ペリカン・ダンス・アワード2009

  去年はあんましバレエを観なかったので、エラソーに決められないんですが・・・あくまで自分が見た限りで、ということで。

  ☆最も印象に残った公演賞☆ ハンブルク・バレエ『椿姫』(ジョン・ノイマイヤー版):演出、振付、音楽、ダンサーの踊りと演技、すべてが最高でした。終演後も、私の心にしみじみとした余韻が残りました。

                       ウィル・タケット版『兵士の物語』:贔屓目に見ているせいもありますが、客観的に見ても、やはりすばらしい作品ですし、「ドリーム・キャスト」と呼ばれたダンサーたちで観られて最高だったと思います。

  ☆ベスト・プロデュース賞☆ イーゴリ・コルプ(「奇才 コルプの世界」):公演の構成が優れていたばかりではなく、日本であまり知られていない優秀なダンサーたちを多く紹介してくれて、またコルプ自身の踊りの表現もすばらしかったです。

  ☆ベスト・パフォーマンス賞☆ シルヴィ・ギエム「ボレロ」(東京バレエ団「ベジャール・ガラ」):ギエムといえば、ストイックで孤高、というイメージだったのが、この「ボレロ」では、激しい情熱をほとばしらせ、心を外に開放したギエムが見られたような気がします。

                      ラッセル・マリファント、アダム・クーパー「クリティカル・マス」(“two;four;ten”):おっさん二人の筋肉の強靭さと踊りの躍動感、そしてしなやかな動きに、不覚にも心を奪われてしまった・・・・・・。ストーリーのない30分ものコンテンポラリー作品を飽きることなく観られたのは、この作品がはじめてかも?

                       ベルニス・コピエテルス、ジル・ロマン(世界バレエフェスティバル・Aプロ「フォーヴ」〔ジャン=クリストフ・マイヨー振付〕):彼らの身体と踊りでの圧倒的な表現力に見とれるばかりでした。

  ☆最優秀男性ダンサー賞☆ 該当者なし:私がたまたま目にできなかっただけでしょうが・・・。


  ☆最優秀女性ダンサー賞☆ ヴィクトリア・テリョーシキナ(マリインスキー・バレエ『白鳥の湖』、『眠れる森の美女』):正確無比なテクニックはもちろん、優雅で端正な踊り、優しく暖かみのある雰囲気、すばらしいダンサーです。

  ☆女王様賞☆ スヴェトラーナ・ザハーロワ(世界バレエ・フェスティバルAプロ、Bプロ):それまで踊った世界の名だたるダンサー(じゃない人もいましたけどね)たちを歯牙にもかけない、正統的なロシアのクラシック・バレエ、自信に満ちた堂々たる態度、瑕疵のない完璧な美貌とプロポーション。会場の雰囲気を一変させたあのド迫力は凄かったです。

  ☆これからが楽しみ賞☆ 高畑きずな(小林紀子バレエ・シアター『眠れる森の美女』〔ケネス・マクミラン版〕、「エリート・シンコペーション」〔マクミラン振付〕):高畑さんの踊りや演技には落ち着きと余裕があります。今年の彼女の踊りが楽しみです。

                    ウラジーミル・シクリャローフ(マリインスキー・バレエ『眠れる森の美女』):大人になって身体ができてきたみたいだし、技術とパートナリングも大いに向上しました。あとは心のほうも大人になればなあ。

  観たことをすっかり忘れていた賞 東京バレエ団『ジゼル』(上野水香、フリーデマン・フォーゲル主演):ブログを読み返してはじめて気づいた。我ながらびっくりした。

  観たんだけど、あまりにつまらなかったので観なかったことにした賞 パリ・オペラ座バレエ学校公演:世界に名だたるバレエの名門学校といえど、しょせんは「生徒さん」の「お発表会」に過ぎない、ということがよーく分かりました。反省したのでもう二度と行きません。

  期待したほど面白くなかった賞 世界バレエフェスティバル(Aプロ、Bプロ):原因は、1.公演時間が無駄に長すぎる(もっと出演者と演目を絞るべき)、2.ダンサーたちは基本的におなじみの相手とペアを組んで出演するために、片方のダンサーが優れていても、もう片方のダンサーがちょっと・・・という現象が割とみられた、3、おそらく主催者側の都合や彼らの個人的な好みによってか、観ている側からすれば「なんでこの人が?」と疑問に思うダンサーが割と出ていた、また逆に「なんであの人が出ないの?」と疑問に思えるダンサーもまた多かった、というところでしょうか。

  ☆本格復帰おめでとう賞☆ アダム・クーパー(“two;four;ten”、タケット版『兵士の物語』):バレエやコンテンポラリー・ダンス用にどんどん身体を作ってくのでびっくりした。その代わり体力は少し落ちていたし、パフォーマンスも出だしは硬かったけど、その後どんどん調子を上げていったので、回復力と適応力の凄さにまたまたびっくり。ラッセル・マリファントとの共演では、舞台での信頼関係ができていく過程が見られて感動しました。今年も活躍を期待してます。

  2010年も良い公演に出会えますように! 
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