プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

ホンジュラス クーデターから1年  ラテンアメリカでせめぎあう進歩と反動

2010-06-30 20:49:38 | 政治経済
6月28日、中米ホンジュラスは、貧困層支援などセラヤ前政権の改革政策に反対する保守派勢力が引き起こした軍事クーデターから1周年を迎えた。首都テグシガルパでは27日夜、クーデターとその後の弾圧による犠牲者を追悼し、セラヤ氏の無条件帰国などを要求するたいまつ行進が行われた(「しんぶん赤旗」2010年6月29日)。ラテンアメリカでは、1999年にベネズエラでチャベス政権が成立したのを皮切りに、社会変革を望む国民の声が、つぎつぎと奔流のように革新的政権を誕生させていった。しかし、米国と反動勢力の側でも、イラク戦争が激動の時期を過ぎた2007年後半より本格的な反攻に転じた。沖縄基地の強制に見られるように、オバマ政権の覇権主義外交は彼の個性とは関係なく変わらない。世界の構造変化の象徴の一つと見られる中南米地域においても、歴史は、一路、進歩の方向になかなか進むものではない。 . . . 本文を読む

G8/G20サミット  先進資本主義国経済は慢性的過剰生産 なんらかの不況対策が不可欠

2010-06-29 22:01:17 | 政治経済
カナダで開かれた主要8カ国(G8)と20カ国・地域(G20)の両首脳会議(サミット)は、米国発の金融危機に対処するために各国が行ってきた財政刺激を見直す「出口戦略」などをめぐって、一致した方針を示すことができなかった。むしろ、G20サミットの首脳宣言は、メンバー間の不一致を認めることで合意したといえる。 一定人口の生活を支える物的生産基盤の整備、再生産構造の構築が終わった先進資本主義国では、新産業の台頭・技術革新を別にすれば、更新需要を除いて生産手段需要は停滞せざるをえない。資本過剰、過剰生産が慢性的となり、相対的過剰人口(失業)も慢性化し、それにともなう所得の不足が一般的となる。基調としての不況の拡大を防ぐためには、先進資本主義国では、政府による常に何らかの不況対策を必要としている。そして、財政の膨張と政府債務の累積等が一般的特徴となる。 . . . 本文を読む

菅・民主党の自民党化の背景   “七割の風呂”から出ることができるか

2010-06-28 21:38:39 | 政治経済
参院選へ向けた民主党の「政権政策」には、自民党の「政策集」にそっくりな文章や表現が随所に見られる。明らかな菅・民主党の自民党化である。しかし、昨年の総選挙で民主党が大勝したのは明らかに、構造改革政治をやめて福祉を実現してほしいという反自公政権の声であった。構造改革政治をやめて福祉を実現してほしいという反自公政権の国民の声は今度の参議院選挙でどのように発揮されるのか。“七割のお風呂”(渡辺治・一橋大名誉教授)から出て“政治革新”を決断できるのか。まだまだ時間がかかるのか。 . . . 本文を読む

普天間基地問題   首相「お礼」発言、米「感謝」決議   県民・国民の神経を逆撫で

2010-06-26 20:54:46 | 政治経済
現在、全国どこも6月定例議会中である。沖縄県議会では25日、あの大人しい仲井真弘多知事が怒った。米軍基地を過重に負担していることに対する菅直人首相の「お礼」発言と米下院の「感謝決議」に対してである。琉球大国際沖縄研究所の我部政明所長は、菅直人首相が23日の沖縄全戦没者追悼式で沖縄の基地負担に「おわび申し上げる」と陳謝したことと米下院の感謝決議は「同じこと」と指摘する。「どちらも(陳謝や感謝はするが)『今後も基地を引き受けてほしい』という意味」とその意図を語った(琉球新報 2010/6/26)。 「感謝するくらいなら早く基地を撤去することに努力しろ」―これこそ沖縄県民の気持だろう。 . . . 本文を読む

井上ひさしさん追悼の「9条の会」講演会   「後に続くものを信じて走れ」

2010-06-25 21:01:02 | 政治経済
今年4月に亡くなった井上ひさしさん追悼の「9条の会」講演会が先日(6月19日)、東京日比谷公会堂で行われた。鳩山政権は国民の、改憲や構造改革を止めてほしいという要望で登場した政権であることを強く自覚し、その分、迷走を繰り返したが、菅・民主党にはそのような自覚がまったくない。鳩山・小沢の辞任ですべてを水に流し、模範的に自民党化することで、支配階級の支持を取り付け、政権の安定を図る方向に舵をきった。政権に就いた途端、過去の自分の言葉を行動で裏切っても「政治家として当然」と開き直り、居直る菅新首相はその象徴である。 昨年の総選挙では、憲法問題を争点にすることを避け、訳の分からぬマニフェストですませた民主党が、自民党からの誘いに乗って、積極的に動き出す可能性が大いにある。それだけに、各地の「9条の会」が井上ひさしさんの志を受けついで交流と連携を強めつつ、ネットワークを形成し、草の根での運動をいっそう強化することを確かめ合った集会の意義は大きい。 . . . 本文を読む

参院選きょう公示 気分が重い選挙 税・財政、米軍再編、憲法  共産党を除きみな似たり寄ったり

2010-06-24 22:29:29 | 政治経済
政権交代後初の本格的な国政選挙になる参院選が24日、公示され、17日間の選挙戦がスタートした。昨年の総選挙には、長年にわたる自公政治の行き詰まりを国民本位に転換する可能性を秘めた「政権交代」の実現という夢があった。しかし、今度の参院選にはそうした期待感の高まりはない。むしろ、気分が重い。政権を取って1年も経たないうちに、民主党は模範的に自民党化した。支配階級は笑いが止まらないであろう。「民主はダメ、自民もダメ」となるとどうするか。このままでは、今度の参院選では仮に民主党ないし今の与党が多数を占めなくても、共産党を除くみなは似たり寄ったりなので、「構造改革政治」と「対米従属・改憲政治」の担い手が国会の多数を占めそうだ。「消費税引き上げ」「法人税引き下げ」「普天間の辺野古移設」を支持する議員が圧倒的多数となりそうだということだ。行きがかりや面子で、連立するかしないかをはじめ、その他いろいろと多少の騒ぎはあるにしても、国民にとって悪政が押し付けらることは間違いない。今度の選挙は気分が重い。 . . . 本文を読む

暴走殺傷  マツダの非正規労働者管理の手口と労働組合運動のない日本社会の悲劇

2010-06-23 22:03:47 | 政治経済
またしても、絶望した非正規労働者による悪夢のような悲劇的事件が繰り返された。事件はきのうの朝、広島県のマツダの工場で起きた。四十二歳の元期間従業員の男が乗用車を暴走させ、歩いていた社員ら11人を次々とはねた。日本には形だけは労働組合があるが、大企業正社員によって組織される企業別組合が主流で、本来の労働組合はほとんどないに等しい。労働組合運動のない日本社会では、支配階級の攻撃に対する反撃が個別的・局地的になりがちである。仲間と連帯して闘うすべを知らない絶望した労働者を社会変革の隊列に迎えることができない限り、今後も暴発を完全に防ぐことは不可能だろう。 . . . 本文を読む

張本さん、それはやっぱりいかんぜよ  TBSに「喝ッ」だ

2010-06-22 21:10:46 | 社会問題
ジャーナリストの江川紹子さんがツイッター上で、(TBS系・日曜朝8時)の番組出演を中止させられたと明かして波紋を広げている。ことの発端は、5月23日の放送で、100球降板の楽天・岩隈投手に対する張本勲さんの「喝!」に対し、同番組コメンテイターのジャーナリスト・江川さんが異を唱えたところ、放送後、立腹した張本氏側から江川氏を番組に出さないように要請があった、というものだ。ツイッターブームで“休養騒動”が思わず内幕暴露されたかたちだが、番組中の発言によって降板させられたということであれば、ことは、表現の自由に関わる重大問題である。しかも、報道番組で「報道のTBS」と言われている局での出来事である。黙って見過ごすことはできない。 TBSに一連の出来事に対する説明責任があるのは確かだ。 . . . 本文を読む

消費税増税だけでない菅・民主党の裏切り  消えた公約、変わった公約

2010-06-21 18:33:39 | 政治経済
菅・民主党がマスコミの応援を受けて、首相交代のドサクサに紛れ、急速に保守二大政党への先祖帰りをしている。財界の法人税引き下げの要求に応えるために、消費税増税に舵を切っただけではなく、社会保障改革でも新自由主義・構造改革への傾斜を強めている。同党の参院選マニフェスト(政権政策=公約)の中身は、総選挙当時の公約から様変わりした。鳩山政権誕生前後からの支配階級の民主党に対する政権政党としての陶冶作戦が成功したかのようだ。問題は、参院選挙で国民がこのような支配階級の巻き返しに屈した民主党を前にして、どのような選択をするかである。自民党とその亜流に戻っても政治の中身は変わらない。 . . . 本文を読む

シベリア特措法成立  シベリア抑留の歴史の検証はすべてこれから

2010-06-20 21:47:34 | 政治経済
第2次世界大戦後に旧ソ連軍によってシベリア、モンゴルなどに抑留された元抑留者らに特別給付金を支給する「戦後強制抑留者特別措置法」(超党派による参院議員提出法案・参院先議)が会期末ぎりぎりの16日、衆院本会議で可決・成立した。戦後65年、あまりに遅過ぎる対応だが、生存者への給付金支給で問題の幕を閉じるわけにはいかない。シベリア抑留の歴史には、不透明な部分が多い。日本政府もスターリン時代のソ連政府も歴史的事実を公にすることが憚れる数々の暗部を抱えているからである。日本の数々の「戦後処理」が進まないのは、天皇制軍国主義国家が被侵略国民だけでなく、自国民に対してもいかに極悪非道であったかが、白日の下に晒されることを懼れるからである。 . . . 本文を読む

政府「成長戦略」  法人税減税を明記  日本の経済財政運営の問題点はどこにあるか

2010-06-19 21:09:58 | 政治経済
日本の経済財政運営は戦後一貫して財界・大企業本位であり、国民生活は二の次であった。ただ財界の主役が重厚長大企業であった高度経済成長時代には、大企業が貧弱な福祉を補完し(労働者は企業に忠誠を誓った)、旧自民党的利益誘導政治が企業社会に包摂されない人びとを補完しただけであった。このようなもとでは、支配階級と労働者・国民との階級的矛盾が先鋭化することはなく、日本型開発主義国家のもとで形成された大企業の労働者支配と官僚機構に張り巡らされた大企業のネットワークが、財界主権を不動のものとした。そして日本では特殊日本的に財界主権はつねに対米従属という条件のもとに置かれた。日本共産党が、参院選公約で「“アメリカ・財界いいなり”から『国民が主人公』の政治への転換を」というのは、まさにこのような事態を指しているのだ。 . . . 本文を読む

消費増税の大連立  「市民力」が問われる参議院選挙

2010-06-18 20:17:45 | 政治経済
民主、自民、公明各党が17日、参院選公約を発表。法人税率引き下げとともに、貧困と格差をいっそう拡大させる消費税増税の方針をそろって明記。民主・自民による消費税増税の「大連立」の危険な動きが浮き彫りとなった。菅首相は同日の参院選マニフェスト発表記者会見で、消費税増税について次期総選挙で信を問わないのかとの質問に対し、「信を問うのは本来あるべき道だ」と述べながら、総選挙を待たずに増税する可能性を否定しなかった。今度の参院選では、これまで以上に賢明で適切な選択が求められることになるだろう。市民はその政治リテラシーにふさわしい政治しかもちえない。まさに「市民力」が問われているのだ。 . . . 本文を読む

参院選へ  米国・財界追随の傾向を強める菅政権  政治家としてタチの悪い菅氏

2010-06-17 20:34:53 | 政治経済
「奇兵隊」内閣と自ら命名し、逃げ足の速さを誇った菅首相。代表質問のあとの予算委員会質疑も遮って、ボロが出る前に、参院選挙に突入しようと一目散である。疑惑を隠し、争点を隠し、正体を隠したまま、マスコミが新首相をヨイショしている間に、選挙をやりすごそうという魂胆である。菅直人新首相は、鳩山前首相が悩みに悩んだ問題は、「辞任という形で自らけじめがつけられた」と押し流したうえで居直り、より一層支配階級に忠誠を誓うことで自らの政権を維持する道を選んだ。支配階級の“後ろ盾”を得て『長期・安定』政権をめざす――これこそ自公政権回帰そのものではないのか。要するに自民の“ダメ”ははっきりしたが、民主も菅政権になって、いよいよ“ダメ”がはっきりしたということだ。 . . . 本文を読む

菅内閣 発足9日目で不信任決議案 発言と言動の落差は鳩山前首相以上 目眩ましに協力するマスコミ

2010-06-16 19:04:02 | 政治経済
8日に発足した菅内閣が発足から9日目で不信任決議案を提出された(与党・社民党で否決)。国民の怒りの前に退陣を余儀なくされた鳩山内閣。普天間基地問題も「政治とカネ」問題も何ら状況が変わっていないのに、都合の悪いことには目を瞑り、開き直る菅首相。ところが、あれだけ鳩山前首相の発言と言動の落差を報じていたマスコミも、菅首相については沈黙。普天間基地報道も、風がやんだようにパタッと止まってしまったようだ。鳩山前政権がなぜあのような失敗をしたかということから教訓を引き出すにあたって、民意にそって教訓を引き出すのではなく、反動的に米国には忠誠を誓う、財界への追随を明確にする、この道に踏み込み、ここに“後ろ盾”を得て『長期・安定』政権をめざす――これが菅政権の本質的な路線なのだ。 いくらマスコミが菅・民主党の目眩まし戦略に協力しても、反省のない菅内閣の実態が露呈するのにそう長くはかからないだろう。 . . . 本文を読む

菅首相と米大統領  普天間、日米合意履行で一致  沖縄は、ビエケス島の闘いへ

2010-06-06 21:47:20 | 政治経済
オバマ大統領は6日未明、菅直人新首相と初めて電話で協議。首相が変わっても、普天間「移設」問題で「日米合意をもとに対応していこう」と早速、クギをさした。能天気な菅氏は「しっかりと取り組んでいきたい」と応じた。米政府が何故、間髪をいれず、日米合意履行を確認してきたのか、その重大さをほとんど理解していないのではないか。今から7年前の2003年5月1日、米自治領プエルトリコのビエケス島から米軍が撤退した。ビエケス島の基地反対運動に手を焼いたブッシュ大統領は、「移設」なしで米軍演習場を同年5月末までに閉鎖することを決定したのだ。ビエケス島民のように基地反対に団結し、本土(プエルトリコ政府)も動かせば、「移設」なしの撤去は可能である。米政府は、米軍が大規模に駐留する沖縄と韓国でビエケス島と同様の反対運動が起こることを恐れているのだ。今こそ、沖縄県民の踏ん張りどころである。心ある本土の国民はすべて沖縄に連帯し応援しようではないか。【6/8より北欧へ行きます。しばらく更新を休みます】 . . . 本文を読む