プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

貧困・格差問題は資本主義経済の制御の問題  通用しない「資本主義」対「社会主義」の対立図式

2007-01-31 21:09:10 | 政治経済
昨日(30日)の衆院代表質問で日本共産党の志位委員長は、貧困・格差問題を真っ先に取り上げた。「私が、総理の施政方針演説を聞いて驚いたのは、四十分におよぶ演説のなかに、『貧困』という言葉も、『格差』という言葉も、一言もなかったことです」(「しんぶん赤旗」2007年1月31日)。政府・与党内では『貧困』、『格差』は禁句となったようだ。17日の自民党大会の党務報告で中川秀直幹事長は、『格差』という言葉を口にすること自体が「国民の不安をあおり、国民の分断」をはかるものといわんばかりであった。安倍首相も大会挨拶では『格差』という言葉をいっさい口にしなかった(「しんぶん赤旗」2007年1月21日)。新自由主義的「構造改革」の結果、トヨタ自動車が営業利益で二兆円を突破(07年3月期)しようとしているのをはじめ、多国籍大企業はバブル期を超える空前の利益を更新し続けている。今必要なことは「構造改革」によって生み出された貧困・格差問題を是正・緩和する政策の出番である。 . . . 本文を読む

NHK「従軍慰安婦」番組改変訴訟  必要以上に政治家の意図を忖度し修正を繰り返した

2007-01-30 18:55:02 | 政治経済
戦時下の性暴力に関するNHKの番組を巡り、取材協力した市民団体が「政治的圧力で事前説明と異なる内容で放映された」として、番組を改変(判決では改編)したNHKと制作会社2社に4000万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった(「朝日新聞」2007年1月30日)。「政治的圧力で事前説明と異なる内容」のうち「政治的圧力」については、「朝日新聞」が05年1月にスクープした。その後、NHKの長井暁デスク(放送当時)が政治介入を内部告発し「朝日新聞」のスクープを具体的に裏付けた。「事前説明と異なる内容」については、判決は「期待権」という概念を導入し「期待権」侵害を認定した。 . . . 本文を読む

ワシントン反戦50万人集会  アメリカの自由と民主主義はまだ死んでいない

2007-01-29 19:08:16 | 政治経済
イラクでは、ブッシュ米大統領が1月10日、2万1500人の米軍のイラク増派を発表した後、“内戦”状態がいっそう激しくなっている。武装勢力を何人掃討したという発表の裏では、武装勢力が集団で孤立して標的になることはありえないから、何人ものイラク国民が巻き添えで死んでいることは明らかだ。米軍産複合体だけが悦ぶような戦争は、一日も早く、やめさせなければならない。戦争を止める第一義的責任はアメリカ国民にある。アメリカの応援のために自国の兵士を派兵している有志連合国はただちに兵を引き揚げるべきだ。 . . . 本文を読む

ケニー司令部ジャパン  進む日米戦闘司令部の統合 米軍の戦時作戦統制権返還で揺れる韓国

2007-01-28 19:22:52 | 政治経済
在日米軍司令部と在日米空軍(第五空軍)司令部が置かれる米空軍横田基地(東京都福生市など五市一町)に、「ケニー司令部ジャパン」と呼ばれる新司令部(正式名称・第13空軍第一分遣隊、五十人)が置かれたことが分かった(「しんぶん赤旗」2007年1月28日)。アジア太平洋全域での米軍・自衛隊との融合・一体化をいっそう進めるものである。世界的規模の米軍再編の一環として、すでにワシントン州の米陸軍第一軍団が座間基地に08年に移駐することが決まっている。朝霞駐屯の陸上自衛隊中央即応集団も同基地に移駐して統合作戦部隊を組織する。一方、韓国ではいま、在韓米軍の戦時作戦統制権の返還問題をめぐって、国論を二分する議論が行われている。米軍との融合・一体化を国民に隠れてどんどん進める日本政府に対し、米国からの自立を求める韓国政府はまったく対照的である。 . . . 本文を読む

施政方針演説 米国と「海外で戦争する国」になることこそ時代遅れ

2007-01-27 19:10:10 | 政治経済
通常国会が開会し、安倍晋三首相の施政方針演説が行われた。憲法改正と教育改革へ向けた意欲を、前面に出したのが特徴である。タカ派ぶりがぎらつく演説の中で見過ごせないのは、首相の施政方針演説には「戦後レジーム」の見直しといった前のめりの姿勢はあっても、何のためにそれをやるのか、国民に呼びかける説明は一切なかったことである。自分の思い込みによる“時代遅れ”というだけで、現代の世界の動向、人類の歴史の発展方向を検証した気配はまったくない。高飛車な押し付けだけで、「説明責任」がないというのは、歴史に背を向ける反動勢力の宿命である。 . . . 本文を読む

米大統領一般教書 中東では軍事戦略に固執 北朝鮮政策では圧力より対話 このちがいは何故?

2007-01-26 19:01:39 | 政治経済
ブッシュ米大統領は23日の一般教書演説でバグダッドへの米軍増派を「成功の絶好の機会」だと正当化、あくまでイラク戦争推進に固執する姿勢を示した。2001年の9・11同時多発テロを持ち出し、戦争継続の必要性を強調。「米国は依然、戦時国家だ」とし、「米国に敵対し、中東を支配しようとする(イスラム教)シーア派過激主義者の危険の高まりに直面している」と語った。また「シーア派過激主義者」を支援しているとして、イランを名指しで非難した。一方、北朝鮮の核問題については「中国と日本、ロシア、韓国と協力して、外交に力を入れている」と言い、明らかに中東とはちがった姿勢を示した。このちがいはどこから出てくるのか? . . . 本文を読む

教育再生会議 教師をますますサラリーマン化 「教師聖職論」いま何処に

2007-01-25 19:24:30 | 政治経済
24日、教育再生会議が第1次報告を決定し、安倍首相は関連法改正案を通常国会に提出すると表明した。学校選択制や教員免許更新制、第三者機関による学校の監査システムを導入するなど、教育への国家介入を強化し、教育にさらなる競争と選別を持ち込む内容となっている。教育再生の中心的役割を果たすべき教師が情熱をもって子どものために全力で頑張る条件をどうのようにつくるかが問われているとき、教師をますますサラリーマン化するようなことをやってどうして教育再生ができるか。現場無視の思い込みで対症療法的管理強化をいくら進めても教育現場の荒廃化は止まらない。「教師聖職論」論争がなつかしい。 . . . 本文を読む

2007年世界社会フォーラム なぜか一般マスコミはほとんど報道しない

2007-01-24 20:23:21 | 政治経済
多国籍企業主導のグローバル化や新自由主義経済政策に反対し、公正で平和な世界を目指す代案を各国の市民が討議する第七回世界社会フォーラム(WSF)が20日、東アフリカ・ケニアの首都ナイロビで始まった。25日までの6日間、セミナー、ワークショップなど千を超える活動が予定されている。主催者側によると、フォーラムに参加するために約八万人がナイロビ入りした。一般マスコミが無視するなか、「しんぶん赤旗」が連日詳しく毎日の動きを報道している。 . . . 本文を読む

安倍内閣支持率続落  なぜ「頼りない」か  安倍政権が抱える矛盾と困難

2007-01-23 20:39:21 | 政治経済
安倍内閣の支持率低下がとまらない。朝日新聞社が20、21の両日実施した全国世論調査(電話)によると、安倍内閣の支持率は39%で、前回06年12月調査の47%から下がり、政権発足4ヶ月で政権の危険水域といわれる30%台に突入した(「朝日新聞」2007年1月23日)。もともと安倍晋三の改憲タカ派の思想は戦後保守派の中曽根ナショナリズムとも大きくことなっており、彼を首相に押し上げた安倍政権の担い手、ブレインの思想は多国籍大企業(およびその関係者)という現代の支配層主流の意思とも矛盾する特異なものである。郵政民営化造反組の復党に始まって本間税調会長スキャンダル、佐田前行政改革担当相に端を発した政治資金の処理をめぐる問題が松岡農林水産相、伊吹文部科学相にも及んでいるのに、首相は改憲や教育改革を叫ぶばかりである。やはり安倍は、靖国問題を除いて徹底して支配層主流の意思に忠実だった小泉のようにはいかない。 . . . 本文を読む

イラク派兵の陸自幹部 「赤旗」に真情を吐露 日米政府の改憲衝動と正反対の実体験

2007-01-22 18:45:25 | 政治経済
イラク南部サマーワでの「イラク人道復興支援任務」に参加した陸上自衛隊の制服幹部が帰国後、「赤旗」のインタビューに応え、その胸中を語っている(「しんぶん赤旗」2007年1月22日)。小泉政権で解釈改憲を極限にまで進めアフガン、続いてイラクへと自衛隊を派兵したが、改めて憲法九条がもつ制約の重さを自覚するところとなった日米両政府は、安倍首相のもと明文改憲を急いでいる。制服幹部はまさにその憲法九条がもつ制約の重さの大切さを実体験から語っている。 . . . 本文を読む

ねつぞう納豆ダイエット  だます心だまされる心(安斎育郎)

2007-01-21 18:58:47 | 社会問題
7日にフジテレビ系列で放送された「納豆ダイエット」は捏造された内容であったことがわかった。納豆を買いに走った人々はまんまと騙されたわけである。立命館大学名誉教授の安斎育郎さんが『だます心 だまされる心』(岩波書店2005)でさまざまな「だまし」のテクニックを紹介しながら「だまされ」への道はなにか、だまされないためにはどんな姿勢が必要なのか解説している。ブッシュのイラク戦争、小泉の郵政民営化も大掛かりな「だまし」であった。世界は「だましの論理」に満ちている。ご用心ご用心!(同書帯) . . . 本文を読む

石川島播磨 40年にわたる思想差別 法廷外で「反省」と和解

2007-01-20 19:20:49 | 政治経済
石川島播磨重工業は19日、共産党支持を理由に社員らを待遇面で差別していたことを認め、現職社員やOBら計168人に反省の意を示し解決金を支払うことで和解が成立したことを明らかにした。民間大企業が思想差別に「反省」の意思を明らかにしたのははじめてである。労働基準監督署に是正指導を申告していた「人権回復を求める石川島播磨連絡会」の現役労働者や退職者ら175人(168人に先に裁判で争った7人を含む)と東京都内で和解協定を締結、石播は詳細な再発防止策を約束した(「しんぶん赤旗」2007年1月20日)。「反共」は権力が自己の主張に反対・批判する者を封じ込めるときの常套手段として使われる。理屈抜きで人民を分断でき、見せしめをつくることで、不利益を恐れる人々を黙らせ、自己の陣営に篭絡できるからである。 . . . 本文を読む

米原潜タンカー追突事故  イランへの戦線拡大準備の一環か?

2007-01-19 19:00:36 | 政治経済
原油を満載した日本の大型タンカー「最上川」に米海軍の原子力潜水艦「ニューポート・ニューズ」が追突する事故が、ペルシャ湾のホルムズ海峡で起きた。原油を供給する重要な航路が、米軍事作戦の海域となっている危うさを見せつけた。2003年、自衛隊のイラク派遣を国会に求める段階になって、当時の川口外相、石破防衛庁長官、福田官房長官らは、「中東地域の安定、イラクの安定、石油供給の安定」などと石油確保を問題の正当化の理由として頻繁に繰り返したものだ。中東に展開する米軍によって石油供給が危険に晒されていることをはしなくも露呈した今回の事故はまことに皮肉で悲しい笑い話といわねばならない。 . . . 本文を読む

日銀 利上げ見送りを決定―「いざなぎ景気」越えなどとえらそうにいっても景気が良いのは一部大企業だけ

2007-01-18 18:44:49 | 政治経済
日銀は18日の政策委員会・金融政策決定会合で、追加利上げを見送った。日本経済の拡大基調は「いざなぎ景気」を超えたといったのは11月の政府「月例経済報告」。ところが、日銀が、政策金利の誘導目標を引き上げようとしているのに対し、安倍自公政権が猛反対。世界最低の金利をわずか0.25%上げて0.5%にするだけというのに、それでも困るというのは、よほどこの国の経済に自信がないということだ。言葉を変えれば、景気がよくなった、いざなぎ景気超えだと触れ回っているが景気がいいのは特定の大企業と一部の関係者だけで、多くの企業も、国民も青息吐息なのを自ら認めたようなものだ。政府与党の圧力に屈した福井総裁以下の日銀もだらしない。改めて日銀の超低金利政策とは何だったのか振返ってみよう。 . . . 本文を読む

東アジア首脳会議 今後の行方、課題は?

2007-01-17 20:33:25 | 政治経済
東南アジア諸国連合(ASEAN、10カ国)プラス日中韓の首脳会議(ASEAN+3)に続いて、インド、オーストラリア、ニュージーランドも加わった第二回東アジア首脳会議がフィリピン・セブで開催され、新しい枠組みがまた一歩前進した。とは言っても東アジア共同体はまだまだ準備段階であり、共同体構想実現までには多くの課題がある。 . . . 本文を読む