クッキー教室の帰りは、いつもジェシーを駅までエスコートしてゆく。
たんに帰り道が一緒なだけなんだけど・・・。
ジェシー「アチキー・・、この本だよ!」
そえいって昔の小樽の花街について書かれたイラストが載っている本を見せてくれた。
ジェシー「なんでも、遊女のもとに通い詰めると嫁に出来るらしいよ。遊女もそれで普通の暮らしが出来るので嫁を望んでいるらしいよ。いいねえ、日本人は遊んでいると嫁がくるんだから。」
「それは男と女のつきあいだから情が移ってというのは、あるだろうな。」
ジェシー「遊女は借金のかたに身売りされてきたから、それを返すまでは遊郭勤めだな。返せなかったらどうすんだ。」
「そりゃ二人で夜逃げでしょう。近松門左衛門が心中天網島っていう本があった。」
ジェシー「おおっ、借金踏み倒しか・・。そんでどうなる?。」
「それで役人に捕まって島流しか、近松のように二人で心中かなあ!。」
ジェシー「愛し合って死んじゃうのか?。」
「そういう美学も昔の日本にはあったらしい。近松のはお話だけど聞き書きで戯曲を書いたんだよ。」
ジェシー「気立ての良い美人を全国からつれてくる商売があるから、惚れたら最後か・・・。」
「大体は10年ぐらい奉公すると、実家に返されるらしいよ。つまり歳も重ねているしお払い箱だよ。」
ジェシー「若いエキスだけを味わうのが遊郭か。」
「まあ、商売ってそんなもんじゃん。新鮮なウチが稼げるというわけだ。」
ジェシー「初物好きの日本人らしいな。それで遊女とセックスしてベイビーが出来たらどうすんだ。」
「そんときは里親というのがあるから預けるんだろう。なんか里親は遊女に必須らしいよ。昔はゴムなんかなかったから。」
ジェシー「やりっぱなしの世界か・・・。」
「そういうこと。ところで駅前でステーキの肉でも買ってゆきますか・・。」
ジェシー「ゴムも。うちはやりっぱなしはできないからな。でも里親ってのがあるんだ・・・。」
「いまはないと思うよ。」
ジェシー「・・探してみよう!。」
???。
里親をみつけたらべイビーをつくるつもりだろうか?。
ベビーシッターとは違うぜ・・・・・!!!。
危ない知識を教えちゃったかなあ。
ジェシーは「里親、里親・・・」とつぶやきながら札幌行きの列車にむかった。
・・・
小樽の空が暗い。またまた寒波がくるかなぁー。
そんな小樽である。