ここであげてきたいくつかの図書に共通するのは、ヴィジァライゼーションであり、研究者やデザイナの多くはドローイングができる点だ。空間の定義を考えれば、XYZの3軸で定量化された座標軸を持つこと。そんな空間の中で図や概略的なデザインをドローイングで示すことができる。これらの図書が与えてくれた知見が、私のプロジェクト・プロデュースという仕事に活かされてきた。
実際のプロジェクトを通じて成立してきた概念や方法論をまとめたのが、私の著書である「環境デザインのプロデュース、コンセプトクリエイション、イマジニアリング」である。
ブログトップ画像は、コンセプトチャートを解説したもので本の中から引用した。このコンセプトにしたがって描いたスケッチの一部が2番目の画像である。いずらも中国の都市計画プロジェクトであった。
3番目の画像は、現在名古屋駅前にたつ「明日なる金山」の一番最初のスケマティックデザインである。たしかホテルの部屋で一晩ぐらいで描いたものである。私の仕事は、ここまでであり以後民間企業によって実現を果たしている。
このようにプロデュースという立場から、小はインテリアから大は中国の都市計画に至るまで関わってきたから、ノウハウの蓄積は並の専門家以上にあるだろう。今ならば、世界のどんな大プロジェクトでもこなせる経験を有する数少ない人間になってしまった。といって今は、そんな能力が生かせる仕事が地球上にそうそうあるはずもない。
だからこれまでの知識や経験を全て私の本に凝縮しており、これにてプロジェクトはお終いとしている。そのためにこの本を出版した。今後私が世界のプロジェクトに関わることはない。
目下の関心は文化財科学である。毎年この学術論文を書く事が当面の仕事である。
三上訓顯:環境デザインのプロデュース、コンセプトクリエイション、イマジニアリング,井上書院,2017.