▼最近の新聞の切り抜きを読み返していた。7月21日の北海道新聞の「各自核論」という欄に「リベラルの悪評・敵味方の思考脱却を」というテーマで、近代日本思想・現代社会論が専門の、シノドス代表の芹沢一也さんが投稿している。
▼日本社会はどんどんリベラルになっていると始まり、セクハラやパワハラは、日常茶飯事だったと書いている。それが表に出るようになり、そして社会が許容しなくなったのが実態だと主張している。
▼リベラルが愛想をつかされているのは、平和主義を掲げるリベラルの振る舞いにある。そこで問題になるのは、その硬直した教条的な態度にあると指摘する。
▼戦後日本が戦争をせずにすんだのは憲法9条のおかげであり、集団的自衛権行使を容認したら徴兵制度が導入されるかのような物言いがなされたが、それはあまりに現実離れした知的に不誠実な態度だという。
▼その対象として、アベ政権が悪の権化だとして、その振る舞いのすべてを糾弾する傾向がある。「敵・味方」という二分法的な発想に陥っていると、リベラルや左翼と呼ばれる勢力に警鐘を鳴らしている。
▼アベ長期政権で「9条改正」が日程に上がってきた今日、台頭しつつある右翼的な視点から、近年軟弱だが息を吹き返しつつあるリベラルや左翼陣営への攻撃と思った。
▼私もアベ政権を批判する。「戦争しない国から戦争ができる国」への大転換をおこなおうとしているからだ。その考えには、かつて日本軍が引き起こした大量虐殺が、再び繰り返すのを恐れるからだ。
▼その恐怖の根底には「【戦前の国体】が形を少し変え、戦後も生き続けている」という思いがある。憲法改正後、どんな国にするのかの考えを示さないで、単純に敵を作り国防の意義だけを強調しているのは「戦前の国体」が頭を持ち上げてくるのではないかという、恐怖感がぬぐえないからだ。
▼それにアベ総理は、嘘を付くことで長期政権が保持されている。政治力学を歴代の総理の中で、一番強硬に実践できる総理にも見える。アベ総理の嘘を見破るには、ありとあらゆる想像と妄想も必要だと私は考え、悪の権化としてのアベ総理を「人体解剖」するのが、国民の権利であり義務だと考えているからだ。
▼だが、新聞で「リベラルの悪評」を論じたには、どうやら意図は別の方にあるのではないかと考え、何度か読み返してみた。論説の最後に注目した。
▼「正義や公正といったリベラルな価値を守りつつ、硬直した「敵・見方」思考から解放された“しなやかな”リベラルが生まれることを、筆者は心から望むものである」と。
▼「芹沢一也」を検索してみた。1968年生まれというから50歳だ。慶應義塾大学文学部を出て、知の交流スペース「シノドス」を主宰している。シノドスとはギリシャ語で【集会】という意味だ。
▼各種の論客と討論し、新たな知の回路を作り出す試みをしている。「多様性や自由が何より重要だ」という考えが根底にあるという。
▼「リベラルは、敵・見方という二分法的発想に陥っている」と、閉塞感を指摘するが、その元凶はアベ総理だ。憲法改正とは、我が国の基本秩序が変わるということだ。そのことについて、まるで国民に語り掛けてこないからだ。
▼国民は、アベ総理のシンパが「日本会議」であることも承知しているので「戦前回帰」を目論んでいるのではないかと想像してしまうのだ。だから、平和を乱すアベ総理を敵と見なさなければならないのだ。
▼芹沢さんは、日本のリベラルのイメージを形づくっていのは平和主義、いわゆる護憲と呼ばれるスタンスだという。
この平和主義者と呼ばれる勢力が、現実的な問題の解を導く態度が不足していると指摘する。
▼『右翼も左翼もリベラルも「シノドス=集会」の場に出てこいや!』という、新たな論客の登場ではないかと、新聞を読み返していた。
▼最近、左右の均衡を図ろうと右寄りに近いテーマの本も読んでいる。「国体論」の著者、政治学者の新井聡さんは41歳だ。「愛国と信仰の構造」の著者・政治学者の中島岳志さんも43歳だ。
▼中島さんはこの本の中で、70歳の宗教学者の島薗進さんと「国体や神道」について討論を交わしている。若手の学者が、我が国の右と左を公平な視点で論じているように感じる。
▼この二冊に、慶應義塾大法学部出身で元銀行員という経歴を持ち「第7回蓮如賞」を受章しているという、関岡英之著「拒否できない日本」文芸春秋の一冊を加えれば、日本の未来が極めて鮮明に見えてくるような気がする。
▼この三冊には【アベ政権によるあいまいな日本】を説くヒントが、たくさん詰まっている。「憲法改正」が身近に迫る第4次アベ政権下で、日常茶飯事が糾弾される社会になってきたといわれる我が国。
▼ますます曖昧化する我が国にあって、何回も読み返したい三部作だ。
▼今日(11日)の新聞に2月の日米首脳会談で、トランプ大統領から日本のカジノへ、米国のカジノ大手会社が参入できる許可を与えるよう要請されたと報じられている。
トランプ大統領の要請をもっと深読みしてみよう。
▼「森友・加計学園問題はうまく煙に巻いたようだね。シンゾウならカジノの許可などのカードの捌きは、私より上手のようだね、少し前なら、日本では日常茶飯事だったらしいね」と、持ち上げられたに違いないと思うが。