プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

法人企業調査と資本主義システムのジレンマ

2005-12-31 15:19:03 | 政治経済
先ごろ(12月26日)、内閣府と財務省がまとめた第七回法人企業景気予測調査(10―12月期)によると、収益改善のための方策で、企業が最も重要度が高いと考えているのは、大企業、中堅企業、中小企業ともに「国内販売の拡大」がトップでした。国内販売を拡大していくためには、内需の拡大、とくに個人消費が力強く回復していくことが求められます。企業の収益改善にとって個人消費の動向がカギを握っていることを思わず告白 . . . 本文を読む

米兵ひき逃げ事件と日米地位協定

2005-12-30 14:55:09 | 政治経済
東京都八王子市で22日、米軍厚木基地の女性水兵(23)が、小学生男児三人に重軽傷を負わせるひき逃げ事故を起こし、警視庁八王子署が業務上過失傷害と道交法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕していたことが28日に分かりました。八王子署は保護者にのみ連絡し、学校、市教委等の関係者には連絡していませんでした。米軍からの「公務証明書」を理由に、即日釈放したことに後ろめたさがあったのでしょうか。 ひき逃げは重罪です。「 . . . 本文を読む

大手ゼネコン 談合廃止の談合

2005-12-29 16:27:01 | トピックス
ゼネコン大手4社(鹿島、大成建設、大林組、清水建設)が、来年1月4日の改正独占禁止法の施行と同時に法令順守(コンプライアンス)を徹底し、入札談合と決別することを申し合わせていたことが28日、明らかになりました。関係者の話によると、4社の動きは11月上旬から始まり、ごく一部の役員で改正独禁法への対応が検討され、最終方針が決まったのは12月20日ごろで、改正法が施行される来月4日以降、民間工事を含めて . . . 本文を読む

追悼施設は靖国問題の全面解決ではない

2005-12-28 18:38:33 | 政治経済
小泉首相の靖国神社参拝をきっかけに浮上した無宗教の国立戦没者追悼施設建設構想は来年度予算案での調査費計上が見送られ、懇談会の提言から3年越しの迷走の末、同問題は次の政権への先送りが確定しました。本日(05.12.28)付「朝日新聞」社説は「世論は賛成なのに」とこれを至極残念がっています。しかし、靖国参拝批判をかわすために新施設建設構想を持ち出してみても、「歴史認識=戦争責任」を明確にするという点で . . . 本文を読む

特急転覆事故―運行規則に問題はなかったか

2005-12-27 18:11:33 | トピックス
25日午後7時すぎに起きた、秋田発新潟行き特急「いなほ14号」が転覆した事故は、死者5人、負傷者30余人(27日現在)の惨事となりました。事故現場は、JR羽越線の最上川にかかる鉄橋の南側です。特急列車は六両編成で、全車両が脱線し、そのうち3両は左側に転覆しました。とくに、先頭車両は、台車がはずれ、線路脇の家畜小屋にぶつかって「く」の字に曲がり、大破しました。JR西日本の福知山線脱線事故(四月)を思 . . . 本文を読む

「郊外大型」の出店を規制へ

2005-12-26 13:46:28 | 政治経済
政府・与党は21日、大型店の郊外出店への規制を強化する「まちづくり3法」(中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法、都市計画法)の見直し案をまとめた。大型店の出退店自由化を推し進めてきた自民党政治のもとで、中心市街地の空洞化が進み、見直しに手をつけざるを得なくなったものです。「規制緩和万能」論の破たん示すものとして注目されます。 政府は米国や日本の小売業大手の要望を受け、1990年代に大型店の出店 . . . 本文を読む

小泉「改革」は総計13兆円の所得収奪

2005-12-25 14:54:17 | 政治経済
小泉内閣が24日、2006年度の政府予算案を決めました。所得税・住民税の定率減税全廃や高齢者の医療費自己負担増など、新たに盛り込んだ国民への負担増額は、年間約2兆7千億円にのぼります。小泉内閣が決定し、今後三年間に実施される負担増の年間約3兆9千億円を合わせると、約6兆6千億円。すでに実施されているものが、年間約6兆7千億円に達しており、小泉内閣が01年4月の発足以来、5回の予算編成で、国民に押し . . . 本文を読む

建築確認は民間に━政令都市にみる民間依存の実態

2005-12-24 14:44:41 | 政治経済
今回の耐震強度偽装事件の背景に規制緩和による建築確認・検査の民間検査機関への丸投げがあることは、すべての関係者の認めるところです。きちっとチェックすべき検査機関が、建築確認・検査をできるだけ手抜きすればするほど顧客から喜ばれ、利益が上がる仕組のもとで、厳正な検査が可能かどうか原点に戻って再検討すべきでしょう。ところが、驚くべきことに、公正・中立の立場から監督すべき行政官庁が、民間への丸投げを奨励し . . . 本文を読む

貧困率ワースト5位と人口減少社会

2005-12-23 14:40:10 | 政治経済
世界一長寿国の日本で人口の減少が現実のものとなりました。厚生労働省が22日発表した2005年の人口動態統計の推計値で、統計をとりはじめて以来初めて出生数が死亡数を下回る「自然減」に転じることがわかりました。日本の人口減について、予測より一年早い06年にも可能性ありとした政府の少子化白書が発表されてから一週間足らず。予測よりも二年早く「人口減少社会」に突入する見込みです。今年2月のOECD(経済協力 . . . 本文を読む

米軍の世界的再編と日本とは違う韓国の戦略

2005-12-22 16:39:40 | 政治経済
現在、ブッシュ政権は、「世界的規模のテロ」「大量破壊兵器」などの「新たな脅威」への対抗という名目のもと、先制攻撃戦略をすすめ、最も効率的に軍事力を行使する目的で地球的規模での米軍再編成をすすめています。具体的には①世界のどこでも先制攻撃を迅速に展開できる機動部隊を配置すること②この戦争をともにたたかう同盟国との軍事協力を作り上げることを目指しています。現在、アジアで米軍が駐留しているのは、日本と韓 . . . 本文を読む

06年度予算財務省原案―負担の不公平、ムダの継続

2005-12-21 18:50:02 | 政治経済
財務省が20日、各省に内示した2006年度予算案は、庶民に税金や社会保険料負担の増額を押付け、国の医療、教育、社会保障責任を切下げることにより、国債の発行額を何とか30兆円以内に抑えたものの、軍事費、大型公共工事、道路などのムダは相変わらず継続されており、財政危機は依然そのままです。財政再建への道を開くためには、無謀な経済・財政運営のつけを社会保障など国民生活予算にしわ寄せするのではなく、公共工事 . . . 本文を読む

東アジア 平和の共同体の胎動と日本外交

2005-12-20 19:13:01 | 政治経済
12月14日にマレーシアのクアラルンプールで開かれた初の東アジア首脳会議は、アジアで起きている大きな構造変化と平和の共同体に向けた奥深い胎動を象徴するものとなりました。「この地域の共同体構築」に向けてこの会議を定期的に開くとしたクアラルンプール宣言を採択。宣言は、国連憲章、東南アジア友好協力条約(TAC)、国際法の諸原則を確認したうえで、東アジアの平和、安定、繁栄の促進を目的とした「対話のフォーラ . . . 本文を読む

建築確認―営利追求の民間検査会社任せでいいのか

2005-12-19 19:58:41 | 政治経済
耐震強度を偽装した姉歯秀次元一級建築士は、同氏がかかわった偽装物件を主に検査していた民間検査機関の「イーホームズ」について「(同じ民間機関の)日本ERIと比べ、明らかにイー社は(検査が)通りやすかった」、そして「イー社は書類や図面を見ていないのではないか」と証言しました(14日の衆院国土交通委員会での証人喚問)。日本ERIの鈴木崇英社長は7日の同委員会の参考人質疑で「価格競争をせず適正な厳しい設計 . . . 本文を読む

財界春闘方針―経団連「経労委報告」

2005-12-18 17:18:38 | 政治経済
日本経団連(奥田碩会長)は12月13日、財界の06春闘方針となる「2006年版経営労働政策委員会報告」を発表しました。企業利益が拡大しているもとで、労資協調路線に立つ大企業労組も、賃上げを要求しないと労働者の納得を得られない状況になっていることを踏まえ、04年の「ベースダウンも労使の話し合いの対象」、05年の「賃金引き上げの余地はほとんどない」という厳しい抑制姿勢を今回は若干変更しています。今回の . . . 本文を読む

イラク開戦の大義総崩れー問われる自公政権の責任

2005-12-17 20:13:09 | 政治経済
ブッシュ米大統領は12月14日、ワシントン市内でイラク戦争のこれまでの経緯を総括する演説を行い、「(イラクの大量破壊兵器疑惑に関する)情報の多くが結果として誤っていたのは事実」と述べ、「大統領として戦争に踏み切った責任を負う」と表明しました。イラクの大量破壊兵器に関する情報が誤りであったことは大統領が任命した独立調査委員会がすでに最終結論をだしています。この情報をもとに国連安保理で開戦を促す演説を . . . 本文を読む