テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 光が《視》せる! ―

2019-04-30 22:01:22 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 へいせいィもォ、きょうゥでェおわりィ~…」
「がるる!ぐるるるがる~…」(←訳:虎です!しんみりです~…)

 こんにちは、ネーさです。
 平成の30年――
 ひとつの時代が締めくくられる今日この日の読書タイムに、
 さて、文芸かエンタ系ミステリか時代小説か、
 SFか歴史ものかノンフィクションか、
 どんな作品をご紹介すべきなのか、
 う~んう~んと悩みまくった結果は……
 はい、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
       ―― フェルメールと天才科学者 ――



 著者はローラ・J・スナイダーさん、
 原著は2015年に、画像の日本語版は2019年2月に発行されました。
 英語原題は『EYE OF THE BEHOLDER』、
 『17世紀オランダの《光と視覚》の革命』と日本語副題が付されています。

 ええ、またしても、またまたしても、フェルメールさんです。
 先日は、福岡伸一さん著『フェルメール 隠された次元』について
 お喋りいたしましたけれども、
 今回もまたフェルメールさん……

 ではなくて。

「むゥ? ちがうゥのでスかッ?」
「ぐるるるがる~??」(←訳:どうゆうこと~??)

 平成が始まる以前に、
 つまり、既に20世紀の中頃あたりから、
 画家ヨハネス・フェルメールさん(1632~1675)の評価は
 既に確固たるものになっていました。

 では、この30年の間に
 何か変化があったか、というと。

 先ずは、絵画の分析・修復技術の、
 よりいっそうの進歩がありました。

 現存するフェルメールさんの作品の多くが
 数ヶ月、ときには数年にわたる
 入念かつ細密な修復作業を施され、
 再び美術館の展示室へと戻ってきたのですけれども、
 同時に。

「けんきゅうゥもォ、しんてんッ!」
「がるるぐるる!」(←訳:議論も活発に!)

 分かりやすい例をあげれば、近年、
 『真珠の首飾りの少女』の唇の端には、
 光の点を表わす小さな白色が乗せられました。
 
 20世紀後半の時点ではなかった光の点は、
 修復時の解析から、
 フェルメールさん自身が仕上げた画面には
 この点があった、と判断されてのことです。

 また、作品の脇役、いえ、
 “隠れた主役”の存在も徐々に判明してきました。

 その“隠れた主役”こそが、
 アントニ・フン・レーウェンフックさん(1632~1725)。

「あまちゅあァ~だけどォ!」
「ぐるがるる!」(←訳:腕は超一流!)

 1674年、オランダの小都市デルフトで、
 或る発明が為されました。

 肉眼では見ることが出来ない世界を、
 くっきりととらえる――
 顕微鏡の誕生です。

 それまでにもう望遠鏡や
 初歩的な拡大鏡(凸レンズ)は発明されていましたし、
 流通してもいたのですけれども、
 レーウェンフックさんが造り上げた顕微鏡は
 精度が段違いに良好。

 さらに、レーウェンフックさんが手掛ける
 カメラ・オブスキュラの技術は、
 遠近法表現とも密接な結びつきを持っている――

 いまや、フェルメールさんとレーフェンフックさん、
 同じ1632年に生まれ、
 同じ市のご近所で育った二人が親しく交流していたことは
 確実視されています。

「ふたりでェ、あみだすゥ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:新たな視覚世界!)

 この御本で描かれるのは、
 フェルメールさんとレーウェンフックさんの生涯と、
 レンズの製造法、
 視覚理論の歴史、
 フェルメールさんが
 作品上で実際に用いた光学・遠近法の技法、
 同じ17世紀オランダで活躍した画家さん科学者さんたち。

 最新技術を手に、
 フェルメールさんレーウェンフックさんたちが
 切り拓いてゆく未来とは――

「いッしょにィ、まきおこそうゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:光の革命!)

 伝記風ノンフィクション、
 或いは科学ドキュメンタリーともいえるこの御本、
 フェルメールさんの熱烈なファンの方々におすすめです。

 また、巻頭にはフェルメールさんの作品に加え、
 顕微鏡に関する図版も掲載されているので、
 博物学好きな皆さまも、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♫

 

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竜から、鳥へ。

2019-04-29 22:23:36 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 あとォ、いちにちィ~なのでス!」
「がるる!ぐるるるるぅ~…!」(←訳:虎です!いよいよかぁ~…!)

 こんにちは、ネーさです。
 5月1日はまだまだ先……と思っていたのに、
 もう24時間とちょっとしかない?!?
 明日まで平成の時代を振り返りながら、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
       ―― 鳥肉以上、鳥学未満。 ――



 著者は川上和人(かわかみ・かずと)さん、2019年2月に発行されました。
 ベストセラー『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』によって
 すっかり“平成の人気学者”となった著者・川上さん、
 最新の著作も、もっちろんテーマは《鳥》!
 いえ、正確には……《鶏》!!

「あはァ! にわとりィ、でスかッ♪」
「ぐるがるるるる!」(←訳:鶏も鳥だもんね!)

  《人類の歴史は鳥学の歴史である》

 と断言する一方で、
 川上さんは嘆きます。

 鳥のクチバシの色を、
 多くのチビっ子たち、大人たちもが
 黄色に塗っている……

 違うでしょ、それ!
 黄色やら金色から銀色でいいのは
 森永チョコボールのキョロちゃんだけ。

 たいがいの鳥のクチバシは、
 そう、ツバメを、スズメを、ハトを見てごらんなさい、
 黒、もしくは茶色が主流なのだ。

「あァ~、ほんとォでスねッ!」
「がっる~る!」(←訳:黒っぽ~い!)

  《鳥類に関わる誤解は、あまねく解消しなくてはならない。
   何故ならば、私は鳥類学者だからだ。》

 と、プロローグで述べた川上さんが、
 鳥を知るための
 格好のお手本としたのが
 鶏――ニワトリ、なのでした。

 人間は、
 ツバメやスズメやハトやニワトリの外見を知っている。

 だが、ことニワトリについては、
 その内側も知っている。

 ムネ、モモ、ササミ。
 骨つき手羽に、スネ肉、ガラ。
 なんならアタマも、モミジ(足)も。

「ふァ~、たしかにィ~…」
「ぐるるるるがるるる~…」(←訳:知らなくはないけど~…)

 スーパーマーケットで、お肉屋さんで、
 観察して、考えてみよう。

 大きなささみと大きな胸肉が、
 素早く翼をストロークして、
 瞬発的に飛翔する行為を可能にする。

 砂肝は鳥に特有の消化器官であるが、
 これは、鳥に歯がないことと
 密接に関係している。

 恐竜から鳥へと進化する過程で、
 鳥たちは幾つかの機能を捨てた。
 
 歯で噛むこと――咀嚼機能を捨て、
 代わりに備えたのが、砂肝なのだ。

 もうひとつ、
 捨て去ったのが、手。

 手を捨てた代わりに
 鳥たちが得たものとは――

「ほわわッ! そうなのでスかッ??」
「が~る!」(←訳:ふ~む!)

 本文120ページ、
 『胃は口ほどにモノを噛む』の章は
 ちょっとした衝撃でした。
 恐竜→鳥の長大な歴史が
 見事に集約されてゆく快説です!
 
「よんでてェ、たのしいィ~!」
「ぐるる~!」(←訳:面白い~!)

 鶏に見い出す、鳥たちの真実。

 科学ノンフィクション好きな方々に
 激おすすめの《鳥》ガイドブック、
 ぜひ、一読してみてくださいね♪

 

 
 
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― 泣いて、笑って、夜の街角 ―

2019-04-28 23:22:33 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふァいッ! こうらくゥ~びよりィ~♫」
「がるる!ぐるるるがるぐる!」(←訳:虎です!八重桜が満開だよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 鉄道トラブルや渋滞など、
 今日はいろいろありましたが、
 なんたって連休です♪
 深呼吸して、肩のチカラを抜いて、
 さあ、本日の読書タイムは
 こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
         ―― 夜廻り猫 5 ――



 著者は深谷かほるさん、2019年4月に発行されました。
 SNSから始まった8コマ漫画《夜廻り猫》シリーズの
 最新刊が↑こちら!です。
 第372話から第461話までが収録されていますよ。

「こんかいもォ、わらえェまスゥ!」
「ぐるるる!」(←訳:泣けます!)

 今宵もどこかで涙の匂い――

 その匂いを追いかけて、
 “夜廻り猫”こと
 遠藤平蔵(えんどう・へいぞう)さんがやって来る。

 涙の主にそっと寄り添うために、
 アタマにシャケ缶、
 腕には相棒の子ネコ・重郎(じゅうろう)くんを抱いて。

「ねことォ、にんげんとォ~」
「がるるるぐるるるる~」(←訳:ワンコも出てくるし~)
「ときどきィ~たぬきィもッ!」

 前述しましたように、
 《夜廻り猫》の基本は、8コマ漫画。

 1ページ中に、
 絵と組み合わせた題字&8コマの漫画に
 人間とネコ、
 或いは犬たち、フクロウやカエルが登場して、
 それぞれのワンアンドオンリーな人生を
 物語ってくれる一話完結スタイルなのですが。

 この第5巻には、
 ちょっと例外的に、
 4話完結+その続編1話、
 という連作も収められています。

「しゅやくゥはァ~」
「ぐるるる!」(←訳:ぽんぽこ!)

 『居場所』①~④(第389話~392話)
 『そっくり』(第393話)で
 読み手の私たちをハラハラさせるのは、
 都会の片隅に暮らすタヌキ一家さん。

 そう、都会の片隅、が問題なんです。

「おいだされるゥ~!」
「がるるるる~!」(←訳:どうしよう~!)

 庭でうろちょろしているタヌキに
 優しくしてくれる人間もいれば、
 追い出せ!と冷ややかに言う人間もいる。

 居場所を失くしたタヌキ一家さんの
 “楽園”は、はたして何処に……?

「どきどきィしましたでス!」
「ぐるがるるる!」(←訳:心配しまくり!)

 スタジオジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』を連想してしまう
 タヌキ一家さんの冒険譚は、
 つい先頃、庭でタヌキと遭遇して
 ひゃあ~!と引っくり返りかけた私ネーさにとっても
 他人事とは思えません。

 都会のタヌキさんたちに、
 いえ、人間も猫も犬も狸も、
 あらゆる生きものにとっての
 居場所とは――

「きッとォ、どこかにィ~!!」
「がるぐる!」(←訳:あるはず!)

 本屋さんの新刊コミックスのコーナーで
 キラリ!と光っている『夜廻り猫 5』、
 Web検索してSNS版『夜廻り猫』を読むのもいいのですが、、
 出来れば書籍版の《夜廻り猫》シリーズを
 刊行順に読んでいてくださいね。

「ないてェ~わらッてェ~」
「ぐるるがるる!」(←訳:一緒に夜廻り!)

 ゴールデンな連休に、
 黄金の心を持つニャンコたちの物語を、
 皆さま、ぜひ♪


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― あっちと、こっちの、クリムト展 ―

2019-04-27 22:23:19 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 さむいィけどォ、ご~るでんッ♪」
「がるる!ぐっるーがーるるる!」(←訳:虎です!ハッピーゴールデン!)

 こんにちは、ネーさです。
 寒いっ!んですけれども、
 さあ、ハッピーでゴールデンな連休の始まりですよ。
 本日は読書をちゃらら~んとサボり、
 こちらの展覧会情報を、
 さあ、どうぞ~♪

  



           ―― クリムト 展 ――



 東京・上野の東京都美術館にて、
 会期は2019年4月23日~7月10日
 (休館日は、5/7、5/20、5/27、6/3、6/17、7/1)、
 『GUSTAV KLIMT Vienna-Japan 1900』と独語題名が、
 『ウィーンと日本1900』と日本語副題が付されています。

「あれれェ? くりむとさんのォ、てんらんかいッてェ~…」
「ぐるるるがるるぐるるっる?」(←訳:こないだ御紹介しなかった?)

 そうねえ、そこなのよねえ、
 どうやら少なからぬ方々が混乱しているらしくて、
 ここはキチンと説明しなくちゃ!と
 私ネーさ、思った次第ですが、
 先ずは↓こちら下さいな。

  

 ↑上の画像の、向かって右側が
 
  ―― ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道 ――

 そして、左側にあるのが、

  ―― クリムト 展 ――

 それそれの展覧会のチラシ(フライヤー)です。
 こう言っては何ですけど
 混同する人がいないとは限らないわ……
 私ネーさも、チラシやポスターを見比べて、
 どっちがどっち?と迷ったくらいです。

「にてまスゥからァ~!」
「がるるるるるぅ!」(←訳:紛らわしいよぅ!)

 改めて説明いたしますと、
 現在、東京ではクリムトさん関連の展覧会が
 2つ同時に開催されています。
 
 《ウィーン・モダン》は
 六本木の国立新美術館が会場で(展示室1Eにて、8月5日まで)、
 クリムトさんやシーレさんの作品の他にも
 19世紀末から20世紀初頭にかけての
 服飾、調度品などが出展されている企画展です。

 《クリムト展》の方は、
 上野の東京都都美術館が会場となっていて、
 こちらは題名の通りに
 クリムトさんの作品を中心とする企画展なんです。

  

 グスタフ・クリムトさん(1862~1918)。

 没後100年を記念する《クリムト展》に出展されるのは、
 『ユディトⅠ』(1901)、
 『女の三世代』(1905)、
 『アッター湖畔のカンマー城Ⅲ』(1909/1910)など、
 日本では過去最多となる
 25点以上の油彩画作品たち――

「ふゥ~!ためいきィ~!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:どれも代表作級!)
 
  

 また、同時代のウィーンで活躍した画家さんの作品、
 クリムトさんが影響を受けた日本の美術品なども
 併せて展示されていますよ。

 なお、5月15日と6月19日は
 シルバーデイとなっていて、
 65歳以上の御方は無料で観賞できるそうです。

 10連休の間とシルバーデイは
 混雑が予想されますので、
 お出掛け予定のアート好きさんは
 ここぞ!という日を選んで、
 ぜひ、上野へ♪




   では、ここで美味しいオマケ画像も!
   
   『カルディコーヒーファーム』さんの
   《抹茶のダックワーズ》と
   《チョコミントのダックワーズ》、
   どちらもおすすめですが――
   「みんとォ、おいしィ~♫」
   「がるるぐる!」(←訳:抹茶も美味!)
   美味しいお菓子とともに、
   どうか皆さま、穏やかな休日を。


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~ 西と東と、時代のアート ~

2019-04-26 22:10:18 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 はッ、はじまッてるゥのでスよゥ~!」
「がるる!ぐるぅっるがる!」(←訳:虎です!来ちゃった連休!)

 こんにちは、ネーさです。
 既に空港は行列?
 高速道路にも大渋滞の兆し?
 お出掛けする方々に楽しんできてね~♪と手を振りながら、
 本日の読書タイムはこちらの御本を、
 さあ、どうぞ~!
 
  


 
        ―― そのとき、西洋では ――



 著者は宮下規久朗(みやした・きくろう)さん、
 2019年3月に発行されました。
 『時代で比べる日本美術と西洋美術』と副題が付されています。

 美術史家である著者・宮下さんは、
 御本冒頭の《序》でこんな風に述べています――

   日本は各時代にすばらしい美術作品を生み出し、
   しかも、それらの多くが遺っている幸運な国である。

   戦災や天災で多少のものが失われたとはいえ、
   各時代の重要な作品の殆どは現存しており、
   きちんと美術の流れを辿ることが出来る。

   世界を見渡すと、
   そのような幸運な国の方が
   めずらしいのである。

「ええッ? そうなのォでスかッ?」
「ぐるるるっる~!」(←訳:知らなかった~!)

 言われてみると、
 そうかぁ、なるほど、と頷かざるを得ません。

 応仁の乱があっても、
 富士山が噴火しても、
 江戸や京都を町を大火が襲っても、
 維新後の神仏分離による混乱があっても、
 現代へと受け継がれてきた美術品たち。

 ゆえに、
 “時代で比べる”ことが可能になるんです。

 奈良・法隆寺の釈迦三尊像(623年)と、
 イスタンブールのアヤ・ソフィア寺院(537年)。

 鎌倉時代の運慶さん快慶さんと、
 フランス・ランス大聖堂の予言者像。

 室町時代生まれ(15世紀中頃)の雪舟さんと、
 ルネサンス時代に生まれたレオナルド・ダ・ヴィンチさん。

「あはァ! おなじィ~じだいィ!」
「がるるるるぐるるるるるるる!」(←訳:雪舟さんとレオナルドさんが!)

 資料が豊富で、
 より対比が際立つのは、
 《二都物語 京都とヴェネツィア》
 でしょうか(本文161ページ)。

 円山応挙さんや伊藤若冲さんたち――
 近年大人気のスター画師さんが活躍した18世紀の日本と、
 ティエポロさんカナレットさんが筆をふるった
 18世紀のヴェネツィア……

 江戸美術がが華やかに花咲く時代と、
 バロックが最後の光芒を放つ時代は
 重なっていたんですねえ。

「じゃくちゅうゥさんとォ、ばろッくゥ?」
「ぐるがるるぐる!」(←訳:意外だけど納得!)

 日本美術、
 すなわち東アジア文化圏の美術と、
 西洋美術のうねり。

 それぞれの時代と国で
 美術品を守ってきた大勢の方々の努力に
 感謝をしながら味わいたいアート論は
 歴史好きな活字マニアさんに
 おすすめしたい快作です。
 アート好きな皆さま、ぜひ一読を~♫
 
 
 
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休日は、一気読みで!

2019-04-25 22:22:40 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うむッ! へいせいィさいごのォ、ごちそうゥはァ~…」
「がるる!ぐるるるるーるがる!」(←訳:虎です!アイスクリームだね!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日の東京地域はと~っても暑かったので
 “平成の終わりに貴方は何を食べますか?”
 という問いへの答えはアイスクリームに決まり……
 いやでも、プリン?
 いやいやムースもいいかも?と迷いながら、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらのミステリ作品を、どうぞ~!
 
  


 
        ―― 科警研のホームズ ――



 著者は喜多喜久(きた・よしひさ)さん、2018年11月に発行されました。
 拙ブログでも度々ご紹介しておりますね、
 《化学探偵Mr.キュリー》シリーズで人気の著者・喜多さんによる
 新たな科学捜査ミステリが届きましたよ~♪

「かがくそうさにィ、ふかのうゥなしィ!」
「っるぐるるる~?」(←訳:っていうけど~?)

 そこは、とあるビル内の、
 とあるドアの前。

 3人の若者が困り顔をしているのは、
 平成の終わりに何を食べるか悩んでいるためじゃなくて、
 押せども引けども
 ドアが開かないため。

「だれかァ、いませんかァ~?」
「がるるぐるるるぅ~!」(←訳:ドアを開けてよぅ~!)

 それは、
 科学警察研究所・本郷分室のドア。

 警察庁に附属する期間・科学警察研究所、
 通称《科警研》のこの分室で
 研修をするようにと命じられたのは、
 
 埼玉県警から出向の伊達洋平(だて・ようへい)さん。

 兵庫県警から来た安岡愛美(やすおか・あいみ)さん。

 北海道警の北上純也(きたかみ・じゅんや)さん。

 3人とも、
 今日が本郷分室での仕事初めだというので、
 張り切っていたんですけど……

「いきなりィ、しめだしィ??」
「ぐるる~!」(←訳:なんで~!)

 何故かといえば、
 そこには深~い事情がありました。

 困惑尽きぬ3人に、
 科学警察研究所のトップ・出雲俊明(いずも・としあき)さんは、
 分室設立の理由を語ります。

 《科警研のホームズ》と呼ばれた
 もと科警研の職員、
 現在は大学で日夜研究に没頭している
 土屋(つちや)准教授を、
 科警研に呼び戻したい。

「よいもどすゥ~…?」
「がるるっる?」(←訳:どうやって?)

 それはもちろん、
 君たち3人がエサになって
 彼を釣り出す……
 いや、科学捜査が如何に重要なことであるかを
 思い出してもらうんだ!

「ええェ~??」
「ぐるるる~…」(←訳:難しそう~…)

 出雲さんに説得され、
 本郷分室・室長の職を引き受けたものの、
 それは名ばかり。

 科警研のお仕事に意欲なし・熱意なし、
 3人の研修生を一人前に育て上げる気もなし、
 そんな土屋さんに、
 どうやって“やる気”を起こさせるかといったら、
 それはもう、
 難事件を押し付けるより他になし?

 かくして、3人の研修生さんは――

「うおうゥさおうゥ??」
「がるるるぐる!」(←訳:難行苦行だね!)

 ネタバレを防ぐためにも
 これ以上は詳述できませんけれども、
 短編4作品から成るエンタ度も高い連作ミステリは
 休日の読書に激おすすめです。

 謎を解く小さな、
 しかし重要な《鍵》は?
 そして犯人は?

「いッきよみィ、でスよゥ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:皆さまぜひ!)
 

 
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~  北欧の青い蝶 ~

2019-04-24 22:38:05 | ミュゼ
「こんにちわァ、テディチャデッス!
 いつのまにかァ、あとォ~いッしゅうかんッ!」
「がるる!ぐるるがるる……!」(←訳:虎です!残りもわずか……!)

 こんにちは、ネーさです。
 令和の幕が上がるまで、
 あと一週間、いえ、残り一週間を切りましたね。
 平成最後に読む本は何にしよう?
 令和の最初に読む一冊は?
 と早くもアタマを悩ませながら、
 はい、本日は読書をサボって
 展覧会情報をお送りいたしますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪
 
  


 
      ―― ルート・ブリュック 蝶の軌跡 ――



 東京・千代田区の東京ステーションギャラリーにて、
 会期は2019年4月27日~6月16日
 (月曜休館、ただし4/29、5/6、6/10は開館し、5/7は休館)、
 『RUT BRYK:Touch of a Butterfly』と英語題名が、
 『フィンランドを代表するセラミック・アーティスト、日本初個展。』
 と日本語副題が付されています。

「せらみッくゥ、ッてェいうとォ~…?」
「ぐるる??」(←訳:陶磁器??)

  

 ええ、そうですね、
 『セラミック』を検索してみると、表示されるのは、
 陶磁器、窯業製品、といった言葉。

 北欧・フィンランドを代表するアーティストの
 ルート・ブリュックさん(1916~1999)は、
 名窯『アラビア』社の専属アーティストとして
 約50年にわたって活躍した御方なんです。

 版画の技法を応用し、
 独自の釉薬や型の技術を開発、
 1951年のミラノ・トリエンナーレでは
 グランプリを受賞しました。
 
「みらのでェ、ぐらんぷりィ?!?」
「がっる~る!」(←訳:すっご~い!)

  

 初期の陶板タイルから、
 晩年に手掛けたモザイク壁画やテキスタイルまで、
 この展覧会には
 ブリュックさんの作品約200点が出展されます。

「たくさんのォ、ちょうちょッ♪」
「ぐーるるるるがるるるる!」(←訳:ルートさんは描きました!)

  

 なお、この展覧会と連動して、
 『ほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日)』さん運営のギャラリー
 《TOBICHI》では、
 
  《ルート・ブリュック 蝶の軌跡 イントロダクション》

 が4月25日~5月6日の間に開催されます。

 《TOBICHI》では
 ブリュックさんの作品4点を展示、
 書籍とグッズ(トートバッグと缶バッジ8種)が販売されるので、
 連休のお散歩プランに
 《TOBICHI》と東京ステーションギャラリーのハシゴなど
 いかがでしょう?

「ほくおうゥあーとォ、すきなァおかたはァ~」
「がる!」(←訳:ぜひ!)
 
 


    では、今回のオマケ画像は……
    御衣黄(ぎょいこう)桜ちゃんの続報で!
   
    昨日(4月23日)に撮影したものですが、
    ↑上の画像の、
    しっかりグリーン!な御衣黄桜ちゃんの
    すぐ横に……
   
    やはり、御衣黄桜ちゃんが!
    ↑こちらは、
    “花全体が淡くグリーン”
    という印象です。
   
   「おなじィさくらァ~なのにィ!」
   「ぐるるるがるる!」(←訳:ずいぶん違うよ!)
   
    同じ品種であるのに
    色合いがこうも違うのは
    個体差のせいなのか、
    土壌の差なのか……?
    しかも、割合とレアなサクラでしょうに、
    国道沿いの街路樹になっちゃったりして……
   「がんばれェ、ぎょいこうゥちゃんッ!」
   「ぐるるるがるるる~!」(←訳:排ガスに負けるな~!)
    今日も明日も、
    私たちは御衣黄ちゃんを応援し続けます♪


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タコもイカも、アンモナイトも、考える?

2019-04-23 22:08:42 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 たいへんなァ、にぎわいィ~でスゥ!」
「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:佳き日でした!)

 こんにちは、ネーさです。
 天皇皇后両陛下が御陵へいらっしゃった今日は、
 御姿を一目!と遠方から八王子を訪れた方々も多く、
 私たちも特別な感慨をおぼえました……
 平成が平和のうちに過ぎ、
 新たな時代も穏やかなものでありますようにと祈りながら、
 本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪
 
  


 
          ―― タコの心身問題 ――



 著者はピーター・ゴドフリー=スミスさん、
 原著は2016年に、日本語版は2018年11月に発行されました。
 英語原題は
 『OTHER MINDS The Octopus,the Sea,and the Deep Origins of Consciousness』
 『頭足類から考える意識の起源』と日本語副題が付されています。

「いまァ、わだいィ~なのでス!」
「ぐるるがるぐるるる?」(←訳:タコに心はあるのか?)

 前回記事では
 映画『2001年宇宙の旅』製作の過程をつぶさに明かす
 ノンフィクション作品をご紹介いたしました。

 思えば、『2001年宇宙の旅』のテーマも
 《生命とは?》でありましたけれど、
 海洋学者……ではなく、
 生物哲学を専門とする著者ゴドフリー=スミスさんが
 この御本で掲げるテーマも、

 《生命のふしぎ》

 であると申せましょうか。

「たことォ、にんげんッ?」
「がるぐるるるるるがるるる~…」(←訳:同じ生きものではあるけど~…」
「いろいろォ、ちがうゥのでス!」

 タコやイカ、それにオウムガイなどは、
 《頭足類(とうそくるい)》に分類されます。

 《頭足類》って、とても歴史が古くて、
 例えば、アンモナイトも《頭足類》だったのね。
 つまり、ヒトよりもよほど昔から
 地球に住み暮らしていた生物が《頭足類》なんです。

 彼らとヒトは何千万年かの時を
 “地球で同居”してきた仲な訳であって、でも……

「とおいィそんざいィ、なのでスゥ~…」
「ぐるるがるるるぐるる……」(←訳:いまだ意思疎通ならず……)

   タコになったら、
   どんな気分なのだろう?

 著者ゴドフリー=スミスさんは問います。

   タコになったらどんな気分……
   うん? そもそもタコに“気分”はあるのか?
   心を、彼らは持っているのか?

「ううゥ~むゥ?
 もッてるゥ~…かなッ?」
「がるるるぐるる?」(←訳:ありそうだよね?)

 ありそうだよね~あってもいいじゃん、
 と単純に考えてしまうのは、
 私たちが非西洋圏に生まれついた日本人だから、
 かもしれませんが、
 シドニー生まれ、米国の一流大学で教授職を務めた著者さんは、
 タコたちを観察し、
 彼らのこころの有無を、
 言葉や社会生活の有無を探ります。

「ふむふむッ! たこのせかいィもォ~!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:いろいろあるぞ!)

 ゴドフリー=スミスさんが
 オクトポリスと名付けたタコたちの居住地があったり、
 タコたちが仲間を一匹一匹識別しているらしい、
 と研究結果が出ていたり、
 といった事々を知るにつれ、
 読み手としては

   タコにはこころがある!

 と断言したくなってきますが、
 はたして、真相は……?

「まだまだァ、みえこないィ??」
「がるぐる~!」(←訳:謎は深い~!)

 生命と、こころ。
 生物の起源と歴史。
 
 科学好きな活字マニアさんに、
 動物好きな方々にも
 おすすめのノンフィクション作品です。
 連休の読書リストに、
 ぜひ、加えてみてくださいね♪
 
 
 
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《創造》の宇宙へ。

2019-04-22 22:15:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 じゃじゃァ~んッ!」

  

「がるる!ぐぅーる!」(←訳:虎です!じゃーん!)

  

 こんにちは、ネーさです。
 はい、↑上の画像2枚が
 前回記事でお報せしましたサクラちゃんです。
 『御衣黄(ぎょいこう)』というミドリ色の花が咲く桜がある、
 と聞き知ってはいましたが、
 ここまで完全にアマガエルくんのようなグリーンだとは……!
 (画像は一切加工しておりません)
 造化の神様の不思議な御業に感心しながら、
 本日の読書タイムは、
 ふたりの“神さま”が登場するこちらのノンフィクション作品を、
 さあ、どうぞ~♪
 
  


 
      ―― 2001 キューブリック クラーク ――



 著者はマイケル・ベンソンさん、
 原著は2018年に、画像の日本語版は2018年12月に発行されました。
 英語原題は
『Space Odyssey Stanley Kubrick,Arthur C. Clarke and the Making a Masterpiece』
 あまりにもあまりにもあまりも有名な、
 SF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』をめぐる
 ドキュメンタリー風雲録!
 或いは、
 天才と天才の激突の記録!
 と言うべきでしょうか……

「かたやァ、えいがのォてんさいィ!」
「ぐるがるぐるるる!」(←訳:片や天才SF作家!)

 映画『2001年宇宙の旅』――
 英語での題名は『2001:A SPACE ODYSSEY』。

 2018年は、
 1968年に映画が製作・公開されて50年目にあたる年でした。
 そこで、製作50周年記念!の意味をこめて、
 この御本が刊行されたわけ、です、けれど……

「ふゥッ! えいがッてェ、たいへんッ!」
「がるぐるるがるぐるぅ!」(←訳:大変すぎて目が回るぅ!)

 キューブリック監督と、
 作家A・C・クラークさん。

 先ずはキューブリックさん発のラブコール――

 ETについての映画を作りたい!
 良いストーリーはないかな?
 え? 最高の作家を雇えばいいって?
 だれが最高なんだ?
 ん、アーサー・C・クラーク氏?
 ああ、名前は知ってるよ。
 じゃあ連絡を取ってもらえないか?

 から全ては始まりました。

「はつかおあわせェはァ~」
「ぐるるるるるがるぐるる!」(←訳:1964年の4月22日!)

 以来、企画はつるつる~っと進んで……
 ゆくはずはありません。

 ああしよう、こうしよう、
 いや、やっぱりそれは止めといて、こう変えよう。
 はてしもない話し合いとゴタゴタの末、
 小説の初稿は1964年12月24日に
 キューブリック監督に渡され、
 『2001年宇宙の旅』と題名が決まったのは
 1965年の4月29日(もしくは30日)。

 で、一挙に“撮影快調”?

「ありえませんッでスゥ!」
「がるるるるぐる~…!」(←訳:いうまでもなく~…!)

 前代未聞の撮影に挑む俳優さんたち、
 美術デザイナーさん、衣装さん、
 特殊効果クリエイターさん、
 現場の作業員さんたち、
 “HAL9000の父”たるMITのミンスキー博士、
 映画会社、撮影スタジオ。

 どこもかしこも、誰もがみな、
 《創造》の熱に感染し、
 巻き込まれ、翻弄されてゆくさまは、
 私たち読み手のこころをも揺さぶります。

「なにかァ、とほうもォないィものがァ~」
「ぐるるるるがる?」(←訳:作られつつある?)

 私ネーさが、ニヤリ♪とさせられたのは、
 宇宙ステーションの場面で
 『美しく青きドナウ』が使われることになった経緯や
 (本文464パージ!)、
 HALの声を演じた俳優マーティン・バルサムさんの苦心
 (本文485ページ)他、
 数えれば切りがありませんが、
 原作者クラークさんは
 どんな思いで完成した映画を観たかというと……

「しィ! それはァ、ひみつでス!」
「がるるるぐるるる!」(←訳:最後まで読んでね!)

 第11章『公開』、
 第12章『余波』に到るまでは、
 何しろ分厚い御本ですので
 長い長い道程ではありますけれども、
 SF好きな方々、
 映画マニアさんに激おすすめしたい一冊です。

 チャンドラはかせ、と
 HALが囁く声が耳によみがえってくるような
 労作ノンフィクションを、
 皆さま、ぜひ♪



 
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さりげなく、怖く?

2019-04-21 22:16:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 ひゃあッ! はッけェ~んッ!」
「がるる!ぐるぅるるる~!」(←訳:虎です!嘘じゃないよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 ここ東京・多摩地域のソメイヨシノは殆ど散ってしまいましたが、
 なんと!見つけちゃいましたわ!
 緑色のサクラを!!
 今日は上手に写真撮影できませんでしたので、
 明日あらためて撮ってきましたら御報告しますね。
 では、ここからは読書タ~イム!
 本日はこちらのミステリ作品を、さあ、どうぞ~♪

  


 
      ―― 准教授・高槻彰良の推察 ――



 著者は澤村御影(さわむら・みかげ)さん、2018年11月に発行されました。
 『民俗学かく語りき』と副題が付されています。

「ふァ~、きょうじゅさんッていうとォ~」
「ぐるるるがるるぐる?」(←訳:探偵役は大学の先生?)

 都心にキャンパスを構える清和(せいわ)大学――

 高槻彰良(たかつき・あきら)さんはその大学の、
 文学部史学科民俗学考古学専攻の准教授の任に在ります。

「なッ、ながいィ~!」
「がっるぐるぅ~!」(←訳:もっと短くぅ~!)

 そうね、簡単に言いますと、
 『民俗学Ⅱ』の講義を担当しているのが、
 高槻准教授、なんです。

 すらりとした長身、
 大きな二重の眼に、きれいに通った鼻筋。
 そう、いわゆる“イケメン”である高槻先生は、
 TVの怪奇特番で妖怪の解説をしていたりするので、
 学内でも有名人、
 講義は教室が満杯になっちゃう人気ぶり。

「……ようゥかいィ~…?」
「ぐるがる?」(←訳:TV出演?)

 そうなのよねぇ、
 民俗学といえば柳田国男さん折口信夫さん、
 という時代から、
 現代では、
 怖い話・奇妙な話・都市伝説・学校の怪談、
 これみな民俗学と解釈して、
 高槻先生は特に、
 “不思議な話が語られるようになった背景”
 “その元ネタと思われる話の研究”
 を専門としています。

「でもォ、がくせいィさんはァ、びっくりィ~!」
「がるるぐるがるる?」(←訳:これも学問なんだ?)

 小学生たちのウワサ話。
 ツチノコ。

 それらも真面目な研究課題なのだと聞かされて、
 大学に入学したばかりの新受講生さんたちは、
 面白がったり、笑ったり。

 けれど、この物語の語り手――
 深町尚哉(ふかまち・なおや)さんは、
 心の底から笑うことが出来ないようです。

「かおいろォ、よくないィでスよゥ?」
「ぐるる?」(←訳:大丈夫?)

 不思議な話。
 奇妙な体験談。

 ……俺は、知ってる。
 誰よりも、知っている。

「えッ! それッてッ!」
「ぐるるるる?」(←訳:もしかして?)

 複雑な想いを抱えつつも
 『民俗学Ⅱ』の講座に出席し続けた深町くん、
 提出したレポートの件で
 高槻先生に呼び出されたのをきっかけに、
 先生のもとに持ち込まれる相談事の調査を
 手伝うことになりました。

   無人の部屋から響くノックの音。

   どこからか湧いて出る、針。

   神隠しに遭った高校生。

 高槻先生の助手役を務める深町くんの、
 こころはザワザワと波立ちますが……

「……それはァ~…」
「がるるるるぐるる~…」(←訳:さり気なく怖いよ~…)

 ついアハハと笑い飛ばしたくなる、
 現代の怪談。
 けれど、その背後に何かがある、としたら。
 何かの意味がある、としたら。

 ライトノベル風の体裁の内側には
 深く考えさせられる要素が詰まっている
 《民俗学ミステリ》、
 ミステリ好きな御方に、
 時代モノ歴史モノが好きな方々にもおすすめです。 
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪
 
 
 
 
 
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