票を求める立場にないのだから、改憲のための手続き法案に反対するのは当然のことなのだ。 . . . 本文を読む

安倍首相「慰安婦」発言    愚かな首相で笑いものにされる国民は大迷惑

2007-03-09 17:24:34 | 政治経済
何を思ったか、安倍首相が旧日本軍による「慰安婦」問題で「強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」とかねての持論をまたぞろ展開。世界の笑いものになっている。まさに「愚かさにあきれ、開いた口がふさがらない」(マーク・ピーティ・マサチューセッツ大学教授「しんぶん赤旗」2007年3月9日)。アジア諸国や米国に旅行する国民が恥ずかしい思いをしなければならないようなことはやめてもらい。4月下旬の訪米を控えて、米下院の日本軍慰安婦決議案の採択に一石を投じるつもりだったのかもしれないが、首相発言はまったく逆効果である。 . . . 本文を読む

映画「それでもボクはやっていない」  日本の刑事裁判の問題点を見事に浮き彫りに

2007-03-08 20:31:13 | 映画・演劇
周防正行監督の「それでもボクはやってない」を観た。2時間20分を超えるやや長めの映画だったが、長く感じない迫力ある作品であった。弁護士の加藤健次さんは、「映画を見終えたとき、『それでもボクはやってない』という題名に込められた深い意味に思い当たる。裁かれているのは、被告人を裁いているはずの刑事裁判そのものだ。」と書いている(「しんぶん赤旗」2007年1月19日)。 . . . 本文を読む

深刻な医師不足  超過密労働 医療事故への影響が心配

2007-03-07 18:32:30 | 政治経済
医師不足で病院が閉鎖に追い込まれたり、産婦人科や小児科が減少し、救急医療の輪番制から離脱する病院が相次ぐなど地方・都市を問わず深刻な社会問題となっている。ところが、政府・厚生労働省はあくまで、医師不足は地域や診療科による偏在が原因で「将来は医師過剰」になると主張。医療費抑制のため「病院・病床・医師数を減らす必要がある」として、深刻な事態の改善に真剣に取り組む気がない。学会の調査では「多忙で思考力が散漫になり医療事故を起こしそうになった」という外科医が四割、「手術のかけもちでミスが心配」という麻酔科医が六割にものぼっている。日本医労連は(1)医師の養成数を抜本的に増やし地域定着の施策を進める(2)医師の不足数、労働実態の緊急調査(3)医師の緊急配置、派遣システムの構築(4)産科や小児科などの集約・重点化をやめ、地域で生み育てられる体制づくりなどの緊急要求を厚生労働省に提出している(「しんぶん赤旗」2006年10月24日)。 . . . 本文を読む

世界同時株安   世界金融市場のもろさと波及の構図を示す

2007-03-06 19:13:43 | 政治経済
先週の中国・上海市場から始まった世界同時株安の影響が、週明け5日まで続いた。5日の東京株式市場は全面安の展開となり、日経平均株価は17000円を割り込んだ。6日の東京株式市場は、前日までの5営業日で下落幅が合計1500円を超えた反動から、割安感の出た銘柄を買い戻す動きが広がり、自動車やハイテクなど輸出関連の主力株に加え、鉄鋼や不動産など幅広く買いを集め、終値で前日終値比202円25銭高の1万6844円50銭まで戻した。これで世界的な株安の連鎖が止まったかどうかは定かではない。世界経済のかなめに位置する米国経済の行方が当面の今後の世界金融市場の展開を左右しそうだ。 . . . 本文を読む

改憲手続き法案   改憲突破のための非民主的で不公正な内容

2007-03-05 20:32:30 | 政治経済
昨日(3月4日)のNHK日曜討論で日本共産党の小池晃政策委員長は、郵政民営化に反対した衛藤晟一氏の復党容認や来年度予算案の衆院通過強行の動きを挙げ、「(安倍首相は)国民無視の姿勢をエスカレートさせている」と述べ、「安倍カラーというが、支持率がどんどん下がってきて、開き直って自分のやりたいようにやろうというものだ」と批判した(「しんぶん赤旗」2007年3月5日)。安倍首相は、貧困・格差問題、閣僚らの事務所費をめぐる疑惑や失言、「郵政造反」議員の復党問題などで下がる一方の支持率を、改憲を前面に掲げることで回復・突破するという危険な道にいよいよ突き進みはじめた。改憲への一里塚は改憲手続き法案(国民投票法案)の成立である。 . . . 本文を読む

増え続ける国保料滞納と保険証取り上げ  国民皆保険制度の危機

2007-03-04 17:44:23 | 政治経済
全国で貧困と格差が広がるもとで、自営業者やフリーター及び退職者・高齢者など無職の人が加入する国民健康保険で、保険料(税)を払えない滞納世帯が全国で480万5582世帯にのぼることが、厚生労働省の調査結果でわかった(加入世帯の五分の一)。一年以上滞納して保険証を取り上げられ、資格証明書を発行された世帯は、35万1270世帯にのぼった(「しんぶん赤旗」2007年2月23日)。日本共産党の志位委員長は3月3日、遊説先の佐賀市で記者会見し、「無慈悲な国民健康保険証のとりあげをやめ、高すぎる国保料(税)の引き下げを――住民の命と健康をまもる日本共産党の緊急提言」を発表した(「しんぶん赤旗」2007年3月4日)。 . . . 本文を読む

与党が予算案強行採決 国民の生活や暮らしはそっちのけで改憲・タカ派の本性を露にする安倍首相

2007-03-03 18:28:51 | 政治経済
2日の衆院予算委員会での強行採決に続いて、07年度予算案が3日午前4時前、衆院本会議で与党の賛成多数で可決され、参院に送付された。教育基本法の改定案をめぐって、論理で勝てないとみると、いとも簡単に強行採決を決断した安倍首相。「貧困と格差」や「政治とカネ」、「閣僚の思想・モラル」など審議を続けると予算の年度内成立が危ういと、今度は徹夜国会で予算案の衆院通過を強行した。07年度予算案の衆院通過を受け安倍首相は3日未明、「教育再生は私の内閣の最重要課題で、国民投票法案も極めて重要な法案だ。すべての法案についてこの国会で成立を目指して議論を深めていきたい」と述べ、教育関連3法案や国民投票法案の成立に改めて意欲を示した(「毎日新聞」3月3日11時23分配信 )。国民生活をそっちのけで、憲法改悪の野望実現にひた走る安倍首相の異常で危険な本姓が改めて露わになった。 . . . 本文を読む

東京都知事選  マスコミは「反石原」候補のゆくえに熱中するのではなく選挙の争点を明確に

2007-03-02 19:07:19 | 政治経済
石原慎太郎都知事の都政私物化や税金のむだ遣いなどが明らかになり、自民・公明・民主「オール与党」のなかからも4月8日投開票の東京都知事選に向かって「反石原」の動きが出始めた。自民・民主二大政党制を期待するマスコミは、「反石原」候補、とりわけ民主推薦候補のゆくえを追うことに熱中している。日本共産党の吉田万三都知事候補が都政改革プラン「憲法を都政にいかし、税金のムダづかいをやめて、くらし・福祉最優先の東京をめざします―三つの転換と六つの重点公約」を発表して奮闘していることなどまるで眼中にないかのようである。しかし、選挙で大事なことは、石原都政と同じ方向の政策をそのまま続けるのか、政策の転換を目指すのか、要するにどのような政治のちがいを選択するかである。いま名前の出ている黒川紀章、浅野史郎、海江田万里などと吉田万三とどこにちがいがあるのかを明らかにしなければならない。「反石原」を唱えても、候補者の個々の個性のちがいだけでは何の意味もない。 . . . 本文を読む