テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 幻の探しモノ ~

2020-07-31 22:30:15 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぱふゥ! しゅうまつもォ、すていィほォーむゥ?」
「がるる!ぐるっるぅるるる!」(←訳:虎です!それっきゃないね!)

 こんにちは、ネーさです。
 梅雨が明けたらお出掛けしたいわ!
 と考えていましたが、
 儚い夢でございました……
 まあ仕方ないわね~と割り切って、
 さあ、エンジョイホームの読書タイムと参りましょう。
 本日は、こちらのミステリ作品を、どうぞ~♪

  



     ―― 秘祭ハンター 椿虹彦 ――


 
 著者は てにをは さん、2020年6月に発行されました。
 出版社さんの紹介文によれば、
 《摩訶不思議なお祭りミステリー》とのことですが、
 読み始めてみれば、
 これは……

 あららっ、懐かしい!
 北森鴻(きたもり・こう)さんの
 《蓮杖那智フィールドファイル》シリーズの感覚だわ♪

「わほゥ! たしかにィ~!」
「ぐるがる~!」(←訳:蓮杖先生~!)

 異端の民族学者・蓮杖那智(れんじょう・なち)さんと
 助手の内藤三國(ないとう・みくに)さんを探偵役とする
 歴史民俗ミステリシリーズは、
 ミステリ好きな活字マニアさんに大好評を得た傑作でした。

 けれど、著者の北森さんが急逝してしまったせいでしょうか、
 近年、民俗学をテーマにしたミステリは影が薄れ、
 寂しい思いをしておりましたところへ……

 新星登場です!

「ぱちぱちぱちィ~!」
「がぅるるるぐる!」(←訳:ウェルカムだよ!)

 田中潮(たなか・うしお)さんは、
 東京・練馬区にある房篠(ふさしお)大学に
 通い始めたばかりの、大学生。

 ようやく大学にも町にも、
 一人暮らしにも慣れてきた彼女は、
 ある講義の存在を知りました。

 《日本の祭りに潜むモノ 講師:椿虹彦 客員講師》

「おまつりィ~?」
「ぐるるがる?」(←訳:ひそむモノ?)

 さっそく講義に出席した潮さん、
 手を挙げて質問!したのに、
 講義終了のチャイムが鳴って、
 講師の先生はさっさと出ていってしまいました。

 呆気に取られはしたものの、
 これくらいでギブアップする潮さんではありません。

「せんせいィ! つばきィせんせいィ~!」
「がるるぐるる~る!」(←訳:聞いてくださ~い!)

 実は潮さん、
 ずっと探しているんです。

   桜の樹にたくさんの人がぶらさがっている祭。

 調べてみても、分からない。
 いえ、もしかしたら
 夢だったのかもしれない。
 細かい事柄は憶えていないのだから。

 けれども、
 どうしても
 その存在を確かめたい。

「でもねェ~…」
「ぐるるるがるる!」(←訳:手掛かり少なし!)

 存在するかどうかも分からない、
 不思議なお祭り。

 そんなモノを見つけられるのは、
 《秘祭ハンター》の別名を持つ
 椿先生しか、いない?

「みつかるゥ~…かなァ?」
「がるるるるぐる~?」(←訳:見つけたいよね~?)

 お祭りを探しての、
 椿先生と潮さんの追跡、いえ、珍道中は、
 はたして何処へ行き着くのか。

 ユーモアも、
 歴史も民俗学も、
 そしてミステリも盛り合わせた
 楽しくも欲張りな意欲作は、
 週末の読書タイムにおすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 
 
 
 
 
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~ 愛すべき暗黒詩人 ~

2020-07-30 22:39:30 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 やぱりィ~めいさくゥなのでス!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!傑作だよね!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日7月30日午後、NHKBSで放送されたのは、
 映画『アラビアのロレンス』(1962年公開)……!
 俳優さんも衣装さんも美術さんも音楽も素晴らしい!
 CGや合成じゃない本物の砂漠もマーベラス!
 録画したのであとでゆっくり観よう~と浮き浮きしながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



     ―― エドワード・ゴーリーの世界 ――



 編者は濱中利信さん、
 著者は柴田元幸さん、江國香織さん他、初版は2002年に、
 画像の改訂増補新版は2020年4月に発行されました。
 英語原題は『The Wonderful World of Edward Gorey』、
 米国の“絵本作家“エドワード・ゴーリーさんの
 作品世界を紹介&解説するガイド本です。

「さいこうゥのォ、へんてこッ!」
「ぐるるがるぐる!」(←訳:極上の奇人さん!)

 エドワード・ゴーリーさん(1925~2000)。

 ウィキペディアなどでは
 “絵本作家”と形容されているゴーリーさんですが、
 その作風は強烈に奇妙奇天烈です。

 題材がダーク、
 とにかくダーク。

 実在の犯罪者や犯罪、
 世を騒がせた陰惨な迷宮事件、
 社会問題となった出来事など、
 ゴーリーさんの作品の多くは
 現実に起こった悲劇を主題とするものです。

 なので、
 《大人のための絵本》
 と呼ばれたりしているのですけれど。

「だいにんきィ、でスゥ!」
「がるるるるーぐるる!」(←訳:ロングセラーなんだ!)

 日本でいちばん最初に
 本格的にゴーリーさんの魅力を語ったのは
 植草甚一さんであった、と
 本文88ページの『日本におけるゴーリー』で
 指摘されています。

 それは1976年刊の『ミステリマガジン』誌に
 掲載された文章で、
 以降、少しずつ日本でも
 ゴーリーさんの作品や挿し絵が
 紹介されるようになりました。

「いまではァ、もうッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:展覧会は大盛況!)

 ゴーリーさんの原画展は
 2016年から2019年にかけて日本国内を巡回し、
 どの会場も盛況でした♪

 残念ながら日本での巡回展は終了したそうですが、
 もしも今後、貴方のお家の近くに
 ゴーリーさんの展覧会がやってきたら……

「ゆくべしィ!」
「がるるぐるる!」(←訳:絶対に行こう!)

 この御本には、
 さまざまなクリエイターさんたちによる
 ゴーリーさんへの憧憬と敬愛の文章、
 作品や詩についての解説、
 ゴーリーさんの画をもとに作られたグッズの写真、
 著書一覧と略年譜、
 濱中利信さん×江國香織さん×柴田元幸さんによる
 座談会『ゴーリー作品の魅力を語り合う』
 等が収録されています。
 
 E・A・ポーさん、
 ラヴクラフトさんの《クトゥルフ神話》、
 S・キングさんといった
 米国のダークファンタジー作品が好きな活字マニアさんは、
 必ずやゴーリーさんの、
 深海よりも暗い世界に
 魅せられることでしょう。

「はまッたらァ~…」
「ぐるるるるるる!」(←訳:脱け出せないよ!)

 怖いけれども、
 一度見たら忘れられない鴉羽色の王国へ、
 皆さま、ぜひ♪
 

 
 
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~ 嘆きをパワーに ~

2020-07-29 23:29:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 はわわッ! ちッちゃいィ~!」
「がるる!ぐるがるる~!」(←訳:虎です!ミニサイズ~!)
 
 こんにちは、ネーさです。
 雨の中をお買い物に出かけたら、
 やけにチビっこいスズメたちがピョンピョンと……
 巣立ったばかりの子スズメちゃんでしょうか?
 毬玉のようなチビーズが飛び去るのを見送りつつ、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♫

  


 
       ―― 文豪の悪態 ――



 著者は山口謠司(やまぐち・ようじ)さん、
 2020年5月に発行されました。
 『皮肉・怒り・嘆きのスゴイ語彙力』と副題が付されています。

 前回記事では文豪さんたちの
 “愛情あふれる言葉”にフォーカスした
 『文豪たちの口説き本』を御紹介しました。

 対して、こちらの御本は――

「わるくちィ?」
「ぐるがる?」(←訳:罵詈雑言?)

 憤怒や焦燥、
 苛立ちに苛まれ、
 感情の針がレッドゾーンへとブチきれたとき。

 文豪さんだって、
 口走りたくなりますよね。
 コンニャロメとか、
 このスットコドッコイとか、
 おととい来やがれぇとか。

「えェ~とォ、そこはァもうゥちょッとォ~」
「がるるる!」(←訳:文学的に!)

 著者・山口さんは、

  〔第一章〕『馬鹿』『田舎者』

  〔第二章〕文豪の嘆きとぼやき

  〔第三章〕喧嘩もほどほどに 

  〔第四章〕その『皮肉』も効いていますね

 という4つの章に、
 キラ星のごとき悪口雑言をちりばめました。

 明治・大正・昭和の文豪さんたちの、
 一撃必殺!な斬り込みっぷりには
 感心するばかり……なのですが。

 私ネーさ的には、
 悪態そのものよりも、
 悪態をつかざるを得ない”状況“の方に
 興味を惹かれましたよ。

「ふむむゥ、たとえばァ~…」
「ぐるるる!」(←訳:ケンカだ!)

 ところはJR、いえ、当時は国鉄だったでしょう、
 中央線の荻窪駅北口。
 アサヒ通りの青梅街道側にあった
 おでん屋『おかめ』さんにて。

 太宰治さんと、
 中原中也さん、
 檀一雄さん、
 草野心平さん、
 このそうそうたるメンツで、
 はじめのうちは楽しくお喋りしていましたのに、
 酔いが廻ると、ああ、いけません。

「ひゃあッ!」
「がるるぐるるー!」(←訳:みんな逃げてー!)

 髪をつかんでの大乱闘が始まり、
 『おかめ』さんのガラス戸が
 粉微塵に四散。
 路地で丸太を拾ってきた檀さんは、
 それを中原さんと草野さんの頭上に――

「あわわわッ!」
「ぐるるぅ~っ!」(やめてぇ~っ!)

 幸いにも、天は檀さんを見捨てず。

 知人の夫妻が丸太を奪い取ったために
 乱闘は中断、
 檀さんが罪人になることはありませんでしたが、
 これが現代だったら、
 『#文豪やり過ぎ』や
 『#作家の阿鼻叫喚』でトレンド入りして
 大炎上しちゃうのは間違いないわね。

「ふうゥ~…」
「がるるぅ~…」(←訳:疲れるぅ~…)

 もうひとつ、
 笑うしかなかったのは。

 文芸春秋社を興した文豪・菊池寛さん、
 たいそうな将棋好きでした。

 文壇棋士としては、
 菊池さんが2番手。
 1番に強かったのは
 幸田露伴さんであったといいます。

 そんな文壇棋士さんたちが、
 大正9年のこと、
 遊び半分で果たし状を投げ入れたり、
 インチキを駆使しながらの
 大試合をやらかします。

 はたして、勝負の女神さまは、どちらに……?

「いんちきィ、だめでスゥ!」
「ぐるるがぅるる!」(←訳:戦いはフェアに!)

 全章とも悪態みっしり、ではあれど、
 なぜか嫌味がなく、
 微笑ましくすら思えるのは
 文豪さんの語彙力ゆえか、
 彼らのキャラクターゆえなのか。

 近代文学好きな活字マニアさんに
 激おすすめの一冊です。
 書店さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね♪
 

 
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~ いまも、こころの奥底に ~

2020-07-28 22:34:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……きりんさんがァ、かえッてきまスよゥ~!」
「がるる!ぐっるがるる!」(←訳:虎です!やっとだよう!)

 こんにちは、ネーさです。
 ステイホームで外出がままならぬ今年、
 かつて無いほどTVドラマを鑑賞しておりますけれど、
 大河ドラマ『麒麟がくる』8月30日から放送再開!は
 嬉しいニュースでした♪
 染谷将太さん演じる信長公の“桶狭間“以後は……?
 衣装や美術も楽しみにしながら、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
     ―― 文豪たちの 口説き本 ――


 
 編者は彩図社文芸部の皆さん、2020年7月に発行されました。
 えーと、口説く、という言葉を耳にして、
 多くの方々が思い浮かべるのは、
 たぶん――

「らぶれたァ~!」
「ぐるがるぅ!」(←訳:恋文でしょ!)

 ええ、まあ、そうよねえ。
 
 冒頭の『はじめに』によれば、
 “文豪たちの恋の顛末(てんまつ)を
 口説き文句を介して紹介する“この御本は、
 10の章で構成されています。
 収録順に、

 太宰治さん、
 中原中也さん、
 芥川龍之介さん、
 萩原朔太郎さん、
 石川啄木さん、
 斎藤茂吉さん、
 梶井基次郎さん、
 中島敦さん、
 国木田独歩さん、
 谷崎潤一郎さん、

 という、
 近代日本文学史上の巨人さんたちが
 熱情に駆られてペンをとり、
 思いの丈を綴った《恋文》と、
 ついでに、
 《恋文じゃないんだけど恋文みたいな手紙》も。

「こいぶみィ……じゃないィ??」
「がるるるぐるるる?」(←訳:そんなのあるんだ?)

 太宰治さんの章には、
 ファンの方々はよく御存知でしょう、
 太宰さんが佐藤春夫さんに
 送った手紙の内容が……

 口説きというより、
 おねだり?

「あくたがわァしょうゥ!」
「ぐるる~る!」(←訳:くださ~い!)

 太宰さん、27歳。
 1936年(昭和11年)の1月に
 選考委員である佐藤春夫さんへ書き送ったのは、
 最初はね、
 クスクスっと笑ってしまったとしても、
 読み進むうちに
 太宰さんの真情が伝わってくる手紙です。

   私を助けて下さい。
   私を忘れないでください。
   私を見殺しにしないで下さい。
   いまは、いのちをおまかせ申しあげます。

 もしも、もしかして。
 芥川賞を得ていたら、
 太宰さんの“世界”はどう変わっていたのか……。

「しんみりィ、しちゃうのでスゥ~…」
「がるる~…」(←訳:切ない~…)

 私ネーさが個人的に
 グッと来ちゃったのは、
 斎藤茂吉さんのお手紙です。

 《秘密の恋人》永井ふさ子さんへ宛てた手紙から
 ひっそりと浮かび上がるのは、
 茂吉さんの生い立ち――

 山形の農家に生まれた茂吉さん、
 東京のお金持ちの養子になんて
 なりたくはなかった……
 医師にも、なりたくはなかった……

 もしも、茂吉さんが。

 自分で人生を選ぶことが許されていたら。
 人生の伴侶を、
 自分で選ぶことが許されていたなら。

 そうであったら、
 歌人・茂吉さんは
 存在していなかったのかもしれませんが。

「ふゥ~…てがみッてェ~…」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:すてきだけど怖い!)

 《死ぬ気で恋愛してみないか》(©太宰さん)

 今も谺する
 文豪さんたちの心の叫びを、
 活字マニアの皆さま、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪


 
 
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~ 光の空間 ~

2020-07-27 23:39:58 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 まゆげェ、ぴくぴくゥ!」
「がるる!ぐるるるがる!)(←訳:虎です!飛び交う怒号!)

 こんにちは、ネーさです。
 日曜夜9時の“あのドラマ”が早くも大トピックに!
 視聴率好調で、SNSではトレンド入り!
 東京03のファンである私ネーさとしては、
 今後の角田さんの活躍に期待しながら、
 さあ、読書タイムにも集中ですよ♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
    ―― 一度は行きたい 幻想建築 ――



 著者は小谷匡宏(おだに・ただひろ)さん、
 2020年4月に発行されました。
 『世紀末のきらめく装飾世界』と副題が付されています。

 映画やドラマの、
 画面にドーンと大写しになるのは、
 俳優さんのお顔だけではありません。

 ときとして、
 俳優さん以上に重要な役割を果たすのは、
 背景、ですね。

「おしろォ、だッたりィ~」
「ぐるがっるる~」(←訳:邸宅だったり~)
「がっこうゥだッたり~」

 この御本で紹介されているのは、
 19世紀末に世界各地で流行した
 アール・ヌーヴォー建築の数々です。

 うねり、波打つ植物の文様や、
 いまにも動き出しそうな動物たちの彫像、
 『ラインの乙女』を想わせる女性像、
 陽光を受けて輝くステンドグラスの花々……

 ファンタジックで
 エモーショナルなアール・ヌーヴォーの美は、
 しかし、
 20世紀に入ると
 工業的なデザインが普及するのに伴い、
 瞬く間に失速してしまいました。

「ううッ、もッたいィないィ!」
「ぐるるるがるぐるる!」(←訳:こんなに綺麗なのに!)

 ただ、
 アール・ヌーヴォー建築を愛する人も
 確かに存在したのでしょう。

 明らかに流行遅れとなって以後も、
 丁寧に手入れをされ、
 保存されてきた建物たちは、
 まさに、一流の俳優さんのように後光を背負い、
 スペインの街角に、
 ウィーンの大通りに、
 どっしりと君臨しています。

「かたろにあァ、すごいィでス!」
「がるるるぐるる!」(←訳:見どころ山ほど!)

 そうね、
 本文の内容は、

 1『東欧』
 2『中欧』
 3『南欧』
 4『北欧』
 5『西欧』
 6『アメリカ』
 7『アジア』

 と、地域ごとに分けて、
 現存するアール・ヌーヴォー建築を
 取り上げていますが、
 『南欧』のパートは必見です。
 
 アントニオ・ガウディさん、
 ルイス・ドメニク・イ・モンタネルさんの“作品”は、
 外観も内装も頭抜けているわ!

「これからもォ、ずゥ~ッとォ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:元気でいてね!)

 冒頭のドラマのお話に戻りますが、
 昨日放送の第2話では
 堺雅人さん演じる半沢さんが大階段を
 降りてくるシーンがありました。

 あら? あの階段はどこかで……?と思ったら、
 上野の東京国立博物館の大階段じゃありませんか!

 企画展が開催されるため
 いつも人で賑わう平成館と対照的に、
 もの静かな本館は
 1938年に開館したもので、
 重要文化財に指定されています。

「だいりせきィのォ、しつかんッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:上方からの光線!)
「うッとりィ~でしたでス!」

 映画や、ドラマで、
 そして、書物の中でも《主役》を飾る
 美しい建築の世界。

 建築マニアさんに、
 映画好きな活字マニアさんにも
 おすすめの一冊ですよ。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね♪
 

 
 
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~ 不合理、お断り? ~

2020-07-26 23:10:19 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 たぶんッ、きろくてきィ~!」
「がるる!ぐるがる~?」(←訳:虎です!長いよね~?)

 こんにちは、ネーさです。
 記録的に長引く梅雨のおかげで
 日々高まる湿気……を吹き飛ばすべく、
 連休最終日の読書タイムは、
 切れ味冴え渡る科学ミステリに登場していただきましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  


 
    ―― 化学探偵 Mr.キュリー 9 ――



 著者は喜多喜久(きた・よしひさ)さん、
 2020年4月に発行されました。
 『Chemistry Detective Mr.Curie』と英語題名が付された
 人気の《化学探偵》シリーズ第9作目には、
 短編5作品が収録されています。

「きゅりィ~せんせいィ、おひさしぶりィでスゥ!」
「ぐるるがるるぐっるるる!」(←訳:今日も教壇に立ってます!)

 リモートだの
 オンライン授業だのとは縁のない、
 四宮市の四宮(よつみや)大学。

 Mr.キュリーこと、
 理学部化学科の准教授・沖野晴彦(おきの・はるひこ)さんは、
 今日も地道に、
 生徒さんたちに講義を誌、
 ゼミでは細やかに指導をして、
 食堂でランチをして――

「せんせいィ~!」
「がるる!」(←訳:ヘルプ~!)
 
 何かにつけ、
 沖野先生を頼って
 庶務課員の七瀬舞衣(ななせ・まい)さんがやって来るのは、
 先生が大学のコンプライアンス委員だから、
 なのでしょうか。
 それとも……?

 えへん、ま、真相はともあれ、
 七瀬さんの今日の相談事とは。

「……あくむゥ、なのでス!」
「ぐるるるるぅ!」(←訳:怖いんですぅ!)

 或る生徒さんを悩ませているのは、
 不吉で不穏な、悪夢。

 うなされて、
 絶叫しながら
 夜中に目覚めるくらいの、
 怖ろしい悪夢、だなんて。

 そんなこと、
 以前はまったく無かったのに。
 いったい私、どうしちゃったんだろう?

 他人から見れば
 些細な悩みかもしれませんが、
 本人にとっては重大事ですし、
 実害もあります。

「すいみんぶそくゥ!」
「がるるぐるがるるるるぅ!」(←訳:授業に身が入らないよぅ!)

 思い余った生徒さんは、
 庶務課の『なんでも相談窓口』を訪ね、
 『なんでも相談窓口』担当員の七瀬さんは
 沖野先生を訪ねますが。

 さすがに、
 沖田先生もシブい顔をします。

 俺には分からない。
 他の専門家を当たってくれ、と。

「でスよねェ~」
「ぐるる~」(←訳:だよね~)

 生徒さんを案じつつも、
 庶務課の通常業務のために、
 七瀬さんも大忙しです。

 大学のキャンパス内に
 《ゴミ荒らし》が出没!

 ゴミ捨て場に置いたゴミが
 何者かによって
 人目に付きにくい場所に放置されたり、
 大学の外へ持ち出されたり。

「むむゥ! それはァ、きけんッなのではッ?」
「がるるるるるる!」(←訳:見過ごせないよ!)

 悪夢の理由と、
 《ゴミ荒らし》の理由。
 
 2つの事件が同時進行する
 第二話『化学探偵と金縛りの恐怖』は、
 ミステリであり、また、
 七瀬さんを主役とする
 “お仕事小説“とも言えそうですね。

「りょうほうゥ、ときあかすゥためェにはァ~…?」
「ぐるるがぅるーるる!」(←訳:助けてキュリー先生!)

 その他の、
 第一話『化学探偵と赦されざる善意』 
 第三話『化学探偵とフィクションの罠』
 第四話『化学探偵と後悔と選択』
 第五話『化学探偵と夢見る彼女』 
 という4作品でも、
 沖野先生と七瀬さんの
 良き相棒(バディ)ぶりが、
 謎解きを読む愉しさを倍加させてくれますよ。

 謎解きって、やっぱりフェアじゃなくちゃね!
 不合理なトリックのミステリなんて、
 そいつはミステリじゃないぞ!
 という活字マニアさんに、
 そして、お仕事小説好きな方々にも
 おすすめの一冊です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいな~♪
 
 
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~ かろやかカワイイ!アート談 ~

2020-07-25 23:28:48 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 たまやァ~ッ♪」
「がるる!ぐるる~!」(←訳:虎です!かぎ屋~!)

 こんにちは、ネーさです。
 2020年の《隅田川花火大会》は
 東京近郊の3ヶ所に分けて行われ、
 そのうちのひとつが、ここ八王子市に近接するあきる野市、
 ということで……
 おお、聞こえますよ、花火の音が!
 夜空に咲く光の花が疫病を祓ってくれるよう祈りつつ、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



  ―― 山内マリコの 美術館は一人で行く派 展 ――



 著者は山内マリコさん、2020年2月に発行されました。
 『ART COLUMN EXHIBITION 2013-2019』と
 英語題名が付されています。

 TV情報誌『TV Bros.』、
 いえ、著者・山内さんによれば
 “テレビ情報誌の皮をかぶったサブカルチャー雑誌“
 だそうですが――

「ぷふふッ♪」
「ぐるるっ♫」

 その『TV Bros.』誌上に、
 2013年から2018年まで連載された
 美術館探訪コラム『チッコラ・チモモ ~猫って長い~』を
 一冊にまとめたものが、この御本です。

 一般的な美術雑誌の記事とは異なり、
 山内さんのスタンスは、

 《毎回どこに行くか自分で決める》
 《自腹で展覧会のチケットを買って鑑賞》。

 つまり、
 マスコミ向け内覧会などの取材には参加せず、
 誰に遠慮することもなく、
 ゲリラ的に一人であちこち出没し、
 好き勝手に書かせてもらいました、
 とのことで。

「わほゥッ! いいぞォ~!」
「がるるるるる~!」(←訳:すんばらしい~!)

 ええ、そうなのよね、
 遠慮しない&忖度しない、って、
 ああ、素晴らしい♪

 お出掛けした展覧会について、
 アート評論専門の執筆者さんだったら、
 まず書かないだろうなぁ~という文章を、
 山内さんはドッカ~ンと
 各話の題名に掲げちゃいます。
 
 幾つか例を挙げますと……

  『愛しにくい人』(アンディ・ウォーホール展)
 
  『四畳半から引っ越さないタイプ』(ジャコメッティ展)

  『ミステリアスでクール しかしその正体は……
   結婚に失敗した男!』(ヴァロットン展)

  『谷崎も濃いけど客も濃い』
  (谷崎潤一郎文学の着物を見る展)

  『幽霊になるという 人生のラストチャンス』
  (うらめしや~、冥途のみやげ展)

  『殺人的な混雑に私が怖くなった』(怖い絵展)

「くすくすッ♪」
「ぐるる♫」(←訳:むふふ♫)

 あはは、言われてみれば
 ホントにそうよね~とウンウン頷きたくなる
 鋭い視点&観察力!
 
 あ、でもね、
 アイロニックで辛口な観方ばかりじゃないんですよ。

  『遠かったけど行ってよかった!』
  (瀬戸内国際芸術祭2016)

  『ファビュラス、バレエ・リュス!』
  (魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展)

  『ヨーコは闘っていた』
  (オノ・ヨーコ 私の窓から展)

 という風に、
 展示内容の本質を斬り取るかのような、
 凛々しく、ときにあたたかな言葉で、
 山内さんは展覧会への思いをしたためます。

「わかりィやすいィのでス!」
「がるぐっるるがるぐる!」(←訳:それとっても大事です!)

 残念なことに、
 御本巻末の『あとがき』によれば、
 『TV Bros.』誌は先ごろ定期刊行を終了し、
 今後はデジタル媒体で不定期刊行へ移行……
 と、あります。

 できるなら、紙媒体のサブカル誌上で、
 山内さんのアート論を再び!とも思いますが、
 まずは、この御本で、
 先入観や呪縛から解き放たれた
 爽快な展覧会行脚を
 ぜひ追体験してみてくださいね~♫
 
 

  
    では、ここで週末恒例のオマケ画像も!
   
    よ~く冷やした夏のおやつは、
    『シャトレーゼ』さんの
    《山梨県産白桃のダブルシュー》と
    《いちご大福》ですよ。
    「んまんまッ!」
    「ぐるるる~!」(←訳:美味しい~!)
    もうちょっとだけお出掛けをガマンして、
    どうか皆さま、穏やかな休日を♪




   
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~ 《影》を、我が手に ~

2020-07-24 22:42:31 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふわわァ~…うらやましィ~でスゥ!」
「がるる!ぐるるがるるる~♪」(←訳:虎です!美麗な彗星写真~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 《ネオワイズ彗星》を撮った美しいお写真の数々が
 ネット上に発表されていて、
 いまだ彗星観測の機会を得られぬ私たちは
 羨望の溜め息……!
 長~い光の尻尾を見たいものよと雨雲を仰ぎながら、
 さあ、読書タイムです。
 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  



    ―― アインシュタインの影 ――



 著者はセス・フレッチャーさん、
 日本語版監修は渡部潤一さん、原著は2018年に、
 画像の日本語版は2020年4月に発行されました。
 英語原題は『EINSTEIN'S SHADOW』、
 『ブラックホール撮影成功までの記録』と
 日本語副題が付されています。

 2019年4月10日、
 或るニュースが世界を驚かせたことを、
 天文学マニアさんはもちろん、
 活字マニアの皆さまも御記憶でしょう。

「ぶらッくゥほォーるゥのォ!」
「ぐるるがる!!」(←訳:撮影に成功!!)

 20世紀の最も有名な科学者、
 アルベルト・アインシュタインさん(1879~1955)。

 ガリレオさんが夢想し、
 ニュートンさんが考察した相対性原理を、
 1905年、アインシュタインさんは相対性理論として完成させます。

 が、その理論は本当に正しいのか?
 間違っている部分もあるんじゃないか?
 修正が必要なんじゃないか?
 といった議論は21世紀の現在も、
 盛んに行われていて。

 中でも、ことさら話題になるのが、
 ブラックホール。

「どんなものォ、なんだろうゥ??」
「がるるるる~!」(←訳:見てみたい~!)

 この御本で描かれているのは、
 《事象の地平望遠鏡(EHT)》と名付けられた
 プロジェクトの内容と推移です。

 《EHT》プロジェクトの目的は、
 ブラックホールの写真を撮る!
 という超難題。

 ハワイ、カリフォルニア、アリゾナ、
 メキシコ、チリ、
 スペイン、フランス、と
 世界各地の観測所がプロジェクトに参加し、
 天体M78の中心にある
 巨大ブラックホールを――

「いざッ、かんそくゥ!」
「ぐる!」(←訳:開始!)

 本文では、
 プロジェクトのチーム・リーダーとなった
 シェップ・ドールマンさんの視点を核に、
 《EHT》の“険しい道のり”が語られます。

 構想、予算、人材、
 政治的駆け引き、
 天候、機材の改良工事……
 ああもう、いつだって問題は山積みで。

「それでもォ、やぱりィ!」
「がるるぐるる!」(←訳:熱意は冷めず!)

 《ブラックホールには真っ黒な影(シャドウ)がある》。

 アインシュタインさんが予想した《影》を見出す挑戦は、
 記者会見で華々しく成果を報告し、
 大成功!したように見えますが、
 いえいえ、
 実はね、プロジェクトは今も進行中のようです。

   M78の次は、
   銀河の中心にある
   いて座A*の写真を撮りたい!
   まだまだ、観測を続けよう!と。

「ふゥ! さらなるゥ、うちゅうのォひみつゥ!」
「ぐるるるるる~…?」(←訳:覗けるのかな~…?)

 日本チームに関する記述が少ないのは
 残念なんですけれども、
 巻末の『日本語版監修者解説』では
 監修者・渡部さんによる補足も為されていますよ。

 ドキュメントものが好きな活字マニアさんに、
 彗星撮影に成功した天文マニアさんに、
 これから天体観測を始める少年少女さんにも
 おすすめしたい理系ノンフィクションです。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫
 
 
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~ 小さいところが、良いところ ~

2020-07-23 22:41:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪まはりくゥ~♪まはりたァ~♪」
「虎です!ヤンバラヤンヤンヤン♪」(←訳:がるる!ぐるるるがるるるるる♪)

 こんにちは、ネーさです。
 連休一日目《海の日》の今日、
 アタマの中をエンドレスに回転しているのは、
 なぜか『魔法使いサリーのテーマ』……
 魔法の言葉を唱えると
 あっ!という間に平穏な世界がやってくればいいのになぁ~…
 と夢想しながらの読書タイムは
 さあ、こちらの雑誌を、どうぞ~♪

  



    ―― mr partner 2020年8月号 ―― 



 英国のニュース&文化を紹介する隔月誌『mr partner』の最新号は、
 《ロンドンの小さな博物館》を大特集!
 夏目漱石さんの記念館案内を筆頭に、
 ロンドン市内と近郊の
 小規模なミュージアム24軒が紹介されています。

「すもォ~るゥ、だけどォ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:内容は深いよ!)

 文豪・夏目漱石さんの
 ロンドン留学時代に焦点を当てたという、
 私設博物館『ロンドン漱石記念館』。
 
 なぜ、英国には私設の小さな博物館が多いのか?
 という問いに、
 館長・恒松郁夫さんは答えます。

 風変り(Eccentricity)。
 他人と意見が違うこと、
 風変りであることを
 恐れる必要はない。

 そんな気風の人々が多いから、
 風変りな蒐集品を披露する場所――私設博物館も、
 好意的に受け入れてくれる。

「ふァいィ! いろいろォ、ありまス!」
「がるるーるぐるぅー!」(←訳:マイナーでメジャー!)

 お料理好きには有名な、
 しかし事情を知らぬ人には
 それ何のこと?なのは
 ビートン夫人に関する資料を集めた
 《ボーン・ホール博物館》。

 理系さんの興味を惹きそうなのは、
 チャールズ・ダーウィンさんを記念する
 《ダウン・ハウス》。

 ガーデニング好きな方々の天国、
 《キュー・パレス》。

 演劇マニアさん向きなのは、
 ヴィクトリア時代の女優エレン・テリーさんの名を冠した
 《エレン・テリー記念館 スモールハイス・プレイス》。

 英文学好きな方々には、
 《ジェーン・オースティン記念館》
 もありますよ。

「よりどりィ~みどりィ~♪」
「ぐるるがるるる!」(←訳:どこも楽しそう!)

 そして、
 後半部分に掲載されている第2特集
 《アリスのティーパーティー 紅茶と文学散歩》は、
 ルイス・キャロルさん大好きな方々は
 にっこり♪してしまう読み物です。

「あはァ! さんがつゥうさぎィ~!」
「がるるるるるぐる?」(←訳:ヤマネくんはどこ?)

 英国の文化、文学、アートを愛する方々は、
 すぐにもパスポートを握りしめて空港へ走りたくなる
 魅惑の特集ですが、
 さて、
 コロナ禍に揺らぐ世界の国々は
 どこも厳しい出入国規制を敷いていますから、
 以前のように海外旅行ができるのは、
 いつになるんでしょう?

 本文48ページには、
 『英国旅行の現状と今後の見通し』
 という記事が載っています。

「むゥ! これにィよるとォ~…」
「ぐるるがる?」(←訳:年内は無理?)

 海外へ、
 いえ、その前に、
 自由に国内各地へ。

 大人も子どもも、
 のびのびと、
 何の憂いもなく、
 ただ旅を楽しめる
 穏やかな世界が復ってくるようにと願いつつ、
 皆さま、ぜひ一読を♪
  
 
 
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~ 車窓の向こうに ~

2020-07-22 23:30:41 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 れんきゅゥ~なのでスよゥ!」
「がるる!ぐるるぅるがーる!」(←訳:虎です!エンジョイホーム!)

 こんにちは、ネーさです。
 連休は楽しくお出掛けだ!
 と言いたいところですけれど、
 私たち東京都民の今夏の基本路線はエンジョイホーム。
 お家でごろんごろんしながらの
 本日の読書タイムは、
 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



       ―― バスを待つ男 ――
 


 著者は西村健(にしむら・けん)さん、
 単行本は2017年に、
 画像の文庫版は2020年4月に発行されました。
 
 題名にある《バス》とは、
 ええ、高速道路を走る《長距離バス》ではありません。
 東京都民諸氏にとってごく身近な、
 《路線バス》を指しています。

「とうきょうゥはァ、ぜんいきィ!」
「ぐるるがるぐるるるる~!」(←訳:路線で網羅されてます~!)

 東京の大動脈、といえば、
 先ず挙げられるのはJRの山手線と中央線、
 迷路のごとく複雑怪奇な地下鉄各線、
 上野や池袋や新宿や渋谷を起点とする私鉄、でしょうか。

 そして、大動脈の隙間を縫うように走っているのが、
 路線バスで。

「しゃそうのォたびィ、したいのならァ~」
「がるるぐるがるぐる!」(←訳:地下鉄よりバスだよ!)

 手軽に東京一日観光をしたいのなら、
 バスに乗って、
 スカイツリーへ、
 銀座へ、
 新宿へ。
 
 そんな路線バスの旅には、
 一日乗車券がうってつけ、ですが、
 都内に在住している高齢者さん向けには、
 《シルバーパス》という
 年間フリーパスが発行されています。

 語り手の《私》も、
 発券されたばかりの《シルバーパス》を手に、
 バスターミナルに立って……

 さて、どうしよう?

「ふァ? もくてきちィはァ?」
「ぐるるるるる?」(←訳:決めてないの?)

 元は、警視庁に勤める
 刑事さんであった《私》。

 仕事人間だった反動なんでしょうか、
 引退後はヒマを持て余しています。

 いや、こんなことじゃイカンだろうと、
 思いついたのが
 《シルバーパス》を利用しての
 気ままな日帰りバス旅、なのでした。

 とはいえ、
 いざターミナルに来てみれば、
 バス路線の、なんとまあ多いことか。

 どれにしよう?
 どこへ行こうか?
 
「どこはァ~もうッ!」
「がるるる!」(←訳:運まかせ!)

 車窓を流れゆくのは、
 初めて見る街や、
 現役時代に捜査のため訪れた街。

 面白くて、懐かしくて、
 すっかりバス旅にハマってしまった《私》は、
 或る”不思議“に気付きます。

 バス停のベンチの、あの男性。

 いったい何を、待っているんだろう……?

「うううゥ~んッ??」
「ぐるるるがるぅ?」(←訳:意味不明だよぅ?)

 刑事の血がザワザワと騒ぐ《私》の、
 推論と結論とは?

 大事件が連続したり、
 スリルとサスペンスで喉がヒリつく、
 といったミステリとは
 やや風合いは異なりますが、
 連休ののどかな読書におすすめの作品です。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
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