プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

トヨタ米公聴会  新自由主義に毒された落日トヨタは、没落日本社会の象徴

2010-02-26 20:38:20 | 政治経済
トヨタ自動車の急加速、大量リコール(無料の回収・修理)問題で、同社の豊田章男社長が米下院で証言した。かねてより、アメリカ企業の経営は、株主の気に入られるように短期的な利益のみを追求し、経営者は、金融や財務には明るいが生産現場を知らず、長期的な開発、生産能力の強化で日本企業に遅れをとったといわれたものである。そのアメリカで、日本の製造業を代表するトヨタの社長が、「トヨタには、消費者の安全より、もうけに関心を払っている明白な証拠がある」といわれてしまった。トヨタはアメリカ新自由主義に毒され、効率を優先し株主を優遇して、「現場」を粗末に扱ってきた。そのなれの果てが今の姿である。現場が疲弊し、空洞化しても、ただ利益追求のために生産を拡大する。これで、製品の品質が保証されるわけがない。いまや、目先の利益を優先して安全も技術の蓄積もないがしろにする新自由主義に毒されてしまった。落日トヨタと没落日本社会とが、みごとに重なる。 . . . 本文を読む

沖縄県議会 国外・県外移設を求める意見書 全会一致で可決 政府も怠慢だが本土の人間も怠慢だ!

2010-02-24 19:09:25 | 政治経済
沖縄県議会(高嶺善伸議長)は24日午前、本会議の冒頭で「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外への移設を求める意見書案」を全会一致で可決した。鳩山政権の腰の定まらない不誠実な姿勢、いまひとつ沖縄県民との連帯に燃えない本土の人間に対し、ついに沖縄県民が業を煮やしたのだ。少しばかりの理論学習もできない、やりたくないと思うほどに国民が生活に追い詰められ、疲れていることは理解できるが、政府が怠慢で居れるのは、国民が怠慢であるからである。 . . . 本文を読む

世界一トヨタのリコール問題  労働者・下請けを粗末に扱う会社に何が・・

2010-02-22 21:06:36 | 政治経済
トヨタ自動車の豊田章男社長が、同社の大規模リコール(回収・無償修理)問題を審議する24日の米下院監視・政府改革委員会の公聴会に出席することになった。アクセルペダルの欠陥で、欧米や中国で大規模なリコール(無償回収・修理)となったトヨタ車。「エコカー」として大々的に売り出しているハイブリッド車「プリウス」のブレーキをめぐっても日米で問題が噴出している。世界一トヨタの社会的責任を追及する「トヨタ総行動」が昨年で30回を数えているように、同社は、労働者・下請けイジメでも有名である。いっさいの「ムダ」を認めない超過密労働が製品の品質に影響しないはずがない。 . . . 本文を読む

<小林多喜二祭>  新しい政治への探求と小林多喜二

2010-02-21 18:46:06 | 政治経済
昨日2月20日は、小林多喜二が築地署で特高によって虐殺されて77回目の命日であった。全国各地で<小林多喜二祭>が催された。私は、大阪の多喜二祭に参加した。大阪多喜二祭の特徴は、毎年、音楽や講演だけでなく、多喜二ゆかりの展示会を併せて行うことである。今年は、特に小林多喜二と山本宣治のデスマスクが初めてふたり並べて展示された。主催者によれば、大阪が日本で最初だとのことである。小林多喜二は、「我々の芸術は、飯を食えない人にとっての料理の本であってはならない」と語っている。飯を食えない人に飯を食わせるためには世の中を変えなければならない。多喜二は、政治的スローガンを直接訴える政治家になるのではなく、芸術性の高い小説で大衆の政治的力量を高めることを目指した。つねに新たな意気込みをもって仕事に取り組み、そして自分の仕事について厳しく反省し、また新たな意気込みをもって次を目指す多喜二の真摯な生き方は、新しい政治への探求を目指す私たちを常に励ましているように思えてならない。 . . . 本文を読む

政府・与党の沖縄基地問題検討委員会の無責任  沖縄に海兵隊が移転したのは「駐留なき安保」の結果

2010-02-18 20:40:46 | 政治経済
政府・与党は16日、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、17日の沖縄基地問題検討委員会で予定していた社民、国民新両党の移設案提示を延期することを決めた。沖縄県内は当然として、県外・国内にせよ、「移設」候補先の名前が漏れてくるたびに、受け入れ反対の声が広がる。みんな安保は必要だ、米軍の駐留がないと不安だと言いながら、自分の所へは、米軍基地は来てほしくないのである。だから、沖縄基地問題検討委員会は、なかなか候補地を決められないのだ。沖縄の人びとにとって自分たちが植民地化されているという象徴的存在が基地である。「県外移設」の沖縄の人びとの声を単に基地を嫌がっているという程度に受けとめたら、それは侮辱だろう。「米軍基地は、日米同盟の名の下、安保条約を選択し続けている日本人一人びとりが引き受けるべきものである。【日米同盟】を言いながら、その【具体的形としての基地】を引き受けず、【沖縄に押し付け続けている】ことは、これ以上許されることではない」という沖縄の人びとの思いを本土の国民はどう受けとめるのか。 . . . 本文を読む

アバター  気高い「野蛮人」と野蛮な「海兵隊」 団結して立ち上がる“ナヴィ族”の人たち

2010-02-17 20:24:27 | 政治経済
最近、『AVATAR』を迫力満点の最新3D映像で観た。主人公ジェイク・サリーは、地球上での戦争で負傷して下半身不随になった元海兵隊員。いま、沖縄や岩国で問題となっている干渉と介入の侵略軍である米海兵隊の野蛮さとその野蛮な軍事力に立ち向かう「ナヴィ族」の気高さが主題である。インディアンを土地から追い立て、彼らとの戦闘と流血の上に創られたアメリカ社会。そのアメリカは今も戦争好きな国として、その「侵略力」を沖縄や岩国、そして日本の領土のあらゆる所に保持し、イラクやアフガニスタンへの侵略を続けている。 . . . 本文を読む

小沢氏の「政権交代」執念  「歴史は繰り返す」「一度は悲劇として、二度目は茶番として」

2010-02-15 21:06:32 | 政治経済
昨年の西松建設献金疑惑のときは、民主党代表を辞任した小沢氏。今回の陸山会土地購入資金疑惑では、幹事長を辞任する気は毛頭ないようだ。「自民党を離党して16年目でやっと目標の第一歩を達成した。まだまだしなければならないことがたくさんある」と執念を見せている。93年8月、自民党政権に代わって細川・非自民6党連立政権が成立する。細川政権の名実ともに中心にすわったのは、小沢氏であった。小沢氏にとっての一度目の「政権交代」であった。「歴史は繰り返す」「一度は悲劇として、二度目は茶番として」(マルクス)。かつて、構造改革の旗手であった小沢氏が、選挙に勝つためには、反構造改革のポーズをとり、旧い自民党的な利益誘導型政治もやる。それでいて目指すは、新自由主義的な強権国家であることは一貫している。今回の「政権交代」が「茶番」に終わるかどうかはまだわからない。この夏の参院選挙における国民の選択にかかっているのだ。 . . . 本文を読む

「武器輸出三原則」防衛相の見直し発言  改めて考える「憲法の力」とはなにか

2010-02-13 18:51:19 | 政治経済
海外への武器輸出を禁じた「武器輸出三原則」について北沢俊美防衛相が「見直し」発言を繰り返している。憲法9条と25条という二つの条文は、日本国憲法を象徴するような地位を占めているだけではなく、現代日本社会の二大問題である「戦争と貧困」をなくす決定的な位置を占めている。しかし、憲法にいくらすばらしいことが書いてあっても、黙っていては何の力にもならない(渡辺治『憲法9条と25条・その力と可能性』かもがわ出版2009)。憲法9条は政府にやらせてはならないという禁止規定であり、25条は政府にやらせなければならないという義務規定の違いがあるが、憲法を現実の力とするためには、すなわち9条や25条の理念に基づいた社会をつくるためには、改憲を阻止するだけではなく、政治を変えることが不可欠である。つまり、憲法の理念を実現する政府をつくるということだ。 . . . 本文を読む

公務員法案 閣議決定見送り  公務員バッシングが一般受けするのはなぜか

2010-02-12 21:08:13 | 政治経済
政府は12日午前の閣議で、当初予定していた国家公務員法改正案の決定を見送った。なぜか日本では、公務員をバッシングすると一般受けする。「官僚主導の政治が、日本の政治をだめにしている」という民主党のスローガンは、今日の時点で日本を支配しているのは誰かという政治変革の核心を国民の眼からそらせるという役割を果たしているのだが、国民の中には反官僚の意識が強いので、このスローガンは人気がある。多くの国民は、公務員が有難い存在であるという経験をほとんど持たない。これは、戦前から一貫する日本の歴史とかかわっている。不幸なことに、70年代の革新自治体時代を除いて、日本の国民は、福祉国家型の官僚組織のあり方を体験したことがないのだ。 . . . 本文を読む

枝野行政刷新相 政権浮揚の“カンフル剤”? 構造改革派の「仕分け人」は矛盾を深めるだけ!

2010-02-11 19:12:28 | 政治経済
鳩山由紀夫首相は事業仕分けの統括役を務めた枝野幸男元民主党政調会長を昨日、行政刷新担当相に任命した。昨年11月、人気を博した事業仕分けの「仕分け人」を起用することによって、首相自身や小沢一郎・幹事長の「政治とカネ」をめぐる一連の事件で傷ついた政権の浮揚を図りたいということだろう。しかし、行政刷新会議の「事業仕分け」はマニフェストの「福祉」を実現するために福祉を切るという倒錯したものだった。構造改革派の「仕分け人」が大臣になっても、国民との矛盾を深めるだけである。鳩山氏らは、「敵」を見誤っている。 . . . 本文を読む

「貧困ビジネス」 究極のアメリカ刑務所ビジネス  日本もその日が近い?

2010-02-10 19:05:01 | 政治経済
日本社会の貧困層の拡大を受けて、貧困に寄生し、もうけをむさぼる「貧困ビジネス」というビジネスモデルが盛んだ。貧困ビジネスは貧困者の存在が前提であるから、「貧困の解決」ではなく「貧困の固定化」を望む。日本資本主義社会の師匠であるアメリカでは遂に刑務所の囚人が貧困ビジネスのターゲットとなっていることを知った。日本でも厳しい生活を強いられている若者などのなかで、囚人の食費・宿泊費を税金で負担することへの不満が語られている。日本でもアメリカのような刑務所ビジネスが導入されるのは時間の問題かもしれない。 . . . 本文を読む

日本の失われた10年  多国籍大企業の強欲に原因があった!

2010-02-09 18:23:34 | 政治経済
労働者と中小企業を使い捨てにし、国民の犠牲のうえに一握りの多国籍大企業が巨額の内部留保をため込む――マルクスが、一方の極における富の蓄積が他方の極における貧困の蓄積であることは資本主義的蓄積の絶対的・一般的な法則であるといったことが1997年から2007年の統計によって鮮やかに証明された。日本共産党の志位和夫委員長は8日、衆院予算委員会の総括質問で統計資料を示しながら、日本の「失われた10年」からの転換を強く迫った。他党派議員からも、何度も「その通りだ」の声、拍手がおこった。日本の資本主義を「資本論の世界」に閉じ込めておくわけにはいかない。こんなことを続けていては、国民生活も日本経済にも未来がないからだ。 . . . 本文を読む

派遣法改正  口先だけが目立つ民主党政権  労政審答申どおりの立法化は許されない

2010-02-08 19:01:11 | 政治経済
日本の二大政党制はアメリカと違って、小数とはいえ、確固とした綱領をもち草の根で民衆と結びつき活動する日本共産党が存在し、いまやほとんど頼りにはならいとはいえ、戦後民主主義のなかでかつて大衆の支持を得た社会党の流れを引き継ぐ社民党が存在する。だから、アメリカのオバマは、ただ「チェンジ」と言っておればよかったが、日本の民主党は、選挙に勝つためには、反「構造改革」の具体的なマニフェストが必要だった。そうしないと共産党や社民党に票が流れるからだ。7月の参院選挙が終わるまでこの姿勢は崩せない。しかし、所詮は選挙の方便なので、あちこちでボロが出る。民主党が財界やアメリカからの圧力が強い政策ほど腰砕けになるのはそのためである。派遣法改正もその典型例である。財界の声を聞くために設けた労働政策審議会の答申を錦の御旗に法改正を骨抜きにしようとしている。一方、7月の参院選挙が終わるまでの民主党は、日本共産党や社民党の存在を意識せざるを得ず、運動の高揚によっては、法案の内容を見直す可能性も秘めている。まさに労働者階級と財界との階級闘争が民主党政権を間に挟んで繰り広げられているのだ。 いまこそ労働者階級のがんばりどころだ。 . . . 本文を読む

小沢氏不起訴  ゼネコンの肩を持つわけではないが悪いのは政治家

2010-02-05 19:02:01 | 政治経済
小沢氏は角栄・金丸・小沢と特捜部との30年戦争に負けなかったと安堵していることだろう。しかし、今回の不起訴処分によって決して“一件落着”となってほしくないと一番悔しい思いをしているのは、小沢氏に金を貢いだ当のゼネコンだろう。西松の東北支店幹部は、大久保被告から「お宅がとった胆沢ダムは小沢ダムだ。忘れちゃ困るよ」といわれた。ゼネコン業界とは不思議なものである。業界自治で談合システムを完結すればよいものを話し合いがつかないものだから(小沢事務所は一端まとまった本命にノーをだすことで影響力を行使することもやっていた)、「天の声」に頼る。小沢事務所にたかられるのは自分たちの自治能力が足りないからだ。それだけに小沢氏の不起訴処分によって“一件落着”となることほど悔しいことはない。といって、特捜部に小沢事務所をチクルこともできない。談合破りとして、業界からの放逐を覚悟しなければならないからである。最大の悪は小沢のような政治家である。 . . . 本文を読む

衆参代表質問  「政治とカネ」、暮らし、米軍基地問題、どの問題でも旧政権と同じ鳩山新政権

2010-02-04 20:13:06 | 政治経済
各党の衆参代表質問が一巡した。政権交代したけれどもの政治の中身は、自公政権と基本的に同じ――予想されていたこととはいえ、ヒドイものだ。日本共産党の志位和夫委員長の2日の代表質問にたいする鳩山由紀夫首相の答弁にいたっては、昨年の国会で当時の麻生太郎首相が行った答弁と一語一句同じ答弁が返ってきた。総選挙直後は、政権交代に期待をかけた国民大衆を気にしてか、旧政権とは違う態度を示さなければと高揚した言説もあった鳩山首相もいよいよその地金を表した。今年の参議院選挙がいよいよ重要となってきた。 . . . 本文を読む