ドルの崩壊は時間の問題であるというのは、大方の共通認識であるが、戦後のドル体制についての本格的な議論はいまだ国際会議では取り上げられていない。そんな中でも、ドル体制の見直しに向けた注目される発言や動きも出始めている。とくに目が離せないのが、「中国のドル離れ」である。日本は、世襲議員ばかりの自民党政権のもとで政治と官僚の劣化が著しい。このままでは、世界経済でも政治でも中国の後塵を拝さなければならいこ . . . 本文を読む
放送界の第三者機関、放送倫理・番組向上機構(BPO)の「放送倫理検証委員会」は2009年4月28日、NHKの「問われる戦時性暴力」(01年)の改編問題について意見書を公表した。意見書は、放送前にNHK幹部管理職が政府高官・与党有力政治家に面談し、その後に改編を指示することは「NHKの自主・自律を危うくさせる行為」であると指摘した。政治介入とそれを付度したNHK幹部の政治におもねる根深い体質は、旧逓 . . . 本文を読む
映画『子供の情景』を観た。舞台は破壊された仏像がいまも瓦礫となって残るアフガニスタン中部のバーミヤン。学校に行きたい6歳の少女バクタイを主人公に彼女をとりまく子どもとおとな世界を描いている。監督はハナ・マフマルバフという撮影開始当時18歳のイラン人女性である。「この映画でいちばん描きかったことは?」との質問に対し、彼女は「暴力についてです。暴力によっていちばん傷つくのは子どもです。この映画は大人の . . . 本文を読む
ワシントンで開いた7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は24日夕(日本時間25日朝)、共同声明を採択し閉幕した。声明は世界経済の動向について「景気後退速度の鈍化やいくらかの安定化の兆候を示すものも出てきている」と述べ、一部に底入れの兆しがみられるとの判断を示した(「日経」2009年4月25日11:40)。日銀の白川方明総裁が言うように、「人間の常として、物事が幾分改善すると楽観的な見方になりがち . . . 本文を読む
中小零細企業は、家長のもとで家族全体の協力のもと共同で財産を管理・使用している場合が多いから、家族従業員(事業主と生計を一にして事業に従事する配偶者・親族)の個別所得を認識しないという所得税法第56条の規定は、個人を家から独立した個々の人格と捉える戦後の憲法の精神からいっても、本来、個人単位課税を原則とする所得税法の例外的規定、いまや時代遅れ規定である。戦前の家族制度の残滓を引きずるこの規定を業者 . . . 本文を読む
昨年9月に米海軍横須賀基地に配備された原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)。日本政府は「米原子力艦は日本では原子炉の修理はしない」「放射能管理を必要とする作業はしない」と米側から説明を受けていると念仏のように唱えているが、今年1月からのメンテナンス作業中に原子炉修理をやっていたようだ。日米地位協定には、国民に隠した密約が数々存在する。日米関係は、外交・防衛の分野では宗主国と植民地のような関係にな . . . 本文を読む
今年も小学校6年と中学校3年の全員を対象にした文部科学省の全国学力テストが21日、一斉に行われた。政治経済面では、世界的にその行き詰まりが指摘される中、日本の文科省は、新自由主義の教育政策に邁進している。「できる」けれども「わかっていない」と言われる「日本型高学力」。全国学力テストは、この「学力と学力観の貧困化」をいっそう促進するものとして働いているのだ。日本では小さい時からテストで競争をして、少 . . . 本文を読む
国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員会の東京・現地調査が19日終了した。ナワル・ムータワキル委員長(モロッコ)は、「プレゼンテーションは質が極めて高く、ビジョン、コンセプトに大変感銘を受けた」と感想を語った。五輪誘致を口実に、巨大開発を狙う石原慎太郎都知事も一安心といったところであろう。「大変、満足しており、成功裏に終わった。五輪開催という都民、国民へのビッグなプレゼントにまた一歩近づくこと . . . 本文を読む
国連の「人種差別反対世界会議」の再検討会議が20日、ジュネーブの国連欧州本部で始まった。採択文書案に間接的にイスラエル批判が盛り込まれているとする米国など欧米主要国の多くが欠席。さらに、議場でイランのアフマディネジャド大統領が、イスラエルを指して「中東の人種差別主義の国」などと非難する演説をしたため、フランスなどの代表団が抗議退席する騒ぎとなった(「朝日」2009年4月20日23時37分)。マスコ . . . 本文を読む
裁判員法の5月施行、7月からの裁判員裁判の開始という切迫した情勢のもと、裁判員制度にどう立ち向かうのか――このままでは麻生は、国会解散をしそうもないし、政権交代による実施延期の法案修正も難しい。裁判員は、この7月以降、被告の人権が犠牲にされ、短期間で死刑がドンドン量産される「強者の秩序維持」のための裁判に「自主的に」加担させられる危険が極めて高い。それが嫌なら、裁判員候補となり、裁判員になりそうな . . . 本文を読む
カリブ海のトリニダード・トバゴの首都ポートオブスペインで17日、キューバを除く中南米カリブ諸国と米国、カナダの計34カ国が参加する米州首脳会議が開幕した。トリニダード・トバゴは、私の初めての海外出張、初の海外経験の地だったので、30年以上前を懐かしく思い出している。米州首脳会議は、米州自由貿易地域(FTAA)の創設を目標に、クリントン米大統領の呼びかけで1994年に始まった会議だが、米州機構(OA . . . 本文を読む
政府・与党は10日、15.4兆円の財政支出を行う過去最大の追加経済対策を決定した。自らを日本一の「借金王」と自嘲していた故小渕首相も仰天、さしずめ麻生首相は新・世界一の借金王といったところか。GDP(国内総生産)比で2%(10兆円)以上の対策を求める米国やIMF(国際通貨基金)の言うがままに、「はじめに総額ありき」の理念も展望もない典型的な無駄遣い型予算だ。ワーキングプアや「非正規雇用切り」などの . . . 本文を読む
中谷元・元防衛庁長官が15日の「海賊対処」特別委員会で海賊派兵新法案の真の目的を明らかにした。《経済大国がこぞって軍艦をソマリア沖に派遣している中、日本が憲法の制約をいうのは、日本の特殊事情に過ぎない。海賊対策で軍隊を出すことこそ意味がある。これによって、日本は、他の経済大国と肩を並べることができる。憲法(9条)は、自衛隊の海外活動の足枷だ。》自国の憲法を守らない、またその高い理想を投げ捨てること . . . 本文を読む
北朝鮮のロケット発射に関する国連安保理議長声明は、日本政府が主張していたやみくもな制裁強化論にたたない、おおむね冷静で理性的な内容であった。 にもかかわらず、北朝鮮外務省は14日、国連安保理議長声明に反発し、核兵器開発の再開と6者協議からの離脱を表明する声明を発表した。6者協議は非核化や米朝・日朝の関係正常化を含む地域安定の目標を掲げ、オバマ米政権もこの枠組みの重視を表明している。北朝鮮が最大の関 . . . 本文を読む
昨日、ベトナム・カンボジア訪問から帰国した【今日から更新を再開します】。留守中に自民、公明両党は10日の衆院外務委員会で、在沖縄米海兵隊のグアム「移転」協定の採決を強行・可決した。周知の通り、ベトナム人民は、「独立と自由ほど尊いものはない」という故ホーチミン主席のことばを胸に深く刻み、艱難辛苦の末にアメリカ帝国主義に打ち勝った。アメリカ、米軍の横暴を財政的にも支える日本政府の屈辱外交とは、天と地の . . . 本文を読む