Sotto voce (^-^)

楽しみを待つ事は、それ自体が楽しみ。
そんなカンジの日々を綴ります♪
Non vedo l'ora!

広島市民オペラ「椿姫」@東区民文化センター

2010-09-26 05:30:20 | オペラ
広島市民オペラ
「椿姫 LA TRAVIATA」
全3幕 ピアノ伴奏による演奏会形式

ピアノ:呉恵珠

ヴィオレッタ(1幕):松下由紀子
ヴィオレッタ(2幕):下松由夏
ヴィオレッタ(3幕):坂井里衣
アルフレード:樋口達哉
ジョルジュ・ジェルモン:牧野正人
フローラ:中川忍
アンニーナ:貞丸祐子
ガストン子爵:久保田一憲
ドゥフォール男爵:水谷明仁
医師グランヴィル:高橋信
ドビニー公爵:垣見知英


はい、完全にお目当ては 樋口達哉さんです

LEGENDファンとしては
THE JADEのメンバーにポ~っとなるのは…
ブブー
大きな声では言えません。

THE JADEのメンバーで
NHKニューイヤーオペラにもご出演
(↑dolce-vitaが観たときはクラインザックの歌を歌われてました)
他にもテレビで何度か拝見したことがあるけど
リリコ・スピントでヒロイックな印象。
ある番組でナビゲータの方に
「安い席でも楽しめるお得なテノール」と誉められて(?)ました。
(3階席にまで軽々届くすごい声量らしい)

ということで
樋口達哉さんです。

    

オペラの同じ演目を何度も観てしまうのは
演出家やソリストが代わると
その作品の印象ががらりと代わってしまうから。

「椿姫」は完全にヴィオレッタの物語、ヴィオレッタの歌唱を堪能する演目のはずだった。

アルフレードといえば私にとってはヴィオレッタの添え物。
「乾杯の歌」を歌い
「この恋は全宇宙の鼓動」(←大好きな口説きアリア)と歌ってくれるヒトっていうだけで
後は存在感が薄い。
第2幕2場の愚行(暴挙?)で
dolce-vitaも合唱のみなさんに加わって糾弾したい…っていう程度。

それが今回はがらりと違った様相を呈してしまいました。

第1幕、登場するや否や主役オーラ全開の樋口さん
歌ももちろん魅力的
芯が通ってるカンジですごく聴きやすい。
第1幕最後のヴィオレッタの「花から花へ」で舞台裏から歌うトコロ。
裏から歌ってるはずなのに全然ぼやけず
声の輪郭がはっきり見えるようで
すごいなって思った。

第2幕はアルフレードの喜びに溢れる「燃える心を」で幕開け。
ヴィオレッタと一緒でうれしい
アルフレードのはしゃいだカンジが伝わってくる。
あれっ〓このアリアって結構いいんだなって思った

でもここまでは普通レベルの感動。

dolce-vitaがアルフレードに引き込まれたのは
ヴィオレッタが去ったトコロから。

ヴィオレッタの別れの手紙を読んで
おたおたするアルフレード
パパ・ジェルモンが「プロヴァンスの海と陸」を歌って息子を説得しようとしても聞いてない。
樋口さんのアルフレードは、話の内容を聞いてないんじゃないの。
パパ・ジェルモンが話していること自体耳に入ってないの。
(人の話を聞いてないという意味ではホントこの親子そっくりだよ)
ヴィオレッタを失ってしまったという衝撃に
思い詰めたように体を震わせる。
かっ可愛い…

ここでdolce-vitaは雷に撃たれたね

アルフレードはヴィオレッタにとって可愛い年下の恋人なんだ〓

何をしてくれるワケでもないし
いざというとき頼りになるワケでもない。
アルフレードもヴィオレッタを愛してるし
彼女のためには何でもしてあげたいのに
実際には何をどうしたらいいかわからない。
なのに、ヴィオレッタは全財産を投げ打ち
死ぬ間際まで彼だけを待ち続ける。
今まではストーリーとして頭ではわかってるつもりだったけど
「そこまでする価値あるぅ?〓」とどうも腑に落ちてなかった。

樋口さんのアルフレードを観て
すこーんと腑に落ちました

アルフレードが愛に曇った目で自分を見つめて
「大好きだっ」って言ってくれる。
片時も離れがたいといった風情で。
ヴィオレッタにとってそれだけで幸せだったのよーっ。
てゆうかそれこそが幸せ?
駆け引きも何もなく
若者の一途な情熱を不器用にぶつけてくる。
それすら愛しかったに違いない。

樋口さんのアルフレードからは
そんな年下の恋人の可愛らしさが

ヴァルガスがどんなに巧く歌っても
ヴィリャソンがどんなに情熱的に歌っても
アラーニャがどんなに切なく歌っても
dolce-vitaにはそれがわからなかったのぉ

ここからはdolce-vita=ヴィオレッタはアルフレードの可愛さにもうめろめろ(≧ε≦)

平静を装ってフローラのサロンに現れたときの
平静の装い方も可愛らしく
暴挙に出たことを後悔して打ちひしがれる三重唱も
アルフレードに釘付け。
(この三重唱でアルフレードに注目したのは初めてだよ)

第3幕に至っては
もう姉さんのハート鷲づかみ
「パリを離れて」の二重唱もよかったけど
ヴィオレッタの胸に抱かれるアルフレード
ヴィオレッタの後ろからとりすがるアルフレード
ヴィオレッタをかき抱くアルフレード
…かっ可愛いい…(*^_^*)
挙げ句に、何もしてなくても可愛いいの
ヴィオレッタを必死で見つめる佇まいが
ホントに年下のカレシの可愛らしさ全開です

dolce-vitaは今まで「椿姫」のよさ、ヴィオレッタの悲しみが
半分もわかってなかったな

ヴィオレッタがアルフレードを愛しいと思う気持ちを少し体感したカンジ。
今度からまた違った気持ちで「椿姫」観れそうです


    


もちろんアルフレード以外もすごくよかったです。


まずパパ・ジェルモンの牧野正人さん。

不覚にもチケット購入時キャスト表を見たときは
完全に見落としてました

登場してびっくり
観たことあるっ
有名なバリトン歌手の方ではありませんかっ
(後で確認しました。藤原歌劇団でご活躍の日本を代表するバリトン歌手さんです(^_^;))

「プロヴァンスの海と陸」素晴らしかったです
(目はアルフレードに釘付けだったけど)

細かい技巧のキレも素晴らしく
ぜひバロックとか(ロッシーニでもいい)聴きたいです


それからピアノも感動。

オーケストラピットにはピアノが1台だけ。

前奏曲が始まると
例によって、鼻の奥がツーンとくるdolce-vita
第3幕の悲しい音楽から
「アルフレード私を愛してね」というヴィオレッタの悲痛な旋律に。
そして第1幕の華やかな音楽に戻って
幕が開ける。
前奏曲は最初から
この物語が悲しい結末を迎えることを
胸に呼び起こす。

ピアノってすごいよね
オーケストラが演奏するものを
たった1台で再現するんだよね。
なんか改めてカルチャー・ショック

ピアノの呉恵珠さん、ヴィオレッタのアリア
歌いながら弾いてらっしゃいました。
それもすごい〓

    

私の芸術の秋weekの最後を飾ったこのオペラ
(9日間で4公演

期待通り、いえ期待以上の感激でした

1月15日にもキャストを入れ替えて
同じ公演があります。
(樋口達哉さんはご出演)

dolce-vita、行っちゃうんだろうな~(^。^;)


あ、樋口達哉さんにサインいただきました。
てへ