プロメテウスの政治経済コラム

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東京都知事選  マスコミは「反石原」候補のゆくえに熱中するのではなく選挙の争点を明確に

2007-03-02 19:07:19 | 政治経済
黒川紀章氏は、もともと石原知事と同じ超タカ派の改憲・靖国派である。黒川氏の政治的立場は、公約のなかで、「どの政党の推薦も受ける」としていることでその問題点を端的に示している。都知事選をめぐる一番の争点は、石原都知事のさまざまな都政私物化など反都民的な都政運営が、自民、公明、民主、生活者ネットの「オール与党」体制と一体のものであり、この与党体制が知事のすることに全面賛成で、石原都政と同じ立場であるということを認めるのか認めないかである。黒川氏の立場は、『オール与党』の推薦も結構ですということであり、これでは石原都政を変えていく政治的立場がないといわなければならない(「しんぶん赤旗」2007年2月23日)。

前宮城県知事の浅野史郎慶応大教授が、東京都知事選について「覚悟を決めなくちゃいけないという気が、かなり強くしている」と述べ、立候補する意向を固めたという。浅野氏には、小泉と同じようにマスコミが作り上げた虚像がある。談合問題や裏金問題で、宮城県政を立て直し、多選拒否で立候補を取りやめた改革派知事であり、厚生省出身で福祉に強いなどなどである。しかし、宮城県の人々は良くご存知だろうが浅野氏の3期12年の“実績”はまことにひどいものである。小泉「構造改革」の宮城県政版である。
浅野氏は「福祉日本一の宮城県をつくる」ことを看板にかかげたが、県政がスタートした1993年と終了した2005年で主な福祉の順位を四十七都道府県で比較すると、一人あたりの民生費は20位から42位、社会福祉費は28位から43位、児童福祉費は22位から41位などと、のきなみ全国下位に落ち込んだ。浅野県政の福祉切り捨てで際立ったものとして、前県政では国保証取り上げがゼロだったが、05年には2330世帯になった。無駄な公共工事で福祉財源をなくしてしまったのだ。「こうした政治は、石原都知事が革新都政時代につくられた福祉の施策を根こそぎ切り捨て、巨大開発に湯水のようにお金を注ぎ込んできたものと同じ中身だ」(日本共産党・志位委員長「しんぶん赤旗」2007年3月2日)。

浅野氏の得意は「政党の推薦をとらない」ことである。今回も浅野氏は、民主党が独自候補を擁立すれば出馬しないと明言していた(2月28日)が、この日は「勝てるとか負けるとかで考えていいのかという気になっている」と述べ、同党の動きにかかわらず出馬の意向を示した。同党の推薦を受けるかどうかついては明言を避けた(「毎日新聞」3月2日12時34分配信)とのことである。しかし、政党の推薦をとるかとらないかについて志位氏は次のように指摘する。
石原知事提出の議案に自公民ネットの「オール与党」が賛成するなど、石原都政の暴政は「オール与党」と一体となって行われているが、宮城県議会も同じ構図だった。「選挙のときに推薦を受けるか受けないかの違いはあっても、知事になった後の実態は自公民社『オール与党』が支えた。『オール与党』と一体に住民の福祉を切り捨て、巨大開発で浪費をほしいままにする。ここでも両者は同じだ。同じことを、東京でやってきた人物(石原氏)と宮城でやった人物(浅野氏)のどちらかを選ぼうとしても選びようがない」ではないか(「しんぶん赤旗」同上)。

海江田万里前衆院議員(58)の擁立を目指す民主党がいくら「打倒石原」を叫んでも自民、公明とともに石原都政を支えた民主党の姿を消すことはできない。すべて底が割れている

都政の流れを変えたいのであれば、都民本位の政策掲げ、その実行力のある日本共産党の吉田万三元足立区長を選挙で勝たせることである。「石原都政を変えたい」と願う広範な無党派の都民や保守勢力と共産党がいかに幅広く共同できるかが、マスコミが伝えるべき選挙の争点なのだ。

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2 コメント

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Unknown (fuzu-fuzu)
2007-03-02 20:55:39
日本の首都・東京都知事にマルクス主義者とは、いかなる風の吹き回し?
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世論調査 (スパイラルドラゴン)
2007-03-10 16:04:22
こんにちは。
都知事選の世論調査を実施していますので、よろしければ一票を投じてください。
また、投票結果グラフを性別・年代別に分析したデータも興味深い物がありますよ。
一応私の予想は、どんなに候補者が乱立しようとも、浅野氏当選です。
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