プロメテウスの政治経済コラム

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石原都政と「オール与党」の何が問題か 「一期目はよかった」という浅野氏は何を考えている?

2007-03-12 18:57:47 | 政治経済
前宮城県知事の浅野史郎氏(59)が6日、東京都庁内で記者会見し、都知事選へ正式に出馬表明した。7日付の各新聞は、「朝日」は一面のニュースと二面の特集(「時々刻々」)で、「毎日」や「東京」は一面トップでというように、大きなスペースを割いて浅野氏の出馬を報道した。「日経」以外の各紙が社説でも取り上げ、「朝日」は「これで面白くなった」、「毎日」も「やっと面白くなってきた」と書いた(「しんぶん赤旗」2007年3月9日)。
浅野氏が出馬表明したからといって、何故どこが「面白くなった」というのか。「二大政党の対決が鮮明になったのは結構なこと」だというような話なら、これほど読者を馬鹿にした議論はない。いったい「朝日」は、石原都政の実態も、どの政党がどんな役割を果たしているのかも、まったく眼中にないのか。石原都政は日本共産党以外の自民、公明、民主が事実上の「オール与党」となっており、都政をめぐる「二大政党の対決」などどこにもないのである。石原知事の提案に100%賛成してきた党が、どうして「対決」などできるのか「朝日」がこうした都政の実態をまともに取り上げ、伝える意思がないとすれば、報道機関の完全な失格である。「朝日」などの報道は、石原暴政と真正面から対決し、「石原タブー」を打ち破るところまで追い詰めてきた日本共産党と無党派の人々が共同で推薦している吉田万三氏の役割を「黙殺」し、都民の目から隠しているという点でも重大な偏向報道である。「朝日」などの報道機関が誰によって支配されているか、これほど分かりやすく語るものはない。

6日東京都庁内で記者会見し、都知事選へ正式に出馬表明した浅野史郎氏は、「石原都政にストップをかける」などとした出馬の理由を読みあげた。しかし、記者団から石原都政の姿勢についてきかれ、言葉につまった。「これは、一言でいえというのはむずかしい」「うーん。むずかしい」「一期目はよかった。石原という政治家、その目標とかリーダーシップとか・・・」
「赤旗」潮流子が皮肉っている「うーん。むずかしい。浅野史郎という人は、いったいなにを考えているのやら。浅野氏が『問題』とみなす石原知事の『社会的弱者に対する差別発言』『都政の私物化』『公私混同』など、すべて一期目からの話ですから」。「重度の障害者について、『ああいう人ってのは人格があるのかね』。子どもをうめない『ババァ』は『文明がもたらしたもっとも悪しき有害なもの』。いずれも、一期目の発言です」。「ガラパゴス諸島めぐりや、一泊13万円から26万円のホテルに五泊したワシントン行きも、知事一期目の税金旅行です。そんな都政を『よかった』といいきる人は、珍しい。うーん」(「しんぶん赤旗」3月9日)。
浅野史郎前宮城県知事の、知事時代の「実績」はどうか。県債務残高が七千億円から一兆四千億円に倍増した問題について、浅野氏は「数字は事実だ」と認め、当時の国策の景気対策に協力して公共事業につぎ込んだのが要因だとし、「財政的な身の丈をこえた形でやった。私の失政なんでしょうか」と開き直った。冷酷な福祉切り捨てと大型開発優先の住民福祉「逆立ち」県政を、自民、民主、公明、社民の「オール与党」に支えられておこなったという点で、浅野氏は「石原知事とまったく同じ流れのなかにいる人物」(共産党・志位委員長)である。

私のBlogに、首都・東京の都知事にマルクス主義者はどうかというコメントをいただいた。21世紀を目前にした1999年、イギリスのBBCニュースなどが、1000年という単位で、だれが一番偉大な人物であったかというアンケート調査を実施した。マルクスが圧倒的な得票で一位であった(二位はアインシュタイン)。ロイター通信やアメリカ雑誌『ライフ』でも同じような結果であった。老婆心ながら、国際化の時代、「井の中の蛙」にならいないことだ。

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