プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

安保改定50年 「日米安保」から「日米同盟」へ  飛躍的に拡大する「違憲度 」(その1)

2010-10-31 21:34:52 | 政治経済
ことし2010年は、1952年の旧安保条約から58年、1960年の安保改定(現行安保条約)から50年目の節目の年である。この半世紀以上に及ぶ長い歴史の中で、日米軍事体制の実態は大きく変貌してきた。これを憲法の視点からみると「違憲度」が飛躍的に拡大してきた歴史でもある。森英樹・龍谷大学教授の講義「日米同盟の現段階と憲法―安保改定50年の秋に―(『月刊憲法運動』10・11´10 通巻3 . . . 本文を読む

中国、首脳会談を拒否  なぜ、日本外交はアジア諸国からバカにされるのか

2010-10-30 18:00:58 | 政治経済
中国が29日、ハノイでの日中首脳会談を拒否した。中国の胡正躍外務次官補が香港メディアなどを呼び、首脳会談の取りやめを公表、国営新華社通信がこれを伝えた。日本側が同夜に会談が行われると発表した直後の突然の発言だった。日本の外務省もナメられたものである。なぜ、日本外交はアジア諸国からバカにされるのか。冷戦終了後、アジア諸国のなかで未だに米国にすがり、自分の頭で考えない国は、日本と日本より少しましな韓国ぐらいである。広島、長崎に原爆を落とされて、それでもヘラヘラと米国に従属する日本をアジアの人々は、誰も一人前とは思わない。 . . . 本文を読む

菅・民主党企業献金再開  2種類の政権交代  民主党の自民党化を象徴

2010-10-29 22:15:50 | 政治経済
政権交代には2種類がある。政策の根本的転換を伴う真正の政権交代(Change of power)と今一つはただの与党変更(Change of government)である。菅・民主党は昨年9月の政権交代以降、自粛していた企業・団体献金の受け入れを近く再開する。いまや菅反動政権によって真正の政権交代(Change of power)への道は完全に断たれてしまったようだ。ここで国民の側からの攻勢的な巻き返しがない限り、日本の民主党政権への変動は、単なる与党の変更(Change of government)ということになってしまうだろう。 . . . 本文を読む

補正予算案を閣議決定  円高・デフレの根本原因に手を付けない「円高・デフレ対応のための緊急対策」

2010-10-27 21:39:30 | 政治経済
菅内閣は26日、「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」を盛り込んだ2010年度補正予算案を閣議決定した。円高・デフレの根本原因に手を付けない「円高・デフレ対応のための緊急対策」は、当然のことながら、円高・デフレ対応に効果がない。本当に円高、デフレを是正しようと思ったら、家計を直接応援する、内需を活発にする政策が必要だが、資本家的イデオロギーに取り込まれた諸政党に、そのような革新的発想を期待するのは無理な話である。円高、デフレから脱却する道の処方せんは同じである。労働者、中小企業を犠牲することをやめさせ、働く人の収入を引き上げ、内需を活発にする。そのことによって、デフレや円高から脱却していく、ということだ。これには、企業行動を本格的に変えていく政治のイニシアチブが必要である。 . . . 本文を読む

ウィキリークス イラク戦秘密文書暴露  国際法違反の常習者との同盟を「深化」する愚かさ

2010-10-26 20:07:31 | 政治経済
匿名の内部告発サイト「ウィキリークス」は、7月のアフガン駐留米軍の機密文書約9万点に続いて今度は、イラク駐留米軍に関する機密文書約40万点をネット上に公開した。「グローバルな軍事介入を生業とする米軍は、国際法違反の常習者である。菅政権は、このならず者との「日米同盟」を「深化」つまり強化するという。アメリカ軍との軍事一体化を強化し、自衛隊がアメリカ軍とともに海外で戦争するということは、日本自身にとって何を意味するか。愚かなことだ。 . . . 本文を読む

韓国・東学農民軍 戦跡を訪ねる旅   NHK「坂の上の雲」のうそ

2010-10-25 23:32:58 | 政治経済
10月15日~19日私は、「中塚明先生・朴孟洙先生と行く韓国・東学農民軍 戦跡を訪ねる旅」に参加した。全国から30名の参加であった。東学農民革命とは、1894年から始まる日清戦争のときに、東学農民を中心にした朝鮮近代史上はじめての反封建の大衆的な社会変革運動であり、日本がはじめて直面した抗日民族運動であった。ところでNHKは、昨年に続いて今年も12月にスペシャルドラマ「坂の上の雲」第二部を放映する予定という。「坂の上の雲」の問題点は、すでに多くの歴史学者が指摘しているように歴史上の人物になりきって面白く書いた司馬遼太郎の小説は、明治の人になり切って歴史を描こうとしたために、客観的な歴史と大きくかけ離れている。明治時代の人間の目で再現した歴史は、私たちが決して忘れてはならない朝鮮における日本の蛮行を覆い隠してしまう。 . . . 本文を読む

急浮上のTPP   いま必要なのは、「食料主権」を保障する貿易ルール

2010-10-23 20:47:40 | 政治経済
経済のグローバル化が進んだとはいえ、現在は、主権をもった諸国家がそれぞれ分立している状態である。国際貿易をあてにして、持続可能な食料生産を放棄すればどうなるか。ことはレアアース禁輸の比ではない。深刻な食料不足・価格高騰が世界、とりわけ途上国の国民を苦しめている。その背景には、世界貿易機関(WTO)が進めてきた多国籍企業と輸出国にとって都合のいい貿易自由化が、国民への食料供給を保障すべき各国の国内農業を破壊してきたことにある。日本農業と地域の経済・雇用に重大な打撃を与える環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement=TPP)の交渉参加問題が11月に横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)を前に急浮上してきた。例によって、米国と財界の要求を受けて、菅直人が11月のAPEC首脳会議への“土産”にしようとしているからだ。だれもが安全で栄養のある食料を手に入れる権利、十分な食料を得る権利を実現するためにいま必要なのは、「食料主権」を保障する貿易ルールの確立である。   . . . 本文を読む

沖縄県知事選   構造的な「沖縄差別」撤廃への第一歩を実現しよう!

2010-10-22 20:53:26 | 政治経済
日米両政府が米海兵隊普天間基地の名護市辺野古「移設」を県民の頭越しで決定し、押し付ける構えを強めるなか、沖縄県の知事選が間近に迫ってきた(11月11日告示、28日投票)。沖縄では、1995年以来、県民の総意は基地の過重負担の解決、危険な普天間基地の無条件撤去ということで一貫している。沖縄県民の総意と日米政府との対決が続いているにもかかわらず、事態が膠着してきたのは、沖縄県政が優柔不断な立場を続けてきたからである。そこが日米両政府のつけ入る隙になっている。日米両政府は、県政と手を組んで「県内移設」を実現することを一貫して狙ってきた。今度の知事選挙は、この県政の隙を埋め、断固としてノーだという県民の総意を示す意義深い選挙である。基地受け入れの隙、余地はないということを示すことは、構造的な「沖縄差別」撤廃への第一歩であり、全国民が日米関係のありようを考える契機となるだろう。   . . . 本文を読む

小沢氏即時抗告  検察審「素人」論は天に唾するもの

2010-10-21 18:59:08 | 政治経済
東京地裁は18日、起訴議決の執行停止や強制起訴に向けた指定弁護士選任の仮差し止めを申し立てた問題について、申し立てを却下した。東京地裁は申し立て却下の決定で、「刑事裁判で争うこと」を促したにもかかわらず、小沢氏は21日、決定を不服として東京高裁に即時抗告した。小沢氏を起訴すべきだとした検察審査会の議決について、進歩的な言論人まで小沢氏を擁護するつもりはないと言い訳けしつつ、“「市民感覚」を盾に不起訴となった人物を法廷に引っ張り出すのはいかがなものか”などと批判している。私は、これらの議論の背景には、国民が参加する検察審を「素人」の判断だと蔑視するエリート意識が根強くあるように思う。しかし以下に述べるように、検察審「素人」論はまさに天に唾するものだ。 . . . 本文を読む

11月、オバマ訪日と沖縄知事選挙   米日支配層の思惑通りにはさせない結果を!

2010-10-14 20:51:01 | 政治経済
日米支配層にとって、鳩山政権は気に食わなかった。(1)東アジア共同体構想を掲げたこと(→アメリカ外しにつながる)(2)普天間問題を顕在化させたこと(→沖縄の怒りに火をつけた)(3)閣外に第二政府をおいたこと(→小沢一郎の影響力=選挙戦略から支配層に楯突く力をもつ)(4)反官僚姿勢を貫こうとしたこと(→官僚は支配層の利害の調整に長けている)などである。そこで、米日支配層は鳩山・小沢をクビにし、菅直人を政権に就けた。特に、昨年10月になんとか最初の環境影響評価を終わらせ、仲井真弘多沖縄知事や関係閣僚を抱き込んで普天間「移設」(辺野古新基地建設)計画を推進しようとしていた矢先に、鳩山政権が県外移設を約束してパンドラの箱を開けてしまったことは許せなかった。その属国統治の手下となっている官僚制度にも、切り込んでこようとしてきたことについても不満だった。アメリカCIAは有力政治家のスキャンダルを徹底調査していて、何かあれば、それを手下である日本のマスコミにタレ流れして、その政治家をつぶすことなど朝飯前である。11月の沖縄知事選挙でも何が起こるかわからない。選挙戦の最中にAPEC首脳会議出席のためにオバマ大統領が訪日の予定である。【明日から「東学農民革命軍の跡」を訪ねて韓国訪問の予定です。しばらくブログの更新を休みます】 . . . 本文を読む

ノーベル平和賞に劉暁波氏  歴史的過渡期の中国共産党  共産党独裁の終焉は、中国国民が決める

2010-10-09 21:14:05 | 政治経済
中国の人権活動家、劉暁波(リウ・シアオポー)氏のノーベル平和賞受賞が8日、ノルウェーのノーベル賞委員会から発表された。中国では、小平の改革・開放政策による経済体制の変革が進むにつれ、政治体制の改革への要求が学生や知識人、共産党内の改革派の中で広がっていった。しかし文革時代、実権派と呼ばれ失脚し、第一次天安門事件でも再度失脚した小平は、この政治体制変革の運動を保守派の李鵬とともに弾圧した(第二次天安門事件)。このとき、学生らとともにハンストに加わっていたのが劉氏だった。小平は、李鵬の後任に江沢民を選び、今日の胡錦濤へとつながっている。文革時代の混乱の悪夢を身をもって知る小平が、改革・開放政策の推進のためにも、政治体制の安定をなによりも優先したのだと私は思っている。 . . . 本文を読む

日銀、ゼロ金利復活  「包括緩和」 「金融政策は異例の世界に入っていく」

2010-10-07 20:24:36 | 政治経済
日本銀行は5日、前日から開いていた金融政策決定会合で、実質的なゼロ金利政策を復活させた上、基金を新設して長期国債などの買い入れ額を増やす「包括緩和」に踏み切ることを決めた。日本のデフレや円高は金融の所為、問題ではない。今回の決定について白川方明日銀総裁は「金融政策は異例の世界に入っていく」と自ら認めている。ただ賃金を抑えつけることで輸出競争力を強め、蓄積に励む企業行動こそが、価格抑制要因となっている巨大な産出ギャップを生み出している元凶なのだ。 . . . 本文を読む

小沢氏強制起訴  元凶は、大甘「政治資金規正法」

2010-10-05 22:30:31 | 政治経済
民主党の小沢一郎元幹事長が検察審査会の議決を受け強制起訴されることになった。本件に関しては、日頃は進歩的な法学者や弁護士まで、<感情に基づき「情況証拠」だけで「共謀共同正犯」と結論づけている、「不起訴」とした東京地検特捜部の処分は妥当、やむを得ない>とする有力な意見がネットを飛び交っている。なかには小沢氏を、権力による弾圧の“被害者”かのように描くものまである。しかし、これほど馬鹿げた議論はない。陸山会の政治資金報告書に20億円超の巨額の虚偽記載があることは、何人も否定できない事実である。虚偽の財務諸表を提出すれば、提出者だけでなく、会社(の代表者)も罰せられる。これが世間の通常の掟である。秘書だけが逮捕されて、責任者の小沢氏が罰せられないとすれば、非常識な「政治資金規正法」こそ問題である。 . . . 本文を読む

朝鮮労働党代表者会   北朝鮮は20世紀社会主義を考える格好の教材(完)

2010-10-04 21:08:57 | 政治経済
20世紀社会主義は、自らのシステムを発展させるメカニズムをビルトインしていないシステムである。物財配給制度を核とする戦時社会主義システムは自らを自生的に発展するモーメントを内部に保有していない。物財配給制度は、国民経済で生産され消費される物財を市場メカニズムに任せず、その配分を国家が決めるシステムである。そして、「経済にたいする政治の優位」原則に立つ共産党による国民経済管理は、いつの間にか、恣意的な経済にたいする政治決定に堕してしまった。20世紀社会主義における「計画化」はプリミティブな物財配給制度を超えるものではなく、そのシステムは遅かれ早かれ破綻せざるを得ない。原理的に言えば、配分を基礎とするシステムから交換を基礎とするシステムへの体制転換が必然となる。ラディカルな経済改革に手をつけようとすれば、政治システムに手をつけないわけにはいかない。共産党による一元支配の虚構はどこまでもちこたえられるのか。 . . . 本文を読む

朝鮮労働党代表者会   北朝鮮は20世紀社会主義を考える格好の教材(その2)

2010-10-03 21:35:02 | 政治経済
19世紀の社会主義理念は20世紀を通して、社会を動かした。貧困からの脱却、ジェンダー、富の不平等の廃止、階級の廃止、戦争を含むすべての非人間的行動の止揚―レーニンの“平和とパン”、反帝国主義戦争、民族独立と植民地解放の社会主義の理念と運動は世界を動かした。多くの政治経済的に未熟な諸国の近代化は、社会主義の運動なしには達成されなかった。しかし、その社会主義もまた、20世紀の人類の残酷さ、未熟さから逃れることはできなかったのだ。 . . . 本文を読む