デビス・カップ スイス対カザフスタン-2


 2日目

  スタニスラス・ワウリンカ/ロジャー・フェデラー対アンドレイ・ゴルベフ/アレクサンドル・ネドビエソフ

   6-4、7-6(5)、4-6、7-6(6)

  私はダブルス観戦の楽しみ方のツボがまったく分からないので、なんかぼんやりしながら観てました。ただ、ゴルベフとネドビエソフのほうが、きちんと戦略を練って、マメに相談をしながら試合していたように思います。ゴルベフとネドビエソフに比べると、ワウリンカとフェデラーはそんなに熱心に打ち合わせをしているように見えませんでした。試合終盤にはそれなりにエキサイトしてたようですが(特にフェデラー)。

  シングルスではワウリンカとフェデラーのほうが強いんでしょうが、シングルスの試合での強さに頼って、ダブルスの試合を力ずくで勝とうとしても無理なんだということが分かりました。

 3日目

  スタニスラス・ワウリンカ対ミハイル・ククシュキン

   6-7(4)、6-4、6-4、6-4

  早ければこの試合の結果で勝敗が決まってしまうわけで。1日目のシングルス第1戦でのワウリンカの調子を見て、大丈夫かいな~、と心配してました。また長引いてるんだろーな、と思いつつ、フェデラー対ゴルベフの試合開始予定時間の夜11時(現地時間6日午後4時)にネット観戦したら、やっぱりセット・カウント1-1で、第3セットに突入中。

  正直、ワウリンカ~、なーんでククシュキンなんぞにセット取られちゃうんだよお(泣)、と思いましたが、ククシュキンだって必死だったんですよね。自分さえ勝てば、その時点でカザフスタンの準決勝進出が決まるわけですから。それにククシュキンは中1日の休みがありました。ワウリンカは前日のダブルスにも出ていましたから、疲労度も違うでしょう。

  1日目の対ゴルベフ戦とは違い、ワウリンカはイライラした様子を見せることなく、良い感じで非常にエキサイトしているようでした。気合いが物凄くて、ポイントを取ると腕を振り上げて雄たけびを上げ、自分で自分を奮起させていました。当然スイス・チームも観客も大興奮の盛り上がり。

  今回もラリー戦が主体でしたが、技の引き出しはワウリンカのほうが圧倒的に多くて、要所要所でいろんなボールを織り交ぜて返していました。対ゴルベフ戦ではそんなことがなかったので、ワウリンカ、今日は余裕があるんだな、と思いました。それでも最後まで食らいついていったククシュキンもすごかった。

  ロジャー・フェデラー対アンドレイ・ゴルベフ

   7-6(0!!!!!)、6-2、6-3

  スコアこそストレート勝ちですが、やはりゴルベフは強かった。第1セットはフェデラーが先にブレークしたのですが、その後にブレークバックされて、結局タイブレークになりました。第3セットもフェデラーが先にブレークしましたが、その直後のゲームでブレークし返されてしまいました。という紆余曲折があったので、試合時間は2時間10分ほどでした。

  フェデラーもワウリンカと同じく連戦の疲れがたまっていたようでした。表情には出しませんでしたが、間を見つけては屈伸運動をしたり、軽いランニングをしたりしていました。ミスが多かったのもそのせいだと思います。

  試合を観た限り、ゴルベフの対フェデラー作戦は、フェデラーのバックハンド側を集中的に狙う、フェデラーを左右に振り回す、そうしてフェデラーにミスをさせ、また空いたスペースにウィナーを決める、というもののようでした。ゴルベフはククシュキンに比べると技も豊富で、ネットに出る回数も多かったと思います。ゴルベフ、恐ろしい子…!(笑)

  でもフェデラーが負ける気配は全然ありませんでした。ブレークした直後にブレークし返されるのは、他のトップ選手の試合でもよく見ます。これが連続すると「ブレーク合戦」と呼ばれるわけです。観ているほうはうんざりなのですけどね。

  第1セットのタイブレークは、フェデラーがなんと7-0でさっさと取ってしまいました。7-0なんてスコア、初めて見たかも。このへんが経験の差なのかもしれません。ゴルベフは緊張して硬くなっちゃったのでしょう。フェデラーはそこで流れをがっちりつかんで、ゴルベフが落ち着く前に、手早く第1セットのケリをつけました。

  第2セットはフェデラーが一方的に試合を進めました。自分のサービス・ゲームは鉄壁でキープする一方、相手のサービス・ゲームでは攻撃をしかけます。こうして第2セットはフェデラー優勢のままさっさと終わりました。

  ゴルベフの対フェデラー作戦、特にフェデラーをコートの両端に左右に振る作戦は功を奏していましたが、これは諸刃の剣で、試合が進むにつれて、ゴルベフの打ったボールがサイドラインを越えてしまうミスが増えてきました。また、ゴルベフのネット・プレーでもミスが増えました。打ったボールがネットに引っかかってしまいます。

  第3セットは、先にフェデラーがブレークして3-1としたのですが、その直後のゲームをブレークされて3-2のタイになりました。ところが、その直後のゴルベフのサービス・ゲームをフェデラーが再びブレークし、4-2としてしまいました。

  相手のサービス・ゲームをブレークすると、ブレークできたことからくる気持ちの緩みや、自分のサービス・ゲームを守らなくてはならないという緊張が選手を襲うということなんでしょうか。

  フェデラーは4-2で迎えた自分のサービス・ゲームはしっかり守りました。これで5-2。こういう気持ちの切り替えと立て直しはやはりすごいと思います。このあたりからフェデラーが勝つことが決定的な流れになってきました。

  フェデラーは次のゴルベフのサービス・ゲームでも攻撃し続け、30-30としました。しかし、ここはゴルベフが勇敢にもしのぎました。5-3。このゲームをブレークはできませんでしたが、でもフェデラーにとっては想定内のことだろうと思いました。

  次のフェデラーのサービス・ゲーム、このゲームを守ればフェデラーが勝利し、同時にスイスの準決勝進出が決まります。この大事なゲーム、フェデラーはゴルベフに付け入る隙を与えず、あっという間に40-0でマッチ・ポイントになりました。最後はゴルベフの打ったボールがネットにかかり、試合が終わりました。

  フェデラーはその瞬間、子どものようにぴょぴょん!っと跳び上がりながら雄たけびをあげました。真っすぐにベンチに駆けていき、スイス・チームのキャプテン、セヴェリン・ルティに抱きつきました(ロジャー・フェデラー、32歳、男性、妻と二人の娘あり)。

  それから我に返ったように、対戦相手のゴルベフ、カザフスタン・チームのキャプテン(プーチン似)、メンバーたちと握手し、言葉を交わしていました。最後にスイス・チームのメンバーたちと抱き合っていましたが、特にワウリンカと抱き合うと、そのままワウリンカを放さなかったのにちょっと感動しました。

  トップ選手の凄さとは、究極のところは勝機を見極めること、それをもとに勝つ流れを作っていくこと、勝利を決める重要なポイントを確実に取ることなどにあるようです。あと、デビス・カップでは、トップ選手を少数揃えるよりも、中堅選手を多数揃えたほうが勝率が高くなる気がします。日本対チェコ、スイス対カザフスタンの試合を観て、そんなことを思いました。

  余談。フェデラーは最近、大事なポイントを取ったときに「ホイヤー!」と叫ぶことが多いです。「やったー!」とか言ってるんだろうけど、これ何語?と疑問に思ってました。この試合でもフェデラーは「ホイヤー!」と叫んだのですが、そのときに実況中継が"hurrah"だと言いました。ドイツ語らしいです。

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