プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

『武士の家計簿』  幕末、維新の激動期を生きた経理テクノクラート一家の歴史

2010-12-21 20:40:41 | 映画・演劇
菅直人の出鱈目政治に、怒り心頭の毎日であるが、今日は少し心和む話をしたい。映画『武士の家計簿』を観た。磯田道史さんの歴史教養書『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』(新潮新書2003)を、森田芳光監督が映画化した異色時代劇である。新潮新書も面白かったが、歴史書を手際よく映画化する手腕も大したものだ。 . . . 本文を読む

『ハート・ロッカー』 アカデミー賞とは所詮、米国人の独り善がり

2010-03-15 21:06:14 | 映画・演劇
『ハート・ロッカー』が第82回アカデミー賞で6部門を制したというから、今日、観に行ってきた。今日までに既にイラク戦争を扱った映画は多く作られている。同じくドキュメンタリータッチで戦場の出来事をリアルに描いた『リダクテッド 真実の価値』と比べると、『ハート・ロッカー』は相当レベルが落ちる。戦争中毒国家アメリカを米国人の視点で見るのか、不幸にも戦争の相手に選ばれてしまった他国民の視点でみるのかの違いである。ところが、米国のマスコミの評価は違う。米国のマスコミ、アカデミー賞とは所詮、米国人の独り善がりだなアとつくづく思う。 . . . 本文を読む

ドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』   騒動のおかげで大盛況

2008-05-15 20:37:53 | 映画・演劇
大阪の劇場で映画『靖国』をみた。騒動のおかげで大盛況で昨日は上映30分前では入れず、今日再度挑戦した。東京渋谷の映画館も、一日4回の上映がすべて満席の盛況らしい。問題のきっかけとなった「反日的映画に助成しても良いのか」という、「週刊新潮」の報道や、国政調査権を振りかざして、イチャモンをつけた稲田朋美衆院議員や有村治子参院議員は、大失敗をやってしまった。多くの人びとが実際に映画をみて、「反日的映画」 . . . 本文を読む

映画『光州5・18』  流血のない歴史発展はないのか

2008-05-12 21:57:39 | 映画・演劇
映画『光州5・18』をみた。光州事件は1980年5月18日から27日にかけて、全斗煥(チョン・ドファン)軍政下の光州(クワンジュ)で起きた。民主化を叫ぶ素手の光州市民に対する軍の武力弾圧は凄まじい(一般に韓国映画の暴力描写はリアルで過激だ)。歴史の転換期には、いつも暴力がつきものだ。階級闘争が激化すると、支配階級や権力者は議論では絶対に勝てないので、番犬である警察・軍などの暴力装置を最大限につかう . . . 本文を読む

映画「母(かあ)べえ」   山田洋次監督・脚本 円熟の境地だ!

2008-02-03 19:16:14 | 映画・演劇
映画「母(かあ)べえ」を観た。山田洋次監督が次のように語っている。「でき上がって最初の試写をみたとき、『おー、こんな映画になったか』という思いがわいてきました。母と娘たちのささやかな話を描いたつもりが、完成してみると別のにおいがたちこめていたと言いますか、お茶の間の向こうに戦争が見えている。僕たちが描きたかったのは、恐ろしい戦争の時代だったんだ、と気付かされたのです」(「しんぶん赤旗」日曜版200 . . . 本文を読む

チャップリン没後30年  秘書・高野虎市のこと

2007-11-20 21:24:44 | 映画・演劇
現在、東京国立近代美術館フィルムセンターで「チャップリンの日本 チャップリン秘書・高野虎市遺品展」が開催中(12月27日まで)らしい。チャップリンが親日家だったことは知っていたが、チャップリンの秘書が日本人の高野虎市(こうの・とらいち)だったということは、最近「「しんぶん赤旗」(11月16日)で、大野裕之さんの一文「チャップリンを支えた日本人」を読むまでまったく知らなかった。 チャーリー・チャップ . . . 本文を読む

映画「それでもボクはやっていない」  日本の刑事裁判の問題点を見事に浮き彫りに

2007-03-08 20:31:13 | 映画・演劇
周防正行監督の「それでもボクはやってない」を観た。2時間20分を超えるやや長めの映画だったが、長く感じない迫力ある作品であった。弁護士の加藤健次さんは、「映画を見終えたとき、『それでもボクはやってない』という題名に込められた深い意味に思い当たる。裁かれているのは、被告人を裁いているはずの刑事裁判そのものだ。」と書いている(「しんぶん赤旗」2007年1月19日)。 . . . 本文を読む

『ダーウィンの悪夢』  コペル君の「人間分子の関係、網目の法則」への想像力を養おう

2007-01-16 19:12:17 | 映画・演劇
フーベルト・ザウパー監督のドキュメンタリー映画『ダーウィンの悪夢』を観た。「ダーウィンの箱庭」と呼ばれるくらい豊かな生態系をもつアフリカ・ビクトリア湖が、外来魚「ナイルパーチ」の放流で壊滅的な打撃を受ける一方、欧米や日本へ輸出するためのナイルパーチ漁が盛んになる。ナイルパーチによって誕生した産業は一方の局での経済的繁栄と他方の局での貧困の拡大をもたらした。一部の国の国民の食卓を豊かにすることが、現地の人々にいっそう厳しい生活を強いる現実を告発している。私は、戦前からのロングセラー吉野源三郎『君たちはどう生きるか』(岩波書店)に描かれているコペル君の「人間分子の関係、網目の法則」を思い出した。 . . . 本文を読む