プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

2007年度予算成立 新自由主義改革の日本的特徴 新自由主義改革に対する抵抗が弱いのはなぜか

2007-03-28 19:14:14 | 政治経済
安倍内閣が初めて編成した2007年度予算が3月26日、参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。小泉構造改革=新自由主義改革を引き継いだ深刻な貧困と格差をいっそう広げる予算である。新自由主義改革は、経済グローバリゼーションのもとで、資本の蓄積条件の困難化を打破する方策として、欧米先進資本主義国から開始され、いまや世界を席捲している。欧米先進国の新自由主義改革が、福祉国家による階級妥協態勢がもたらした資本蓄積の危機の打破と階級権力の再確立をめざして始まったのに対し、日本では日本型開発主義国家の再編成として展開された。本格的な福祉国家を経ていない日本では、新自由主義改革が容易に受け入れられたという側面と新自由主義改革の帰結が社会にもたらす影響がはるかに深刻であるという独特の特徴を持つ。新自由主義改革の破壊的結果が大きいにもかかわらず、それに抵抗する運動が弱いのは、階級対立の政治的経験が蓄積されていないからである(渡辺治「日本の新自由主義」デヴィット・ハーヴェイ『新自由主義』作品社2007所収)。 . . . 本文を読む