テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

グリーンゲイブルズへの道。

2009-02-01 12:34:34 | ブックス
 強風吹きまくりの東京は多摩地方から、こんにちは、ネーさです。

「こんにちわォ、テディちゃでスッ♪」

 本日ご紹介いたしますのは、
 ジャンルとしてはノンフィクションになりましょうか、
 さあ、こちらを、どうぞ~!


 
             ―― アンのゆりかご ――


 
 著者は村岡恵理さん、’08年6月に発行されました。
 副題に『村岡花子の生涯』、
 英題名『Anne's Cradle  A Biography of Hanako Muraoka』と
 付されていますように、
 この御本は『赤毛のアン』シリーズの訳者として知られる
 村岡花子さんの評伝作品、なんですね。
 
「ひょうしはァ……むむッ!
 ぐりーんげいぶるずゥ、でスよゥ!」 

 そうですね、表紙の画は、
 今まさにグリーンゲイブルズへ向かうアンの後ろ姿、でしょうか。
 少ない荷物を抱え持ち、
 期待と不安で胸は早鐘を打ち……
 世界中の、多くに人々に愛されている物語です。

 しかし、アンの物語が
 日本で訳出され、熱狂的な支持を得るまでには、
 長い時間がかかりました。

「えッ、なァぜッ?」

 原作が書かれたのは1908年、
 村岡さんが恩師から原作本を贈られたのは1939年のこと。
 時代は、第二次世界大戦の只中です。
 英語は、敵性語。
 英語に堪能であるというだけで、
 ひどく生き辛かった頃でした。

 評伝のプロローグは、衝撃的です。

 空襲警報が鳴るのを聞きながら、
 村岡花子さんは風呂敷包みを作り、
 きつく抱きかかえました。
 包みの中にあるのは、
 『アン・オブ・グリン・ゲイブルズ』の原書と、
 花子さんが翻訳した原稿の用紙、数百枚。

 戦火から、空襲から、
 この原稿を守らなくては――

 原書の、アンの言葉が、
 苦境の花子さんを励まします。
 家族の協力のもと、
 花子さんは、原稿を失うことなく、
 度重なる戦禍を耐え、
 終戦を迎えましたが……

「ふゥッ、やッとォ!」

 花子さんが『アン』の物語と出会うまでの、
 平坦ではない、
 長い長い道のり。
 そして、翻訳した物語を
 戦後の日本へ送り出してゆき、
 成長する物語と『アンの読者たち』を
 家族とともに見守る日々。

 お孫さんである村岡恵理さんの筆が描く
 女学生時代の花子さん
 恋をする花子さん、
 悲しみにくれる花子さん、
 困難にあたって家族の盾となる花子さん――

 『アン』物語ファンの御方は、ぜひ、
 この『村岡花子さん』の物語を!
 そうしてアン・シリーズを読み返せば、
 想いはいっそう深まります。
 
 一冊の本が、どのような道をたどり、
 この国にやって来、根付いたのか。
 
 花子さんに、教わりましょう!

「いッぱいィ、おしえてくださいィッ!」
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