アフター・トーク(8月1日夜公演後)


  


  欧米人男性がよくやる、穴の空いたボロTシャツに半ズボン、スネ毛むき出し、サンダルみたいな風体で出てきたらどうしようかと思いましたが、まあまともな格好でよかった(ほっ)。

  公演を終えた直後でまだ暑い、と言って、誰から借りたのか、どーみても女性用の黒い扇子を持ってぱたぱたあおいでいました。マダム・ヤンぽかったです。またさすがに喉が渇いていたのでしょう、冷たいミネラル・ウォーターをごくり(でも司会の人に勧められてはじめて飲んだところが奥ゆかしい)。

  最初に司会の方がいくつか質問をし、その後は観客からの質問タイムで、計20分ほどでした。

  まず言い訳です。質問の内容はほとんど忘れてしまったし、アダムの答えもなぜかほとんど覚えていません。アダムに見とれてばかりでロクに話聞いてなかったせいと、あとアダムがそんなに目新しいことを言わなかったせいだと思います。ああ、これ、以前のインタビューでも言っていたなあ、と思ったことが多かったです。

  というわけで、無理せず覚えている点だけ箇条書きにします(それでも記憶違いがあると思います)。話の順序も不同。


  ・ダンスはいつから始めたのか。:5歳から。最初にタップ・ダンス、次にバレエを始めた。1歳違いの兄(サイモン・クーパー、こちらもダンサー)と一緒に踊りを習っていた。

  ・6年ぶりの上演で他3人のキャストも違う状況での舞台作りについて:2004年(ロイヤル・オペラ・ハウスでの初演)と2009年(日本初演)の舞台映像を見て作品の大枠を把握し、そこから細部をみんなで構築していった。新しいキャスト、そして(演出・振付の)ウィル・タケットは改訂が好きということもあって、非常にタフな作業だった。

  ・作品にはどうやってアプローチしていくのか?:自分の役割によって違ってくる。演者としての場合は、まず観客との意思疎通を第一に考える。そこから役作りをしていく。振付をする場合は、音楽を最重視しなくてはならない。音楽からもたらされるインスピレーションが重要。音楽無視の振付はあり得ない。

  ・去年の『雨に唄えば』のドン・ロックウッドと今回の『兵士の物語』の兵士はまったく違うキャラクターであることについて:『雨に唄えば』は楽しい話で、ドン・ロックウッドは歌って、踊って、笑って、恋をしてとすばらしい経験をする。(顔をしかめて)それに比べて兵士はというと…(会場爆笑)。ひどい目にばかり遭った挙げ句に地獄に落とされてしまう。悲惨だ(会場爆笑)。

  ・もし自分がロンドンに帰って、2週間のつもりが3年経っていたらどうする?:(真顔で)それは恐ろしい(会場爆笑)!子どもたち(7歳のナオミちゃんと5歳のアレクサンダー君)の成長を見逃すのが何よりも耐えがたい。子どもたちはちょうど育ち盛りだから。

  ・この作品で最も大変なことは?:(演出用の)スモーク(会場爆笑)。最後に兵士が地獄に突き落とされるシーンでは、スモークで何も見えない。もちろん悪魔役のアレクサンダー(・キャンベル)からも何も見えない。だから、アレクサンダーが投げ捨てたヴァイオリンが下にいる自分の脳天を直撃することがある。  


  


  ・語り手が「私たちのパトロンが来ている」というセリフを言うが、それは誰なのか?また背景幕に描かれている悪魔の絵の上には何と書いてあるのか?:(後ろを振り返って見て)「なんとかデーモン」と書かれていますね。でもどういう意味でしょうね。分かりません(会場爆笑)。(付記:語り手役のオリジナル・キャストであるウィル・ケンプが以前、「私たちのパトロン」とは悪魔のことであり、つまりここは悪魔の劇場という設定だ、と話していたように覚えています。)

  ・(質問の内容を忘れました):兵士と婚約者/王女は一日に何回も悪魔につかみ回され、ぶん殴られ、引きずり回され、最後に地獄に突き落とされなくてはならない。ひがな一日、毎日毎日、こんな役を演じ続けなくてはならないことにうんざりしている。だから冒頭で語り手に紹介されても、面白くなさそうな、つまらなそうな顔をしている。

  ・兵士に殴られた王女が嬉しそうだけど、ああいう表現は女性としてはちょっと…。:あれはコメディで、お笑いの場面。だから兵士が王女を平手打ちする仕草は、なるべくユーモラスに見えるよう、軽くはたく感じの動きにしている。(アダム、慎重に言葉を選びながら)あのシーンは、王女と兵士が「そういう遊び」をやって楽しんでいる、ということ。

  ・日本の文化芸能で興味があるのは?:歌舞伎。観に行きたいけど、休みの日は部屋の中で討ち死にしていて、用事もたくさんあって、なかなか時間が取れない。あと、SUMO!(会場爆笑)
  ・私も歌舞伎が好きなので、その言葉を聞いてとても嬉しい。ぜひ観に行ってみてほしい。:もちろんです。

  ・去年と今年と誕生日を日本で2回も過ごすことになりましたね。3回目もあるでしょうか?『雨に唄えば』、もしくは他の作品で?:2年連続です。またあるかもしれませんね。(あわてて)願わくは、ですよ。

  ・日本の観客のみなさんに挨拶をお願いします。:みなさんの長く変わらない応援に感謝しています。バレエ、演劇、ミュージカル、コンテンポラリー、どんなジャンルであろうと、みなさんは僕のチャレンジすべてを応援して下さっています。僕は日本で公演を行なうことが多いので、日本は僕の第二のホーム・グラウンドなのです。本当にありがとうございます。





コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )