どうしたボリショイ2


  家宅捜索をされたパーヴェル・ドミトリチェンコが身柄を拘束されたらしい。


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 ボリショイ芸術監督襲撃事件で、バレエ団現役ダンサーを拘束

  産経新聞 3月6日(水)10時55分配信

 【モスクワ=佐々木正明】ロシアのボリショイ・バレエ団の芸術監督セルゲイ・フィーリン氏(42)が今年1月、モスクワ市内の自宅で顔に硫酸をふりかけられ、大けがを負った事件で、ロシア内務省は5日、同団所属のダンサーのパベル・ドミトリチェンコ容疑者ら計3人を拘束した。

 インタファクス通信によると、他の2人は実行犯の男と犯行現場にいた運転手役の男で、警察当局はドミトリチェンコ容疑者が犯行を指示したとみている。

 モスクワ生まれのドミトリチェンコ容疑者は2002年に世界最高峰の同バレエ団に入団し、準トップダンサーの上級ソリストまで昇格。昨年には、フィーリン監督とともに来日し、「白鳥の湖」や「スパルタクス」の主役級を演じた。今月16日のボリショイ劇場での公演にも出演する予定になっていた。

 ボリショイ劇場は5日夜、フィーリン監督とドミトリチェンコ容疑者の間に「激しい衝突はなかった」と声明を出した。しかし、露紙コメルサントは関係者の話として、2人の確執の原因は、同団所属でドミトリチェンコ容疑者と近い関係にあった女性ダンサーだったと指摘。「白鳥の湖」の配役をめぐりトラブルがあり、警察当局はドミトリチェンコ容疑者が復讐(ふくしゆう)をしようとしたのではないか、とみている。

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  「2人の確執の原因は、同団所属でドミトリチェンコ容疑者と近い関係にあった女性ダンサーだった」の意味は、時事通信が配信したAFPの報道によると、


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 警察は動機の解明を進めているが、露メディアは同容疑者の交際相手の若手バレリーナが配役をめぐりフィーリン氏と対立していたことが背景にある可能性を伝えている。ニュースサイト「Gazeta.ru」が伝えた劇場関係者の話によると、フィーリン氏は最近、このバレリーナが「白鳥の湖(Swan Lake)」でソロを踊ることを拒んだという。

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  続報。ドミトリチェンコが犯行を認める供述調書に署名したとのこと。


<以下引用>

 ボリショイ・バレエのソリストら、犯行を認める供述 ロシア
 
  AFP=時事 3月6日(水)14時43分配信

 ロシア・モスクワ(Moscow)の警察は6日、ボリショイ・バレエ団(Bolshoi Ballet)の芸術監督セルゲイ・フィーリン(Sergei Filin)氏(42)が顔や目に硫酸をかけられて重傷を負った事件で、身柄を拘束していた3人の容疑者が犯行を認める供述をしていることを明らかにした。

 警察の声明によると、犯行を主導したとみられる同バレエ団のソリスト、パーベル・ドミトリチェンコ(Pavel Dmitrichenko)容疑者、そのほか実行犯のユーリー・ザルツキー(Yury Zarutsky)、運転役として加担したアンドレイ・リパトフ(Andrei Lipatov)の両容疑者のすべてが、すでに供述調書に署名したという。

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  本当にドミトリチェンコが黒幕なのか、私はまだ疑っている。ドミトリチェンコは供述調書に署名した、としか書いてない。ドミトリチェンコが自白しなくとも、供述調書などは警察側で作成できる。あとはドミトリチェンコに署名させればよいだけだ。それで容疑者が罪を認めたことになる。

  NHKのニュースで、ドミトリチェンコが取り調べで罪を自白している映像が公開された、と報じられていた。しかし、ロシア当局が公開した自白映像なぞ当てにならん。当局がその気になれば、自白を引き出すのなんて簡単なことだ。独裁国家の公安機関や情報機関っていうのはね、本当に恐ろしいんだよ。

  たとえドミトリチェンコが「指示」したとしても、ドミトリチェンコがこんなことをするよう、それとなく焚きつけた人物が他にいるかもしれない。更にその上には、ドミトリチェンコがこんなことをするように焚きつけてはどうかと、それとなく唆した人物がまた別にいるかもしれない。

  意外と、実行犯の2人の男とやらを追求してみれば、本当の黒幕が分かったりして。

  ボリショイ劇場は伏魔殿である。今回の事件、原因は恋人であるバレリーナの配役をめぐる逆恨みで、ドミトリチェンコが犯行を指示して2人の男が実行したなど、そんな単純な構図だとは思えない。

  フィーリンは襲撃事件が起こる以前にも嫌がらせを受けていたという。車のパンク、フェイスブックへのサイバー攻撃など。これもドミトリチェンコらの仕業だというのだろうか?一介のダンサーとその仲間がやったにしては、手口が「その筋」らしすぎる。

  去年のボリショイ・バレエ日本公演でスパルタクスを踊ったドミトリチェンコの印象は、非常に知的で深い役作りをし、表現力に優れているというもの。身体能力と技術もすばらしかったし、パートナリングではイワン・ワシーリエフよりも優秀だったと思う。

  ドミトリチェンコは非常に優れた魅力的なダンサーだった。しかし、今回の事件の真相がどうであれ、これでもう、ダンサーとしてのパーヴェル・ドミトリチェンコは完全に終わった。なんてことなの。


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