プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

障害者自立支援法「延命」法案  民・自・公が強行可決  社会保障分野での民主党裏切りの象徴

2010-05-31 21:17:53 | 政治経済
衆院厚生労働委員会は28日、障害者自立支援法の「延命」につながる「自立支援法一部改定案」を民主、自民、公明各党の賛成多数で可決した(31日の衆院本会議で採決予定)。社会保障の新自由主義構造改革は、社会保障の基礎的枠組みの介護保険型化である。自立支援法は、障害者福祉を介護保険に統合することを想定して作られていた。民主党新政権は、2008年に障がい者から相次いで起こされた障害者自立支援法訴訟の終結にむけて2010年1月7日、原告・弁護団との間で「基本合意文書」をかわした。合意文書には、自公政権からの「政権交代」を実感させる内容を含んでいた。ところが今回、自公両党が議員立法で今国会に提案した障害者自立支援法一部改定案に民主党が乗る形で、合意文書において確認された「障害者自立支援法を廃止し、平成25年8月までに制度の谷間をつくらない新しい法律を当事者の意見を十分に聞いてつくる」とした国及び与党の姿勢に真っ向から反する「裏切り」をまたしても平然とやってのけたのである。「後期高齢者医療制度の廃止」の公約違反に続く、社会保障分野での民主党裏切りの象徴である。 . . . 本文を読む

NPT再検討会議最終文書  満足できる成果とまではいかないが、重要な一歩前進

2010-05-30 18:41:48 | 政治経済
米ニューヨークの国連本部で3日から開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は28日夕、「核兵器のない世界」実現を決意し、64項目の行動計画を柱とする最終文書を全会一致で採択し閉幕した。前回2005年の再検討会議では何の合意もないまま終了してしまったが、今回は、失敗を繰り返さないという各国の意思と国際世論が後押し、00年合意である核兵器廃絶に向けた保有国の「明確な約束」を踏まえた行動計画が決定された。しかし、核兵器なき世界へ向けて重要な一歩前進ではあったが、核固執勢力の核抑止への執着もなお強い。現在、8月の原水爆禁止世界大会へ向けて国民平和大行進が始まっているが、引き続き日本と世界の反核平和運動の頑張りが必要だ。 . . . 本文を読む

普天間「移設」日米共同発表  民主党の裏切り、期待はずれと保守二大政党制

2010-05-28 20:59:37 | 政治経済
昨年の総選挙で自公政権を退場させ、「政権交代」を実現したのに、鳩山民主党政権は、なぜ国民を裏切り、審判が下ったはずの自民党政権に限りなく回帰してしまうのか。 渡辺治・一橋大名誉教授がつとに指摘するように、国民は「政権交代」で、反構造改革、反軍事大国の政治への転換を期待したはずだが、選挙結果は、共産党や社民党への得票増には結びつかず民主党に集中し、国民の7割が自民党、民主党に投票するという日本的保守二大政党制の構造を壊すまでには行かなかった。民主党政権が、国民の期待と公約に背く裏切りを重ね、失望が怒りに変わりつつあるのは、なにも不思議なことではなく、「保守二大政党制による政権交代の現実」を国民がいま経験しているということだ。 . . . 本文を読む

NPT再検討会議  いよいよ明日が最終日  核廃絶交渉への道筋示せるか

2010-05-27 18:42:24 | 政治経済
ニューヨークの国連本部で開催中の核不拡散条約(NPT)再検討会議がいよいよ明日、会期末の28日を迎える。ニューヨークの「核兵器のない世界のための国際行動デー」に参加した私としても、どのような「最終文書」が纏まるのか気になるところである。核兵器廃絶の課題に絞っていえば、今回のNPT再検討会議の最大のポイントは、①2000年のNPT再検討会議で合意された「自国核兵器の完全廃絶を達成するという全核保有国の明確な約束」を、再確認すること、②核兵器廃絶のための国際交渉を開始する合意をつくること、であった。第一点は、圧倒的多数の国が賛成であり、第二点も、世界の大勢が核兵器廃絶交渉の開始に賛成なのだが、問題は核保有大国である。会議の行方は予断を許さない。会議は、コンセンサス方式、全会一致方式だから、1国でも強硬に反対すると最終合意が成り立たなくなる可能性があるからだ。 . . . 本文を読む

対北制裁  「北風」で溜飲を下げても事態は悪化するだけ

2010-05-26 18:41:46 | 政治経済
米日韓の支配層は、自分たちの政治の風が思い通りに吹かなくなると「北風」を吹かすのが好きだ。日本でも韓国でも選挙が近づくと北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)情勢を利用しようとする動きが繰り返される。政治家が北朝鮮を「叩け」「締め上げろ」などと、勇ましい発言をすると、世間は喝采を送る(石丸次郎「選挙が近づくたびに吹くという『北風』 今回は哨戒艦沈没の『北犯行説』が吹き荒れる」『週刊金曜日』2010・5・21 799号)。 韓国では、選挙前に現れる北朝鮮にからむ動きのことを「北風」と呼ぶ。 . . . 本文を読む

野中氏機密費証言  政権による世論操作の一端が明るみに  なぜか及び腰のメディア

2010-05-25 18:41:16 | 政治経済
野中広務元官房長官がTBSの番組「NEWS23クロス」で官房機密費の使い道について初めて暴露してからすでに1ヵ月経った。この間のテレビ・新聞などメディアでのこの問題の追求はまことに鈍い。政治評論家やコメンテーター、新聞の論説・解説委員、あるいは記者クラブ所属の記者たちにまで機密費が流れていたのではないかという疑惑も取沙汰されている。官房機密費は、領収書が要らず支出先も公開されない、内閣官房長官がその時々の判断で自由に使える金とされる。野中氏は具体的に機密費を配った相手を明らかにしたわけではないが、「言論活動で立派な評論をしておられる人」にも配ったというから、国民の税金を使った政府による世論操作が継続的に行われていたということだ。 ジャーナリストの上杉隆氏によれば、すでに多くのマスコミ人が機密費の受け取りを認めはじめている、という(上杉隆「メディアを揺るがす“大贈収賄事件”」2010年5月20日)。 . . . 本文を読む

首相の沖縄再訪  今となっては実現性ゼロの愚策  一度開けたふたは元通りには閉まらない

2010-05-24 18:46:36 | 政治経済
鳩山由紀夫首相が23日、沖縄を再訪問し、仲井真弘多知事との会談で「(名護市)辺野古の付近に」と、普天間基地の県内「移設」先を正式に表明した。昨年総選挙で自公政権時の現行案(辺野古沿岸)を見直し、最低でも県外・国外「移設」を公約とした鳩山首相だが結局、自公政権時の計画に回帰。当然に、県民から激しい怒りと抗議の声があがった。県外・国外移設への沖縄県民の期待値を上げたのは首相自身だった。何を勘違いしたのか鳩山首相は、日米同盟を見直す気もないのに、パンドラの箱のふたを開けてしまった。普天間基地の国外移転、最低でも県外移転という約束は、県民に普天間基地を撤去する道があることを示した。あわてたアメリカの力で、政権はふたを閉めようとしているがいったん開いたふたは、二度と同じようには閉まらない(渡辺治「民主党政権の現状と参院選」『月刊 全労連』2010年6月号/No.161)。 沖縄の情勢は決して後戻りすることはない限界点(「ポイント・オブ・ノー・リターン」)をこえたのだ。 . . . 本文を読む

映画『グリーン・ゾーン』  米国とは本当に恐ろしい国である!

2010-05-21 19:07:50 | 政治経済
映画『グリーン・ゾーン』を観た。米国とは本当に恐ろしい国である。戦争を始めたい勢力が、戦争を企画し、あらゆる手段を使って(現在ではマスコミがそのもっとも重要な尖兵役を引き受ける)、国民を、世界を煽り立て、最新の軍事技術を駆使して実行に移す。筋書きを妨害する者たちを闇に葬ることもいとわない。『グリーン・ゾーン』は、絶え間のないプール・パーティーやらバイキング料理がある、オアシス『グリーン・ゾーン』(インペリアル・ライフ・イン・ザ・エメラルド・シティ)の内と、この堅固に防御された地域の外の、戦争で荒廃したイラク人の地獄のような現実を、対比しようとしている。 . . . 本文を読む

「改憲手続き法」が施行  民主党の解釈改憲の動きに要注意

2010-05-19 16:12:04 | 政治経済
鳩山政権は、改憲のための国民投票の手続きを定める「改憲手続き法」が18日、「施行期日」がきたということで、予定されていた欠陥の是正について、まったく議論さえしないまま、全面施行した。「改憲手続き法」は、公布(07年5月18日)から3年経過した日を「施行期日」としているが、3年の間に、投票年齢や公務員の政治活動規制との関係などの法整備が付則で義務付けられていた。政府は、これらの法整備がなんら進んでいないにもかかわらず、「施行」を強行したわけだ。最近の鳩山政権はあらゆる問題で、しっちゃかめっちゃかである。 そんななかで、解釈改憲に向かってすすむ小沢・民主党の「国会改革」の動きは要注意である。 . . . 本文を読む

口蹄疫  なんとしても感染拡大の防止と畜産農家への支援を

2010-05-18 18:25:47 | 政治経済
宮崎県で家畜伝染病口蹄疫(こうていえき)の感染が広がっている。畜産農家の精神的、経済的打撃はもとより、殺処分の段取りに追われる役場職員、注射で薬殺を続ける獣医、移動、消毒の規制を受ける周辺住民、みな疲れきっている。今回の口蹄疫感染は、感染地域、関連業者、殺処分された家畜頭数とも、日本では未曽有の規模となることが確実である。いまのところ、疑似患畜の発生は同県内にとどまっているが、一日も早い終息と関係畜産農家の立ち直り支援をただただ願うばかりである。 . . . 本文を読む

「韓国併合」100年 日韓知識人共同声明 植民地支配の事実を認めずして真の友好的未来はない

2010-05-17 18:58:44 | 政治経済
「韓国併合」100年にあたり、日本と韓国の歴史学者をはじめとする知識人(日本側104人、韓国側109人)が10日、東京とソウルで「『韓国併合』100年日韓知識人共同声明」(以下単に「共同声明」)を発表した。昨年秋から協議していたものである。日本人の一般的感覚は、「産經」の次のような言い分だろう。「すでに65年前の1945年に終わっている“併合”を、今さら有効か無効かなどといってもはじまらない話だ。無効だったからといって、併合による日本の韓国支配(35年間)という歴史的事実が変わるわけでもないが、声明はそれをあらためて日本政府に認めさせ、留飲を下げよう(?)というわけだ」(【緯度経度】ソウル・黒田勝弘 併合100年記念の温度差「産經」2010.5.15 07:42 )。 植民地を支配した側の国民にとっては、“今さら有効か無効かなどといってもはじまらない話”かも知れないが、被支配国民にとっては、植民地支配の歴史的事実を旧宗主国国民が認めないとすれば、経済的利害から付き合うことがあても、決して心から和解しようとは思わないだろう。日本政府が植民地支配の事実を適当に扱おうとする限り、両国民の真の友好的未来はない。自分が誤りだと認めざるをえなくなった事実さえ「合理化」し、「反省しない」政府や国民を信用することができないからだ。 . . . 本文を読む

世田谷国公法弾圧事件判決  長い物に巻かれる裁判官  下級審では最高裁判決を批判できない哀しさ

2010-05-16 19:35:11 | 政治経済
2005年に集合住宅(警視庁職員官舎)で共産党機関紙「しんぶん赤旗」の号外を配布したとして、国家公務員法違反(政治的行為)の罪に問われた厚生労働省の元課長補佐宇治橋真一被告(62)の控訴審判決で、東京高裁の出田孝一裁判長は13日、「政治的行為を制限する規定と罰則の適用は合憲」と判断、罰金10万円とした一審判決を支持、被告側の控訴を棄却した(「東京」2010年5月13日 )。ところが、最近同じような政党ビラ配布事件で、審理が別々に行われ、元社会保険庁職員の堀越明男さんは逆転無罪の判決を受けた。 どうして二つの判決で、こういう正反対の結果がでるのか。裁判官の人事評価の元締めは最高裁事務総局である。民間会社でも、自分の仕事に誇りをもち、相対的に上司から独立する人間と上司にひたすら迎合することが自己の出世の道と考える人物がいるものだ。有罪判決の出田裁判長がそうだとは言わないが、この人物の今後の出世の行く末を見てみたいものだ。 . . . 本文を読む

英保守、自民で戦後初の連立  イギリスの二大政党制を手本にする小沢幹事長の時代遅れ

2010-05-14 19:27:05 | 政治経済
田中派金権政治の嫡流、小沢・民主党幹事長は、イギリスの二大政党制を手本にして「国会改革」をすすめようとしている。しかし、ウェストミンスター・モデル(イギリスの国会議事堂の所在地からこの名がある)は果たして日本のモデルにふさわしいのか。6日投票の英総選挙で、小選挙区制・二大政党制のもとでも、国民との矛盾の激化の表れとしていわゆる「ハング・パーラメント(過半数の議席を得た政党が不在)」が出現した。小沢・民主党幹事長は、その田中派的金権体質といい、イギリス至上主義といい、もはや過去の政治家である。日本の国民主権、議会制民主主義の発展のために速やかな退陣を願おうではないか。 . . . 本文を読む

韓国哨戒艦沈没事件  進まぬ原因究明  何か裏がありそうだ

2010-05-13 19:03:20 | 政治経済
韓国軍の哨戒艦「天安」が3月26日に黄海で沈没した事件が、朝鮮半島情勢を緊迫させている。米韓両政府は、天安艦の沈没直後に「北朝鮮の攻撃を受けて沈没した可能性は低い」と発表していた。ところが最近になって「北朝鮮の関与」説が強まっている。本当に北朝鮮からの攻撃があったのなら、米韓はなぜ直ちに北の攻撃を批判することをせず、奥歯にモノが挟まったような言い方をしたのだろうか。また、北朝鮮政府から何らかの「戦果」の発表があってもよさそうなのに、なぜか何の発表もない。むしろ関与を否定している。 何か裏があると考えるのが自然だろう。 . . . 本文を読む

ユーロ危機  「国家の信用」をも儲けの対象にするウォール街  バクチの規制を

2010-05-12 16:24:09 | 政治経済
外為市場で投機マネーがユーロ相場に集中砲火を浴びせている。主要国では低金利・低成長が続き、そこで生み出された過剰流動性をもとに、運用難に苦しむ多くのヘッジファンドやウォール街のバクチ打ちは、ユーロ相場が「今年最大の収益源に」と息巻いているという(「ロイター」2010年 04月 28日)。ユーロ危機を煽っているのは、ゴールドマンサックスやJPモルガンといった米国のバクチ打ち勢力と、スタンダード&プアーズ(S&P)など米英の格付け機関である。「国家の信用」をも売買し、儲けの対象にする投機マネーの規制強化に向けた議論をいまこそ本格化させる必要がある。 . . . 本文を読む