英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 213 <it - if 節>

2020-04-27 | 用例研究

 it は英語で多用されますが、「前出の特定の單數名詞を指す」「前出の句・節・文の内容を指す」などの一般的用法に比して、日本人には使ひにくい、分かりにくい用法もあります。

 

 後者には、例へば次のやうなものがありますが、分類がむつかしいケースも散見されます。

1 非人稱の it:

  時間・距離・天候・寒暖・明暗・季節

2 状況の it:

  主語 動詞の目的語 前置詞の目的語 補語

3 It seems that~などの構文:

  seem appear chance happen occur など

4 preparatory it(豫備の it)/ introductory it(導入の it)/ anticipatory it(先行の it):

  形式主語(語・不定詞・動名詞・that節・その他の名詞節)

  形式目的語(不定詞・動名詞・that節)

5 It is ~ that の強調構文:

  It is ~ that

6 その他の慣用表現における it:

    have a hard time of it など

 

拙ブログでもそんな用法の一端を「用例」としていくつか漫畫で紹介してきました。例へば、

1 では「用例 31 〈It is time 假定法過去〉」(2011年8月3日付)

4 では「用例 37 〈preparatory it〉」(2011年8月26日付)

5 では「用例 3 〈It is~thatの強調構文〉」(2011年5月2日付)

「用例 4 〈It is~thatの強調構文〉」(2011年5月9日付)

「用例研究 62 〈It is~thatの強調構文〉」(2011年12月23日付)

「用例研究 72 〈It is~thatの強調構文〉」(2012年2月17日付)

「用例研究 108 〈It is~thatの強調構文(疑問詞)〉」(2012年10月19日付)

6 では「用例 11 〈as I see it〉」(2011年6月3日付)

などです。今囘もそんな用例の紹介です。

用例研究 213

(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 2002 King Features Syndicate Inc.)

 

1 Mr. B., Would you sign my report card?

2 I think it would be better if you show it to your parents and let them sign it.

3 I’d rather not add to their worries.

 

[解説]

1

・Mr. B.: Elmo は Bumstead 氏をかう呼びます。

・Would you ... ?: (Willを過去形にして現實・直截的な言ひ方を避け、)「ていねいな依頼」をする文體です。 「用例研究 166」(2019年4月15日付) で扱ひ例文を掲載してゐます。

 

2

・it ~ if 節: この it については preparatory it  (形式主語) とする見解もありますが、異見もあります。ともあれ英語では多用される文體であり、it を主語として置き、あとから詳しい説明を行つてゐることになります。ここでは if 節を續けて助言の内容を具體的に傳へてゐます。

□參考例文: if 節を續ける例です。

213       It will be a pity if we have to ask her to leave.

                 彼女に立ち去るやう願はなければならないとすると殘念なことです。

 

・let them sign: 〈let~原形不定詞()〉のかたちは使役表現で、「~にさせておく」(~がしたがつてゐることを許して或は自由にさせる)といつた意味です。使役については 「英文讀解のヒント(4)」(2014年5月28日付) に解説と例文を掲載してゐます。

 

3

・I’d rather: = I would rather~「むしろ~したい」。

・not add: 「ふやさない」。原形不定詞の直前に not を置いて否定してゐます。

・add to~: 「~を殖やす」

 

[意味把握チェック]

1 「Mr. B、ぼくの通知票にサイン(/署名)してもらへませんか」

2 「御兩親に見せてサイン(/署名)してもらふなら、そのはうが良いだらうと思ふよ」

3 「(どつちかつて言ふと)兩親の心配を(これ以上)ふやさないやうにしたいんだけどな」

 

[笑ひのポイント]

・「切ないをかしみ」により、讀者の共感を誘ひます。

Dagwood と Elmo との對話はパターン化されてゐます。ここは朝夕のいづれでせうか。通勤と登校の時刻が重なる朝であるとすると、Elmo は前日親に見せることができず、窮して Dagwood に頼んでゐるのかもしれません。

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