なんか異常では!?

  帰宅したら、夕方のニュースは今日行なわれた女子フィギュアのショート・プログラム関連の話題ばかりでした。

  盛り上がるのは大いにけっこうですが、その一方でなんか違和感が湧いてきました。

  第1位のキム・ヨナ選手と第2位の浅田真央選手の2人だけを取り上げて、しつこく彼女らの演技の録画映像を流しながら、両者の演技を細かく分析した大きなフリップを掲げて、どうしてこういう結果になったのか、フリーではどうなるか、などと、どの局もアナウンサーと解説者が違うだけで、同じようなことを滔々とまくしたてているのです。

  ゴールデン・タイムにはなんと、NHKと民放が揃って同じ時間帯に女子フィギュアの試合の録画映像を再放送する始末。夜のニュースもやっぱり女子フィギュア一色。

  違和感、というのは、メディアのこうした異常なはしゃぎように対してでもありますが、それよりも、おおかたの報道の本質が、競技としての女子フィギュアから乖離して、キム選手と浅田選手との競争を、韓国と日本の代理戦争として扱うことにシフトしていることに対してでした。そして、私も視聴者としてそれに感化されていることに気づいて慄然としました。

  男子フィギュアでもプルシェンコ選手の問題があったように、フィギュア・スケートは、評価基準が分かりにくく不明朗なために、とかく批判やトラブルを招きやすい競技です。それに加えて、今回は第1位が韓国の選手で、第2位が日本の選手という結果になったため、両国にもともと存在する、互いの国に対する反感がより煽られて、競技や選手を離れて代理戦争化したのでしょう。

  確かにショート・プログラムの滑走順といい、キム選手と浅田選手の点差といい、審査員が金メダルをキム選手に与えたい意向であることは明らかだと思います。ですが、フィギュア・スケートの順位にこうした作為はつきものでしょう。

  審査員が当初の意向を変更せざるを得なかった例は、94年のリレハンメル・オリンピックで、オクサーナ・バイウルが金メダルを獲得したときぐらいだと聞きました。審査員にとって、バイウルは当初はメダル範囲外の選手でしたが、彼女の演技が誰が見ても他の選手より突出して優れていたので、作為的な評価をすればすぐにバレるため、やむを得ずバイウルに金メダルを与えたという話です。

  フィギュア・スケートのそうした裏事情には「なんだかな~」と呆れます。でも、かといって、たった19歳の少女たちの肩に「国」を背負わせ、あたかも出征兵士を応援するように、ヒステリック且つ偏執的に大騒ぎするのはもっと異常だと思います。メディアが煽って、「国民」が熱狂する、本当に前の戦争のようです。

  ・・・今観ているニュースでも、またキム選手と浅田選手の演技をノーカットで流すってさ。今日はいったい、彼女たちの演技が各局合計して何回流されたんだろう。男子フィギュアとは歴然としたこの扱いの差。

  冬季オリンピックは夏季オリンピックに比べればマシだ、と思っていたけれど、冬季オリンピックもやっぱりイヤなもんですね。

  鳩山首相は「メダル、メダルと言うのも、プレッシャーをかけますから・・・個人のベストを尽くしてくれれば」と言ってました。鳩山首相を叩いてるメディアより、よほどマトモなコメントです。          
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