テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

文豪さんも、場外乱闘?

2016-06-30 22:08:12 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、ろくがつゥさいごのォひィ~でス!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!夏越しの祓だね!)

 こんにちは、ネーさです。
 半年間、身に積もった穢れを払いに、
 いざ、夏越しの祓(なごしのはらえ)へ!
 神社さんの境内に特設された茅の輪をくぐった後は、
 気持ちがさっぱりいたしましたよ♪
 では、さっぱり気分のまま、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  


         
         ―― 《文豪》がよくわかる本 ――



 監修は福田和也さん、2016年4月に発行されました。
 『The File of Literary Masters』と英語題名が付されています。

「……なにやらァ、ひょうしィがァ??」
「ぐるがるぐるるる!」(←訳:ドタバタしてます!)

 そうなもよねえ、
 御本の表紙が、なんというか、
 週刊誌風?のデザインを意識しちゃったのかしらね、

 『ゲスだっていいじゃないか文豪だもの』
 『坪内逍遥から三島由紀夫まで50人の偉大な業績の裏に隠された素顔』

 とか書いてありますけど、
 これはあんまり気にしなくてもよろしいのです。
 煽情的な表紙の割に、中身、いえ、内容は
 マジメな仕上がりになっていますから。

「ふァ~、よきゃッたでスゥ!」
「がぅるぐるがる!」(←訳:じゃあ出発進行!)

 御本の構成は、
 明治の文豪さん16人、
 大正の文豪さん15人、
 昭和の文豪さん19人それぞれの略伝と簡単な年譜、
 各時代の文豪さんたちの相関図、
 そして、EXTRA CONTENTSから成っています。

 後世に名を残す文豪さん、
 というからには、
 皆さん聖人君子のごとく清廉潔白な暮らしぶりで、
 粛々と傑作を世に送り出した――

 とは、私たち現代の活字マニアは
 これっぽっちも思っていませんよね。

 いつの時代も、
 どんな人も、

「それはもうゥ、いろいろとォ~」
「ぐるるるるる!」(←訳:やらかします!)

 鴎外さんは、
 留学して細菌を研究したためでしょうか、
 重度の潔癖症に!
 食べ物は加熱しなきゃ駄目!
 でも行水はするけどお風は嫌いだった、って……
 
「どこかァ、ちがうゥ~??」

 国木田独歩さんは、
 男尊女卑?婚約者に結婚を強要?
 女性関係ルーズ?
 あらまあ、あの『武蔵野』の作家さんが、ねえ。

「がるぐっるる!」(←訳:ややビックリ!)

 泉鏡花さんの辞書に、
 恋を諦める、という言葉はありません。
 お師匠さんの尾崎紅葉さんから交際を禁じられた女性と、
 秘めたる恋を育てに育て、
 紅葉さんの没後にようやっと結婚!

「がんばりィましたでス!」
「ぐるがる!」(←訳:執念実る!)

 菊池寛さんは、久米正雄さんの替え玉として
 時事新報社に入社?
 しかし、そこにはフクザツな事情があった……。

 近年ぐんぐん再評価されている中島敦さんは、
 横浜の女学校の先生をしていたんですけど、
 生徒の中には、
 のちの大女優・原節子さんがいた!

「わおォ~!」
「がるるぐるるっるる?!?」(←訳:やはり週刊誌っぽい?!?)

 専門の研究書や、
 作家さんの伝記を読んだことがある方々には
 さほど目新しい情報はない、かもしれません。

 が、作家さんの人となりは気にせず
 作品だけを読んできました♪という御方には
 驚きもあり、衝撃もあるでしょうか。

 作品とはまったく異なる、
 作家さんの素顔、生い立ち。
 読者には見せなかった、胸の奥底。

「せんさいィでェ、だいたんでェ~」
「ぐるるるがるるるるるるる!」(←訳:強がりでさみしがりやで!)

 新刊ではなく、
 クラシカルな名作が読みたいな、と思い立ったときには、
 この御本、とても参考になります。
 文豪さんたちの代表作もリストアップされていますので、
 よし、これだ!
 と題名をメモしたら、
 さあ、本屋さん&図書館へ♪
 夏休みに《名作》を読むぞ!とお考えの方々にも
 おすすめですよ。
 ぜひ、一読を。
 
 

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~ 詩 × 美術館 ~

2016-06-29 22:05:49 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あちこちでェ、ばーげんッはじまッてまスゥ~♪」
「がるる!ぐるるるるぅ!」(←訳:虎です!SALEだぁ!)

 こんにちは、ネーさです。
 夏物セールで賑やかな駅ビルやショッピングモール……
 なのに、気付くと本屋さんで新刊をチェックしているのは、
 活字マニアの運命なのでしょうか(涙)。
 お洋服か、本か。
 と、今日も悩みながら、
 本日は、読書と縁深い展覧会情報を、どうぞ~♪
 
  



             ―― 声ノマ ――



 東京都千代田区北の丸公園の東京国立近代美術館にて、
 会期は2016年6月7日~8月7日(月曜休館、ただし7/18は開館して7/19は休館)、
 『全身詩人、吉増剛造展』と日本語副題が、
 『The Voice Between:The Art and Poetry of Yoshimasu Gozo』と
 英語題名が付されています。

「わほゥ! びじゅつかんでェ~ぶんがくゥ!」
「ぐるるるるがる!!」(←訳:詩人さんの個展!!)

 ええ、そうなんですよ、
 国立近代美術館で詩人さんの個展を開催、って、
 ちょっとどころじゃなく画期的だわね♪

  

 『声ノマ』とは『声の真』――

 吉増剛造(よします・ごうぞう)さん(1939~)は、
 日本を代表する詩人さんであり、
 『声の真』を求めて『声の間』を研究する
 『声の魔』でもあります。

 多様な『マ』を内包するこの展覧会では、
 水彩ドローイングのような生原稿、
 多重露光を駆使した写真作品、
 文字が打刻された銅板のオブジェ、
 学生時代からの日記や、
 着想が記録されたカセットテープ、
 gozoCineと命名された映像作品など、
 “吉増世界”が展示室を満たします。

「なだれのォようにィ~?」
「がるぐるる!」(←訳:嵐のように!)
「しじんさんがァ、いッぱいィ!」
 
  

 また、関連作品として、
 萩原朔太郎さんの写真、
 中上賢次さんや吉本隆明さんの生原稿、
 ジョン・ケージさんのドローイング、
 大野一雄さんと吉増さんのパフォーマンス記録映像はもちろん、
 映画の上映会、
 キュレーターさんのトーク会も
 予定されていますよ。

 しかも、
 全体を把握するのにはとても時間がかかるため、
 リピーター割引制度も設けられました。

「りぴわりびきィ??」
「ぐるるがるる!」(←訳:それも珍しい!)

 前代未聞の《詩人》展になっているらしいこの展覧会、
 入館当日に限り、
 同時開催の
 『奈良美智がえらぶMOMAコレクション 
  近代風景~人と景色、そのまにまに』(2Fギャラリー4)、
 所蔵作品展『MOMATコレクション(4F~2F)』
 も鑑賞できます。

 吉増さんファンの活字マニアさんも、
 奈良美智さんファンのアート好きさんも、
 ぜひ、お出掛けくださいな♪

「もよりのォ、えきはァ~」
「がるるるぐるるがる!」(←訳:メトロの竹橋駅です!)
 

       
    ではここで、可愛いオマケ画像も!
   
   
   
    ↑こちらは、『アフタヌーンティー』さんの店頭を飾る、
    《ディズニー アリス・イン・ワンダーランド》の
    プレート、ブローチ、マグネット……
    他に、茶器、マグカップ、紅茶、時計、
    文具、クッション、傘などなど、
    ラブリーなアリスグッズが、わんさかっ♪♫
    「テディちゃ、まぐかッぷゥ、ほしいィ~!」
    「ぐるがるぐるるっ!」(←訳:ボク傘がいいなっ!)
    原作ファンさんも、
    ディズニーファンさんも、
    『アフタヌーンティー』さんを覗いてみてくださいね。
    私ネーさのお気に入りは、
    チェシャねこくんのマグネットです♪

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きっと、近日…?

2016-06-28 22:03:54 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 いたりあァ、かちましたでスゥ!」
「がるる!ぐるるるるる!」(←訳:虎です!ケイくんもね!)

 こんにちは、ネーさです。
 EURO2016決勝T、イタリアはスペインに快勝!
 開幕したウィンブルドンでは錦織圭さんも勝利!
 よぉっし♪と小躍りしちゃった後は、
 さあ、気分爽快に読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



          ―― 若冲ワンダーランド ――



 著者は、辻惟雄(つじ・のぶお)さん、小林忠(こばやし・ただし)さん、
 狩野博幸(かの・ひろゆき)さん、太田彩(おおた・あや)さん、
 池澤一郎(いけざわ・いちろう)さん、岡田秀之(おかだ・ひでゆき)さん、
 2016年3月に発行されました。
 『Jakuchu Wonderful World』と英語題名が付されています。
 
 『芸術新潮』2015年4月号の特集
 《オールアバウト若冲》を再編集、書下ろしを加えたものが
  この『若冲ワンダーランド』になりました♫

「ふァ~…またァ、じゃくちゅうゥさんッ、でスかァ?」
「ぐるるるがるっるぅっるる?」(←訳:展覧会は終わっちゃったよ?)

 ええ、はい、またも、でございます。
 またも伊藤若冲さん関係の御本に登場していただくこととなりましたが、
 どうかご容赦を。

 それにね、
 展覧会で本物の若冲さんの作品を目にした方々は、
 思いを新たにしたことでしょう。

 もっともっと若冲さんの作品を見た~い!と。

「それはァ、いえてまスッ!」
「がっるるぐる!」(←訳:じっくりとね!)

 先頃の展覧会の目玉となったのは、
 若冲さんの代表作、
 一世一代の傑作として名高い
 《動植綵絵》シリーズでした。

 この御本では、
 江戸絵画研究の大家・辻惟雄さんと太田彩さんによる
 若冲さんの描法&技法をめぐる対談、
 動植綵絵(どうしょくさいえ)三十幅の鑑賞ポイントが
 先ず目を惹きます、が。

 にわか若冲ファンさんも
 年季のはいった若冲ファンさんにも、
 注目していただきたいのは、ここです。
 本文52ページ!

「ふむふむゥ??」
「ぐるるがる?」(←訳:何ですコレ?)

 見開き2ページを埋めているのは、
 《伊藤若冲人脈図》。

 若冲さんと、
 友人さん知人さん、
 お師匠さんがたの人脈図一覧は、
 
 なるほど、こういう交友関係だったのね!

 と眼からウロコの図表です。

 若冲さんが生きた18世紀の京都の、
 文化人相関図――
 誰が誰にどのような影響を与えたのか、
 若冲さんに絵を注文したのは
 どんな人物だったのか、
 そこに誰が介在していたのか、などが
 手に取るように推し測れるこの人脈図は
 非常に刺激的です。

 一幅の作品が完成するまでに、
 この人と文書をやり取りしたり、
 この人とは直接対面して相談したり、
 多くの紆余曲折があったのか。
 それとも、
 あんたさんにお任せする!と
 丸投げされちゃったのか……。

「きょうとのォまちをォ~」
「がっるるぐるる!」(←訳:行ったり来たり!)

 若冲さんを主人公にした小説作品も刊行されていて、
 それはそれでフィクションの愉しさがありますけれど、
 私ネーさにとっては
 こちらの人脈図の方が“読む”甲斐がある、というか、
 一粒で、いえ、
 2ページで何時間もワクワクできる立派な作品に思われました。

 若冲さん大好き!な御方は、
 この人脈図、押さえておいてくださいね!

「いんさつもォ、きれいィでス!」
「ぐるるがっるるる!」(←訳:図版も沢山のってます!)

 御本の後半には、
 モノクロであるゆえに若冲さんの作品群中では目立ちにくい
 水墨画作品の解説も掲載されています。
 この特集部分も読み逃がせません。
 近いうち、
 必ずまた開催されるに違いない若冲さんの展覧会に備えて
 皆さま、ぜひ、一読を♪
 
 
 
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乙女ごころは、お江戸も、いまも。

2016-06-27 22:06:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おくッたでスよッげんきだまァ!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!行けイタリア!)

 こんにちは、ネーさです。
 EURO2016イタリア×スペイン戦に向けて元気玉を、
 えいやぁ~っ!と送った後は、
 さあ、皆の衆、読書タイムでござる。
 本日は、こちらの御本をば、どうぞ~♪
 
  



            ―― 牛姫の嫁入り ――



 著者は大山淳子(おおやま・じゅんこ)さん、2016年5月に発行されました。
 この季節、本屋さんの雑誌コーナーを見渡せば、
 盛夏を間近にしてのダイエット特集号が並んでおりますが、
 はい、女ゴコロは現代も、お江戸の昔も同じでございます。
 目指せ、ン㎏減!
 絞れ、ウエスト!

「ほぺッ? だいえッとォ、でスかッ??」
「ぐるるるがるる?」(←訳:お江戸の時代も?)

 もちろんですとも。
 流行のファッション、メイク、スキンケアのハウツー本が
 お江戸の時代にはけっこうな売れ行きを見せておりました。

 しかし、
 今回のダイエット、なかなかどうして、難物です。

「ならばァ、ひつようゥなのはァ~」
「がるるぐる!」(←訳:専門家さん!)

 そうですね、では、ここで
 ダイエットの専門家さんを御紹介いたしましょう。

 何処とも知れぬ忍びの里・『三日月村』所属、
 派遣忍びの、
 コウさ~ん!

「しッ、しのびッ???」
「っるぐる??」(←訳:って忍者??)

 特定の武家に隷従するのではなく、
 依頼があれば仕事を請け負う“派遣”型の忍者――
 それが『三日月村』の忍びたち。

 女忍びのコウさんは、
 『三日月村』きっての頭脳明晰・動作俊敏な忍びとして
 村内でも一目置かれている存在です。
 ついでに申しておきますと、
 忍者は頭脳も肉体も駆使するお仕事ですので、
 コウさんにはダイエットの必要など
 まったくありません。

「じゃあァ、いッたいィだれがッ?」
「がるるっるる?」(←訳:ダイエット中?)

 コウさん、
 相棒の忍者さんと一緒に或るお屋敷に夜襲を掛けました。
 その目的は、
 
 お屋敷の、お姫さまを盗み出す!!

 ……ことだったのですけれど。

「むむむッ! あれはッ??」
「ぐるるがるるっ??」(←訳:もしやあれがっ??)

 あれが。
 あれが、目当てのお姫さま、なのか……?

 コウさんが愕然とするのも無理からぬ緊急事態です。
 噂では、
 蝶よ花よと育てられているという、
 深窓の美少女……のはずのお姫さまが、
 えーと、その、こう言っては何ですけれど、
 ころっころ……?

「ふわわわァ~…」
「がるぅ~…」(←訳:あちゃ~…)

 優秀無類のコウさん、
 素早く奸計を、いえ、名案を思いつきます。

 ころっころなお姫様を盗み出すのは、到底ムリ。
 であれば、ころっころでなくしてしまえば、
 そこに道は拓ける!

 よし、ダイエットだ!

「……それはァ~」
「ぐるる~…」(←訳:ムズい~…)

 忍者の智慧と誇りを懸けて、
 コウさんのダイエット大作戦が始まります。

 いや、そもそも、
 お姫さまを盗み出せとは、誰からの依頼なのでしょうか?
 ダイエット大作戦を
 お姫さまの周囲の者たちはどう見ているのでしょう?
 そしてなにより、
 お姫さまの、こころのうちは……?

「おとめごころはァ、ふくざつゥなのでス!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:誰にも読めないよ!)

 心の動きさえ読めるかもしれませんよ、コウさんになら。
 お姫さまの、いえ、ひとりの人の、
 心に秘めた思いさえも。

 エンタな装いと趣向の時代小説、
 ですが、きりりと一本の芯が通っています。
 楽しいキャラクターが楽しく物語を引っ張るこの御本、
 ジメジメしがちな季節も
 カラっと明るく変えてくれますよ。
 皆さま、ぜひ、一読を~♪
 
 
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秘めたる思い。

2016-06-26 22:13:40 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 またしてもォ、ばとるおぶゥぶりてんッ!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!激闘でした!)

 こんにちは、ネーさです。
 EURO2016でのウェールズ×北アイルランド対決は
 観ている方も疲れる熱戦となりましたが、
 ベスト8に勝ち名乗りを上げたのは、ウェールズ!
 この勢いは続くのか?と
 さらにハラハラしながら、
 さあ、今日も読書タイムです。
 本日は、国内外で人気の高いあの作家さんの御本を、どうぞ~!
 
  



           ―― 村上春樹 雑文集 ――



 著者は村上春樹(むらかみ・はるき)さん、
 単行本は2011年1月に、画像の文庫版は2015年11月に発行されました。
 御本の表紙画は、
 著者・村上さんのファンの方々にはお馴染みの、
 和田誠さんと安西水丸さんによるものですね。
 そうそう、ちょうどいま、
 京都で安西水丸さんの展覧会が開催されているので、
 関西にお住まいの皆さまは、お出掛けしてみてくださいな♪

「いいなァ、きょうとォ~♪」
「ぐるるるるがる!」(←訳:行きたいな京都!)

 この御本は、文庫化するに際し、
 急逝した安西水丸さんへの哀悼の思いが
 強く込められているようです。

 御本の『解説対談』として収録されているのは、
 安西水丸さんと、
 和田誠さんの楽しげなおしゃべり♪
 おしゃべりのサカナにされちゃってるのは……

「もちろんッ、むらかみィさんッ♪」
「がるるぐるるがるるるるぅ!」(←訳:装丁のお話もしてますよぅ!)

 『解説対談』に続いては
 著者・村上さん御自身による、
 『文庫版あとがき』があり、
 そこでも安西さんについて言及されています。
 
 この部分を読んでいると、
 ホントにね、ふっと、
 安西さんが帰ってくる気がするような。

「にこにこォえがおでッ!」
「ぐるるるっる!」(←訳:ただいまって!)

 また、この御本の“読みどころ”といえば、
 エルサレム賞の授賞式でのスピーチ
 《壁と卵》でしょうか。

 2009年2月、
 村上さんはどんな心境でこのスピーチを準備し、
 読み上げたかというと。

  ―― ずいぶん孤独だった ――

 村上さんがスピーチしている映像は
 ニュース等で配信されましたが、
 その裏側の、映像にはならなかった葛藤と決意に
 読み手の私たちは深考せずにはいられません。

「もしかしてェ、いまもォまだッ?」
「がるぐるるる…?」(←訳:孤独なのかな…?)

 『雑文集』の題名に違わず、
 音楽の話、
 映画の話や正しいアイロンのかけ方の話、
 超短編小説も!と
 村上さんの筆はあっちこっちに飛び跳ねています。

 私ネーさが、個人的に最も衝撃を受けたのは
 レイモンド・チャンドラーさん著
 『ロング・グッドバイ(長いお別れ)』翻訳の
 いきさつを記したものでした。

 清水俊二さんによる翻訳『長いお別れ』では
 かなり多くの文章が、
 あるいは文章の細部が
 おそらく意図的に省かれているという事実がある、と
 村上さんは述べているのです……!

「ええェッ? はぶいてるゥ???」
「ぐるるがぅるるる??」(←訳:完全訳じゃないの??)

 ↑この部分を読んで、
 冗談ではなく、わたくしネーさ、膝から崩れ落ちました。
 じゃあ『長いお別れ』は、
 あれはなんだったのー!
 完訳じゃなかったのー!?!
 うわわああん、信じたくないー!と
 しばらく呆然自失でした……

「しッかりィ!」
「がるぐるるる!」(←訳:気をたしかに!)

 やはり、『雑文集』なる題名に、
 油断してはなりません。
 村上さんのファンの方々は、
 あらためて、この文庫版作品を熟読くださいね。
 エッセイ好きさん、
 ジャズ好きさんにも、おすすめの一冊です♪
 ぜひ!
 

 

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ぐにゃり!の巨匠さん。

2016-06-25 22:00:02 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わふゥ! いそがしィ~しゅうまつゥでス!」
「がるる!ぐっるーるがるるー!」(←訳:虎です!サッカーにラグビー!)

 こんにちは、ネーさです。
 つい先ほどまで行われていたラグビーの
 日本×スコットランド……
 結果は残念でしたけれど、
 土曜日のゴールデンタイムにTV中継あり!
 競技場は満員で、しかも天覧試合!と、
 一年前には想像も出来なかった光景は胸熱でした。
 EURO2016も決勝Tが始まるし、
 私たちもガンバって読書タイムを……サボることにして、
 本日は、はいっ、展覧会情報を、どうぞ~♪

  



             ―― ダリ展 ――



 東京・六本木の国立新美術館企画展示室1Eにて、
 会期は2016年9月14日~12月12日(火曜休館)
 ……と書くと、
 なぁんだ、
 ずいぶん先のことじゃ~ん、って思われるかもしれませんけど。

「けどッ??」
「ぐるる?」(←訳:違うの?)

  

 実はね、このダリ展、
 東京よりも先に
 京都の京都市美術館で開催されるんです!

 会期は、7月1日~9月4日(月曜休館)となっていますから、
 夏に京都旅行を予定している御方は、
 一足先に鑑賞できちゃいますわね。

「ほわわァ~!」
「がるるっぐる!」(←訳:いいなっそれ!)
 
  

 20世紀美術を代表する画家、
 サルバドール・ダリさん(1904~1989)。

 日本ではおよそ10年ぶりとなる回顧展に出展されるのは、
 スペインのダリ財団、
 アメリカのサルバドール・ダリ美術館、
 スペインの国立ソフィア王妃芸術センター、
 そして日本国内から、
 油彩、ドローイング、オブジェ、
 ジュエリー、書籍、映像など
 約200点!

「あつめにィ~あつめましたでス!」
「ぐるるがる!」(←訳:大規模だね!)
 
  

 SNSでは、ダリさんに扮したルー大柴さんが、
 物凄く似ている!そっくり!だと話題になっていますね。
 京都展では図録とセットになった前売り券、
 そして東京展では
 グッズとセットになった前売り券(500枚限定!)が
 既に発売されています。
 詳細を公式HPでご確認の上、
 ダリさんファンのアート好きさんは、
 ぜひ、お出掛けを~♪

「るーおおしばさんッ、たしかにィ~…!」
「がるるぐる!」(←訳:似てるかも!!)
 



   さて、今回のオマケ画像はちょいカワリダネ編で!
   
   ↑こちらは、ほぼ日刊イトイ新聞発のアプリ
   『ドコノコ』のチラシです。
   LoFtさんのカウンターでいただいてきちゃいました!
   「どこのこォ?」
   「ぐるるる!」(←訳:ここの子!)
   わんこたち&にゃんこたち、
   ウサちゃんもハリネズミも、なんでも来い!
   動物たちの世界をぐんぐん広げる新型アプリを紹介するチラシ、
   と~っても可愛いので、
   皆さまも、LoFtさん他のお店で入手してみてくださいね。
   
   では、エアコンの真下でお昼寝しないよう気を付けて……
   「ぐゥ~ぐゥ~…」
   「がるる~…」
   皆さま、穏やかな休日を。
   

   
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― あの日と、いま ―

2016-06-24 22:00:04 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス! 
 まだァ、びッくりがァつづいてまスよゥ!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!まさか英国が!)

 こんにちは、ネーさです。
 英国のEU離脱か残留か国民投票の結果には
 驚きを通り越して呆然です……
 離脱するといっても実務に2年以上かかるそうですけど、
 ホントのホントに離脱しちゃうのかしら??
 政治と経済に溜め息させられた今日は、
 読書タイムも、がっちりヘヴィな
 ノンフィクション作品を、どうぞ~!
 
  



          ―― 福島第二原発の奇跡 ――



 著者は高嶋哲夫(たかしま・てつお)さん、2016年3月に発行されました。
 『震災の危機を乗り越えた者たち』と副題が付されています。

 福島県の原発施設、と聞いて、
 先ず、私たちの脳裏をよぎるのは、
 福島第一原発、なのですが。

「だいいちィだけじゃなかッたァ、のでスねッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:第二もある!)

 第一があれば、第二もある。

 そう、福島県には
 福島第二原発があるのです。

 けれど、福島第二原発が、
 TVや新聞等のメディアで報道されることは
 殆どありません。

 その理由は、
 福島第二原発は、“無事”だったから。

「ぶじィだとォ、にゅーすにィならないのッ??」
「がるるぐる!」(←訳:なんかヘン!)

 著者・高嶋さんは記しています。

 太平洋沿岸にそっては、
 青森から東通り(ひがしどおり)、女川(おながわ)、
 福島第二、福島第一、東海第二、と五つの原発が並んでいる。
 茨城県東海村と大洗町には日本原子力研究開発機構の
 複数の研究用原子炉がある。
 しかし、不幸にもメルトダウンを起こしたのは
 福島第一だけだった――

「なぜッ?」
「ぐるるる?」(←訳:どうして?)

 福島第二には、
 また他の原発施設も、
 大地震や津波の被害を受けなかった、という訳ではないのです。

 福島第二原発の建物も
 前代未聞の揺れに襲われました。
 津波からも、逃れられませんでした。

 それなのに、
 福島第一と同じ運命を辿ることは無かった――

 何故か?

 何が、道を分けたのか。

「ちいさなァ、ちがいィ?」
「がるるる?」(←訳:大きな差?)

 あの日、なにが起こったのか。

 第一章『緊迫の四日間』では
 地震当日とその直後の日々の混乱、
 非常事態を前にしての対応と対策を。
 第二章『次なる苦難 危機の去った後に』では 
 危機に立ち向かう人々の姿を。
 第三章『改革の息吹 改革の足音』では
 震災後の現実と、そして“未来”を。

 著者・高嶋さんは入念に
 ひとつひとつの事象を拾い上げてゆきます。
 悲しい、悲し過ぎるけれども、
 捨て置くことはできない、
 あの日以降の経緯を。

「つらいィでスゥ~…」
「ぐるるるるるるぅ~…」(←訳:やり切れないよぅ~…)

 実際は、“無事”どころではなかった、
 福島第二のドキュメント――

 ページを捲るのが、読むのがつらくなる、
 そんな御本でもあります。
 長引く震災の被害に今も苦しんでおられる方々には、
 ですから、読んで欲しいとはとても申せません。

 読む覚悟が整ったとき。
 見据える覚悟ができたとき。

 そのとき、どうか手に取ってみてください。
 祈りとともに。
 
 
 
 
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闇と、光の魔力。

2016-06-23 22:08:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 くッ? くらいィ~でスゥ!」
「がるる!ぐっるるる!」(←訳:虎です!真っ暗闇だ!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい、落ち着いて、落ち着いて~!
 暗闇といっても夏の肝試しの話題じゃありませんよ。
 本日の読書タイムは、
 《光と闇》をテーマにした美術評論書に登場していただきましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~!
 
  


          
           ―― 闇の美術史 ――



 著者は宮下規久朗(みやした・きくろう)さん、2016年5月に発行されました。
 『カラヴァッジョの水脈』と副題が付されています。

「うむゥ! あのォがかさんッ、でスかァ~!」
「ぐるるがるる~!」(←訳:確かに闇だね~!)

 御本の表紙にもなっていますね、
 ミケランジェロ・メリージさん――通称カラヴァッジョさん(1571~1610)の
 《聖マタイの召命》(1600年制作)。

 つい先ごろ、
 カラヴァッジョさんの展覧会が大々的に開催されましたが、
 この有名な、カラヴァッジョさんの代表作とも言える傑作は
 来日しませんでした。

 ローマの教会に収められている作品なので、
 移動はほぼムリ、なものですから
 仕方ないんですけれど、
 カラヴァッジョさんのファンの方々は、
 一度は見たい!と熱望する傑作中の傑作でしょう。

 黒――闇に浮かび上がる、
 人間たちの姿態と、
 聖なる御方の横顔……

「げんだいィのォ、あぶらえェとはァ~…」
「がるぐる~!」(←訳:全然違う~!)

   西洋絵画は中世の終わりから一貫して、
   光と闇の対比を追及してきた――

 と、著者・宮下さんは御本冒頭の
 『はじめに 光あれ』で記しています。
 そしてまた、

   19世紀後半の印象派にいたって、
   ようやく画面から闇が放逐された。

 とも述べておられます。

「ふむむゥ、そういえばッ?」
「ぐるるっるがるる!」(←訳:印象派って明るい!)

 そうなのよね、
 言われてみると、はっきり分かります。

 モネさんが描いたスイレンの花咲く水面、
 白い日傘をさしている女性の画も、
 みなみな光の中に在る――

 そう、印象派の作品を思い浮かべた後に
 カラヴァッジョさんの画を、
 (たとえ複製画であれど)眺めれば、
 背骨が冷えるような心地とともに
 実感できます。

 ああ、ここに描かれているのは、
 紛うことなく、闇だ……と。

「ただァくろいィ、だけじゃなくてェ~」
「がるるるる!」(←訳:黒以上の黒!)

 西洋の画家さんたちが
 古代ギリシャの昔から絵画の基本としてきた
 陰影。

 陰影を用いて、
 対象を立体的に描くこと。

 それは、17世紀の初めに、
 カラヴァッジョさんが写実主義を確立した瞬間、
 多大な影響を当時の画家さんたちに、
 また後代の画家さんにも及ぼしました。

 暗黒主義(テネブリスム)と呼ばれる、
 光と影の対立、
 その圧倒的な心理効果、インパクト!

「えいがァみたいィ~でス!」
「ぐるる!」(←訳:演劇的!)

 著者・宮下さんは、
 多くのページを費やし、
 カラヴァッジョさんの功績と、
 闇の中に――ダークサイドに呑み込まれてしまった
 彼の短い生涯を綴ります。

 大勢の評論家さんクリエイターさんが
 カラバッジョさんの評伝を著していますけれど、
 宮下さんの文章はことのほか素晴らしく、
 どうしようもなくやるせなく、
 天才であり、
 悪漢であったひとりの画家の輪郭を
 闇の向こうに輝かせます。

 自滅してゆく以外に
 生きる術を持たなかった・持てなかった或る男の、
 変えられぬ最期も。

「それでもォ、いまもォ!」
「がるるぐるる!」(←訳:世界を魅了中!)

 西洋美術の光と闇、
 そして第6章では、日本美術の光と闇も
 綿密に、誠実に、取り上げられています。
 アート好きさんに、
 展覧会でカラヴァッジョさんに惚れ直した!という方々に、
 おすすめのこの御本、
 『あとがき』までも含めて
 ぜひぜひ、一読を!
 
 
 

 
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コットンと、田園と。

2016-06-22 21:38:08 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 つゆはァ、あじさいィだけじゃァありませんよゥ!」
「がるる!ぐるるがるぐるる~!」(←訳:虎です!ユリの花もきれい~!)

 こんにちは、ネーさです。
 アジサイに、ネジリバナに、
 バラのお花もきれいですし、
 ヤマユリやテッポウユリも咲き競う6月です。
 週の半ば恒例の、
 読書をサボって展覧会情報をお送りする本日は、
 布地の上に咲く花々を探しにゆきましょう♪
 さあ、こちらを、どうぞ~!
 
  



       ―― 西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展 ――



 東京・渋谷区のBunkamuraザ・ミュージアムにて、
 会期は2016年6月14日~7月31日(会期中は無休)、
 『Toile de Jouy,Printed Textiles from France』と
 英語題名が付されています。

「わほォ~♪ ろまんちッくゥ~♪」
「ぐるがるるる!」(←訳:花や樹木や鳥!)

  

 先日は、山梨県の平山郁夫シルクロード美術館で開催されていた
 『煌く布 平山郁夫コレクション企画展 金更紗と金糸織』(6月21日に終了)
 を御紹介いたしました。

 『煌く布』展では、
 インドやインドネシアで織られた布地
 (昔はジャワ更紗などとも呼ばれました)が
 出展されましたが、
 こちらは西洋更紗(さらさ)――
 フランスで生まれたコットンプリント生地の展覧会です。

「おうひィさまもォ、おきにいりィ、なのでス!」
「がるぐるるがるぐる!」(←訳:あの有名な王妃さま!)

 フランス、ヴェルサイユ近郊の村
 ジュイ=ジョザスの工場で生産された西洋更紗、
 トワル・ド・ジュイ。

 ドイツ人技師クリストフ・オーベルカンフさん(1738~1815)が
 デザインした布地は、
 田園風景、
 バラの花と小鳥、
 小花を散らしたものなど、
 女性に好まれそうな、
 ロマンティックな絵柄のものが中心です。 

  

 産業革命による機械化・大量生産には
 まだまだ程遠かった時代です。
 現代と違い、
 コットンは高級品でした。

 マリー・アントワネット妃も
 この布地をドレスに仕立て、愛用していたそうですよ。

「むかしィのォ、どれすゥもッ!」
「ぐるがるるーる!」(←訳:展示されまーす!)

 18世紀にデザインされたトワル・ド・ジュイの西洋更紗、
 そのモチーフの源となった17世紀のタピスリー、
 そして
 日本にも影響を与えたインド更紗も目にできるこの展覧会、
 デザイン好きな御方に、
 服飾史マニアさんに、
 『ベルばら』好きな歴史ファンさんにもおすすめです。
 渋谷にお出かけの際は、ぜひ、お出掛けを♪
 



   では、ここで夏のおやつタイム向きオマケ画像も!
   
   東京板橋区『中央軒煎餅』さんの
   《野菜のおかき》です。
   「うきゃふッ!しょッぱいィ~おかしッ!」
   「がるるぐるる!」(←訳:夏には嬉しい!)
   冷たい麦茶と、いえ、
   すっきり系のサイダーとよく合いそうな御煎餅です。
   蒸し暑かったり、梅雨寒だったり、
   気候の変動が激しい季節も、
   おいしいお菓子のチカラで乗り切りましょう~♫


   
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限界、ぶっちぎり!

2016-06-21 22:00:43 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 きょうはァ、おひさまのォひッ!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!夏至です~!)

 こんにちは、ネーさです。
 一年でいちばん昼間の時間が、
 つまり、お日さまが照っている時間が長~い今日6月21日は、
 陽光燦々なギリシアの島を舞台にした
 ノンフィクション作品を御紹介いたしましょう♪
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



       ―― ナチュラル・ボーン・ヒーローズ ――



 著者はクリストファー・マクドゥーガルさん、
 原著は2015年に、日本語版は2015年8月に発行されました。
 英語原題は『NATURAL BORN HEROES』、
 『人類が失った“野生”のスキルをめぐる冒険』と日本語副題が付されています。

 えーと、繰り返しになりますが、
 この御本、ノンフィクションです。
 行動科学と呼ばれる研究の、
 とても真摯な、真面目な、真剣な論作なのです、けれど。

 とんでもない人たちが登場するので、
 内容もとんでもないことになってます。

「まるでェ、はりうッどえいがァ、でス!」
「ぐるがるる!」(←訳:冒険大活劇!)

 ハリウッドの映画会社でも、
 どうかしら、イマドキはこんな脚本が持ち込まれたら
 ノーサンキューって低調にお断りするんじゃないかしら。

 なぜかと言いますと。

 そこは、第二次世界大戦下の欧州、
 ギリシアの、
 クレタ島です。

「あはァ! テディちゃ、しッてるでスよッ♪」
「ぐるるるがる!」(←訳:神話の島だね!)

 迷宮に忍び込み、
 ミノタウルスを退治したテーセウスの物語を、
 活字マニアの皆さまは御存知でしょう。

 そのクレタ島が、
 ナチスドイツの軍隊に占領されました。

 クレタは、
 ヴェネツィア共和国とオスマン帝国が地中海の覇を競い、
 王さまたちが十字軍の船団を率いてエルサレムを目指した頃から、
 東西通行の要衝とされてきた島でした。

 事情は、20世紀になっても変わりません。

 ロシア(ソ連)攻略のための、
 物資の中継基地として、
 ドイツ軍はなんとしてもクレタを手に入れたかった、
 のですが……

「おもわぬゥ、じゃまがッ!」
「がるるるるるぐぅるる!」(←訳:信じられないジャマが!)

 その邪魔とは。

 ドイツ軍の兵隊で溢れる島に潜入し、
 勇猛果敢で名高いドイツ軍の司令官を、
 専属の警備隊や
 数百人の兵士たちの目をかすめ、
 堂々と、
 誘拐する。

 さらにまた、
 誘拐者たちはさらった将軍を連れ、
 クレタの島内をあちらへ、こちらへ、
 変幻自在に逃げ延びる――

 っていうんですから、本当にとんでもないわ!

「にんげんわざァじゃないィ、のでス!」
「ぐるるるー!」(←訳:クレイジー!)

 映画でしょ、それ?
 ホラ話だわよね?と確認したくなるこの出来事は、
 啞然とさせられることに、事実です。

 途方もない作戦に従事し、
 1944年4月24日、
 ドイツ軍のグライペ将軍を誘拐してのけたのは、
 わずか数人の英国軍エージェントと、
 クレタのレジスタンス兵士たち。

 正規の精鋭兵ではない、
 物資を補給してくれる応援部隊もない、
 武器もろくに持っていない彼らに、
 はたしてそんなことが出来るのか?

「できッこないィ!……はずゥだけどォ~…」
「がるるるぐるるる?」(←訳:どうして出来たの?)

 できるはずがないことを、
 どうやってやり遂げたのか。

 著者・マクドゥーガルさんは、
 人間が本来持っている能力、技能の“限度”に注目します。

 人間の身体能力は、
 我々が想像以上に高いのではないだろうか?
 少量の食糧で長距離を歩く、走る。
 腱を、筋力を駆使して、高く飛ぶ、登る。

「よいしょッうんしょッ!」
「ぐっるるがっる!」(←訳:すったかたった!)

 戦時下のクレタ島と、
 マクドゥーガルさんが必死に調査を進める現代、
 ふたつの時代を行き来しながら、
 明らかになってゆくのは
 神話の英雄たちが有していた特性ともいうべきもの、です。

 彼らは、剛力だから英雄になった、のではない。
 真のヒロイズムとは、
 権力でも財力でもなくて――

「いがいなァものッ、でス!」
「がるるるるぐる!」(←訳:意外だけど納得!)

 限界とは、どこに在るのか。

 人間の能力にも、
 クレタ島の戦争秘話にも仰天させられてしまう、
 不思議に魅力的な作品です。
 著者さん&役者さんに拍手を贈りつつ、
 ノンフィクション好きな御方も、
 フィクション好きな御方も、
 どうか、ぜひ一読を♪
 
 
 
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