ドローイングシリーズも風景だとアクセス数が落ちるから・・、というわけでもないが、今月は、全て人体としイラストレータの線書きにした。
コンピュータの冷たい感じがする線で、どこまで人体や濡れ場が表現出来るかというのは一寸興味があった。映画や映像ならまだしもドローイングでそんな難題が表現できるだろうか?。だからといって写実的に描けば公序良俗に反すると社会はうるさいから概念的に描かざるをえないという制約があるけど・・・。
絵画史を振り返ると濡れ場の空気をよく表現した作家では、ムンクやクリムト、あるいはエゴン・シーレがそうだし、さらに大いに抽象化してしまい世界から認められているのがパブロ・ピカソだ。抽象化すると濡れ場も世界的傑作になるのかと私は冷たい目線で眺めている。ピカソの絵には、濡れ場の甘い空気を通り越して陰部のグロテスクさや生々しいワキガの臭いが漂っている。そんな彼の人間理解が世界に支持されている。
ピカソは、もともとデッサン力ある画家だから写実的に描けばリアルな濡れ場になるはずだが、そんな作品は世に出てこない。多分リアルなデッサンは描いているだろうけど・・・。
絵画は、なんでもありの世界だから、一々公序良俗だのと小うるさいことを気にしていたら成立しない。ときに日本のメディアでは公序良俗作品しか紹介しないから、偏見的な視点で美術の社会的理解が成立しているようだ。綺麗だから描くのではなく、興味があったから描いた。そして人間の興味の持ち方は自由なのである。
エドヴァルド・ムンク:接吻 The Kiss / Der Kuß、国立西洋美術館所蔵
https://collection.nmwa.go.jp/G.2003-0061.html